厚木市で 相続手続 支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。

相続 の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。

 


 

古い空き家は倒壊などのリスクがあるため、放っておくと危険です。

実は、相続や遺贈によって取得した空き家を売却する際に、条件を満たすことで譲渡所得から最大で3000万円の控除を受けられる制度があります

ただし、この空き家特例は耐震性能や売却金額などの細かい適用要件がたくさんあります。

 

空き家を放置するリスク

空き家を放っておくと以下のようなリスクが出てきます。

 
住んでいる人がいなければ、定期的な管理がされないので傷みやすく、不動産価値を損ねてしまいます。また、建物が傷んだり、土地内の草木の手入れがされないままだと、周辺景観を悪化させることにも繋がります。

また、人が住んでいないことで、不法侵入や不法滞在が起こり、犯罪を誘発する可能性も出てきます。

一番怖いのは、建物劣化によって家屋が倒壊することです。倒壊によって、近隣の住宅に被害が出て損害賠償責任を負うこともあります。

このように様々なリスクがあるので、住む予定の無い空き家については

といった方法を取る方がお勧めです。

もし、売却を考えるのであれば、これから説明する空き家特例の活用も考えましょう。

 

空き家特例とは

空き家特例とは、相続もしくは遺贈によって取得した被相続人が居住していた空き家やその土地を一定期間内に売却すると、譲渡所得額から最高3000万円を控除できる制度です。(正式には被相続人の居住用財産(空き家)にかかる譲渡所得の特別控除の特例と言います。)

控除額が3,000万円と節税効果が高いですが、空き家の要件、売却時の状況要件等が細かく決められています。
 

譲渡所得額は以下の計算式で算出します。

譲渡取得=譲渡価格(収入金額)−必要経費(取得費+譲渡費用)−特別控除額

 
もし、不動産の取得費が不明な場合、譲渡価額の5%を概算取得費としても大丈夫です。

 

空き家特例の要件

(1)家屋の要件

空き家特例は名前の通り空き家になった相続不動産の売却を促す特例です。そのため、適用できるのは、亡くなった人が一人で暮らしていた自宅のみとなります。

ただし、「被相続人が介護保険法に規定する要介護・要支援認定を受け老人ホーム等に入所し、かつ、相続開始直前まで老人ホーム等に入所していた。」、「老人ホーム等への入所時から相続開始直前まで、その家屋について、被相続人による一定の使用がなされ、かつ、事業、貸付、被相続人以外の居住の用に供されていたことがないこと。」に該当すれば、被相続人が相続開始の直前に居住していたものとして認められます。

また、不動産は1981(昭和56)年5月31日以前に建てられたものに限られます。これは旧耐震基準で建築された危険な空き家を減らしたいからです。なお、不動産はそのまま売却しても、特例適用になりません。耐震補強もしくは更地にして売却します。

 

(2)譲渡する際の要件

 
空き家特例が適用できるのは売却金額が1億円を超えない物件のみです。売却が複数回の場合や複数の相続人で売る場合、各売却金額の合算で判定します。

特例適用には前述したように耐震リフォームをするか、空き家を取り壊して更地にした状態で売らなければなりません。ただし、2023年度税制改正によって、譲渡時から譲渡した年の翌年2月15日までに取壊しが完了した、あるいは耐震基準に適合することが証明された場合、特例は適用可能となります。要するに譲渡後でも耐震リフォームや更地にしても良くなったのです。

なお、対象の土地家屋を取得した相続人が3人以上の場合、特別控除額は2,000万円に減額となります。

 

まとめ

空き家特例は最大3,000万円の特別控除が設定されていますので、譲渡所得税の大幅な節税が可能です。空き家の活用に困っている場合、特例を利用できそうか確認してみましょう。

特例を利用した場合、確定申告時に必要な添付書類の種類と数が多いので、書類準備はしっかりとしておきましょう。不安な場合は、税理士に申告を代行してもらうと良いでしょう。

 

 


 

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相続は遺族が上手く連携できれば、手続きも進みやすくなります。

しかし、相続人同士の仲が悪いケースもあるでしょう。兄弟間の仲が悪い場合もあれば、親と子供の関係が拗れている場合もあります。

このような場合は、遺産分割が中々完了しません。また、相続税申告にも影響を与えます。今回は「相続人同士が不仲の際に起こるリスク」について説明いたします。

 

遺産分割が進まない

相続人同士の仲が悪いからといって、特定の相続人を除外しての遺産分割協議はできません。相続人全員の合意のない協議結果は無効になるからです。かといって仲の悪い者同士だと、遺産分割が成立しない可能性もあります。これが大きな問題点です。

遺産分割は成立しなければ、財産も相続人全員での共同所有状態となります。不動産は故人名義のままの状態となり、自由に売却したり建て替えたりもできません。

また、相続税の申告・納付期限は、相続開始を知ってから(多くの場合、被相続人が亡くなった日)から10ヶ月以内です。この期限を過ぎるとペナルティとして、追加の税金が課せられてしまいます。(無申告加算税や延滞税など。)

相続税の申告・納付期限は一部の例外を除いて、延長されません。相続人同士の仲が悪くて遺産分割協議が完了していなくても、申告と納付だけは期限内に済まさなければなりません

遺産の分割協議が完了していない場合、とりあえず「法定相続分に従って相続をした」と仮定して税額計算をします。あくまで遺産は相続人全員で共有しているという前提です。

仮の申告と納税をしておいて、後日に正式な遺産分割が完了した時に改めて申告をします。

一旦、申告と納付をしておけば、加算税および延滞税を払うことは免れます。ただし、一部の控除制度が使えないので、大抵のケースでは本来の税額よりも高い金額で申告と納税をします。

