厚木市で 相続手続 支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続 の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
ゴルフ会員権とは、ゴルフ場の施設を優遇された条件で利用できる権利です。会員であれば、非会員よりも安い料金でプレーできる他、優先枠の予約も可能となります。
近年では、ゴルフ会員権を資産として保有する人も増えています。そのため、相続の際にどのように取り扱うべきかが重要な課題となっています。
本コラムでは、ゴルフ会員権の相続について、その基本的な考え方や手続き、注意点を詳しく解説します。
ゴルフ会員権の種類と特性
(1)預託金制
ゴルフ場に一定額の預託金を支払い、その対価として会員権を取得する形式です。会員が退会すると、ゴルフ場から預託金が返還される仕組みですが、近年では返還が困難な場合もあります。
(2)株主制
ゴルフ場を運営する会社の株式を購入し、株主としての権利を持つ形です。この場合、ゴルフ会員権は株式の一種とみなされ、株主総会での議決権などを有することがあります。
(3)社団法人会員制
ゴルフ場の組織が社団法人で、団体の構成員が会員となる形です。古くからある名門と言われるゴルフ場に多く採り入れられている会員制度です。
相続の対象となるゴルフ会員権
ゴルフ会員権は、相続財産として扱われるため、相続税の課税対象となります。
ただし、ゴルフ会員権には名義人固有の権利があるため、相続時にはゴルフ場の規約を確認する必要があります。
一般的には、ゴルフ場の定める条件を満たした相続人が会員権を引き継ぐことが可能ですが、一定の審査や手続きが必要となる場合があります。
相続手続きの流れ
(1)ゴルフ会員権の有無の確認
まず、被相続人(亡くなった人)がゴルフ会員権を所有していたかを確認します。会員権証書やゴルフ場からの会費請求書などが手がかりになります。
(2)ゴルフ場への問い合わせ
次に、ゴルフ場の会員規約を確認し、相続による会員権の継承が可能かどうかを問い合わせます。規約によっては、相続が認められない場合や、追加の手数料が発生する場合があります。
(3)相続税の申告・納税
ゴルフ会員権の価値は市場価格や相続税評価額に基づいて算出され、相続税の課税対象となります。相続税の申告期限(相続開始後10か月以内)までに申告・納税を行う必要があります。
(4)名義変更手続き
ゴルフ場が定める手続きを行い、相続人の名義に変更します。通常、以下の書類が必要となります。
- 被相続人の死亡証明書(死亡届の記載事項証明書や戸籍謄本)
- 相続人の戸籍謄本
- 遺産分割協議書(必要に応じて)
- ゴルフ会員権証書
- ゴルフ場指定の申請書
(5)名義変更料の支払い
多くのゴルフ場では、名義変更の際に一定の手数料がかかります。費用はゴルフ場によって異なり、数十万円以上かかるケースもあります。
相続時の注意点
(1)ゴルフ場の規約を確認する
ゴルフ場によっては、相続人が会員になるための条件を厳しく設定している場合があります。特に株主制のゴルフ会員権では、相続人が一定の資質を満たす必要があることもあります。
(2)相続税評価額の把握
ゴルフ会員権の評価額は、ゴルフ場の経営状況や市場の需給バランスによって変動します。
評価額が高い場合、相続税負担が大きくなるため、適正な評価を行うことが重要です。
(3)売却の検討
ゴルフをしない相続人にとって、会員権を維持することは経済的な負担となる場合があります。
その場合、会員権を売却することも一つの選択肢です。ただし、市場価値が低下している場合、期待する価格で売却できない可能性もあります。
まとめ
ゴルフ会員権の相続は、通常の資産とは異なり、ゴルフ場の規約や相続税の問題が関係するため、慎重な対応が求められます。
相続人が引き継ぐ場合は、必要な手続きを迅速に行い、名義変更を済ませることが重要です。また、利用予定がない場合は、売却を含めた選択肢を検討し、相続税負担を最小限に抑える工夫が必要となります。
ゴルフ会員権の相続で不明な点がある場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
行政書士、司法書士、弁護士、不動産鑑定士との強いネットワークを活かして、あなたの相続の悩みをサポートいたします。
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相続が発生すると、引き継いだ相続財産に対して相続税が課されることはよく知られています。
しかし、相続財産の種類やその取得方法によっては、相続税だけでなく所得税がかかるケースもあります。
本コラムでは、相続人に所得税が発生する主なケースについて詳しく説明します。
相続財産に対する基本的な課税関係の整理
相続財産には現金、預貯金、不動産、有価証券などさまざまな種類があり、それぞれの課税関係が異なります。
通常、相続によって取得した財産には金額に応じて相続税が課されるだけです。所得税とは給料やビジネスで得た利益に対してかかる税金ですから、それらと関係のない遺産相続では基本的に所得税はかかりません。
しかし、相続した財産を処分したり、特定の条件を満たしたりする場合には所得税が発生することがあります。
相続人に所得税が発生するケース
(1)収益を生む財産を相続した場合
相続財産の中には、定期的に収益を生み出すものがあります。これらの財産を取得すると、相続後に発生する所得に対して所得税がかかります。
- 賃貸不動産…相続した不動産が賃貸物件である場合、その不動産から得られる家賃収入は相続人の所得とみなされ、所得税の対象となります。家賃収入に対する課税は、相続人の他の所得と合算して総合課税の対象となります。
- 株式の配当金…相続した株式から配当金が発生する場合、配当所得として所得税が課されます。配当所得は原則として総合課税の対象ですが、一定の上場株式等に関しては申告分離課税を選択することも可能です。
(2)不動産を売却した場合
相続した財産を売却すると、その売却益に対して所得税が発生します。
