厚木市で 相続手続 支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。

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相続税の申告期限は、「申告者が相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」と決められています。

こう聞くと「10ヶ月もあるし、余裕があるな」と多くの方が思うでしょう。しかし、実際には申告期限ギリギリになってしまうケースがほとんどです。中には、ご自身での申告が間に合わず、期限間際になって税理士に申告代行を依頼するケースも多々あります。

相続税の申告は単純なものではありません。

税額の計算にしても、相続財産の把握・法定相続人の確定・遺産分割の決定等々、様々なプロセスが必要になります。これらのプロセスはすぐに終わりません。また、相続における手続きは相続税申告だけではなく、他にも沢山あります。

よって、相続税の申告は全てがスムーズに行えたとしても、「半年以上はかかるもの」と考えておくべきです。

 

相続税の申告期限は思ったよりも早く来る

冒頭でも述べた通り、相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。納付の期限も同じです。

期限は「相続開始を知った日」からカウントされるので、相続人によっては相続開始日の10ヶ月後より後ろ倒しになる場合もあります。

ただし、相続税の申告は相続人が共同で申告書を提出します。よって、相続期限は相続開始日から10ヶ月以内と考えて、手続きを進める方が良いでしょう。申告期限は10ヶ月もありますが、期限は思ったより早くやってきます。何故なら、相続では必要な手続きがたくさんあるからです

各手続きは一つ一つ時間がかかり、すぐに終わるものでもありません。よって、申告のための作業は早期に取り掛かる必要があります。

 

期限を過ぎてしまった場合は、追徴課税

もし、前述の期限を過ぎてしまった場合、本来の相続税に加えて無申告加算税・延滞税を納めなければなりません

さらに財産の隠蔽や虚偽の申告等、悪質だと判断された場合は重加算税という重いペナルティが課せられます。(ただし、単純に申告期限を過ぎてしまったケースでは重加算税は課せられません。)

なお、相続した土地の相続税評価額を大幅に減額できる「小規模宅地等の特例」は期限内申告が前提となります。被相続人の配偶者控除制度も同様です。

このことからも、申告・納税は必ず期限内に済ませるべきなのです。

 

相続税申告に必要な作業とは

相続税の申告には様々なプロセスが必要になります。
 

(1)財産調査

 
申告には正しい税額計算が求められます。よって、被相続人の財産の全容を明らかにし、財産ごとに評価していかなければなりません。

財産調査は各ケースによってかかる労力が異なります。

例えば預貯金だと、「被相続人がどこの金融機関を利用していたかすぐにわかる」、「利用口座も少ない」のであれば、特定作業に手間はかかりませんが、海外の口座を利用している場合は大変です。

不動産でも、自宅だけなら簡単ですが、遠方地に別荘や倉庫を有している場合、不動産情報を手に入れるのに苦労します。

 

(2)相続人確定

 
相続人確定は、遺産分割と相続税申告に向けての重要な作業です。

遺産分割は、すべての相続人を確定しないとできません。遺産分割協議は最終的に相続人全員の同意を取らなければならないからです。参加者が欠けていると、その協議は無効となります。

また、相続人数は基礎控除を決める要素なので、早めに確定しておかなくてはなりません。基礎控除は相続税が生じるかどうかの指標の額だからです。(基礎控除は「3000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算します。)

なお、相続人は自己申告制ではなく、戸籍を使っての証明となります。戸籍は、被相続人が死亡してから原則として出生まですべて遡り、除籍謄本や改製原戸籍といった古いものまで取得します。

相続人がすべて判明したら、その方が生存中か、相続人であるかの証明のために相続人本人の「現在の戸籍」も必要になります。

 

(3)遺産分割

 
遺言書がなければ、相続財産は相続人同士での協議で配分を決めます。こちらも財産内容や相続人同士の関係性で、かかる時間が変わってきます。

なお、遺言があればこの遺産分割協議をしなくて良いので、かなりの時間短縮になります。

協議で分割割合が決まったら、遺産分割協議書を作成します。書類には、すべての法定相続人の自署と原則実印(不動産がある場合は必須)の押印が必要です。

 

(4)正確な税額計算をする

 
全ての財産の相続税額を計算します。

相続財産はそれぞれ評価方法が異なります。財産が金銭のみなら計算も簡単ですが、不動産や株式がある場合は、専門の税理士に依頼しないとスムーズに進みません。

なお、計算を間違えてしまうと、申告においてペナルティを被ることになります。不安な場合は、やはり税理士にお願いする方が良いでしょう。

 

まとめ

相続税の申告・納税までには多くのプロセスがあります。加えて、他にも行わなければならない手続きがあります。

準確定申告や相続税の申告、相続放棄や限定承認の選択には期限が設けられているため、時間をかけすぎてもいけません。確実に進めるためにも、早めに取り掛かるようにしましょう。

 

 


 

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相続税の申告には正しい税額計算が不可欠です。とは言っても、相続税の計算は簡単ではありません。各財産に応じて評価方法が異なりますから、専門知識はもちろん、ある程度の経験がなければ、非常に難しい作業です。故に、一般の方が行うと申告額に誤りが生じる可能性は高くなります。

申告を一度した後に間違いに気づくケースも出てきます。この場合、申告の期限内であれば、再度申告書を出し直せば、ペナルティはありません

ですが、期限がすでに切れてしまっている場合には、事情が変わります

 

申告の出し直しは期限内であれば問題なし

相続税の申告期限は相続開始を知ってから10ヶ月以内となっています。

一度提出した申告書の内容が間違っていることに気がついた場合、それが上記の申告期限内であれば、問題ありません。申告書を修正して、もう一度提出すれば良いからです。

相続税法では、申告期限内に相続税の申告書を提出した方が、さらに同期限内にその申告にかかる課税価格、相続税額、もしくは贈与税額を修正した申告書を提出する場合、国税通則法第19条第1項の修正申告書とはされず、期限内申告書として取り扱われるとされています。