そのため、一旦の相続税を払うだけの資力が必要になります。また、一部の控除制度は遺産分割が終わっていないために適用できません。

これらの制度は税務署に「申告期限後3年以内の分割見込書」提出していれば、後日、遺産分割協議がまとまった際に申告書を再提出することで、適用可能となります。

申告期限後3年以内に遺産分割が完了しないなら、申告期限後3年を経過する日の翌日から2ヶ月が経つ前に「遺産が未分割であることについてやむを得ない事由がある旨の承認申請書」を提出します。

 

相続税の申告が連名でできない

相続税の申告をする際、通常なら相続人が共同の申告書を作成して申告します。
しかし、仲が悪い等、さまざまな事情によって共同の申告書を提出することが難しい場合もあります。
申告書は相続人ごとで個別に作成して提出しても構いません。しかし、個別に申告することによりいくつかの問題も出てきます

一つ目の問題としては税務調査に入られる可能性が高くなること。

相続税は被相続人の財産総額を元に計算されます。まず預貯金や不動産・債務がいくらあるかを把握し、その財産金額を元に計算された税額を、各相続人が受け取った財産の割合で負担する、という流れになります。

つまり、各相続人がそれぞれ遺産の種類を独自に把握し、財産評価をして、申告書を作成するとなると、内容の異なる複数の申告書が税務署に届く可能性が高くなります。

申告書は計算する人の解釈によって財産の評価額も変わるため、納税額にも違いが出てしまうからです。1つの相続で、内容の異なる複数の申告書が税務署に届いてしまえば、税務署としては申告書の精査のために税務調査をする可能性が高くなります。

税務調査が入った場合、相続税を多めに申告・納付していた場合は問題ありません。税金の払いすぎは更正の請求によって返還してもらえば良いからです。

一方で、申告漏れや納税額の間違いが発見され、相続税が不足していた場合は、過少申告加算税や延滞税が課税されてしまいます。

また相続人それぞれが別々に申告書を作成する場合、税理士を雇う可能性もあります。それぞれが別々に税理士へ依頼していると、当然税理士報酬も余分にかかってしまいます。

 

他の相続人へ連絡が取れない場合

仲が悪い相続人への連絡先がわからないというケースでは、遺産相続手続きが止まってしまいます。

そのため、連絡先がわからない相続人については、不在者財産管理人を立てた上で「遺産分割協議への同意」を裁判所に認めてもらえば、遺産相続手続きを進められます。

不在者財産管理人は、連絡が取れず行方不明になっている相続人の代わりに、財産を管理する代理人です。

配偶者や相続人など利害関係者からの申し立てにより、家庭裁判所が不在者財産管理人を選任します。

選ばれた不在者財産管理人が遺産分割協議に参加すれば、遺産分割を進めることができるようになります。

 

まとめ

相続人同士の仲が悪い場合では、話し合いが困難になる可能性が高いです。そうなれば、手続きも停滞してしまいます。

相続人同士の話し合いが困難な場合、弁護士に依頼してすすめる方法がありますが、被相続人が存命のうちに関係性に気づいているなら、遺言書を用意しておきましょう。

遺言書があれば、遺産分割協議をする必要がないからです。相続手続きをスムーズにするためにも作成をお勧めいたします。

 

 


 

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各金融機関は口座の名義人が死亡した事実を把握すると、その口座を凍結します。凍結解除の手続きをしなければ、預金をおろせません。

相続では、葬儀費用や相続税など、高額の支払いが数回あります。手元にまとまったお金がない場合は、後々困ることになります。

このような事態に対処するため、民法では2019年に「預貯金の仮払い制度」が作られました。同制度を利用すれば、凍結解除の手続きをしなくても、遺族がお金を引き出すことができます。

ただし、お金をおろして使用することは財産の処分に該当します。もし、後々に相続放棄をしたいと思っても、財産を処理してしまうと「相続財産を引き継ぐ選択をした」となり、手続きが不可能になります

 

どうして銀行の口座は凍結されるのか

金融機関は名義人の死亡を確認した時にその口座を凍結します。金融機関は以下の方法によって、名義人の死亡を把握します。

 
上記は金融機関が名義人の死亡を知る方法の一例ですが、最も多いのは、名義人の家族や関係者からの連絡です。名義人が経営者の場合は、会社や取引先からの連絡で死亡を把握するケースもあります。

金融機関側は曖昧な情報では動きません。誤った情報で口座凍結をしてしまうと、利用者やその関係者に重大な損失を与えるからです。

では、どうして凍結するのか。金融機関が口座を凍結するのは、「相続対象である財産を守る」ことと「相続でのトラブルを避ける」といった理由からです

相続では、遺産分割や相続税申告があるので、それらのために相続人は正確な財産を把握しなければなりません。預貯金が他の相続人等に自由におろせる状態だと、金額が変動してしまいます。

被相続人死亡時点での預金残高を確定するためにも口座凍結が必要なのです。凍結されれば、被相続人の口座の暗証番号を知っている家族でも、勝手に引き出せません。

観点を変えれば、これは相続財産を守ることとも言えます。

また、勝手に引き出せなければ、相続人間でのトラブルも起こらないでしょう。銀行の立場からすれば、安易に預貯金が引き出されてしまうと、他の相続人から抗議を受け、相続争いに巻き込まれかねません。

 

仮払い制度とは

故人の口座は相続財産確定とトラブル防止の目的で金融機関側が凍結します。

凍結した口座からは、出金および振込や引き落としができなくなります。この時、生活資金を被相続人の口座に一括でまとめていた場合、相続開始後の遺族の生活に影響が出る可能性もあります。