相続した土地や建物、株式などを売却すると、取得費と売却価額の差額が譲渡所得となり、所得税・住民税が課されます。譲渡所得は「所得税+住民税」の税率で課税され、長期保有(取得後5年超)の場合は税率が軽減される特例もあります。
譲渡所得は以下の計算式で求められます。
(3)被相続人の所得に関する申告義務
被相続人が亡くなった年の所得については、相続人が「準確定申告」を行う必要があります。
被相続人が生前に得た給与所得や事業所得、不動産所得などに対して、死亡後4か月以内に相続人が申告を行います。所得税が発生する場合、相続人が納税義務を負います。
- ○準確定申告が必要な所得の例
- 事業を営んでいた場合の事業所得
- 不動産賃貸収入
- 株式の売却益や配当所得
- 年金収入
(4)退職金や未支給給与の課税
- 死亡退職金
- 未支給給与の扱い
被相続人が生前に勤務していた会社から死亡退職金を受け取る場合、これは「みなし相続財産」として相続税の対象となります。ただし、非課税枠(500万円×法定相続人の数)があり、これを超えた部分については相続税が課されます。死亡後3年を経過してから支給が確定した死亡退職金については、相続税の課税価格計算の基礎には算入されず、受取人の一時所得として所得税の課税対象になります。
死亡前に支給期が到来していた給与が死亡後に支給された場合、これは「給与所得」として被相続人の所得税の対象となります。死亡後3年を経過してから支給が確定した給与については、相続税の課税価格計算の基礎には算入されず、受取人の一時所得として所得税の課税対象となります。
(5)相続財産の運用による所得税
- 相続財産を活用した事業収益
- 仮想通貨や金融資産の運用
相続した現金や不動産を元手に事業を行った場合、その収益は当然ながら所得税の対象となります。例えば、相続した資産を元に投資を行い、運用益が発生した場合は、事業所得や投資所得として課税されます。
相続した仮想通貨や外国為替資産を売却した場合、その売却益が雑所得または譲渡所得として課税されます。仮想通貨は特に価格変動が激しく、相続時の評価額と売却時の価格差が大きくなることが多いため、課税額にも注意が必要です。
まとめ
相続財産に対する税金は相続税だけでなく、相続人が所得税を負担するケースも少なくありません。
特に、「収益を生む財産(賃貸不動産、株式)の取得」「相続財産の売却」「準確定申告による被相続人の所得申告」「退職金や未支給給与」「相続財産の運用益」といったケースでは所得税が発生する可能性があります。
相続税と所得税の両面から適切な申告と納税を行うためには、早い段階で税理士などの専門家に相談することが重要です。
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税務署への相続税申告は、相続の発生を知った日の翌日から10ヶ月以内にしなければなりません。(納付についても同期限となっています。)
申告は相続人自身で期限内に実施します。
もし、申告を怠ったり、申告漏れや内容に誤りがあったりすれば、ペナルティとして延滞税や、無申告加算税、追徴課税を課されるため注意が必要です。
期限内に間に合わせる+正しい申告をしなければならないので、相続税の申告はハードルが高い作業です。煩雑で専門知識も必要なため、できれば専門の税理士に申告を任せたほうが安心です。
しかし、税理士に依頼すると『費用が高額なのでは?』『どう依頼すれば良いのか?』と不安に思う人もいるでしょう。
よって、本コラムでは、相続税の申告が必要な人に向けて、税理士報酬の相場や税理士選びのポイントを解説します。是非、参考にしてください。
税理士報酬の設定は自由
税理士の報酬は決まった額が設定されているわけではありません。
かつては報酬に関しての規定は法律で定められていましたが、税理士法の改正により金額は自由化され、現在では個々の税理士事務所によって異なっています。
また、基本の報酬額とは別に、特別料金として追加の報酬(加算報酬)を設定している事務所もあります。
報酬の相場
相続税の申告を税理士に依頼すると、「基本報酬」と「加算報酬」が発生します。これらを合計した一般的な依頼料金の相場は、遺産総額の0.5%から3%程度となっています。
基本報酬とは、依頼する際に必ず発生する費用のことで、遺産総額に対して費用が変動することが一般的です。遺産のトータル金額が多いほど申告に向けての業務量も増えるため、費用も高くなる傾向にあります。
一方で加算報酬とは、各状況に応じて生じる費用のことです。たとえば、遺産に不動産が多い場合や、相続人の数が多い場合、また申告期限が近いといった状況で加算されることがあります。
価格が上がる要素とは
税理士の報酬額が相場よりも高くなる場合があります。具体的には以下の例があります。
- 申告期限までの時間がない
- 相続人が多い
- 土地評価が複雑
(1)申告期限までの時間がない
相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月と定められています。
この10ヶ月を長いと感じる人もいるかもしれませんが、実際には必要書類を集めるのに時間がかかり、相続人確定や相続財産の計算等にも手間がかかるため、結果的に時間が足りなくなることが多いのです。
時間がない状態で税理士に依頼する際には「特急料金」が発生する可能性が高いです。
期限までの日数がどのくらいで料金が変わるのかは、各事務所によって異なるので確認しましょう。
(2)相続人が多い場合
相続人が多ければ、必要な書類の数が増え、申告書の作成や手続きが複雑になります。
そのため、相続人数に応じて細かい加算報酬を設定している税理士事務所も多いです。
(3)土地評価が複雑
相続税申告で特に難しいのが、土地の評価と言えます。
相続財産に土地が含まれる場合、その評価額を算出して総額に加える必要がありますが、土地の場所や形状によって、相続税評価は異なります。
例えば、土地がいびつな形をしていたり、間口の狭い旗竿地だったりすると、通常よりも評価額が低くなります。また、自宅として使っている土地よりも、賃貸用マンションなどの貸付地の方が評価額は下がります。