申告期限内に、申告書を再度提出する行為は「訂正申告」と呼ばれます。

要するに、期限内であれば後に出した申告書が正式な申告書として扱われます。よって、間違いに気づいた場合は焦らずに修正作業をしましょう。

なお、期限切れにはくれぐれも注意しなければなりません。

 

期限後の場合は、早急に提出すること

申告期限後に、正しい金額で訂正した申告書を提出する行為は「修正申告」と呼ばれます。こちらは期限後ということで先述の訂正申告とは事情が違います

相続税の本来の申告と納付期限を破ることになるので、ペナルティとして「過少申告加算税」と「延滞税」が課されるからです。

延滞税は本来の納期限日から修正申告をした日(この日が修正した相続税の納期限となります)までの期間に、年14.6%(2カ月以内の場合には年7.3%)が本来の税金に加算されます

過少申告加算税とは正しい税額よりも低い金額で申告をした場合に加算されます。過少申告加算税は修正申告をするタイミングで課税率が変わります。

以前では、税務調査前までに修正申告を行えば、加算税の対象外となっていました。しかし、現在では調査通知が来るまでに行わなければ、税金を課せられてしまいます

 

修正申告が必要なケースは他にもある

修正申告が必要となるのは、税額計算に間違いがあった場合以外にも必要です。

新しい相続財産が後になって発見された場合や、特例の適用誤りがあった場合でも、相続税額が変動します。よって、修正申告が必要となります。

 

修正申告はできる限り早くする

税額が不足していたことがわかった場合、それが申告の期限後であれば税務署に修正申告書を提出します。修正申告書は税務調査で更正を受けるまでであれば、いつでも提出できます。

相続税の修正申告に特に期限は設けられていませんが、前述した通り、後になればなるほど延滞税が課せられていくので、早い段階で手続きを終える必要があります

申告書や添付書類は国税庁のホームページからダウンロードできます。

提出は、管轄の税務署窓口に必要資料を直接持参するか、郵送でも大丈夫です。e-Taxでの電子申告でもできます。どの方法を選択しても、納税額は変わりませんので、早めに済ませておきましょう。

 

修正申告は税理士への依頼がお勧め

相続税の修正申告は、税理士に依頼する方が良いでしょう。税理士に依頼することで報酬は発生しますが、適切に申告してもらえるメリットがあります。

冒頭でも述べましたが、相続税は、複雑なプロセスの中でする作業なので、専門知識と経験がないとハードルの高い作業になります。

その点を考慮すると、税金のプロであり、豊富な経験を持つ税理士なら、正確かつ素早い税額計算が可能です。

前述したように延滞税は、遅れれば遅れるほど金額が増えていくものですから、計算に時間をかけなければ無駄な税金を払わなくて済みます。

また、大変な作業を税理士に任せれば、精神的な負担からも解放されます。

 

まとめ

相続税額の計算は複雑ですから、間違いも起こりやすいと言えます。
誤りに気づいて申告期限内に申告書を出し直すのであれば、問題はありません。期限を守ることに集中して、手続きを終えるようにしましょう。

ご自身で手続きをやり直すのも良いですが、確実性とスピードを求めるのであれば、相続税専門の税理士に手続きを代行してもらうことがお勧めです。

むしろ、最初から税理士に依頼してしまった方が、負担も少なくて済みます。依頼することで様々なメリットがありますから、是非検討してください。

 

 


 

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相続登記の義務化が先月の4月1日より始まりました。相続や遺贈で取得した不動産については「3年以内」に相続登記をする必要があります。これは、4月1日以前の相続も対象であり、正当な理由なくこれを怠った場合、10万円以下の過料が課されます

よって、今まで手続きを放置してきた方は急いで手続きをしなければなりません。

ただし、長期間、登記を怠った代償で権利関係が複雑化しており、相続登記手続きがすぐには終わらないケースもあるでしょう

そのような場合には、相続登記の義務化と併設された「相続人申告登記」を利用しましょう。相続人申告登記を行うと、相続登記申請義務を果たしたとされ、罰則対象からも一時的に外れるからです

 

新制度 相続人申告登記について

相続人申告登記とは、「不動産の登記名義人について相続が開始したこと」と「自らがその相続人であること」を法務局に申し出るものです。

申請が完了すると、申し出た相続人の氏名と住所等が登記簿に記載されます。

相続人申告登記をすると、相続登記の申請義務は履行されたことになります。申請義務が履行された場合、相続登記義務の罰則対象からも外れます。

そのため、相続不動産の相続登記がすぐにできないような場合=期限の3年以内に手続きが完了しない場合には、この相続人申告登記を活用すべきです。

なお、この相続人申告登記は単独での申請が可能です。一部の相続人が他の複数人分をまとめて申請することもできます。申告は遺産分割協議が終わっていなくても構いません。

 

相続登記との違い

相続人申告登記と相続登記との違いは、相続人申告登記が所有者変更をする手続きではないという点です。相続人申告登記をすれば、申し出た方の氏名や住所が登記簿に記載されますが、持分までは載らないのです。

要するに相続人申告登記とは、権利取得を示す正式な登記手続きではなく、過料を回避するための一時的な手続きでしかありません

相続人申告登記をすれば、相続登記が不要になるわけではないのです。そのため、最終的には余分な手続きとなってしまいます。

よって、登記手続きが期限内に終わらないなどの理由がない限り、相続人申告登記はする必要がありません。

 