そのため、現行法では「預貯金の仮払い制度」があります。これは、遺産分割が完了していなくても、法定相続人であれば一定の金額を引き出せる制度です。
 
引き出せるのは、以下の二項目の低い金額までです。

 
この上限額は金融機関単位であるため、他の金融機関にも口座がある場合は、出金可能な金額は増えます。

手続き上、必要となる書類は金融機関ごとに変わりますが、以下の書類がおおよそ必須となります。手続きをするのであれば、必ず事前確認をしましょう。

 

仮払い制度と単純承認の成立

単純承認とは、相続財産の引き継ぎ方法のうちの一つで、「相続人が被相続人の財産をプラスもマイナスも含めて全て引き継ぐこと」です。

他の引き継ぎ方法には、「マイナスの財産の範囲でプラスの財産を引き継ぐ」という限定承認、「相続財産を一切引き継がない」相続放棄があります。

限定承認や相続放棄は期間内(熟慮期間)に手続きをしないと成立しませんが、単純承認については期間内に手続きをしないと自動的に選択したことになります。

また、「財産の処分」をすると同様に単純承認を選んだことになります

財産の処分とは以下の行為です。

 
つまり、仮払い制度を使って自分のためにお金を使ってしまうと単純承認が成立し、相続放棄などができなくなります。もし、被相続人の財産に借金が多い場合だと取り返しがつきません。

被相続人の口座から預金をおろすこと自体が、単純承認に直結するわけではありませんが、「引き出したお金を自身のために使う」「一般的とは言えない派手な葬儀の費用に充てた」などの場合、単純承認とみなされてしまいます。

よって、財産調査などが済んでいない場合、安易に仮払い制度を利用することはやめた方が良いでしょう。利用するのであれば、葬儀費用のみに使用し、領収書もきちんと保管しましょう。

当面の資金需要に対応するために、預貯金の仮払い制度を利用した結果、被相続人の多額の借金を背負うことになったということがないよう、十分注意してください。

 

仮払い制度を利用できない場合

仮払い制度を利用できない場合もあります。

当該の預貯金が、遺言書にて特定の相続人に渡すことになっている場合、当該口座からの仮払いはできません

もし、遺言に「銀行の預金は全て長男に相続させる」と書いてあるのに、次男が当該口座から仮払いをした場合、長男に仮払いした分を返還しなければなりません。

 

まとめ

預貯金の仮払い制度は葬儀費用など、相続においてまとまったお金が必要な場合に利用しましょう。

自己のために利用する場合、単純承認が成立しますので、できれば前もって財産調査をしておきましょう。

なお、仮払い制度を利用したいけど方法がわからない、口座凍結の手続きがしたいと考えている方は、是非専門の税理士のサポートを受けてください。

専門家に任せる方が手続きはスムーズに進みます。

 

 


 

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遺言書では遺言内容を執行してくれる人=「遺言執行者」を指定することができます。執行者は相続開始時点で未成年者や破産者でなければ誰を指定しても構いません。

遺言者の家族や親族でも良いですし、友人や税理士等でも問題ありません。

しかし、執行者の業務は多岐に渡り、専門知識を要します。

よって、人によっては「忙しくて執行業務をする時間が取れない」場合や「手続きの方法がわからない」等々の問題が起きる可能性があります。そういった観点から、あまりやりたくないと思う方も多いのです。

実を言うと、遺言執行者に選ばれたからといって、必ず就任しなければならないわけでもありません。つまり、就任は個人の意思で自由に辞退できます。辞退したからといって、罰則があるわけでもないので、安心してください。

ただし、一度執行者に就任してしまうと、辞めることが難しくなります

 

遺言執行者とは

遺言執行者は遺言内容を執行する方です。故人の意思である遺言に従い、各種の手続きをする権限が与えられます。そのため、必要な範囲内で相続人や受遺者の代理人として動けるのです

遺言書は作成者の死亡後に効力を持ちますが、遺言者は相続に直接参加できないので、その内容が本当に実現されるか心配になるでしょう。

自分の意思通りに相続財産の分割がされるかどうかわかりません。また、遺言で隠し子の認知をする場合だと、届け出をする必要がありますし、相続人以外への財産の遺贈や、不動産の相続登記などもあります。

これらの事項が正しく手続きされるために、遺言執行者がいるのです。遺言執行者は遺言内容を実現するための権限を持つので、不動産登記の放置や、他の相続人の財産処分も抑止できます。

なお、相続人が複数の場合は、書類の収集や署名押印などに手間がかかりますが、遺言執行者は「相続人の代表」として手続き可能なため、それらの労力が軽減されるのです。

 

執行者の業務とは

遺言執行者は相続開始後の就任承諾をした後に、以下の業務をします。

 
遺言執行者は相続の関係者に対して報告義務があります。法定相続人や受遺者が必要とすれば、執行業務の進捗状況を各人に伝えなくてはなりません。

また、本来、他の相続人や受遺者に渡すべき遺産を使った場合はその日以後の利息を支払うこと、もしくは損害が発生した場合は賠償をする補償義務もあります。

なお、手続きに必要な交通費、郵送料金、移転登記費用などの実費は相続人全員が負担するべき費用です。実費としてかかったお金は全て領収書を残しておき、後に請求しましょう。

 

遺言執行者の辞退は自由にできる

もし、遺言書の中で遺言執行者に指定されていても、自由に辞めることができます

指定されていても、就任は強制ではありません。指定された人が承諾しないのであれば、執行者にはなりません。

そして、就任はご自身の都合で辞退できます。「忙しい」、「手続きができるか不安」といった理由で辞退しても問題ありません。ペナルティもありません

もし、執行者を辞退する場合は相続関係者に書面で伝えましょう。口頭や電話で伝えると、後々に「言った・言わない」でトラブルとなる可能性があります。

 

