厚木市で 相続 の手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。

相続 の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。

 


 

「相続税」と聞くと、「うちは資産家じゃないから関係ない」と思う方も多いかもしれません。確かに国税庁のデータによれば日本国内で相続税が課税されるのはおよそ10件に1件です。

★参考:国税庁「報道発表資料 令和5年分 相続税の申告実績の概要」

 
しかし、裏を返せば10%の確率で相続税がかかるのです。相続税がかかるかどうかは計算してみなければ分かりませんが、相続税計算は、いざやってみると戸惑うポイントが多いのです。

ご自身がどれくらいの相続税を支払う可能性があるのか、あらかじめ知っておくことは、円満な相続と安心に繋がります。

最近では相続税を簡単に試算するサイトも多くありますが、計算の仕組みと流れを把握しておかないと、細かい計算はできません。

このコラムでは、相続税額の計算方法について、5つのステップに分けて具体例を交えながら、できるだけ分かりやすく解説していきます。

 

ステップ1:誰が相続人で、財産はいくらあるのかを把握する

相続税計算の第一歩は、「誰が相続人なのか(法定相続人の確定)」と「相続財産の総額はいくらか」を正確に把握することから始まります。
 

(1)法定相続人の確定

 
民法では故人(被相続人)の財産を相続できる方について、「範囲と順位」が定められています。

前提:被相続人の配偶者は常に法定相続人となる。他の家族は以下の順位で相続人となる。
第1順位:子(子が既に亡くなっている場合は孫)
第2順位:父母(父母が既に亡くなっている場合は祖父母)
第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は甥・姪)

 
順位の高い人が一人でもいる場合、下の順位の人は相続人になれません。例えば、子がいる場合は、父母は相続人になれません。

なお、第1順位の子供に子供がいる(被相続人にとって孫)場合、もし子供が相続開始前にすでに亡くなっていたり、相続権を失っていると、その子供が代わりに法定相続人となります。これを代襲相続といいます。

 

(2)相続財産の確定と評価

 
被相続人が遺した財産を調査し、全てリストアップします。全ての財産は、個別に相続税評価額を算出します。

相続税対象の財産には、預貯金、不動産、有価証券(株式・投資信託など)、自動車等がありますが、これらのプラスの財産だけでなく、借入金や未払金などのマイナスの財産もリストアップしておかなければなりません

マイナスの財産は相続財産の総額から差し引くことができますし、相続放棄を検討する上でも重要になります。

 

ステップ2:課税対象となる遺産の総額(課税遺産総額)を計算する

全ての財産評価額が分かったら、次に課税対象となる金額を計算します。

まず、プラスの財産の合計額から、非課税となる財産(墓地や仏壇など)、先ほどのマイナスの財産(債務など)、葬式費用を差し引きます。これで「課税価格」が算出されます。

課税価格=相続財産の総額-(非課税財産+債務+葬式費用)

 
次に、この課税価格の合計額から「基礎控除額」を差し引きます。この基礎控除額を引いた後の金額が、最終的に相続税の計算の基となる「課税遺産総額」です。

課税遺産総額=課税価格-基礎控除

 
基礎控除額の計算式は非常に重要なので、ぜひ覚えておきましょう。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

 
もし、課税価格の合計額が基礎控除額よりも少ない場合、相続税はかからず、原則として申告も不要です

 

ステップ3:相続税の総額を計算する

課税遺産総額が算出できたら、いよいよ相続税額の計算です。ここで注意したいのは、「課税遺産総額に直接税率をかけるわけではない」という点です。

まず、課税遺産総額を、法律で定められた相続割合(法定相続分)で各相続人が取得したと仮定して分けます。

次に法定相続分で分けた各人の金額に、下の速算表に応じた税率を掛けて、控除額を差し引き、各相続人ごとの「仮の相続税額」を計算します。

相続税課税率早見表

最後に、全員の「仮の相続税額」を合計します。これが「相続税の総額」となります。

 

ステップ4:各人が実際に納める税額を計算する

ステップ3で計算した「相続税の総額」を、今度は実際に財産を取得した割合に応じて、各相続人に割り振ります。これにより、各人が実際に納めるべき相続税額が算出されます。

各人の納付税額 = 相続税の総額 ×(各人が実際に取得した財産の価額 ÷ 課税価格の合計額)

 
例えば、相続税の総額が1,000万円で、配偶者が60%、長男が40%の割合で財産を相続した場合、それぞれの納付税額は配偶者が600万円、長男が400万円となります。

 

ステップ5:税額控除を適用して最終的な納税額を決める

最後に、各人の納付税額から、適用できる税額控除を差し引きます。代表的な税額控除には以下のようなものがあります。

これらの控除を適用した後の金額が、最終的に税務署に納める相続税額となります。

 

計算シミュレーション

ここで、簡単なモデルケースで一連の流れを確認してみましょう。

①課税遺産総額の計算
基礎控除額:3,000万円+(600万円×3人)=4,800万円
課税遺産総額:1億円-4,800万円=5,200万円
相続税の総額の計算
法定相続分:母 1/2(2,600万円)、長男 1/4(1,300万円)、長女 1/4(1,300万円)

②仮の税額計算
母:2,600万円×15%-50万円=340万円
長男:1,300万円×15%-50万円=145万円
長女:1,300万円×15%-50万円=145万円
相続税の総額:340万円+145万円+145万円=630万円

③各人の納付税額の計算
実際の取得割合も法定相続分と同じなので、相続税の総額を按分します。
母:630万円×1/2=315万円
長男:630万円×1/4=157.5万円
長女:630万円×1/4=157.5万円