相続人申告登記はこんな場合にお勧め

相続では、遺産分割協議や必要書類の用意等があり、相続登記の申請がすぐに終わるわけでもありません。不動産の権利関係者が多く、それらをまとめあげるのに数年間を要する場合もあります。

つまり、相続登記の期限内に登記が終わらない場合はこの制度を利用するべきです。相続登記の義務化では、相続によって所有権を取得した事実を知ってから3年以内に登記が必要です。

過料を避けるためにも、登記がスムーズにいかないとわかった時点で「とりあえず」相続人申告登記をしておきましょう。

なお、とりあえずの登記としては、法定相続登記もありますが、これは不動産を一旦法定相続分で分けて、相続人全員の共有名義で登記するものです。

しかし、こちらの手続きは被相続人の出生から死亡までの戸籍全部と相続人全員の戸籍など必要資料が多く、手間がかかります。

 

相続人申告登記の手続き

手続きは不動産所在地にある法務局でします。

必要な書類は、被相続人の戸籍謄本または除籍謄本、申出をする相続人の戸籍謄本、住民票です。

なお、申告の際には登録免許税などの手数料はかかりません。

 

相続人申告登記の注意点

(1)申請義務を履行したとみなされるのは申出人のみ

 
申請義務期間内に相続人申告登記を行えば、相続登記の申請義務の履行をしたとされて、ペナルティーを課されることはありません。

しかし、相続登記の申請義務の履行をしたとみなされるのは、申し出をした相続人だけになります。他にも共同所有の相続人がいる場合、ペナルティーを免れるために相続人申告登記の手続きが必要です。
 
 

(2)二度手間になる

 
相続人申告登記では所有権は移りません。よって、相続不動産を売りたくなった時には相続登記をして所有権を移す必要があります。不動産は故人名義のままでは売却できないからです。

繰り返しますが、相続人申告登記をしたからといって、相続登記が不要になるわけではありません。相続人申告登記はあくまでも相続登記までの一時的な手続きだという点に注意してください。

 

(3)登記簿に住所氏名が載る

 
相続人申告登記後は、登記事項証明書に申告者の住所・氏名が記載されます。

登記事項証明書を取得すれば、相続人申告登記をした人の住所・氏名がわかります。よって、不動産業者の営業広告などが送られるかも知れません。

他にも、相続人申告登記をした相続人に税金関連の書類が送付されるかもしれません。

 

まとめ

先月から相続登記の義務化がスタートしています。それに伴い、相続人申告登記制度という制度も始まりました。

この制度では相続登記の申請義務の履行をより簡単にできます。

ただし、相続人申告登記だけでは、所有権は移らないので、後々で相続登記をするのを忘れないようにしましょう。

 

 


 

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相続が発生した際は、故人にいくらの財産があるのか正確に把握しなければなりません。財産を把握することは、相続税の申告の他に、遺産を相続するか決めるため(相続放棄を選択するかどうか)でもあるからです。

財産調査後には、ご自身で財産目録を作成しておくと便利です。目録の作成は義務ではありませんが、作成することで多くのメリットがあります。

 

財産目録の作成目的

相続における財産目録とは、故人の保有していた財産について、その区分、種類ごとに一覧にし、財産の状況が明らかにされたものです。預貯金、不動産等のプラスの財産や、借金、ローン等のマイナスの財産も含まれます。

財産目録の作成目的としては以下があります。
 

(1)全ての財産を明らかにする

 
相続では全ての財産を把握することが重要です。法定相続人になると被相続人の財産を全て引き継いだ上で、その分配について協議します。そのため、総財産が不明のままでは、分配について話し合えません。

総財産が明確になっていないと、相続人同士でも財産隠しの疑念がわきあがり、争いのきっかけになってしまいます。トラブルを起こさず円滑に相続を実行するため、財産目録が便利なのです

また、全ての財産を明らかにすることは、相続放棄の選択の指標にもなります

 

(2)相続手続きをスムーズにする

 
遺産分割協議については、あらかじめ財産目録があればスムーズに協議ができます。

財産目録があれば、総財産を協議者全員が理解した上で、話し合えます。一部の相続人だけしか知らない状況で話し合うと、分配内容は不公平なものになる可能性が出てきてしまいます。

円滑かつ公平性という観点からも財産目録は作成しておくべきです

 

(3)遺言書の作成

 
遺言書を作成する際にも、財産目録を作成しておくべきです。遺言書には財産の分配方法や内容について書きますが、遺言者・受遺者共に財産を把握できるように財産目録があれば便利です

特に、多くの銀行と取引をしていたり、不動産を多く所有していたりする場合には、財産目録を作成しておくべきでしょう。相続での手続きもスムーズになります。

 

ケースによっては目録作成が必須の場合も

財産目録は必ず作成しなければならない場合もあります。

一つ目は遺産分割の調停。この場合、家庭裁判所に財産目録を提出しなければなりません。

二つ目は遺言書で遺言執行者が指定されている場合です。遺言執行者は相続人に交付するために財産目録を作る必要があるのです。

 

財産目録に記載する内容

(1)プラスの財産

プラスの財産が多品種ある場合も考えられます。
数が多くとも記載漏れが出ないようにしましょう。

 

(2)マイナスの財産

マイナス財産も目録に記入します。
マイナス財産の大きさは、相続放棄や限定承認を判断する指標になるからです。

 

財産目録を作成するときの注意点

財産目録には決まった形式はありません。しかし、書く際のポイントがあります。
 

(1)財産が特定できること

 
例えば、預貯金であれば、口座がある金融機関の名前だけでなく、支店名、口座種別、口座番号、口座名義も明記しておくと特定が簡単です。

不動産は、地番・地目・持分・面積など詳細に記載しましょう。

負債については、その種類や借入先の名前、借入総額、債務残高を書きます。毎月の返済額や完済予定日も記しておくと、なお良いでしょう。

 