遺言執行者に一度就任してしまった場合

執行者就任前の「辞退」は簡単です。理由についても、なんでも良いです。

しかし、一度就任を承諾してしまうと、辞めることが難しくなります。就任した後に辞めることは「辞任」と言いますが、辞任は簡単には成立しません

辞任となると正当な事由が必要となり、可否判断も家庭裁判所に委ねられるからです。

ここで言う「正当な事由」とは、「病気」「怪我」「長期の出張」等々があります。これらの理由であれば、家庭裁判所の許可をもらうことで辞任が成立します。

辞任と辞退ではハードルが全く異なります。「執行者の業務が面倒なことに後から気づいた」等の理由では辞任ができないのです。

そのため、執行者に指定されていた場合、就任前に引き受けるかどうか慎重に検討するべきでしょう。無理だと判断したら、他の相続人に代わってもらうようにお願いした方が良いでしょう。

なお、相続人は執行者就任予定の方に、就任するかどうかの催告ができます。

これは執行者に指定されている人がいつまで経っても承諾の意思を示さない場合、相続手続きに遅れが生じてしまうからです。

相続人や利害関係人(受遺者等)は、遺言執行者に就任するかどうかを聞きます。もし、期間内に回答がない場合は、就職を承諾したものとみなします。

 

遺言執行者の業務は他の人に委任可能

遺言執行者を辞任することは困難ですが、職務を第三者に委任することは問題ありません。現行法では特別な事由がなくても委任できるようになりました。

業務の全部を委任しても良いですし、一部だけでも構いません。
他の相続人から同意を得なくても大丈夫です。

就任後に業務が難しいと感じたら、他の相続人や専門の税理士に業務のサポートをお願いしましょう。

 

まとめ

遺言書で遺言執行者に指定されている場合、就任前に辞退するのと就任後に辞任するのとでは、大分違います。

就任後の辞任では、正当な理由をもって家庭裁判所の許可が必要です。

 

 


 

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相続では、しばしば認知症のリスクなどについて語られることがあるかと思います。

現代では、65歳以上の高齢者のうち認知症および予備軍の数は全体のおよそ1/4を占めるというデータもあります。認知症になってしまうと日常生活が困難になることはもちろん、法的な手続きについても様々な問題が出てきます

というのも、法的な手続きについては、意思能力がない方だと法律行為の効力要件を満たさないからです。

そういった点から考えると、相続における遺産分割協議や相続放棄等の手続きにも認知症は大きな影響を及ぼします

 

相続人が認知症の場合もある

相続では被相続人の方が認知症を患っていたというケースがよくあります。しかし、残された遺族である相続人のうちの誰かが認知症であるパターンもあります。

例えば、被相続人の配偶者。

被相続人が高齢の場合、その配偶者も高齢であることが多いので、認知症の可能性も高くなります。

また、認知症は、40歳から64歳の初老期段階で発症するパターンもあるので、年齢がある程度離れていても認知症になっていることもありえます。それを考慮すると、被相続人の子供であっても、認知症の場合があります。

相続人が認知症や精神疾患等で判断能力に問題がある場合、遺産分割協議書に署名捺印しても、法的には無効とされてしまいます。

ただし、「軽度」にあたる認知症患者の中には、判断能力がある程度しっかりした人もたくさんいるため、認知症=遺産分割協議に参加できないというわけではないので注意しましょう。

 

相続人が認知症だった場合の問題点

(1)遺産分割協議ができない

 
遺言が残されている場合、相続財産の分割は遺言内容に従って進めることになります。しかし、遺言書がなく、相続人が数名いる場合、遺産の分割は相続人間の話し合いで決めることになります。

遺産分割協議を完了させるには相続人全員が協議内容に合意しなければなりません。合意がなければ、法律上の効力がありません。一部の相続人が参加していない場合も協議内容は無効となります。

そして、相続人の誰かが重度の認知症等で判断能力が著しく低下していると見られる場合も、同様です。前述したように判断能力のない状態では法的な手続きができず、遺産分割協議での合意が無効となるからです。

遺産分割協議ができずにいると、預貯金の凍結解除ができません。また、被相続人名義の不動産も変えることができません。

これらの手続きには遺産分割協議の完了が条件となっているため、認知症の相続人がいれば手続きはストップしてしまいます。

 

(2)代筆は罪に問われる可能性も

 
被相続人の配偶者が重度の認知症だった場合、その子供が代わりに遺産分割協議書への署名をすれば良いのでは?と思う方もいるかもしれませんが、これはできません。

たとえ、家族であっても代理権を有していない場合、勝手に署名をすると、私文書偽造罪に問われる可能性があるからです。

 

(3)判断能力が欠けた相続人は相続放棄できない

 
重度の認知症の方は法律行為ができなくなるので、相続放棄も自分ではできません。

他の相続人が代理で申し立てをしようとしても、家庭裁判所が受理しないのです。

 

法的手続きをするには成年後見制度の利用が必要

認知症患者で重度の方は、判断能力が低下しているため、自らの意思で遺産分割協議に参加することも、相続放棄をすることもできません。

それらの手続きを進めるには成年後見制度の利用が必須です

成年後見制度とは、認知症などで自身の財産管理が困難な方に代わり、後見人が財産管理や重要な契約などを行います。

同制度を利用すると、遺産分割協議では、本人の代理人として後見人が参加して、協議を進めます。相続放棄についても、後見人が手続きをします。

 

成年後見制度の問題点

(1)家族が後見人になれるわけではない

 
成年後見人が誰になるかは裁判所の判断に委ねられます。よって、家族を成年後見人候補者として希望したとしても、第三者の専門家が選任される可能性も大いにあります。

実際のところ、現在の家庭裁判所での運用では、親族よりも専門職(司法書士や弁護士等)を後見人とする傾向が強いです。

一度選任された後見人の変更は余程の理由がない限り認められていません。家族は裁判所から選任された後見人と長く付き合っていくことになります。

なお、家族が後見人になれたとしても、遺産分割には参加できません。これは、後見人が相続人である場合、遺産分割の場では被成年後見人と利益相反関係になるという理由からです。