④税額控除の適用
母は配偶者の税額軽減を適用できるため、納税額は 0円 となります。
長男と長女はそれぞれ157.5万円を納税します。

 

まとめ

相続税の計算は、一見複雑に見えますが、以下の5つのステップで全体の流れを掴むことができます。

大きなポイントとして相続財産の課税価格が基礎控除額以下なら相続税はかかりません。基礎控除を超えたとしても、特例制度を適用して相続税をなくすこともできます。

ただし、特例を適用するためには申告が必要になるので注意です。

もし、相続税の計算や申告で不安な点があれば、専門家である税理士にご相談ください。税理士であれば皆様の状況に合わせて最適な節税アドバイスも可能です。弊所でも初回相談無料なので、どうぞお気軽にお問い合わせください。


 

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相続は、どのご家庭でも必ず起きる出来事です。大切な人を失った悲しみの中で、手続きを進めなければならないのは遺族にとっても負担となりますが、そもそも相続では、遺産分割協議や相続税申告、不動産等の名義変更など、やるべきことが数多くあります。

そのため精神的な部分だけでなく、様々な部分でも負担がかかります。

ただし、相続の前に準備をしておくことで、それらの負担を軽くできます

 

遺産分割の準備

まず大切なのは「遺産分割で相続人同士が揉めないようにしておくこと」です。

遺産分割での争いが発生すると遺族の関係に深い溝を残すことになります。さらに長期化してしまうと精神的な負担も益々大きくなります。

そのため、事前の工夫が欠かせません。
 

(1)遺言書を作成しておく

 
遺産分割において最も良い対策は、生前に「遺言書」を残しておくことです。

遺言書があることで、誰にどの財産を取得させるかが明確になるため、相続人同士での話し合いが不要、あっても最小限で済みます。従って、相続人同士で言い争うことはなくなります。

特に、不動産のように分けにくい財産がある場合には、遺言書によって方向性を示しておくことが重要です。

ただし、遺言には「不公平が生じない」遺産分割内容を記しましょう。特定の相続人を極端に優遇する内容だと、争いの火種になってしまいます。

 

(2)財産を整理しておく

 
生前に財産を整理しておき、リスト化して相続人が把握できるようにしておくことも役立ちます。預金口座、不動産、株式、保険、借入金など、すべてを一覧にしておけば、遺族が探し回る手間を省けるでしょう

 

(3)分けやすい財産にしておく

 
遺産では特に不動産が分割しづらいものです。相続人同士で公平に分けるのが難しいので、可能であれば一部を現金化したりしておくと、相続人の負担を減らせます

 

相続税対策

相続税は遺産総額によっては相続人にとって大きな負担となる可能性があります。

そのため、生前に相続税の節税対策をしておくと良いでしょう
 

(1)生前贈与の活用

 
相続税対策で代表的な方法が生前贈与です。年間110万円までの贈与であれば贈与税がかからない(暦年贈与)ため、長期間にわたって少しずつ財産を移転すれば、相続での課税対象が減るので、相続人の負担を抑えられます

また、住宅取得等資金の贈与に関する非課税制度等、特例要件を満たすことで大きな金額を非課税にする制度もあるので、活用を検討しましょう。

 

(2)墓地・仏具の生前購入

 
墓地・仏具などを生前に購入しておけば、相続税を節税することができます

被相続人所有の財産は相続税の課税対象になりますが、墓地・仏具といった祭祀に関わるものは非課税であり相続税は課されません。

お墓を建てることを予定している場合などは生前に購入した方が、その代金分の相続税を節税できることになります。

 

(3)生命保険の非課税枠を利用する

 
生命保険には「500万円×法定相続人の数」まで非課税となる特例があります。これを利用すれば、相続税の負担を軽減できます。

また、遺族がすぐに使える現金を確保する手段にもなります。

納税資金や生活費の確保に役立つため、実務的にも大変有効な方法です。

 

手続き負担の軽減

相続では、数多くの事務手続きも大きな負担になります。口座の解約、名義変更、役所への届出など、やるべきことは多岐にわたります。これらをスムーズに進めるための準備も欠かせません。
 

(1)財産目録の用意

 
既に遺産分割の項目でも述べましたが、財産の所在や契約関係を一覧化したリストを残しておくと、遺族が手続きを進めやすくなります

特に、ネット銀行やネット証券などオンラインサービスを利用している場合は、IDやパスワードの管理方法を含めて記録しておくと安心です。

 

(2)専門家に依頼する

 
相続税申告や不動産の名義変更などは専門知識が必要です。相続専門の税理士等に依頼することで、相続人自身の負担を軽くでき、ミスやトラブルを防ぐことにもつながります

専門家に支払う報酬は発生しますが、それ以上の安心を得られるケースが多いでしょう。

 

まとめ

 
相続で遺族の負担を減らすためには、今回述べた項目を意識することが大切です。

相続は「亡くなった後のことだから関係ない」と考えがちですが、準備をしておけば遺族が大きな負担を抱えることもありません。

大切な家族のために、早めに準備を始めておくことこそ、最良の思いやりといえるでしょう。


 

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相続が起きた時、遺言書の中に「遺産を一定期間分割してはならない」という文章が書かれている場合があります。これは「遺産分割禁止の指定」と呼ばれるもので、遺言の効力として法律的に認められている仕組みです。