(2)財産の内容に漏れがないようにすること

 
目録で、一部の記載が漏れていた場合、その財産については遺産分割協議により分割内容を決めることになります。つまり、漏れがあった部分は、その分について再度分割協議を行う必要があります。

そのため、財産の記載漏れをしてしまうと後になってからかなりの手間と時間がかかることになります。

財産目録を作成する際は財産の全容をしっかり把握し、漏れのないようにしましょう。

 

まとめ

財産目録は義務ではないので、作成しなくても問題はありませんが、あった方が相続手続きはスムーズになり、かつ相続人同士のトラブルも防げるので、作成しておくべきでしょう。

 

 


 

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故人でも、生前に一定の所得を得ている場合、確定申告が必要です。ただし、故人は手続きができないので、法定相続人が代わりに行います。この手続きは「準確定申告」と言います。準確定申告にも期限があるので、期限内に申告と納付を完了しなければなりません。

では、家族全員が相続放棄した場合は、どうすれば良いのか

また、準確定申告では税金を支払う場合もあれば、還付金が戻ってくる場合もあります。相続放棄しても、準確定申告すれば、還付金は受け取れるのでは?という疑問も出てきます。

本コラムでは、それら相続放棄と準確定申告の事項について解説いたします。

 

相続放棄

相続放棄は遺産を全く受け取らないことです。つまり、法定相続人としての権利を手放す行為です。相続権がなくなるので、相続財産の取得はできませんが、借金なども受け継がなくて良くなります

そのため、相続財産に借金が多い場合や、遺産分割協議に参加したくない(他の家族と関わりたくない)場合でも利用されます。

相続放棄は手続きの期限があります。期間は自身が相続人であることを知ってから3ヶ月以内(熟慮期間内)です。

期限が過ぎると、「単純承認」を選択したという扱いになり、相続放棄はできません。単純承認とは、全ての遺産(債務も含めた)を相続するということです。

なお、相応の理由がある場合(例えば遺産に不動産や株式等が多く、遺産総額の評価算出に時間がかかっている、被相続人があちこちに借金をしており、債務整理が終わらない等といった場合)、3ヶ月の期限延長も可能です。

ただし、期限延長は家庭裁判所の判断に委ねられますので、100%成立する保証はありません。よって、相続放棄の判断は熟慮期間内にできるようにしておきましょう。そのためには、遺産の調査や相続税評価を早急に済ませておくべきです。

 

準確定申告

準確定申告は、故人が生前の一定期間に所得を得ていた場合、その金額に応じて遺族が申告と納付をすることです。

手続き期限は「相続開始を知った翌日から4ヶ月以内」です。申告者は法定相続人であり、故人の所得を計算した上で、税務署に申告します。

準確定申告が必要なのは、以下のようなケースです。

 
準確定申告が必要なのに申告期限を過ぎてしまうと、加算税(無申告加算税)が課されます。また、納付が遅れた日数に応じて延滞税も課されます。

 

相続放棄すると準確定申告はしなくて良い

前述したように準確定申告の申告義務者は「法定相続人」です。よって、準確定申告は、原則として、法定相続人全員の連署によって申告書を提出します。

しかし、相続放棄すると、その方は法定相続人ではなくなり、最初からいなかったことになります。相続人でない以上、申告義務者ではないので、準確定申告する必要はありません。

では、法定相続人が全員相続放棄をするとどうなるのか。

準確定申告の申告者は、厳密に言えば「相続人又は包括受遺者」です。包括受遺者とは、遺贈対象の財産を特定せずに、プラス財産とマイナス財産を遺贈される方です。

そのため、遺言によって包括受遺者が指定されている場合は、法定相続人が全員相続放棄すると包括受遺者が単独で準確定申告の手続きをします。

包括受遺者が指定されておらず、全員が相続放棄を選択した場合では、相続財産は法人化されて管理(相続財産法人)されますが、その相続財産法人の管理人が準確定申告の手続きをします。

よって、相続放棄をすると準確定申告のことは気にしなくて良いのです

 

準確定申告すると単純承認が成立してしまう

相続放棄した場合は、準確定申告しなくて良くなります。しかし、準確定申告では還付金がもらえる場合もあるので、相続放棄したとしても手続きができそうな気もします。

結論を言えば、相続放棄をした時点で準確定申告はできませんし、むしろ相続放棄成立前に準確定申告すれば、「単純承認」が成立し、相続放棄が認められない可能性があります

つまり、準確定申告して、被相続人の所得税の還付請求をしてしまったために、それが「財産の処分」と捉えられ単純承認とみなされるのです。還付金を受け取るのは相続人なので、相続放棄をした方は受け取れないからです。

よって、相続放棄を考えているのであれば、準確定申告はしてはいけません

 

まとめ

相続放棄した場合は、準確定申告をしなくて良いのです。

ただし、相続放棄の手続きの前に準確定申告と還付請求してしまうと、単純承認とみなされて、手続きができなくなる可能性もあるので注意しましょう。

 

 


 

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遺言書を作った後で、家族との関係や考え方が変わることはよくあることです。関係性や考え方に変化があれば、遺言書内容を変更したくなるでしょう。

遺言書も一般的なもので自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言の3種類があります。公正証書遺言は公証役場で作成されるので手続き自体は異なりますが、遺言書の変更や撤回などは可能です

 

遺言書に指定できる内容

遺言書は、作成者が亡くなった後の相続で効力が生じる書類です。代表的な種類に自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言があります。