そのため、遺産分割協議の場では再び家庭裁判所に申し立てをして、特別代理人を選任しなければなりません。

 

(2)成年後見人に対する報酬を支払う必要がある

 
成年後見人は裁判所が決めるので、外部の専門家が選任された場合には、報酬を払う必要があります。

これは一生涯続くので、今後収入が増える見込みがなく、貯金から医療費や生活費が毎月目減りしてしまうご高齢の相続人にとっては重い負担にもなるでしょう。

 

まとめ

相続人に認知症の方がいる場合は、成年後見制度を利用すれば、遺産分割協議ができます。しかし、成年後見制度は色々と家族にも負担がかかるものであり、問題も多いと言えます。

そのため、前もって遺言を用意しておくことが相続手続きをスムーズにする方法だと言えます。

遺言があれば、遺産分割協議をしなくて良いので、ご家族に認知症の方がいても問題ありません。口座凍結の解除や不動産名義変更も進めやすくなりますので、作成しておいた方が良いのです。

 

 


 

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遺言書は死後に遺族に発見されてこそ効力が出ます。また、相続人が遺言書に沿って諸々の手続きをスムーズにできるように、相続開始後速やかに遺言書が遺族の手に渡るようにしておく必要があります。

実は法務局が実施する「自筆証書遺言保管制度」では、遺言者が亡くなった後に指定の遺族に通知がされるシステムがあります

この通知制度は、公正証書遺言にはありません。よって、自筆証書遺言保管制度の大きなメリットといえる部分なのです。

 

自筆証書遺言の保管制度とは

自筆証書遺言の保管制度は法務局管轄の遺言保管所で遺言書の原本を預かってもらう制度です。2020年7月10日より実施されています。
原本は保管所にて管理されるので、紛失することはありませんし、第三者によって内容を改ざんされる怖れもありません。

また、遺言の預かりの手続き時に保管所担当官が形式の確認をしてくれるため、自筆証書遺言の大きなデメリットだった形式不備の心配もなくすことができます。

「署名や押印がされてない」「日付が書いていない」といったことで、遺言書が無効になることがありません。

 

制度利用のメリットと注意点

保管制度のメリットと注意点は以下の通り。
 

(1)メリット

 

法務局には遺言書の原本が保管されるので、紛失はもちろん第三者による改ざんの心配がなくなります。

また、手続きの過程で遺言書が方式に従って作成されているかどうかを担当者が確認してくれるので、形式不備による無効のリスクも回避できます。

なお、法務局で預かってもらう場合、通常の自筆証書遺言とは違ったルールが出てきますので注意しましょう。具体的には以下の項目があります。

遺言書は死亡後に相続人が自由に閲覧可能で、写しの交付を請求することもできます。もし、相続人の誰かが遺言書情報証明書の交付を請求、原本の閲覧等した場合は、ほかの相続人にも遺言書保管の事実が通知されます。

そして、保管制度を利用すると、裁判所での検認手続きも不要になります。通常の自筆証書遺言だと必要なので、その手続きが減る分、遺族にとっては大きなメリットと言えるでしょう。

 

(2)注意点

 

申請はただではありません。手数料がかかります。(公正証書遺言が概ね2万~5万円程度と考えると、それよりは安いですが。)

保管制度を利用する場合、遺言者本人が申請しなければなりません。
出張サービスなどはしておらず、体の不自由な方でも窓口まで行かなくてはなりません。

管轄の法務局は以下の3つなので、事前に予約をしましょう。

そして、内容については自己責任です。記載内容が特定の相続人の遺留分を侵害しているか、不動産情報がきちんと書かれているかは確認されません。

遺言書が有効かどうか不安な場合は、事前に専門家の確認を受けておいた方が良いでしょう。

 

遺言保管制度の通知システム

保管制度では、「死亡時通知」のシステムが利用可能です。これは、遺言者が死亡した際に推定相続人など遺言者が指定した任意の方へ「遺言書が法務局にあること」を通知してもらえる制度です。

法務局は戸籍の担当部署と連携しているため、遺言者の死亡事実が戸籍に反映されれば通知が送られるようになっています。通知相手は推定相続人の他、受遺者や遺言執行者でも構いません。

従来は1名までの指定でしたが、令和5年10月から3名になりました

 

関係者が遺言書を閲覧すると他の関係者にも通知される

遺言書保管所に保管されている遺言書は、遺言者が亡くなった時に、相続人や受遺者・遺言執行者等が閲覧可能となります。

この時、遺言書の閲覧もしくは遺言書情報証明書の交付を受けると、他の関係者に対して、法務局から遺言書が保管されていることが通知されます。

これによって、他の関係相続人等への連絡が円滑になります。ただし、関係者の誰かが閲覧しない限り、この通知は実施されません。

先に述べた遺言者指定自動通知システムで通知を受け取った方が速やかに遺言書の閲覧をしにいくと、その後の連絡がスムーズです。

 

まとめ

通知制度のおかげで、遺言者の死亡後にすぐに遺言内容が遺族に渡るようになりました。

もし、遺族の方で法務局からの通知を受領した場合には最寄りの遺言保管所において、すぐに確認しましょう。

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配偶者居住権は2018年の相続法改正によって創設され、2020年から施行されている新制度です。

この配偶者居住権は、被相続人所有の建物に住んでいた配偶者について、原則、家賃などの支払いをせずに、その住宅に住み続けられる権利を保障するものです。

以前では、遺産分割の中で住宅が売却され配偶者が住む場所を失うといったケースもありましたが、同制度の新設によりこれらの問題が解消されることでしょう。

 