ただ、相続人の立場からすれば、「遺産を分けられないとなると、相続財産の管理はどうなるのだろう?」と不安に思う方もいるでしょう。

本コラムでは、この遺産分割禁止の制度について、根拠となる法律や具体的なケース、相続人がとるべき対応について詳しく解説します。

 

遺産分割の禁止とは

民法では、被相続人は遺言により、最長で5年間は遺産を分割しないように指定することができると定められています。

遺産分割禁止が有効とされるケースはいくつかあります。

例えば、相続人に未成年者が含まれる場合です。未成年の子が相続人となると、法定代理人や特別代理人を通じて分割協議を進めなければなりません。

被相続人が「子どもが成人してから自分の意思で話し合ってほしい」と考える場合、この制度が役立ちます。

また、相続人同士の感情的対立を回避したい場合にも遺産分割の禁止は有効です。

遺産分割はお金の問題ですから、親族間での争いになることも少なくありません。禁止期間を設けることで、落ち着いて冷静に話し合える環境を整える狙いがあります。

また、思いがけない相続人が現れる場合、例えば認知されていなかった子どもが後から相続人として加わるケースなどでは、いったん分割を禁止することで、冷却期間を置いてからの協議となりますから、これも有効と言えます。

 

遺産分割を禁止する方法

遺産分割禁止を有効にする方法はいくつかあります。
 

(1)遺言書に記載する方法

 
被相続人が遺言の中で「遺産の分割を〇年間禁止する」と明記すれば有効になります。分割対象は遺産全体でも一部でも構いません。

また、遺言指定でなくても、相続人全員の合意があれば遺産分割禁止は可能です。この場合、遺産は相続人全員の共有状態で保有することになります。

 

(2)家庭裁判所の審判による方法

 
特殊な事情があるときは、相続人が家庭裁判所に申立てを行い、審判を受けて分割禁止を認めてもらうことができます

特別な事情とは、相続欠格や死後認知の裁判等で相続人の資格に争いがある場合や、相続財産の範囲について争いがある場合です。

 

遺産分割禁止と相続税の関係

遺産を分けられないからといって、相続税の申告と納付の期間が延びるわけではありません。申告・納付期限は相続開始から10ヶ月以内と決まっています。
 

(1)分割できないと困る理由

 
相続税の制度には、分割協議の完了が前提のものもあります。代表的なのは以下です。

遺産が未分割の状態では、これらの特例を使うことができません。

また、期限内に申告と納付をしないと、加算税と延滞税といったペナルティが課されてしまいます。

 

(2)救済措置

 
まず、相続税の申告期限までに遺産分割が終わっていない場合、一旦は法定相続分で財産を相続したことにして、とりあえずの申告と納税をします。

そして、遺産分割が確定した後に、実際に分割した財産額に基づいて申告をやり直します。

また、特例についても救済策が用意されています。相続税の申告時に「申告期限後3年以内の分割見込書」を提出すれば、後に分割が済んだときに特例を適用できます。

 

相続人の対応

遺言書に遺産分割の禁止が指定されている場合、基本的に相続人はその指示に従う必要があります。

ただし、相続人全員の合意があれば遺産分割を実行することができます。もし、遺言に遺言執行者が指定されており、受遺者もいる場合は、その方々の同意も必要です。

 

遺産分割禁止のデメリットと注意点

遺産分割の禁止をすると、その期間は相続財産が共有のままになってしまうというデメリットがあります。

共有状態では不動産の売却・修繕・固定資産税の支払いなど、あらゆる場面で全員の合意が必要になり、面倒です。

また、すでに述べたように相続税の申告期限は変えられないので、一旦申告をした後、再度申告をやり直すなど、税務関連での手続きが煩雑になるデメリットもあります。

 

まとめ

遺言で遺産分割禁止が指定されている場合、相続人は法律上その期間を守らなければならず、勝手に遺産を分けることはできません。

遺産分割禁止の制度は、相続人に冷静な判断を促す効果もありますが、同時に財産管理や税務面で複雑さを増す側面もあります。

遺言の内容をどのように設定すべきか、相続が始まった際にどう対応すべきかについては、相続の専門家に相談して進めるのが安心でしょう。


 

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相続税納税後に申告内容を見直すと、実際よりも多く納めすぎていたことに気づく場合もあります。

相続財産の評価方法を間違えていた、特例適用の控除を見落としていた等々で、本来よりも多く納税してしまうことはよくあるのです。相続税の手続きは、人生の中で数えるほどしか機会がありませんから、間違えてしまうケースは本当に多いのです。

もし相続税を払いすぎていたなら、申告期限から5年以内であれば「更正の請求」という手続きを取ります。過払いの事実が税務署に認められれば、納めすぎた税金は返還されます。これを「相続税還付」といいます。

本コラムでは、相続税還付の事例や手続きの方法について紹介いたします。

 

相続税を払いすぎる主な事例

相続税を払いすぎるケースには、次のようなものがあります。
 

(1)不動産の評価が過大だった

 
土地の形状、使途などが考慮されずに土地が本来より高く評価されている場合があります。

正しい評価をし直すことで税額が下がることがあります。

実は土地は知識や経験がないと、適切な評価が難しい財産といえます。そのため、不動産に詳しい税理士などに評価を依頼しないと、評価額を大きく見積ってしまうことは多いのです。

 

(2)債務控除や葬式費用を計上し忘れた

 
被相続人の借入金や未払い税金など、債務を相続税計算から控除できるのに漏れてしまった場合、当然ながら相続税は本来よりも高くなります。

また、葬式費用も控除対象の費用(通夜や告別式の費用など)なので、正しく計上されていなければ、相続税は高くなります。

 