こうしたさまざまな条件を考慮する必要があるので、土地評価は非常に難しいのです。
税理士に依頼した場合でも、土地の形状が複雑だったり、相続した土地の数が多く評価に手間がかかったりする場合には、追加報酬が発生する可能性があります。
税理士選定のポイント
実際に税理士に依頼する場合、どこの事務所にお願いしても良いということにはなりません。相続税申告において適切な税理士を選ぶには以下のポイントに注意しましょう。
(1)相続を専門にしている
税理士の業務は多岐にわたりますが、相続税申告を依頼する場合は、必ず相続を専門にしている税理士を選びましょう。
相続専門の税理士を選ぶことで、次の2つのメリットが得られます。
- 節税の可能性が高まる:専門性の高い税理士は、相続税に関する特例や節税方法に詳しいため、相続財産を効率的に管理し、税額を抑える提案が期待できます。
- 迅速な対応が可能:相続税に特化した税理士は、年間に多くの案件を手掛けており、業務の流れを熟知しているため、申告手続きをスムーズに進められるでしょう。
(2)報酬額を明確にしている
報酬を料金表で公開せず、個別見積もりを基本とする税理士事務所は避けた方が良いでしょう。
そのような事務所は、作業量を十分に把握できていない可能性があり、後から追加報酬や手数料が請求されるリスクがあります。
安心して依頼するためにも、ホームページに報酬を明示している事務所や、料金シミュレーションで事前見積もりができる事務所を選びましょう。
(3)実績が豊富である
税理士事務所の実績はとても重要な判断材料です。目安としては、実務経験が5年以上、年間10件以上の相続税申告案件を手掛けている事務所であること。
実績が少ない事務所では、手続きがスムーズに進まず、ミスが発生する可能性もあります。
なんでもそうですが、経験があるとないとでは、大きく違うのです。
(4)評価額の算定ができる
不動産の評価額は、相続財産の中で最も高額になることが多いため、その算定が相続税額に大きく影響します。
「相続税路線価」を基に評価額を算定するだけでなく、土地の現地調査などを行い、節税のためのポイントを見つけられる税理士を選びましょう。不動産に詳しい税理士に依頼することで、適切な評価額算定や節税対策を期待できます。
まとめ
相続税の申告期限は、「申告者が相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」と決められています。「10ヶ月もあるし、余裕があるな」と多くの方が思うでしょうが、実際には申告期限ギリギリになってしまうケースがほとんどです。中には、ご自身での申告が間に合わないケースもあります。
相続税の申告は単純なものではありません。税額の計算にしても、相続財産の把握・法定相続人の確定・遺産分割の決定等々、様々なプロセスが必要になります。
ご自身で全部を処理するとなると大変な負担になりますが、専門家に任せると安心です。
弊所であれば、相続税申告も含めた相続に関する手続きをサポートすることができます。何をすればよいか分からない、忙しくて時間が取れないといった方にお勧めです。無料で相談できるので是非一度問い合わせてください。
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厚木市で 相続手続 支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
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死亡保険金が遺留分に含まれるかどうかは、多くの人が気になる問題でしょう。最初に答えを言いますが、原則として生命保険金は遺留分の対象には含まれません。しかしながら、例外的に含まれるケースが存在します。
そのため、被相続人が契約者および被保険者として保険契約に加入していた場合、その保険金が遺留分に影響を与えるかどうかきちんと理解しておかなければなりません。
今回は、死亡保険金が遺留分に影響する可能性のある具体的なケースについて詳しく解説していきます。
死亡保険金は受取人固有の財産である
まず、前提となる考えですが、死亡保険金は、基本的には「受取人の固有財産」として扱われます。このため、受取人である相続人が相続放棄をしていても、保険金を受け取れます。
これは、死亡保険金が被相続人の財産ではなく、保険契約に基づいて保険会社が指定された受取人に支払うものであるからです。
法律上、相続財産とは「亡くなった人が生前に所有していた財産や権利、義務」に該当します。しかし、死亡保険金は被相続人が所有していた財産とはみなされません。つまり、「死亡保険金は民法上では相続財産ではなく、受取人固有の権利によって取得するもの」とされています。
ただし、税法上では死亡保険金は「みなし相続財産」に該当し、相続税の課税対象となります。
遺留分の基本的な考え方
遺留分とは、法定相続人が最低限確保することができる遺産の割合を指します。この権利は、被相続人が遺言などで財産を特定の相続人や第三者に多く配分した場合でも、他の法定相続人は最低限の取り分を請求できるように保障する制度です。
遺留分は自動的に確保されるわけではありません。遺留分権利者自身が「遺留分侵害額請求」という手続きをする必要があります。この請求には以下の時効が設定されています。
- 相続開始および侵害を知った時から1年
- 相続開始から10年
上記のどちらか早い方が経過すると、請求権は消滅します。遺留分の権利を行使する場合は、できるだけ迅速に手続きを進めることが求められます。
死亡保険金は原則として遺留分の対象外だが…
冒頭でもすでに述べたように死亡保険金は、原則として遺留分の対象になりません。
これは保険金が、保険会社から保険金受取人に対して支払われるものであり、被相続人の財産ではなく、保険金受取人固有の財産として扱われるためです。
しかし、特定の条件下では遺留分の対象に含まれる場合があります。この点については、平成16年10月に下された最高裁判決が参考になります。
この判決では以下のように述べられています:
被相続人を保険契約者および被保険者とし、共同相続人の一部を保険金受取人とする保険契約に基づく死亡保険金は、原則として民法903条に規定する遺贈または贈与には該当しない。しかし、保険金額が遺産全体に対して著しく大きい場合や、受取人と他の相続人との間で極端な不公平が生じる場合には、特別受益に準じて扱われる可能性がある。
この判例から言えることは、死亡保険金が遺産全体の中で非常に大きな割合を占めており、相続人の中で著しい不公平が生じると判断される場合には、遺留分の計算対象となる可能性があるのです。
例えば、被相続人が長男と二男の2人を相続人として残したケースを考えてみます。この場合、被相続人の相続財産が100万円であり、二男が受取人として指定されている保険金が1億円だったとします。
このようなケースでは、保険金の額が遺産全体と比較して極端に大きいため、不公平が生じる可能性が高いでしょう。そのため、生命保険金が遺留分の計算対象として扱われる可能性が出てきます。
ただし、受取人が生前に被相続人の介護を全面的に担っていたなどの特別な事情がある場合には、不公平が認められず、遺留分の対象とならない可能性もあります。
まとめ
死亡保険金は原則として遺留分には含まれませんが、相続財産全体に対して過度に偏った配分が行われた場合には、例外的に遺留分の対象となることがあります。
そのため、保険金が遺留分に含まれるかどうかは、個々の事案に応じた総合的な判断が求められます。
死亡保険金には相続税の非課税枠もあるので、被相続人の立場からすると残される家族のためにも活用したいところですが、分割のバランスを大きく崩すような分配はやめておくべきです。
なお、死亡保険金に「どういった税金がかかるか」「非課税枠は使えるのか」といった判断は、専門的で難しいものです。活用したい場合は、税理士に相談したほうが良いでしょう。
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相続では遺産に不動産が含まれている場合がありますが、その不動産に「抵当権」がついているケースもあります。
抵当権が設定されていると、借金の返済が滞ったり返済不能となったりした場合に、担保となっているものが差し押さえられ、強制売却されることになります。(売却金は借金の返済に充てられます。)
抵当権と相続
抵当権とは、不動産などの財産に対し、お金を貸す債権者側が設定する担保権のことです。債務者が返済できなくなる事態に備えて、別でお金を回収するためのものです。
例えば、土地に抵当権が設定された場合、債務者からの返済ができなくなった際には、抵当権に基づいて該当の土地は競売に出され、その売却代金から優先的に弁済されることになります。
よって、相続不動産に抵当権付きの土地や建物が含まれている場合、その不動産によって担保されている相続債務があるはずです。
抵当権によって担保されている債務については、登記簿謄本から確認できます。
なお、被相続人の債務も相続されます。ただし、抵当権によって担保される債務が、被相続人以外の第三者の債務であった場合は、相続されません。(しかし、第三者が弁済しないうちは不動産に設定された抵当権はそのまま存続します)。
抵当権付きの不動産も相続できる
抵当権付の不動産であっても、通常の不動産と同じように取得できます。しかし、抵当権付きの不動産は相続後も抵当権がそのまま残ります。
繰り返しますが、借金もマイナスの財産として相続対象です。被相続人の借金も相続人に引き継がれ、抵当権によって担保される債務が返済されないうちは、抵当権はそのまま存続します。
抵当権は不動産の相続税評価に影響しない
抵当権付不動産も相続税の対象です。抵当権はその有無について、不動産評価額に影響しません。
土地であれば、通常通り、路線価方式か倍率方式によって評価します。(路線価が設定されていない土地の場合、倍率評価を採用します。)
路線価も倍率も、国税庁が決める値であり、毎年1月1日に価格が更新され、8月頃にHP内で公表されています。
相続税評価額は固定資産税評価額を基に、建物の「利用状況」によって設定された利率をかけます。個人利用であれば、評価額は固定資産税評価額と同額になりますが、第三者に貸していた場合は、借家権割合によって評価額が下がります。
抵当権を抹消するには
(1)債務の返済
抵当権をなくすには、債務を完済しなければなりません。相続人が被相続人の債務を引き継いだ場合は、相続人が債務を返済します。
第三者の債務を被相続人の不動産で担保していた場合は、第三者の債務完済を待つか、不動産を継いだ相続人が借金を肩代わりし、不動産の抵当権を外して、返済額を第三者に求償する方法もあります。(求償しなければ、第三者への贈与になります。)
(2)抵当権の登記抹消
注意したいのが、債務が完済されても自然に抵当権の登記は消えないということです。
法務局で、抵当権者である金融機関と不動産を相続した相続人とが共同で抵当権の抹消登記を申請する必要があります。
負債があまりにも大きい場合は相続放棄の検討も
相続が発生した際には、まずは故人の資産と負債がいくらあるのか把握しましょう。
というのも、負債が資産を大きく上回っている場合、そのまま相続してしまうと後の生活に多大な負担がかかる懸念があるからです。負債が大きい場合は、相続放棄を検討した方が良いでしょう。
相続放棄する場合、その旨を家庭裁判所に申し出る必要があります。相続放棄できる期間は、通常、被相続人が亡くなってから3ヶ月(熟慮期間内)と非常に短く限定されています。この期限を過ぎないように気をつけてください。
他にも、相続財産を自己のために処理してしまうと、相続放棄ができなくなるので注意しましょう。
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「自分には子供がいないから」「相続人は配偶者だけだから」といった理由で、遺言書を用意しない方がいます。
しかし、結論から言えば、遺言書を作成しておいた方が良いのです。相続ではご自身が予想されるよりも多くのことが起こり得ます。遺言書があれば、あなたの死後に残される家族が不要なトラブルに巻き込まれるリスクを大幅に減らせます。