自筆証書遺言…遺言者本人が自筆で完成。簡単に作れて費用はかからないが、形式不備によって無効になるリスク、紛失の怖れがある。(法務局の保管制度を利用すれば、それらは回避できる。)

公正証書遺言…公証役場で公証人が代理作成するため、形式不備になることがない。原本も公証役場に保管されるため、紛失も無い。公証役場に支払う費用がかかる、また作成の打ち合わせなどに手間がかかる。立ち合いの証人も準備しなければならない。

秘密証書遺言…こちらも公証役場で手続きが必要。証人も用意しなければならない。遺言書の作成記録は役場に残るものの、遺言書原本の管理は遺言者がする。その仕組みのせいで、内容不備はもちろん、紛失のリスクもある。デメリット部分が目立ち、利用率は低い。

 
遺言書は上記のどんな種類であっても、内容として書けるもの=指定できる事項は同じです。
 

相続分の指定ですが、遺留分を侵害するような配分は指定できません。(例えば、「妻に相続財産を全て渡して、子供には渡さない」等の偏った内容の遺言は通りません。)

遺言の内容も絶対ではないのです。

 

遺言は撤回できる

遺言はいつでも取り消しが可能で、何度でも書きなおす事ができます
撤回は、遺言の一部についてでも内容の全部でも、どちらでも可能です。

遺言作成については各形式でルールが決められていますが、その撤回にもやり方が決まっており、遺言は遺言で取り消します。

 

遺言書内容の変更方法

遺言はいつでも取り消しができ、何度でも書きなおせると述べましたが、「遺言の一部だけ」を修正したい場合の具体的な方法としては以下の方法があります。

 

(1)新たに遺言を書き直す

 
遺言書は日付によって優先順位が決まります。つまり、新しい日付のものが有効です

古い日付の遺言書に「自宅は妻に預貯金は長男に」と書かれていても、新しい日付の遺言書に「自宅は長男に預貯金は妻に」と書かれていれば、遺産配分は後者の通りに実行されます。

なお、遺言書の種類に優先順位はないので、自筆証書遺言の次に公正証書遺言を新しい日付で作成すると公正証書遺言の内容が優先されます。

 

(2)作成した遺言自体を変更する

 
変更する部分が軽微かつ、自筆証書遺言の場合は直接その遺言の文章を変更できると定められています。

自筆証書遺言の変更方法は、変更箇所を示し、変更した旨、変更した内容を書き、署名と押印をします。

やり方に不備があれば無効となり、変更自体が無かったものとなります。また、元の内容がそもそも判別できなかった場合、該当部分は当初から記載無しとみなされるので注意しましょう。

公正証書遺言の場合、基本は一から作り直すこととなりますが、訂正内容が「補充や一部修正の範囲内」と公証人に認められれば、「更正証書」や「補充証書」を作成することになります。

この場合、手数料はもとの公正証書遺言の作成にかかった費用の半分程度になります。

 

遺言書の取り消し

遺言書を取り消したい場合、原本を破棄します

自筆証書遺言の場合は、保存してあるものを破棄します。公正証書遺言の場合、原本が公証役場に保管してあるので、撤回の申述をするか、新たに遺言書を作成することになります。

なお、公証役場での撤回は、遺言書作成時と同じように、証人2名の前で、公証人に対して、公正証書を無かったことにしたい旨を述べて、公正証書に署名捺印します。この時、手数料が11,000円かかります。

 

遺言者死亡後の遺言書の取り消し

遺言書は作成者が亡くなった後の相続で効力が発生します。そのため、相続開始時には原則的に遺言の取り消しや変更はできません

しかし、遺言作成時に、遺言者が他の相続人・受遺者から脅迫を受けたり、詐欺行為があった場合は取り消しが出来ます

ただし、子の認知などの身分に関する事項は取り消しが一切できません。

 

まとめ

遺言書の変更について解説しました。遺言の種類にもよりますが、手続きをすることで変更は可能です。また、手続きが面倒であれば新しい遺言書を作成することでも内容の変更は可能となります。

ただし、遺言書はその内容によっては、相続時に家族間のトラブルを起こす可能性があります。遺言書が争いの火種にならないように、内容は慎重に検討すべきです。

 

 


 

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遺言書では、遺言者本人の意思を相続に反映させることができます。その遺言書の内容に従って各種の手続きをするのが「遺言執行者」です。

遺言内容実現のため、執行者には遺産の管理や必要な行為をする権利義務が定められています。

ここまで書くと、相続手続きのほとんどを遺言執行者ができそうに感じるかもしれません。相続手続きの中で一番時間がかかって厄介なのが「相続税の申告」ですが、これも遺言執行者ができるのでしょうか。

 

遺言執行者を指名する意味

遺言執行者は遺言内容を実現する人です。故人の意思である遺言に従い、各種の手続きをする権限が与えられます。
そのため、「必要範囲内」で相続人および受遺者の代理人として手続きをします

遺言執行者を選任しておくことで、不動産登記の放置をなくす、他の相続人による財産処分を抑止するといった効果が出ます。
また、相続人が複数人いる場合、書類収集や署名押印などに手間がかかりますが、遺言執行者がいれば「相続人の代表」として動けるので、労力が大幅に軽減されるのです。

なお、遺言執行者は相続人やそれ以外の第三者、例えば被相続人の友人でも良いです。
遺言執行者の欠格事由に当たる「未成年者」もしくは「破産者」でなければ誰を指名しても構いません

※未成年者は相続開始の時点で成人していれば大丈夫です。

 