(3)未確認の借金が後から判明した場合

 
相続税は、被相続人の死亡時点の正味財産(=プラスの財産−債務等)に基づいて課税されます。

当初申告のときは存在を知らずに申告していた借金が、実際には被相続人が死亡した時点で負っていたものであると分かった場合は、その借金が正味財産に新たに含まれるわけなので、相続税は減額されます。

 

還付申告の期限と流れ

更正の請求には期限があります。期限は「相続税の法定申告期限(被相続人の死亡を知った日から10ヶ月)から5年以内」とされており、この間に手続きをする必要があります。

手続きの流れはおおむね次のようになります。

 

還付申告に必要な書類

申請にはいくつかの書類が必要です。

 
財産の正確な評価や還付の可能性については、できれば相続税に詳しい税理士のサポートを受けることが望ましいです。

税理士は評価の見直し、特例の適用可否、書類作成や税務署とのやり取りまでサポートしてくれるため、手間やリスクを大幅に減らすことができます。
記載ミスや添付書類の不足があると、申請が通らないことがありますから、その点でも税理士に依頼する方がスムーズです。

なお、税理士に依頼する際には、相続税申告の実績と経験が多い事務所を選びましょう。豊富な実績はノウハウの多さに直結しているからです。

実績が多い税理士事務所であれば、適正かつ説得力のある意見書を作成するので税務署に認められやすいでしょう。

 

まとめ

相続税は一度申告・納税すると完了した気持ちになりがちですが、実際には過払いが生じているケースも少なくありません。申告後に財産の評価や特例適用の見落としに気づいた場合は、還付申告を行うことで大きな金額が戻ってくる可能性があります。

還付申告の機会を逃さないために相続税の申告内容を見直し、必要に応じて専門家の力を借りながら期限内に適切な手続きを行い、納めすぎた税金をしっかり取り戻しましょう。


 

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遺産の中に自宅等の不動産がある場合、誰が固定資産税を払うのかといった疑問を抱く方も多いのではないでしょうか。

この記事では、不動産の相続に伴って発生する固定資産税の支払い義務、また未払いがある場合の対応などについて、順を追って分かりやすく解説していきます。

 

固定資産税の基本ルール

固定資産税とは、土地や建物などの不動産を所有している人に対して、市町村が毎年課税する地方税です。課税対象者は、毎年1月1日時点で登記簿に記載されている「所有者」と定められています。

たとえば、ある方が1月2日に亡くなった場合、その年の固定資産税は「1月1日時点の所有者=被相続人」が本来の納税者となります。

しかしながら、被相続人が亡くなっているので、納税義務は相続人が引き継ぐことになります。

 

遺産分割前は相続人全員が連帯して納税義務を負う

相続が発生しても、すぐに不動産の所有者が決まるわけではありません。誰がどの財産を引き継ぐか相続人同士で協議する必要があります。

この遺産分割協議が終わるまで、相続財産は法定相続人全員の共有物と見なされます。

この理論で考えれば、固定資産税についても相続人全員が負うことになります

 

支払い代表者を決めるには?負担割合の決め方

固定資産税の支払いは実際には相続人の代表者が払います。

相続人の中から1人を「代表相続人」として市区町村に届け出ることで、その人に納税通知書が届くようになります。

通知書が代表者に届くからといって、その人が税額のすべてを負担するわけではありません。後から他の相続人に自分の負担分を請求します。

なお、各人の配分については、法定相続分(例:配偶者1/2、子ども各1/4など)に従って決めるのが一般的です。ただし、全員の合意があれば、別の割合でも構いません。

 

協議後に実際の所有者が決まった場合の取り扱い

遺産分割協議がまとまり、相続人のうちの誰かが不動産を単独で取得した場合、その人が翌年以降の固定資産税を支払う義務を負うことになります。

ただし、固定資産税は「1月1日時点の登記上の所有者」に課されるため、たとえば1月10日に登記を移したとしても、その年の税金はまだ前年度の所有者(故人)負担となるので、相続人全員で払います。

新たな所有者がその年の固定資産税をすべて支払っても良いのですが、相続人全員の合意の上で払うことが望ましいでしょう。

 

固定資産税の納期と未払いの扱い

固定資産税は、多くの自治体で年4回(おおむね6月・9月・12月・翌年2月)に分けて支払う「分割納付制」が取られています。

そのため、相続が発生したタイミングによっては、すでに数回分は支払い済みで、残りが未納の状態になっていることがあります。たとえば、7月に相続が発生した場合、その年の9月・12月・翌年2月分は未納になっている可能性が高いです。

未払い分については相続人全員が支払う必要があり、原則として法定相続分に基づいて分担されます。納期限を過ぎると延滞税が課される場合もあるので、早めに対応しましょう。

 

遺言書がある場合の取り扱い

遺言書があり、固定資産税の納税義務者について明記されていれば、原則として遺言書内容が優先されます

例えば、遺言書で特定の相続人に不動産を相続させ、固定資産税もその相続人が支払うと定められていれば、その相続人が納税義務者となります。

 

まとめ

不動産を相続した場合、固定資産税は誰が払うのかを解説いたしました。原則としては、相続人全員の負担となりますが、全員の合意があれば取得者が払っても良いのです。

なお、相続人の数、相続時期、未納の有無によっても負担分が異なるため、早い段階で状況を整理しておきましょう。納期限までに固定資産税を払わないと、延滞税が生じるので注意してください。

固定資産税の支払いの他、不動産相続で不明な点がある場合は、専門の税理士へ相談してください。節税のアドバイスや相続税申告の代行も可能ですので、是非検討ください。


 