そのため遺言書を書くことを強く推奨いたします。
身内が少なくても遺言書は書いておいた方が良い
遺言書がない場合、相続財産の分割方法は法定相続人たちの話し合いに委ねられます。このとき、法定相続人は被相続人の配偶者に加えて、子供、両親、兄弟姉妹の順で決まります。具体的には、以下のように法定相続人が定義されます。
子供がいない場合:配偶者と両親が相続人
子供も両親もいない場合:配偶者と兄弟姉妹が相続人
ここで注意が必要なのは、法定相続人は配偶者だけだからと決めつけてかかることです。相続では被相続人すら把握していない、意外なところから法定相続人が現れる可能性があります。
たとえば、被相続人に実は片親が異なる兄弟姉妹がいた場合。この場合、その兄弟姉妹も法定相続人になります。(片親が共通の兄弟姉妹の相続分は両親が共通の兄弟姉妹の半分となります。)
いずれにせよ、これまで知らなかった兄弟姉妹や親族が相続の場面で突然現れることも考えられます。こうしたケースでは、当初想定していた相続の計画が大きく崩れる可能性があります。
代襲相続にも気をつける必要がある
被相続人が亡くなる前に、法定相続人となるはずだった人がすでに亡くなっている場合、その人の子供や孫などが代わりに相続人になる「代襲相続」という仕組みが適用されます。
たとえば、被相続人の兄弟姉妹が他界している場合、その兄弟姉妹の子供、つまり被相続人の甥や姪が相続権を引き継ぎます。この結果、遺族がこれまで会ったこともない親族から「自分の取り分を主張された」というケースが発生することもあります。
代襲相続が適用される場合、遺産分割協議を通じて財産の配分を決める必要があります。こうした話し合いがうまく進まないと、争いが長引く原因になります。
遺言書がもたらす安心
こうしたトラブルは、遺言書を作成しておけば回避できます。遺言書に「すべての財産を配偶者に渡す」と明記しておくだけで、無関係な親族が相続に介入するリスクを下げられるのです。
ただし、遺言書を作成する際に「遺留分」の存在に注意しましょう。遺留分とは、法定相続人が最低限相続できる権利のことで、遺言書の効力でも侵害できません。
遺留分は法定相続分に比べて少額ですが、相続人によって遺留分を持つかどうか異なります。たとえば、配偶者や子供には遺留分がありますが、被相続人の兄弟姉妹や甥姪には遺留分が認められていません。これは、兄弟姉妹や甥姪との親族関係が、直系の家族に比べて近しくはないためです。
この仕組みを利用すれば、関係性の薄い親族から財産を請求されることを効果的に防ぐことができます。たとえ遺留分を持つ相続人がいたとしても、その額は法定相続分よりも少なくなるため、遺言書を作成するメリットは非常に大きいといえます。
トラブルを防ぐための遺言書作成を
相続に関連するトラブルは、どの家庭でも起こりうるものです。「うちは大丈夫」と思っていても、予期せぬ事態に直面する可能性はゼロではありません。特に子供がいない夫婦の場合、遺言書がないことで配偶者が不利益を被るリスクが高まります。
そのため、遺言書を作成することは非常に重要です。自分の意思を明確に記し、残された家族に負担や争いを生じさせないよう配慮することも、遺族への配慮とも言えるでしょう。
なお、遺言書を作成する際には、公正証書遺言を利用するのがおすすめです。公証役場で作成された公正証書遺言は、内容の証明力が高く、紛失や改ざんのリスクがないからです。自筆証書遺言書でも、法務局が原本の管理をしてくれる自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、紛失や改ざんのリスクがなくせます。
まとめ
遺言書を残すことで、遺族間の不要なトラブルを防ぐことができます。たとえ身内が少ない場合でも、相続に関する予期せぬ問題を避けるためには、遺言書の作成が欠かせません。残された家族の安心と、あなたの意思が反映された相続を実現するために、早めに行動を起こしましょう。
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申告書に添付する書類、財産評価や相続税計算など、相続税の申告のことについて知りたい場合はどこに相談すれば良いでしょうか。
税務署では相続に関しての相談を無料で受け付けています。簡単な事項であれば、解決できる可能性があるので利用すると良いでしょう。
しかし、税務署では基本的な事項しか聞けません。節税方法など、個別のケースにおける相談には税理士が最適です。
税務署に相続税申告の相談をする方法
(1)電話による相談
税務署に電話で相談する場合、「国税局電話相談センター」にかけましょう。電話対応の専門職員が配置されているため、簡易事項については早急に回答を得られます。
電話のため、時間によっては回線が混み合い繋がらない可能性があります。しかし、予約不要で、匿名で相談ができるメリットがあります。
詳細は下記を参考にしてください。
国税庁HP:国税に関するご相談について
(2)税務署の窓口
税務署に行けば、職員と対面での相談が可能です。相続税の申告に関しての相談は資産課税部門が担当窓口になります。
なお、税務署職員も他の業務があるので、いきなり窓口に行かず、事前に電話予約をしておくとスムーズでしょう。(予約が不要の場合もあります。)
なお、相続税の申告は被相続人の住所地を管轄する税務署で行うので、相談窓口も同じ税務署を選ぶと良いでしょう。
被相続人の住所が遠い等の理由で、相談自体は自身の自宅に近い税務署を希望する場合、事前予約の段階で相談が可能か確認してください。内容によっては所轄税務署でなければ答えられない場合があります。
税務署に相談できる事項
国税局電話相談センターへの電話では、相続税に関する基本的なことを教えてくれます。申告義務要件や相続税の基礎控除額の計算、特例要件を確認したい場合は便利です。
税務署窓口での相談においても、相続税法におけることや、申告の方法、控除の条件を教えてもらえます。また、個別の事情を含んだ質問についても簡単なものであれば、相談にも乗ってもらえます。
税務署相談のメリットとデメリット