遺言執行者でも相続税申告はできない

さて、本コラムの本題です。

遺言執行者には遺言内容実現のために、必要な範囲内で様々な権限が与えられると書きました。こう書くと、手続きのほとんどができそうですが、遺言執行者であっても相続税申告は他の相続人や受遺者の代理として行うことができません

この理由としては、相続税申告が「相続人および受遺者の固有の義務」だからです。️執行者であっても、代理として手続きをする権限はないわけです。

相続税の申告期限は「相続開始を知った日(死亡日)の翌日から10ヶ月」となっています。この期限を過ぎれば、1日ごとに延滞税が加算されていくことになります。また、無申告として加算税が課せられる恐れもあります。

よって、遺産を受け取った方がご自身で期限内に手続きをするか、税理士に代行してもらわないといけません。

 

遺言執行者ができること

遺言執行者が主にできる手続きは、以下の通りです。

遺言執行者は遺言内容の実行に関する手続きをします。
そのため、前述した相続税の申告などはできないのです。

なお、以下の手続きは遺言執行者しかできません。

○子供の認知
遺言書では非嫡出子の認知もできますが、その手続きをするのは遺言執行者だけです。認知された子供は実子と同様の扱いとなり、相続権を持つことになります。遺言執行者は就任後10日以内に認知届けの提出をします。

○推定相続人の廃除や取り消し
相続人の廃除とは、推定相続人の中に遺言者へ虐待・侮辱・著しい非行などをした人がいる場合に、相続人としての権利を剥奪することです。廃除となれば、一切の相続権を失います。

○特定遺贈
不動産など特定の財産を相続人以外に相続させる特定遺贈の実行は、遺言執行者のみができます。これは民法改正によって決まったルールです。例えば、特定遺贈財産が不動産であれば、執行者が法務局で相続登記をすることになります。

 

遺言執行者は専門家に任せた方が良いのか

執行者は誰を選んでも構いません。中には税理士などの専門家を執行者にするケースもあります。「執行者をわざわざ専門家に頼むなんて・・・」という方もいますが、専門家を選ぶのにはそれなりのメリットがあるのです

まず、相続の専門家は経験があるため、執行者の業務をスムーズに進められます。相続は人生で何度もあることではないので、専門家と一般の方ではどうしても経験に差が出てしまいます。

不慣れな手続きには時間がかかるので、他の事項にも影響します。その点、専門家であればスピーディーかつ正確に作業を終えるため、不安もありません。

なお、相続税申告まで依頼したい場合は、税理士に依頼することでスムーズに手続きを進めることができます。(その場合、遺言執行者の業務とは別に税理士として相続税申告書の作成を依頼することになります。)

また、専門家が業務を請負うことで他の相続人に余計な気を使わせることもありません。
相続では遺言執行者に指定されなかった相続人が不満に思い、執行者に選ばれた相続人と確執が生まれることもあるからです。

専門家に頼むことでもちろん報酬はかかってしまいますが、手続きの煩わしさから解放される点や、他の相続人とのトラブルを避ける意味でも、メリットは多いのです。

報酬やサービスは事務所によって異なるので、幾つか相談して良い所を見つけると良いでしょう。

 

まとめ

遺言執行者であっても相続税申告は他の相続人や受遺者の代理として行うことができません。執行者であってもやれる業務は決まっているので注意が必要です。

遺言の内容を確実に実行してもらいたい場合や、相続で家族間の争いを避けたい場合は、遺言作成時には遺言執行者の選任を検討し、可能なら専門家を選任すると良いでしょう。

費用がかかりますが、専門家に頼むことで、相続手続きが円滑に進みます。

 

 


 

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配偶者や子供だけでなく、孫にも遺産を渡したいと思う方もいるでしょう。配偶者や子供がいる場合、法定相続人の順位を考えると、孫は相続人になれませんが、遺言書等いくつかの方法を使えば、遺産を相続させることは可能です。

ただし、孫が遺産を取得する場合は税金が多めにかかるということを踏まえておかねばなりません。

相続税には「孫や兄弟等に財産を相続させた場合、相続税が2割加算される」という取り決めがあるからです。

 

孫に相続させる方法

(1)遺言書で受遺者に指定する

 
法定相続人においては民法の中で優先順位(=相続順位)が定められています。
配偶者は必ず法定相続人になりますが、他の血縁者は以下の順位に従って法定相続人の権利を有することになります。

第1順位…子供(孫・ひ孫)
第2順位…両親(祖父母)
第3順位…兄弟姉妹(甥・姪)

 
つまり、相続順位を考えると、子供がいる場合、被相続人の孫は法定相続人にはなれず、遺産の取得権もないのです。

このように、相続権のない人に遺産を引き継がせるには、遺言書の作成が有効な手段となります。遺言書の中で受遺者を指定すれば、法定相続人でなくても財産を受け取ることが可能です。

遺言書では、不動産や預貯金などの特定の財産を渡すこと(特定遺贈)や、財産の何割かを渡すこと(包括遺贈)もできます。
ただし、遺言書で遺贈をする場合、他の相続人の遺留分権(法定相続人に最低限保障される遺産取得分)を侵害しないように注意しましょう。

 

(2)代襲相続

 
代襲相続とは相続権を持つ相続人が死亡等によって相続権を失っている場合、その相続人の子供が代わりに相続財産を取得する制度です。

相続開始時点で、被相続人の長男がすでに死亡していた場合、財産取得権は長男の子ども(被相続人にとって孫)が承継します。

代襲相続人の法定相続分は、被代襲相続人と同じです。元々の推定相続人が被相続人の妻・長男の二人で長男が亡くなっていたケースで見ると、代襲相続人の長男の子供(被相続人の孫)が受け取る相続財産分は2分の1のままです。