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相続の手続きを進めている最中に、相続人の一人が亡くなってしまう——。そんなケースが実際には少なくありません。たとえば、父親の遺産を手続きしている途中で、相続人である母親が他界してしまった場合などです。

このように、1つの相続が終わる前に次の相続が発生してしまう状態を、「数次相続」と呼びます。

この記事では、数次相続が起こることで遺産分割や相続税にどのような影響が出るのか解説します。

 

数次相続が起きるとはどういうことか

数次相続とは、ある相続がまだ終わらないうちに、相続人の1人が死亡し、新たな相続が始まってしまうことを指します

たとえば、父親の相続手続きをしている途中で母親が亡くなると、母親が相続するはずだった父の遺産について、その相続権が母の相続人に引き継がれます。つまり、子どもたちは父親の遺産分割協議だけでなく、母親の遺産についても協議しなければならない、という状況になるのです。

 

数次相続が起きやすい条件

数次相続が発生しやすいのは、両親がともに高齢である場合や、相続手続きに時間がかかってしまっているときです

たとえば、遺産分割について相続人同士の意見がなかなかまとまらず、協議が長期化すると、その間に誰かが病気などで亡くなってしまうこともあり得ます。その結果として、さらに新しい相続が始まり、事態が複雑になることもあるのです。

 

数次相続により遺産分割協議が複雑化する

数次相続が発生すると、最初の相続(一次相続)の遺産分割協議に、二次相続の相続人が加わることになります。これにより、相続人の人数が増え、話し合いがまとまりにくくなるケースが出てきます

たとえば、母親に前夫との子(父と養子縁組していない子ども)がいた場合、一次相続では母と実子だけが相続人ですが、母が亡くなるとその連れ子も法定相続人となります。このように、関係者が増えることで、協議がさらに複雑になる可能性があるのです。

なお、数次相続が何度発生するかについて、法律上の回数制限はありません。理屈のうえでは、三次、四次と続くことも可能です。ただし、現実には何度も相続が重なることはありません。

必要以上に不安になることはないのです。

 

相続税への影響

(1)基礎控除の計算には影響なし

 
相続税の基礎控除は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で算出されますが、これは被相続人が亡くなった時点での法定相続人の数を基にしています。

数次相続によって相続関係者が増えたように見えても、各相続の基礎控除額には影響しません。

 

(2)法定相続分も変わらない

 
法定相続分の割合も、数次相続によって変動することはありません。

たとえば、母親が亡くなり、その相続人である子どもたちが父親の相続分を引き継いでも、それは母親の1人分の法定相続分を複数人で分ける形になります。

 

(3)相次相続控除の対象になる可能性

 
数次相続が10年以内に発生していれば、「相次相続控除」を受けられることがあります。これは、先に相続税を納めた財産について、後の相続の時に一定額が控除される仕組みです。

 

(4)相続税の申告期限は延長

 
相続税の申告期限は被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内です。ですが、相続税を申告するはずだった人が申告前に亡くなった場合の申告期限は、その人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内にまで延長されます。

ただし、1回目の相続における申告期限が延長されるのは「2回目の相続の相続人のみ」です。存命の一次相続人については従来通りの期限内に手続きしなければなりません。

 

(5)遺産分割協議はまとめても良い

 
数次相続における遺産分割協議は、一次相続と二次相続で別々にしても良いですが、まとめても問題はありません。

初めの相続で父が亡くなり、次の相続で母が亡くなった場合、相続人が完全に重複していれば、1回にまとめてする方が手間も省けます。

逆に相続人が重複していない場合は分けて行った方がよいケースもあります。

 

まとめ

数次相続は、突然起こることもあり、手続きや話し合いが思いがけず煩雑になる原因となります。関係者が増えたり、相続税の計算が複雑になったりするため、放置しておくと後々トラブルになる可能性もあります。

だからこそ、相続が始まったらできるだけ早く、関係者全員で協議を進めることが大切です。相続税の申告期限が近づいてくると、未分割のまま申告せざるを得ず、税負担が重くなる場合もあります。

また、次の相続が始まってしまえば、さらに関係者が増えて収拾がつかなくなることもあります。そうならないためにも、早めの行動が重要です。


 

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高齢になると、介護が必要になる可能性は高くなります。老人ホームに入居するケースもありますが、自宅での介護となった場合は、家族の誰かにお願いすることになるでしょう。

一番想定されるのは、本人の配偶者や、子供ですが、「子供の奥さん」が介護をされるケースもあります。場合によっては、献身的に面倒を見てくれる場合もあるでしょう。

介護を頑張ってくれた分、恩返しという形で遺産をあげたいと思うのも当然です。しかしながら、子供の配偶者は法定相続人ではないので、遺産を相続できません。財産を渡したいのであれば何かしらのアクションが必要です。

 

子供の配偶者は相続人ではない

息子さんの奥さんは被相続人にとっての法定相続人ではありません。そのため、何もしなければ通常は遺産を受け取ることができません

そもそも相続では誰が法定相続人になるかは、被相続人との関係性で決まります。

法定相続人の範囲は「配偶者相続人」と「血族相続人」の二種類に区分され、被相続人の配偶者は必ず法定相続人となります。血族相続人は以下の順位により相続権を取得します。

もしも、上の順位の方がいない場合、次の順位の人が法定相続人になります。子供のいない夫婦の場合、夫が亡くなった時の法定相続人は妻と夫の両親です。両親が他界しているのであれば、第3順位の兄弟姉妹が法定相続人となります。