税務署に相談するメリットは、無料である点です。電話であっても、窓口であっても、無料で何回でも相談できます。不明な点があれば、いつでも聞ける気軽さが良い点でしょう。
しかし、税務署は、申告書の作成方法や税額計算などの簡易な部分しか教えてくれません。個々の事情の相談についても簡単なものしか受け付けてくれません。
また、節税などのアドバイスはしてくれません。教えるのは、質問された制度のみです。言い換えれば、聞かれていない控除制度は答えないのです。
職員は相談者に正しく納税をしてもらうように相談に乗っていて、節税が目的ではないからです。(むしろ、節税をさせないほうが税務署にとっては良いわけです。)
個別の事情は基本的には税理士に相談
税務署には基本的に無料で相談できますが、結局のところ「基本的事項」しか聞けません。
個別相談には、やはり税理士が適しています。税理士であれば、各相続のパターンに合わせて、相続税をシミュレートできるからです。
正確な税額も相談者に代わって計算できますし、状況に応じた適切な節税のアドバイスもしてくれます。
もちろん、税理士への依頼は報酬がかかりますが、相続税の節税方法等について相談したいと考えているのであれば、税理士事務所を強くお勧めいたします。
なお、税理士であれば申告書の作成も代行できますので、相続税の申告手続きに自信がない方は代行を依頼した方が良いでしょう。
なお、多くの税理士事務所は他の士業と提携していますので、他の相続手続きも併せて依頼することも可能です。
相続手続きに時間が取れない場合、相続税申告の他の手続きも全て任せてしまうのも良いでしょう。
まとめ
税務署への相談はいつでも無料です。電話であっても、窓口であっても、何回でも相談できるので、簡単なものであれば、税務署に質問しましょう。
節税など、個別の事情を含めて相談するのであれば、税理士がお勧めです。
ただし、税理士は相続専門で経験豊富な税理士を選びましょう。税理士によって得意としている分野が異なるからです。
実績のない税理士に依頼すると、適切な節税アドバイスが得られず、相続税が高くなってしまうというケースもあります。相続税申告を依頼する際には、十分注意しましょう。
初回相談を無料でしている場合があるので、検討材料にすると良いでしょう。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
行政書士、司法書士、弁護士、不動産鑑定士との強いネットワークを活かして、あなたの相続の悩みをサポートいたします。
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厚木市で 相続手続 支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続 の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
相続が始まると被相続人との関係性によって、法定相続人が決まります。配偶者は必ず法定相続人となり、他は被相続人の子供、親、兄弟姉妹の順で法定相続人となります。
最も多いのは、配偶者と子供が相続人となるパターンですが、稀に相続人同士の関係性が悪いケースがあります。父親と子供、あるいは兄弟・姉妹間などで仲が悪く、絶縁状態である場合もあります。
絶縁していても法定相続人の権利には影響がない
絶縁するほど関係性が悪かったとしても、法定相続人の権利には影響がありません。それぞれが法定相続人である限り、相続人として遺産の相続をする権利があります。
なお、親子間や兄弟姉妹同士で完全に縁を切ることはできません。現在の法律では家族間の縁を切るための制度がないからです。
法的に関係性が切れない以上、相続でも法定相続人としての権利は変わらないのです。互いに「〇〇とは一切関わらない」という念書を残していても、関係ありません。
自身が法定相続人となる相続では遺産分割協議に参加し、遺産分割を話し合うことになります。
相続権が無くなるケース
相続において、相続権が無くなるのは、「相続放棄」・「相続人廃除」・「相続欠格」の3パターンとなります。
相続放棄はその法定相続人が自身の判断で相続権を手放すことです。手続きをすれば、その相続人は最初からいなかったことになり、残った相続人で遺産を分け合うことになります。
父親の相続で母親と子供が相続人の場合、母親と子供の仲が悪く、どうしても遺産分割協議に参加したくないという場合は、相続放棄を選択することもできます。ただし、相続放棄をすると一切の遺産を取得できませんので、代理人を立てて分割協議を完了させる方が妥当でしょう。
相続廃除とは、被相続人の意思で推定相続人を相続から外す制度です。廃除には、被相続人への虐待や重大な侮辱など、著しい非行があったことが条件になります。対象者が廃除に該当するかどうかの最終判断は、家庭裁判所が行います。
相続欠格とは相続に支障をきたす犯罪行為や不法行為等、一定事由に該当した相続人の資格を剥奪することです。事由に該当していれば、自動的に遺産分割協議に参加できない上、遺留分権もなくなります。遺言による遺贈でも財産の取得はできません。
相続人と被相続人が不仲だった場合、相続廃除は成立するか
相続廃除を利用できるのは被相続人のみです。手続きには、生前に廃除を成立させる方法と、遺言による廃除(遺言執行者が手続きを行う)の2つがあります。
廃除が成立する条件は前述したように、被相続人への虐待や重大な侮辱を加えるなど、著しい非行をした場合です。
廃除が妥当かどうかは家庭裁判所が判断しますが、単に親子の仲が悪いというだけでは、成立は難しいでしょう。
なお、該当の行為があった事実だけでは廃除が成立するかは不明です。あくまで廃除が妥当なレベルだと裁判所側が判断した場合に、廃除が成立します。
また、相続廃除は代襲相続権には影響しません。父親の相続で仮に長男が廃除されても、長男の息子である孫は代襲相続が可能です。
相続人同士の関係性が悪いと遺産分割が停滞する
相続人同士が絶縁状態の場合、遺産分割の話し合いは進まないでしょう。単純に意見がまとまらない場合もあれば、話し合うまでに時間を要する場合もあります。