配偶者と子供の法定相続分
配偶者:1/2
子供 :1/2(代襲相続者も同じ1/2)

 
代襲相続の要件は本来の相続人が相続権を失っていることであり、「死亡」の他にも、「相続欠格や相続廃除」があった場合にも認められます。

なお、被代襲者になれるのは、被相続人の子供や兄弟姉妹の関係にあたる相続人です。配偶者や父母等の直系尊属が亡くなっていても代襲相続は起こらないのです。

そして、代襲者は被代襲者の子供や孫になります。被代襲者が被相続人の子供なら、代襲相続は何代にも渡って行えます。(ただし、兄弟姉妹が被代襲者の場合、代襲相続は兄弟姉妹の子供である被相続人の甥や姪の1世代までとなります。)

ちなみに相続放棄では代襲相続は起きません。相続放棄をすれば最初から相続権を持たなかったことになるので、代襲相続も生じないのです。相続権は次の順位の方に移ります。

 

(3)養子縁組

 
被相続人の子供は法定相続人の第一順位ですので、子供がいる場合は必ず相続人になります。

この時、子供には実子だけでなく養子も含まれます。そのため、養子縁組制度を利用して孫と養子縁組している場合、孫も「被相続人の子供」として相続権を取得します

法定相続分も実子と同様の割合になります。例えば相続人が実子2人、孫が1人のケースで孫を養子にしていた場合、各相続人の法定相続分は3分の1ずつです。

 

孫が遺産を取得すると相続税が2割加算される

相続税には2割加算のルールがあります。この制度は、相続における遺産取得者が配偶者や一親等の血族(被相続人の子供・親)以外だった場合、相続税が2割増しになるというものです。

対象者と非対象者は以下の通りとなります。

 
上記の通り、孫が遺産を受け取る場合には2割加算の対象者です。孫は子供や配偶者などの他の法定相続人と比較して多めに相続税を払わないといけません

どうしてこのように税負担が変わるのか。その理由は、「相続税額の負担調整」にあります。

相続税は、相続ごとに課税されます。被相続人の子供が遺産を受け取っても相続税はかかりますし、その子供が亡くなって孫が財産を相続した場合も同じです。

それを踏まえると、最初の相続で孫が遺産を取得すると、本来であれば二世代分の相続税がかかるはずのところを、一世代分の課税を免れることになります。(いわゆる、世代飛ばしです。)

税金を公平に負担する意味でも、孫への相続では相続税が多めに課税されるのです。

 

代襲相続の場合、2割加算にはならない

孫に相続させる場合、それが代襲相続なら2割加算の対象ではありません

代襲相続は元々の相続人に非行があって相続欠格や相続廃除で相続資格を失った場合にも認められます。このケースで、被相続人の孫が代襲相続をしても2割加算の対象外となります。

 

養子にした場合の注意点

民法上は養子の数には制限はなく、何人でも養子にして構いません。ですが、相続税法上では、養子を相続人にカウントできる人数は決まっています

相続税では基礎控除があり控除額は以下のように計算します。
「相続税の基礎控除:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」

つまり、法定相続人の数が多ければ控除額も多くなります。
しかし、それを許すと相続税が大幅に減らせてしまうので、

を相続人にカウントできるというルールがあるのです。

孫がたくさんいるので、全て養子にすれば基礎控除額を無限に増やせる!ということには残念ながらなりません。

 

まとめ

孫が遺産を相続すると基本的には、代襲相続以外では相続税が2割加算になると覚えておきましょう。

税金を抑えて孫に遺産を渡したいのであれば、生前贈与が有効です。贈与金額を基礎控除額内にすれば非課税での財産贈与ができるからです。
他にも相続での節税を考えるのであれば、税理士に相談してアドバイスをもらいましょう。

 

 


 

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相続財産には現金・預貯金の他、株式や不動産があります。これらは、法定相続人に引き継がれます。しかし、被相続人が借金を抱えていた場合、それらも相続しなければなりません。

借金が高額でプラスの財産よりも多かった、その事実を知らずに相続してしまうと大変です。
よって、相続では故人に借金がないかどうか早急に調べなければなりません。

 

借金も相続財産となる

亡くなった方に借金がある場合、他の財産と同様に相続人に権利義務が移ります。借金を相続したら、相続人が代わりにお金を返していかなければなりません。

以下のような借金や負債はすべて相続の対象です。

 
ただし、以下の負債では、相続人の支払いは免除される可能性があります

 
相続では心当たりがなくても、被相続人の負債を洗い出す必要があります。

もしも、借金の額がプラスの財産を上回っていた場合、相続人にとっては大きな負担となるからです。

 

相続放棄には期限がある

借金の額がプラスの財産を上回っているかどうかについては、早急に調べる必要があります。
というのも、相続については、被相続人の財産を引き継ぐかどうかを決断する期間が決まっているからです。

遺産の引き継ぎについては以下の三つの方法があります。

 
これらを選択できるのは相続の開始を知った時から3ヶ月以内(熟慮期間内)になります。
被相続人に借金がある場合は法定相続分に従い相続人間で分割されますが、相続放棄を行うことで、これを放棄できます。

しかし、熟慮期間を過ぎると自動的に単純承認が成立します。そういったわけで、財産の調査は早めに終えておかなければならないのです。

なお、被相続人が多方面に債務を抱えており、財産調査が終わらない等、相応の理由がある場合は、熟慮期間を延ばすことも可能です。ただし、延長の申述も熟慮期間内に行う必要があるので、注意しましょう。

また、故人の財産を私的に処分する等、一定の事由があれば、たとえ熟慮期間内であっても単純承認となってしまいます。このような事由を法定単純承認事由といいますが、これも相続では注意すべき点です。