 

法定相続人以外に遺産を渡すには遺言で指定する

息子の奥さんは、法定相続人にはなれないことがわかったと思いますが、だからといって遺産が全くもらえないかというとそうでもありません。

法定相続人以外に遺産を渡す方法として、「遺言書で指定する」という方法があります。

法定相続人以外の人にも、財産を渡すことを遺贈と言いますが、遺贈は遺言書で指定することによりその効力が生じます。遺贈する相手は遺言者が自由に選べます。

遺産の受け渡しを指定された方は「受遺者」と言います。

受遺者に指定された方は遺産をどう受け取るかによって「特定受遺者」か「包括受遺者」かに区分されます。包括受遺者はさらに細かく四つに分類されます。

 

遺留分に注意する

遺言書で遺贈をする場合、「遺留分」に注意しなければなりません。遺留分とは、被相続人の兄弟姉妹を除く法定相続人が「最低限の遺産を取得できる」権利のことです。

遺留分の金額は、「(相続手続き開始時の遺産+生前贈与された財産−債務)×割合」で算出します。

相続人:被相続人の子供2人
遺産総額:6,000万円
生前贈与:4,000万円
債務:1,000万円

上記の場合のケースだと

基礎となる財産:6,000万円+4,000万円-1,000万円=9,000万円
子ども全員の遺留分:9,000万円×1/2=4,500万円
子供1人あたりの遺留分:4,500万円×1/2(法定相続分割合)=2,250万円

となります。

 
遺留分がある以上、被相続人の配偶者や子供は、必ず遺産を受け取れるわけであり、その最低限の取り分を侵害するような「偏りのある遺贈はできない」ということです。

つまり、「妻も子供も介護を全くしてくれなかったので、遺産は全て息子の奥さんに渡す」といった内容の遺言は基本的にはできないということです。

ただし、遺留分は自動的に保証されるわけではなく、遺留分の権利者が遺留分の返還を請求しなければなりません。(この請求は「遺留分侵害額請求」と言います。)

 

遺留分侵害額請求には時効がある

いずれかを過ぎると請求ができなくなります。
よって、厳密に言えば、他の相続人が何もしない場合に限り、偏った遺贈も通ります。

しかしながら、遺留分を侵害するような遺贈は確実にトラブルの原因になるので、避けるべきです。そもそも、法定相続人以外に遺贈すること自体が争いの火種になり得る事項なので、事前に家族に話をして、納得してもらっておくべきです。

 

遺贈は相続税が高くなる

遺贈によって受け取った財産も相続税の対象となります。そのため、相続財産の総額が基礎控除よりも大きくなる場合、受けとった遺産について相続税を負担しなければなりません。

受遺者が払う相続税額は通常よりも多くなります。これは、配偶者や一親等の血族、代襲相続人以外の方が相続財産を得た場合、相続税が2割増となるルールがあるからです。

従って、受遺者が高額の相続税を負う可能性もあります。

 

生前贈与という手段も

生前贈与とは生きているうちに財産を贈与する方法です。贈与する相手は、贈与者が自由に選べます。

そのため、遺贈でなくとも子供の配偶者に財産を渡すことは可能です。

また、生前贈与では年間110万円までの贈与が非課税で行えるので、節税としても有効です。

 

まとめ

子供の配偶者に遺産を渡したい場合には、遺贈か生前贈与が良いでしょう。遺贈は遺言で指定するだけで良いですが、相続税が2割増になる点に注意です。また、他の相続人と揉めないように事前に話し合いをしておくのも大事です。

生前贈与では年間110万円までの贈与が非課税となるので、うまく活用すれば無税で財産を渡せます。

今回、解説した以外にも方法はありますので、詳しく聞きたい方は、弊所までご相談ください。
 


 

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身近な人を亡くしたとき、遺族にとっては精神的な負担だけでなく、経済的負担も重いものとなります。そうした遺族を支援する制度の一つが「弔慰金(ちょういきん)」です。

この言葉を聞いたことはあっても、実際にどんなお金なのか、誰がもらえるのか、かかる税金はどうなるのか――詳しく知らない方も多いでしょう。ここでは、弔慰金の意味や種類、相続税との関係について、わかりやすく説明します。

 

弔慰金は慰謝の意味を込めた金銭の支給

弔慰金とは、誰かが亡くなった際に、その遺族へ支払われる金銭のことです。このお金には、慰謝の気持ちや、遺族の生活を少しでも支えようという配慮が込められています。

弔慰金は大きく分けて、以下の2つのケースで支給されます。

国や地方自治体から支払われる場合…戦争や公務災害、自然災害などによって亡くなった場合に支給されることがあります。

例:戦没者遺族に対する弔慰金(戦傷病者戦没者遺族等援護法に基づく)や、災害弔慰金の支給(災害弔慰金の支給等に関する法律)など。

勤務先の企業から支払われる場合…会社に在籍していた社員が死亡したときに、その会社が遺族に支払うケースです。企業ごとの福利厚生制度や、就業規則の「慶弔見舞金規程」などに基づいて支給されます。

 
なお、弔慰金はあくまで「任意で支払われるお金」であり、企業や団体の取り決めによって支給の有無や金額が異なります。

 

弔慰金と香典の違い

混同されがちなのが「香典」との違いです。

 
つまり、「香典」は個人の善意、「弔慰金」は制度として設けられた金銭支援、という点で大きく異なります。

 

弔慰金と相続税の関係は?