配偶者居住権とは

配偶者居住権は相続開始時に、被相続人が所有していた自宅やマンションに住んでいた配偶者は、原則、家賃などを払わずに終身まで住み続けられるというものです。

 
配偶者居住権の存続期間は対象者の終身までですが、遺産分割協議で存続期間を一定期間にすることもできます。

対象建物の利用については相続開始前と同じにしなければならないので、建物の一部を賃貸として利用していた場合、その状態を継続する必要があります。

 

居住権には長期と短期がある

同制度は「長期居住権」と「短期居住権」の二つに分かれます。
異なる点としては、住める期間・対象建物の範囲・適用要件があります。

配偶者短期居住権では、居住可能期間が「相続開始から6ヶ月間」もしくは「遺産分割が終了し住宅取得が決まった日」のいずれか遅い方となります。また、対象となる範囲は建物の居住部分のみとなります。

短期居住権は、相続開始後に自動的に権利が認められます
また、居住権が相続分にカウントされない=課税対象とならないこと、難しい制度要件がない点があります。

 

制度要件について

前述したように配偶者短期居住権は、法律上当然に認められる権利であり、相続開始後に対象の建物に自動的に一定期間は住み続けられます。

長期居住権については、自動的なものではなく、遺言に記載されるか、遺産分割協議で全ての相続人が同意しないと認められません

それらを踏まえると、長期居住権の制度要件は以下の通りとなります。

 
短期居住権と違ってハードルが高く設定されていますが、要件を満たすことで無償かつ終身まで住むことが可能になります。

 

配偶者居住権とは建物を使う権利

配偶者居住権は所有権ではなく使用権です。
配偶者が自宅の所有権を相続できなくてもその家に住み続けられることが重要な点です。

配偶者が自宅を相続した場合は、所有権を持っているため居住権を行使する必要はありません。配偶者居住権の適用をお勧めするのは、「住んでいた不動産の所有権を相続しなかった場合」です。

以下はお勧めしたいケースの一例です。

被相続人(夫)の相続財産:2,000万円の住宅、2,000万円の現金の計4,000万円
相続人:妻と子供の2人

相続開始前から夫婦は対象住宅に住んでいたとします。

法定相続分に従うと、4,000万円を半分ずつ分ける形になります。
妻は自宅に住み続けたいので住宅のみ(2,000万円)を相続しますが、現金を相続できない分、今後の生活が苦しくなる可能性があります。

しかし、現金も相続すると、法定相続分に足りないので住宅を分割相続する必要があります。この場合、住宅を売却して分割になる怖れがあります。

このような場合に居住権適用がお勧めです。
住宅に配偶者居住権を設定すれば、2,000万円の住宅を居住権分1,000万円、負担付き所有権1,000万円に分けることが可能です。

そうなれば、妻は現金を半分の1,000万円取得して、住宅に住み続けられるようになります。
(子供は1,000万円の負担付き所有権と現金1,000万円を相続します。)

負担付き所有権は、その家に住む権利はありません。配偶者が建物を使用しているうちは売却もできません。

配偶者居住権は対象者が亡くなると消滅するので、負担付き所有権を相続していた人が、権利を全て持つようになります。
そうなれば、自分で住むことや、売却、取り壊し、建て替えが自由にできます。

 

まとめ

配偶者居住権は、今までの相続ルールの問題点を解決する有効な手段となります。

長期の配偶者居住権の利用は決して強制ではなく、権利を取得するには遺言書によって権利を与える事を明記してもらうか、あるいは遺産分割によって権利を獲得する必要があります。

配偶者居住権の利用をした方が良いのかは人によって異なりますので、迷う場合は専門家に相談してください。

 

 


 

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相続が発生すると、被相続人の遺産は相続人に引き継がれます。

その遺産取得の過程で相続税が発生しますが、この相続税は誰にでもかかるわけではありません。むしろ、年間に起こる相続において実は相続税が生じないケースの方が多いのです。

しかし、相続税の申告と納税が必要かどうかは、税務署はいちいち通知してくれません。期限までに「ご自身で判断して」手続きをする必要があります。

では、その判断はどうやってやれば良いのでしょうか。本コラムでまとめてみました。

 

遺産総額が基礎控除を超えているか

相続税発生の大前提は、遺産総額が基礎控除額を超えているかいないかです。

「基礎控除」とは、ある金額までは相続税が課税されないボーダーラインです。被相続人の遺産総額がこのラインを超えた時に、超過分に適応した税率が課税されるのです。

相続税課税率早見表

上表が相続税の税率表です。
ご覧のとおり、遺産が高いほど税率が高くなる累進課税制度が採用されています。

もし、遺産総額が基礎控除額以下であるならば、相続税は生じず、申告も納付も不要となります

基礎控除の金額は一定ではなく、法定相続人の数によって変動します。計算式で表すと以下になります。
 

■基礎控除の計算式
「3,000万円+法定相続人の数×600万円」

 
法定相続人とは民法で定められた相続人です。
故人の遺族の中で配偶者は必ず法定相続人となり、他の子供や両親については、故人との関係性によって順位付がされています。

死亡や相続放棄などで上の順位の相続人がいない場合は下の順位の人が法定相続人となります。
ただし、代襲相続が起きる場合には順位は変わりません。

被相続人の子供に子供=故人の孫がいて、子供が被相続人より先に死亡していても、孫が代襲相続すれば、次の順位の(被相続人の)両親は法定相続人にならないということです。

第1順位…(被相続人の)子供
第2順位…(被相続人の)両親
第3順位…(被相続人の)兄弟姉妹

 