 

借金などの調査方法

(1)信用情報機関への情報開示請求

 
消費者金融やクレジットカード、カードローンなどの消費者向けローンについては、信用情報機関へ情報開示請求すれば、正確な内容が把握できます。

信用情報機関は、個人ローンやクレジットの利用履歴を登録している専門機関だからです。

該当者がどこの貸金業者や金融機関からどのくらいの借り入れをしているかを詳細に把握しています。相続人であれば、被相続人の信用情報を取得できます。

日本に信用情報機関は3つあり、それぞれ請求方法は下記の通りです。

信用情報の請求手続を行う際には以下の書類を用意しておきましょう。相続関係を証明する戸籍謄本類、被相続人の除籍謄本等は他の手続きでも使うので、早めに入手しましょう。

 

(2)自宅内や郵便物を調べる

 
信用情報機関に加盟していない会社からの借金の場合、自宅内に契約書や借用書、振込証がないか調べましょう。

滞納した場合に自宅へ届いている督促状、内容証明郵便、裁判所からの書類などでも、故人の借金の特定は可能です。

 

(3)不動産の登記簿謄本の確認

 
故人が不動産を持っていた場合は登記簿謄本を確認し、不動産に抵当権がついていないか調べましょう。

抵当権などが設定されていた場合には、権利者に連絡の上、債務状況を確認します。

 

まとめ

単純承認を選択して相続をした場合、故人の財産のありのままを相続することになります。
財産の中に大きな借金があれば、それも含めて取得するので、注意が必要です。

リスクを避けるためには、故人の相続財産について十分に調べて全体像を把握することが重要です。また、単純承認が成立しないように、相続財産の扱いには十分注意してください。

 

 


 

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相続の際に、相続財産評価額に応じて課されるものが「相続税」です。相続税は取得額ごとに各相続人が負担します。

相続税には「基礎控除」という一定の控除額が設定されており、この範囲内の財産であれば、相続税は生じません。しかし、不動産のような高額な遺産がある場合、基礎控除を超える可能性は高くなります。
実際にはおよそ12件のうち1件程度の割合で相続税は発生するようです。

相続税が生じる場合、申告と納付をします。納付は「現金で一括納付」が原則です。
相続税が高くて一括納付が難しい場合、「延納制度」を利用して利子を払いつつ相続税を分割で支払っていくことになります。

しかし、それであっても相続税の支払いができない場合、株式や不動産といったお金以外の財産で納める「物納」が認められます。

ただし、物納で認められるのは非常に限定的なものです。また、手続きも非常に複雑であるため、利用件数はかなり少ないのです

 

相続税の物納ができる流れとは

物納を利用するには、流れがあります。

①現金による一括での納付が可能→期限までに納付
②一括での納付は難しいが、給与や家賃収入があり分割納付なら可能→延納制度の実施
③延納が認められず、物納での一括納付が可能→物納制度の実施

 
つまり、現金での納付が可能と判断される場合、物納は認められません。物納は相続税を支払うための最終手段なのです。

相続税の納付はあくまで現金による一括納付が原則で、それが難しい場合、「延納制度」を申請します。延納が認められず、物納による一括納付が可能な場合にのみ制度が利用できるのです。
 
よって、物納ができる要件は以下の通りになります。

 

物納できる財産の順位 

物納できる財産は限られています。そして、優先される順位も決まっています。
同一順位の中であれば、物納する財産を納税者の判断で決定できますが、基本は上位のものが納付されることになります。

また、財産は相続で取得したもの、所在が日本国内にあること、所轄税務署の事前許可を得ていることも条件となります。

国が処分するのに適さないとした財産は、申請が却下されてしまいます。現在は基準も厳しくなっており、売れる見込みのないもの、利用価値のないものは国では引き受けないのです
 

 

★参考:国税庁HP相続税の物納の手引

 

物納劣後財産とは、物納に充てられるけれど順位が後れる財産です。
同じ順位の中でも、充てられる順番としては後になるということです。

 

物納の利用状況は減っている

国税庁データによれば、物納申請状況は20年程前には4,000件を超える利用があったものの、令和2年には65件であり、100件以下にまで利用数は落ちています。

これは審査が厳しくなった点が挙げられます。

また、物納の申請は亡くなられてから10ヶ月以内にしなければならず、申請時点での書類も多いのです。土地で言えば、登記事項証明書、印鑑証明書、地積測量図や境界確認書などの書類が必要です。(地積測量図や境界確認書などは、実際に測量や境界確認をする必要がありますから、場合によっては作成に時間がかかります。)

加えて、物納の許可があった場合には相続税の納期限または納付すべき日から収納の日までの期間について利子税がかかります。また、物納が却下された場合も却下された日までの期間について利子税がかかります。

まとめると、手間がかかる上に利子税も取られるので、デメリットが大きいのです

 

自分で売却する場合との比較

物納を利用しない場合、ご自身で不動産を売却して、そのお金で相続税を支払うという選択もあります。

物納と不動産売却にはそれぞれメリットとデメリットがあるので、相続財産に合った方を選ぶべきです。

 

まとめ

コラム内で説明した通り、物納できる財産の基準は現在では明確化されており、審査も厳しくなったことから、物納の申請件数はかなり減りました。

申請手続きも大変なので、安易な利用はやめるべきです。手続きが長期化すれば、利子税も加算されていくので、税負担が大きくなってしまいます。

相続手続きにおける難しい判断は必ず税理士へ相談してください。

ご自身やご家族の状況を正しく把握して、適切なアドバイスが送れるからです。相続で多大な損害を被らないためにも是非専門家を頼ってください。

 

 


 

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