相続が発生したときに気になるのが「税金」、特に相続税の問題です。

弔慰金は原則として相続税の対象外とされています。これは「相続や遺贈によって取得した財産」ではなく、「第三者から遺族への慰謝と支援のために支払われる金銭」と見なされるからです。

ただし、すべての弔慰金が非課税になるわけではありません。金額が「社会通念上、妥当な範囲を超える場合」には、超過分に相続税がかかることがあります

相続税法や所得税法では以下のように規定されています。

これは「通常支払われると認められる弔慰金の額」として定められている基準です。

例:月給30万円の社員が亡くなった場合
・業務外の死亡:30万円 × 6か月 = 180万円まで非課税
・業務上の死亡:30万円 × 36か月 = 1,080万円まで非課税

 
この上限を超える支給があった場合、超えた部分は「相続財産」としてカウントされ、相続税が課せられます。

 

死亡退職金との違い

弔慰金とよく比較されるのが「死亡退職金」です。

死亡退職金とは故人が生前に勤めていた会社から支給される退職金のうち、亡くなったことで発生する(遺族に渡される)お金です。これは法律上「みなし相続財産」とされ、相続税の対象となります。

ただし、「500万円 × 法定相続人の数」までは非課税という特例があります。
一方で、弔慰金は任意の慰謝金であり、前述の範囲内であれば相続税の対象にはなりません。

 

まとめ

弔慰金は、遺族に対して会社や団体が慰謝の気持ちを込めて支給する制度です。原則として相続税の対象にはなりませんが、社会通念上妥当とされる金額を超える部分には課税される可能性があります。

死亡退職金とは法的な性質も税務上の取り扱いも異なります。相続の際は、二つの違いをきちんと理解し、正しく相続税の申告をしましょう。
 

 

参考:国税庁「No.4120 弔慰金を受け取ったときの取扱い

 


 

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人が亡くなれば、遺族はさまざまな対応に追われます。中でも大きな出費となるのが葬儀です。通夜や告別式の準備、火葬、埋葬、寺院へのお礼など多岐にわたって費用が発生します。一般的な相場としては、葬儀一式で200万円前後かかるといわれています。

ではこの葬儀費用は、法律上どのように扱われ、誰が負担することになっているのでしょうか?
この記事では、葬儀費用と相続税との関係や、法的な位置づけ、費用負担をめぐるトラブルと対策について解説します。

 

葬儀費用は相続税の計算時に控除できる

被相続人の遺産についてはその総額に相続税が課されますが、この遺産総額を計算する際に、葬儀費用は差し引くことが認められています

これは国税庁の公式見解であり、「相続税法基本通達」にも明記されています。

★参考:国税庁HP No.4129 相続財産から控除できる葬式費用

 
つまり、これらの費用を差し引いた上で相続税を計算できるので、葬儀費用を正しく申告することで節税効果が期待できます。

ただし、次のような費用は控除対象になりません。

 

葬儀費用の「負担者」は法律で決まっていない

多くの人が「喪主=費用を払う人」と認識していますが、実は誰が葬儀費用を負担するかについて、明確に定めた法律は存在しません

実際には、葬儀は亡くなって数日以内に行われるため、遺産相続前に支払わなければなりません。そのため、喪主や遺族の誰かが「一時的に立て替える」ことが多くなります。

問題になるのはその後で、「立て替えた人に他の相続人が応じてくれるかどうか」がトラブルの火種になります

そもそも葬儀費用は「相続開始後に発生する支出」であるため、相続財産(=被相続人の債務)そのものではありません。

となれば、「当然に相続人全員が負担すべき債務」には該当しないのです。

 

葬儀費用をめぐる4つの典型的なトラブル

(1)費用負担の不公平

たとえば長男が喪主として200万円を支払ったのに、他の相続人が「知らなかった」「払いたくない」と主張するケースは非常に多くあります。

不公平感が原因で遺産分割協議がこじれることもあります。

 

(2)相続財産からの支出を巡る対立

相続財産に現金が多ければ精算しやすいですが、不動産や株式しかない場合はすぐにお金を用意できません。その結果、喪主だけが損をしたように感じてしまうこともあります。

 

(3)事前の話し合い不足

葬儀の形式や費用を誰が決めるか、どの程度の規模にするかなどが事前の話し合いが不十分なまま葬儀を行うと、後で「こんなに豪華にするとは思わなかった」と不満の声が上がることもあります。

また、遠方に住む相続人が葬儀に参加しなかった場合、費用を支払う意識が低くなり、負担を巡る対立が生じます。

 

(4)祭祀承継者との意見の食い違い

仏壇や墓を誰が継ぐか、管理するのかが決まっていないと、今後の管理費や納骨費用の負担で揉めることがあります。

伝統的に「長男が継ぐ」とされてきた一方で、現在は「兄弟平等に負担すべき」という考え方も増えており、対立するケースが目立ちます。

 

相続財産からの支払いを遺言に書いても効力はないが、「想い」を伝える手段になる

葬儀費用について「遺言に書けば遺産から払ってもらえる」と思われがちですが、実はそうではありません。
法的に有効な遺言は、「死亡時点の財産に関する指示」が対象です。葬儀費用のように「死亡後に発生する支出」は、遺言の法的効力の及ぶ範囲外です。

とはいえ、遺言書に「葬儀費用は遺産から支払ってほしい」などと書いておくことは無駄ではありません。これは「付言事項」だからです。

付言事項には法的拘束力はありませんが、故人の遺志として相続人が尊重してくれる可能性が高いからです。遺産から葬儀費用が支払われれば、負担についての争いは起きないでしょう。