相続に参加していなければ相続税の申告は不要

相続税の申告義務者は相続に参加して遺産を受け取った方です。

よって、相続放棄などで法定相続人にならなかった方は相続税の申告は不要になります
逆に法定相続人でない人でも、遺言書などで被相続人から遺産を受けとった場合は相続税の申告が必要になります。

受遺者以外にも以下のようなケースで遺産を受け取る場合もあります。

 
このようなケースでも相続税申告が義務となります。
相続税の申告期限は、「相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」なので、忘れずに手続きをしましょう。

なお、相続人や受遺者が複数いる場合、各人が個別で税務署に申告をしても構いませんが、相続人の代表者が一括で申告しても良いです。
ただし、相続税申告をまとめて行う場合は、相続人たちが協力し合わないと、手続きがスムーズに進みません。

 

相続税が0円だから申告も不要とはならない

相続税には特定要件をクリアすれば、税額控除となる特例がいくつかあります。
「配偶者控除」や「小規模宅地等の特例」がそれに該当し、遺産額によっては相続税額を無税にすることも可能です。

ただし、これらの特例の要件として、「相続税の申告書を提出すること」とされています。

つまり、相続税が0円になったからといって、申告が不要になるわけではありません。相続税申告書を提出しなければ、特例も適用できないので注意しましょう。

 

気をつけたいケース

今まで述べた基準で相続税の申告義務があるかどうかの判断がある程度つくことでしょう。
しかし、例外的に間違えやすいケースもあります。
 

(1)死亡退職金や保険金を受け取った

 
相続に参加していなければ相続税の申告は不要と説明しましたが、これには例外があります。

遺産を相続していなくても、死亡退職金や保険金を受け取っていれば相続税の申告をしなければならない可能性があるからです

死亡退職金や保険金は、民法では被相続人の財産ではなく受取人固有の財産とされています。
よって、相続放棄をしていても、受け取れるのです。

しかし、税法上ではその仕組みが相続財産と同じである点から、「みなし相続財産」として相続税課税の対象となっています。

前述したように相続税には基礎控除があり、遺産額の合計が基礎控除の範囲内であれば、税金はかかりません。しかし、みなし相続財産が含まれることで合計額が基礎控除の範囲を超えてしまう可能性があるのです。

なお、死亡退職金や保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。この範囲分には相続税はかかりません。

しかし、相続人以外や相続放棄者が受取人の場合は、この枠を適用できないので注意しましょう。

 

(2)家族名義の預金がある

 
名義が家族のものであっても、被相続人自身が管理しており、名義人が自由にできないお金を名義預金といいますが、この名義預金は、被相続人の遺産として相続税の課税対象になります

よって、名義預金を含めた遺産総額が基礎控除額を超えれば相続税の申告義務が生じます。

 

まとめ

相続税の申告と納税は期限までにご自身で手続きをする必要があります。
税務署は教えてくれません。(相続税を申告するよう促す書類が送られてくる場合はありますが。)

申告及び納付をしないままでいると、期限後に延滞税や加算税といった追徴が行われます。

判断に迷う場合は税理士に相談してください。

 

 


 

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遺言書は故人の意思を相続に反映させる書類であり、内容が偏っていなければ、相続人間の争いを避けることや、相続手続きをスムーズにするという効果も期待できます。

しかし、時には「全く違う遺言書が複数見つかった」ということもあります。このように二つ以上の遺言書が出てきた場合、どの遺言書が優先されるのか、解説いたします。

 

遺言書の種類

まず遺言書は、「普通方式」と「特別方式」の2つに分かれます。普通方式遺言は私たちがイメージする一般的なものです。特別方式は作成できる条件が限定されるため、作成件数は多くありません。
 

(1)普通方式遺言

 
一般的な遺言書であり、遺言者が存命であれば、いつでも作成することができます。形式によって「自筆証書遺言」・「公正証書遺言」・「秘密証書遺言」の3つに細かく分類されます。
 

 

 

 

(2)特別方式遺言

 
普通方式遺言が残せない特殊な状況下にある場合、作成できます。

特殊な状況下とは、病気やけがなどで死亡の危機が迫っている、乗っている船が遭難し、死の危険に瀕している、伝染病などで遠隔地に隔離され、通常の遺言方式を利用するのが難しいなどです。

それぞれの状況下に応じて、作成方法はやや異なりますが、証人の立ち会いが必要です。

 

遺言書の優先順位はあるのか

遺言書にはたくさんの種類がありますが、これらの中では優先順位は決められていません。

では、複数の遺言書が出てきた場合にどうするのかというと、新しい日付の遺言書を優先することになります

もし、公正証書遺言の後に古い日付の自筆証書遺言書が出てきた場合、公正証書遺言の内容が優先となります。
日付が1日違いだったとしても、新しい方が優先となるのです。

ただし、遺言内容が抵触しない項目については、古い日付の遺言の効力が残ります

例えば、最初の遺言で「預貯金を長男に渡す」と記載され、後の遺言では「不動産は次男に渡す」と記載されていた場合、どちらの遺言の効力も残ります。

ただし、これは不動産と預貯金は別の財産であるからです。日付の新しい遺言書で財産全体の配分割合が指定されている場合は事情が異なります。

 

日付のない遺言書は無効になる

遺言書には日付が必要ですから、日付のない遺言書は無効です
なお、年月のみしか書いていない遺言書は無効ですから、作成時には年・月・日を忘れずに書くべきです。

その他、必要項目が抜けていて形式不備となる遺言書は無効です
無効になれば、新しい遺言書と内容が抵触していなくても、その遺言書の内容は実行されません。

自筆証書遺言で言えば、「全文を自筆で書いていない(別の人が書いた、PCで作成した)」、「署名押印が抜けている」などが形式不備の事項です。
これらはかなり多いパターンなので、遺言作成時には十分注意するべきです。