遺産分割協議が完了しなければ、財産は「相続人全員の共有状態」です。相続不動産も被相続人の名義のままですから、処分できません。
一方を協議から外したいと思われますが、遺産分割協議は全員の合意が必要なため、特定の相続人の除外は不可です。(話し合いには不参加でも、最終的な合意は得なければなりません。)
なお、遺産分割協議が進まないと、相続税申告期限に間に合わないことになります。相続税の申告・納付期限は、相続開始を知ってから10ヶ月以内です。もし、期限を破れば、無申告加算税や延滞税などが追加で課税されます。
相続税の申告方法にも影響する
相続税の申告では、実務の手間を考えて、多くのケースで「相続人共同の申告書」で提出します。これは一つの申告書について相続人全員が連署して提出する方法です。
法律上では「個別」でも「連名」でも、どちらで申告書を提出しても問題ありません。ですが、連名で提出する方が楽に手続きが出来るので、相続ではこの方法が多く用いられます。
相続人同士の仲が悪い場合、別々で申告書を出すケースもありますが、個別申告にはデメリットがあります。
一つは税務調査に入られる可能性が高くなること。
各相続人が内容の異なる申告書で税務署に申告すれば、当然ながら税務署は精査のために税務調査をする可能性が高くなります。
税務調査が入り、申告漏れや納税額の間違いが発見されてしまうと、過少申告加算税や延滞税が課税されます。
二つ目は税理士への報酬が余計にかかること。もし、相続人それぞれが、税理士へ相続税申告を依頼していた場合、税理士報酬は多く発生します。
まとめ
たとえ相続人同士が絶縁状態であっても、遺産分割協議時には相続人全員が参加して合意を得なければなりません。
協議の他にも、相続税申告など多くの相続手続きに影響します。
関係性を改善するのは簡単ではないので、相続人同士の関係性が悪い場合、協議をしなくて良いように被相続人の方が前もって遺言書を残しておくこともトラブル軽減となります。
また、遺言書の他にも専門の士業を間に挟むのも良いでしょう。
相続税申告など、相続手続きを専門家に任せてしまえば、当人同士の関係性に左右されることなく、相続手続きを進めることができます。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
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厚木市で 相続手続 支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
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被相続人の相続財産の合計額が基礎控除を超えている場合、相続税が生じ、申告と納付をしなければなりません。金額は各相続人の財産取得分に応じて決定します。
この時、相続人の一人が相続税を納付しない場合、他の相続人が払う可能性が出てきます。というのも、相続税には「連帯納付義務」の取り決めがあるからです。
相続財産が基礎控除額を超えると相続税が生じる
全ての相続において相続税が発生するわけではありません。実際に相続税が生じる割合は、12件のうち1件程度です。
相続税が生じない理由に基礎控除の存在があります。基礎控除は、税制改正によって過去よりも控除額は下げられましたが、改正後も「3000万円+法定相続人の数×600万円」の控除額が認められています。
法定相続人が一人でも、控除額は3600万円になります。この基礎控除額が非常に大きく、一般にはその金額を超えない相続が多いのです。
なお、相続財産が基礎控除額を超えても、相続税を0円にできます。相続税には基礎控除の他にも、適用要件を満たせば利用できる「特例の控除制度」があるからです。ただし、これらの特例には相続税の申告が必須条件となっているので、納付はなくとも申告だけはしなければなりません。
相続税の連帯納付義務について
相続税には「連帯納付義務」というものがあります。これはそのままの意味で、他の相続人が納付しない税金について、代わりに負担しなければならないというものです。つまり、他の人の相続税について連帯で責任を負わされます。
相続税は原則として、その方自身が受け取った財産に応じて、相続税を負担します。しかし、税務署にとっては納付義務の範囲が限定されると、税金の回収に支障が出る場合があります。そこで、税金の回収を確実にするために、連帯納付義務の規定が設けられました。
相続税法34条でも以下のように定められています。
例えば、相続で父親が亡くなったケースを考えてみましょう。この場合、法定相続人が母親と長男、次男の3人であり、次男だけが相続税を納付しなかったとすると、母親と長男に「相続税を払うように」と税務署から通知が来ます。
母親と長男は自分が取得した財産の割合に応じて、次男が本来支払うはずである相続税を代わりに納付します。
ただし、督促状が「滞納している本人以外」にやって来るには段階があります。相続税の納付期限は相続開始日から10ヶ月以内です。もし、この期限内に納付がなければ、税務署はまず滞納している本人に督促状を送りつけます。
それでも納税がされなかった場合、本人に財産調査が実施され、財産の差し押えや競売といった滞納処分が行われるのです。
この段階で、滞納者が相続財産を使い切るなどして、支払い能力がないことが分かると、ほかの相続人に納税の通知書が送られるのです。
連帯納付義務は、「相続人本人が納税した」「相続人本人が納税猶予や延納の手続きをした」「納期限から5年が経過し、時効となった」の3つのケースを除いて、必ず適用されます。
つまり、法定相続人が一人でない場合は、連帯納付義務から免れられません。
相続税を立て替えた場合の注意点
連帯納付義務によって、ほかの相続人の税金を代わりに負担した場合、そのお金は本来の納税義務者が払うものだったわけですから、最終的に返してもらわなくてはなりません。
何もしないでいると、立て替えた分のお金は贈与されたものとみなされます。そうなれば、新たな納税義務が生じることになります。(贈与税はもらった側が負担します。)
相続税を滞納するとどうなる?