 

トラブルを防ぐための3つの具体策

(1)被相続人の生前に葬儀について話し合いをしておく

葬儀に関する希望や、費用の負担方法などは、本人が元気なうちに家族で共有しておくのが理想です。前述したように遺言書の付言事項に記すのも効果的です。

 

(2)喪主の負担を記録で残す

誰がいくら支払ったか、明細や領収書を保管し、相続時に明確に説明できるようにしておきましょう。支払いの証拠がないと後の精算で揉めやすくなります。

 

(3)相続財産の中から支払う前提で協議する

遺産に現金がある場合は、葬儀費用をそこから優先的に支払うように家族間であらかじめ合意をとっておきましょう。

不動産や株式しかない場合は、何を売却して支払いに充てるかもあらかじめ検討しておきましょう。

 

まとめ

葬儀費用負担については、相続の中でよく見られる問題の一つです。
トラブルを避けるためにも、本記事で述べた対策をしておきましょう。
 

 


 

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相続は、ある日突然やってくることが多く、準備不足のまま対応を迫られるケースも珍しくありません。

相続には大きく分けて「単純承認」「限定承認」「相続放棄」という3つの選択肢がありますが、実は何もしないまま過ごしていると、自動的に「単純承認」したとみなされてしまいます。

故人の財産はプラスの財産だけでなく、借金等のマイナスの財産もあります。単純承認となれば、それもすべて相続することになります。もし、借金が高額の場合、相続によって多大な返済に追われることになる可能性もあります。これが「相続の怖いところ」です。

 

単純承認とは?

まずは基本的なところから確認しておきましょう。

相続には以下の3つの方法があります。

 
単純承認は「そのまま全部引き継ぐ」という方法ですが、実は自分が望んでいなくても一定の行動をとると自動的に単純承認とされてしまうことがあります。これが「みなし単純承認」と呼ばれるものです。

単純承認とされると、相続人はすべての財産と債務を引き継ぐことになります。

もし故人に多額の借金や滞納税金などがある場合、それもすべて相続することになり、借金返済の義務も生じることになります。たとえば、遺産に預貯金が100万円、借金が500万円ある場合、限定承認や相続放棄をしていれば損害を避けられますが、単純承認してしまうと、差額の400万円を自分で払うことになります。

 

どんなときに「単純承認」とみなされるの?

民法の規定により、以下のようなケースでは、たとえ本人にそのつもりがなくても「単純承認した」と見なされてしまいます。

(1)相続財産を処分した場合

 
もっともよくあるのがこのケースです。

遺産の処分は「財産を自分のものとして扱った」行為とされるため、結果としてすべての財産・債務を引き継ぐことになります。

 

(2)熟慮期間(3か月)を過ぎた場合

 
相続の開始を知った日から3か月以内に「相続放棄」や「限定承認」の手続きをしなければ、自動的に単純承認したことになります。

この3か月間を「熟慮期間」といいます。

 

(3)相続財産を隠した場合

 
民法では、次のような行為も単純承認とみなすと規定しています。

 
このように「こっそり財産を操作する」行為は、自分のものとして扱っているとみなされ、単純承認が成立します。

 

単純承認とみなされる「相続財産の処分」の具体例

「相続財産の処分」とは、単に売ったり、消費したりするだけでなく、「相続財産を自分の意思で動かした」と判断されるような行為全般を指します。

以下に、実際に単純承認と判断された主なケースを紹介します。
 

(1)故人の預金を引き出して使った

 
例:相続人が、故人の通帳から生活費を支払った
→「ちょっとくらい…」と思ってしまう人も多いですが、金額の大小に関係なく単純承認とされます。なお、葬儀代を相続財産から払っても、社会通念上相当な範囲であれば財産の処分には該当しません。ただし、葬儀規模によっては認められない可能性もあります。

 

(2)故人名義の車を売却した

 
例:「不要だから」と故人の車を売却した
→名義変更や売却は「処分」にあたります。他にも故人の家具・家電をリサイクル業者に引き取ってもらった場合も処分行為とされます。

 

(3)不動産を貸した・売った・改築した

 
例:故人の自宅を第三者に貸した、売った、リフォームした
→こうした行為も、自分の所有物として扱っているとされ、単純承認につながります。

 

(4)相続財産の一部を他の相続人や親族に譲った

 
例:「兄弟の取り分だから」と勝手に現金や物品を分けた
→正式な手続きを経ないで分配することは、処分行為になります。

 

(5)故人が加入していた保険の解約返戻金を受け取った

 
例:契約者・受取人が被相続人である保険を解約して返戻金を受け取った
→積立式の生命保険の場合、契約者死亡によって保険契約が解約され、解約返戻金が支払われることがあります。これは相続財産ですから、相続人が受け取れば財産処分として扱われます。

なお、被相続人が被保険者・契約者であり、相続人が受取人である生命保険金(死亡保険金)では、「受取人の固有の財産」となるので、単純承認には該当しません。

 

財産処分にあたらない行為の例

次のような行為は、基本的には「処分」とはされず、単純承認には該当しないとされています。

 
中には微妙なケースも多いため、不安なときは必ず専門家に相談しましょう。

 

まとめ

単純承認が成立すると、相続人にとって不都合なケースもあります。

不利益を被らないためにも相続が始まったら以下の点に注意しましょう。

とくに、預金の引き出しや不動産の売却は、気軽にやってしまいがちですが、これが命取りになります。「ちょっとした行為が取り返しのつかない結果になる」ということに十分留意しましょう。
 

 


 

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