 

遺産分割協議結果と遺言はどちらが優先か

遺言は故人が自分の財産の処分について意思決定した書類であり、相続では強い効力を持ちます。
そのため、遺産分割協議結果よりも優先されます

もし、遺産分割協議がまとまった後に、遺言が発見された場合は、遺言内容に従うことになります。

ただし、遺言でも遺留分(法定相続人が最低限の遺産を取得する権利)を侵害するような内容の場合は、効力を持たない可能性もあります。

そして、仮に法定相続人全員が合意するのであれば、遺言内容と違う遺産分割協議をしても大丈夫です。
ただし、遺言執行者や相続人以外の受遺者がいる場合は、それらの同意も必要です。

 

新しい遺言書を作成する場合の注意事項

遺言書は新しい日付のものが優先されます。そして、内容が被らない部分については、古い遺言書でも有効となります。
そのため、遺言書が多数存在していると、どの部分が有効かで相続人達が混乱しやすくなります。

よって、新しいものを作る際には、「○年○月○日に作成した遺言は撤回する」という内容を記載して、前の遺言書を撤回しておくとわかりやすいでしょう。

 

まとめ

遺言書は種類の中での優先順位はありません。日付の新しいものが優先されます。

ただし、内容が抵触しない項目については、古い日付の遺言であっても効力が残ります。
相続時に遺言が複数発見された場合は、まずは日付をチェックし、その後に内容に被りがないかを確認してください。

 

 


 

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相続で取得した不動産について住む人がない、賃貸物件としての活用も難しいのであれば、手放すことも検討しましょう。

というのも、不動産は所有しているだけで年に数回固定資産税が徴収される他、修繕費やメンテナンス費の負担もあるからです。特に人が住まない家は傷みやすいので、そのまま放置していると、多くのお金がかかるでしょう。

不動産を処理するには売却が最もベターな方法ですが、寄付という方法もあります。
実は相続不動産を国へ寄付できる制度も2023年から始まっています。

この制度を利用すれば、国に土地を引き取ってもらえる可能性がありますが、要件が厳しいこと、負担金があるなど、デメリットもあるので注意が必要です。

 

相続土地国庫帰属制度

(1)概要

 
相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈によって取得した土地を国庫に返還する制度です。

土地であれば何でも良いというわけではなく、寄付できる土地には条件が決められています
また、その土地管理に要する10年分の費用を寄付する方が負担しなければなりません

審査もゆるくはないことと、それなりの負担金があることから、安易に利用できる制度ではありません。

相続土地国庫帰属制度の施行日は2023年の4月27日であり、既にスタートしている状態です。
同制度の創設により、民法に所有権放棄に関する新たな規定は設けないこととなりました。

 

(2)申請資格者の要件

 
申請者は相続もしくは遺贈によって、その土地を引き継いだ方です。
生前贈与で土地をもらった方は対象ではありませんし、購入した方も同様です。

また、土地を複数人で共同所有しているのであれば、他の共有者の合意がなければ申請できません。

 

(3)土地要件

 
国に寄付できる土地は通常管理・処分するにあたり高い費用や労力がかからないものに限られます。

つまり、草木が生い茂っている荒れ地、産業廃棄物や建材が散乱しているような土地だと、国は引き取りません。
更地にして再利用するために、手間とお金がかかるからです。

具体的に制度の対象にならない土地は以下の項目に該当するものです。

 
以下のものはケースごとに判断されます

 
後に述べた項目に該当しても、一つ一つ整理していけば、審査に合格できる可能性はあります。

 

(4)費用

 
同制度には申請手数料と負担金が必ずかかります。
申請手数料は、登記上の土地の個数を表す単位である1筆当たりに1万4000円がかかります。

審査手数料は、申請書に収入印紙を貼って納付します。
このお金は申請を取り下げた時や審査が不合格になった際にも返ってきません。

また、承認された後に、土地の管理費として10年分の負担金を納付しなければなりません。
負担金は、基本的に1筆20万円がベースです。森林や田畑の場合は面積に応じ算定されることになります。

 

相続土地国庫帰属制度は安易に利用できない

相続土地国庫帰属制度で国に返還できる土地は、通常管理や処分に際し、高い費用や労力を必要としないものに限られます。
面倒な土地を国は引き取ってくれません

また土地は更地であることが重要です。
崖地や適切な造林などが実施されていない森林など、活用ができないと判断されれば審査落ちとなります。

審査には半年から1年ほどの期間がかかります。

そして、10年分の管理費に相当する額を支払う必要があります。
100m2の住宅地の場合は審査料と合わせて40万円程度かかるので、負担はかなりのものになります

 

遺贈寄付

国への返還制度を利用しない場合、国以外の団体に「相続人が寄付をする」か「遺言者が遺言によって寄付を指定する」という遺贈寄付もあります。
寄付を受け付けているのは、学校や公益法人・非営利団体等があります。

しかし、遺贈寄付もハードルが高いといえます

そもそも、土地の寄付を受け付けている非営利団体はとても少ないのが現状です。
不動産は現金の寄付と比較すると、「団体活動への利用が簡単ではないこと」「換金の手間がかかること(売れないリスクもある)」などが主な理由です。

このような点から、相続不動産の寄付も難しいと言えます。
売却できなかった土地の処理として、寄付を選択するのも良いですが、簡単ではないことは覚えておきましょう。

 

まとめ

相続で取得した土地の寄付は簡単ではありません。「不要な土地は寄付すれば良い」と考えるのは危険です。
いずれにせよ土地は持っているだけで税金が発生しますので、早期に処理できるように対策をしておくべきです。

 

 


 

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