相続税は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に申告と納付を行いますが、納付は現金にて一括で納めなければなりません。もし、期限内に納めない場合には、滞納の日数に応じて「延滞税」が課されます。
税率は下記の2段階となっています。滞納が長ければ、税率も上がっていきます。
- 納付期限の翌日から2ヶ月間:2.4%
納付期限の翌日から2ヶ月を経過した日以降:8.7%
※上記は令和6年1月1日~令和6年12月31日中に適用される数値です。特例基準割合(銀行の新規の短期貸出金利の平均値をもとにした割合)によっては変動する可能性があります。
相続放棄すれば連帯納付の義務もなくなる
相続放棄とは、自己の相続権を手放すことです。遺産を一切引き継がないので、相続税の支払いもしなくて良くなります。
また、相続放棄をした人に対しては、相続税の連帯納付義務は課されません。
なお、相続放棄は熟慮期間内に手続きをしなければ成立しません。熟慮期間は「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」です。一度成立すると、基本的に取り消しができないので、手続きには十分な検討が必要です。
まとめ
他の相続人の相続税を負担するという意味で、連帯納付義務は少し理不尽とも言えるものです。
連帯納付義務を回避するには、遺産分割の段階で、各々の相続人に納税額分の資力があることを確認します。
もし、納税額相当の金銭を用意できない相続人がいるのであれば、遺産分割における財産の配分を調整する方が良いでしょう。また、相続人全員が期限までに納税を済ませることなど、協議の中でいくつかの取り決めをしておきましょう。
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厚木市で 相続手続 支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続 の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
自身が残した財産をどのように分配するのか、誰に渡すのか、故人の意思を相続に反映するために、遺言書が作成される場合があります。
代表的な遺言書の種類としては自筆証書遺言がありますが、これは紙とペンさえあれば作成が可能で、手軽さのあるものです。しかし、形式要件を満たさないと無効になるリスクが伴います。
実際に形式不備で無効になる遺言書は多いのです。また、内容があやふやで財産の特定ができない等の問題が起こるケースもあります。
相続で内容がきちんと執行される遺言書を作成するには、専門税理士のサポートが大きな助けになります。依頼報酬はかかってしまいますが、メリットもたくさんあるのです。
遺言書を残す意味
(1)相続人同士で争うことがなくなる
遺言書がなければ、法定相続人同士で相続財産の配分内容を話し合います。
法定相続人は被相続人の配偶者の他に、子供、両親、兄弟姉妹の順番で資格が与えられます。(子供がいない場合は両親が法定相続人に。子供も両親もいない場合は、兄弟姉妹が法定相続人になります。)
この法定相続人全員の意見を一致させることは簡単ではありません。遺産内容や相続人の関係によって、何年も協議が進まない可能性もあります。
その点、遺言書を残しておけば協議不要なので、遺産を巡って争うこともなくなります。遺産分割協議がなくなれば、相続手続きの負担も軽くなります。
(2)指定した相続人に確実に遺産を残すことができる
遺言書では指定した人物に財産を確実に渡すことができます。
子供のいない夫婦で遺言書を残さないケースもありますが、法定相続人は意外な所から現れるので、注意が必要です。被相続人すらも存在を知らなかった、兄弟姉妹が相続開始後に出てくる場合もあるのです。
もし、予想しない法定相続人が出てくると当初予想していたものとは違う財産分割となってしまいます。遺言書で「財産は妻に渡す」と書いておけば、相続財産は遺留分を除いて、当初通り配偶者へと渡ります。(なお、故人の兄弟姉妹には遺留分はありません。)
また、遺言書で指定すれば、本来相続人でない内縁のパートナーや子供の配偶者や孫などにも財産を渡すことができます。
遺言書の作成を税理士に相談した方が良い理由
遺言書の作成を税理士に相談することで得られるメリットは三つあります。
(1)確実な遺言書を作成できる
専門の税理士へサポートを依頼することで、無効になるリスクを無くすことができます。前述したようにご自身で作成すると、間違いが多くなり、それによって形式不備となる可能性が出てきます。ですが、専門家に内容と形式をチェックしてもらえば、誤りも無くなります。
また、「どんなことを書けばいいのかわからない」という人でも、状況に応じた文例を作ってくれます。
なお、税理士のすべてが相続専門とは限りません。専門外の税理士が遺言相談を受けても、他の士業に丸投げしてしまうケースも少なくありません。よって、税理士に遺言作成を依頼する場合は、相続担当件数が多い税理士を選びましょう。
(2)相続税額の対策を相談できる
税理士は税金のプロなので、相続税対策の方法も多く知っています。納税額はできる限り抑えたいという方が多いと思いますが、相続専門の税理士に依頼することで、相続で生じる税額を安くすることができます。
遺言書作成とセットで相談することで、節税を見据えた遺言作成をサポートしてもらえます。
(3)相続税申告も依頼できる
遺言者が亡くなった後の相続での話になりますが、税理士は相続税の申告の代行もできます。
遺言作成から相続税申告まで、スムーズにできる点が大きなメリットです。税理士が関与した相続税申告は、相続人本人が申告したケースに比べ、税務調査の可能性が下がる点も大きいです。(税理士が関与することで申告の誤りがなくなるからです。)
なお、税理士に遺言内容の執行も依頼すれば、その他の相続手続きも代行してもらえるので、相続人の方々の負担も軽くなるでしょう。
相続税の申告は税理士の独占業務なので、もし他の士業に執行を任せると、相続税申告をあらためて税理士に依頼しなければならないため、二度手間になります。
遺言執行者を税理士に任せることもできる
遺言執行者とは遺言内容を実現するために必要な手続きをする方です。執行者は未成年や破産者でなければ良く、相続人と同じでも問題ありませんし、第三者を指名しても良いです。
国家資格士業である税理士や行政書士を指名しても構いません。
専門家を指名するメリットとして、執行者の手続き業務をスムーズにこなせる点があります。執行者業務は相続人への進捗報告や、相続財産目録作成等、多岐に渡るので、慣れている専門家を選ぶ方が良いでしょう。
まとめ
遺言書の作成は今ではインターネットで手軽に調べられますが、本当に書き方が合っているのかと不安になられる方も多いと思います。
そんな場合は、相続専門の税理士に作成を手伝ってもらいましょう。税理士に相談すると多くのメリットがあり、相続に有利に働きます。
遺言書作成を考えている方は、ぜひ近くの税理士事務所にご相談ください。初回相談は無料のケースもあるので、有効活用しましょう。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
行政書士、司法書士、弁護士、不動産鑑定士との強いネットワークを活かして、あなたの相続の悩みをサポートいたします。
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