厚木市で 相続手続き 支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。



自身の死後のために作成した 遺言書 について、内容変更や取り消しをしたくなった場合はどうすればいいのかご存知でしょうか。

遺言書も一般的なもので自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言と三つの種類があるので、取り消しや変更の方法も異なってくるのです。



遺言書の撤回

遺言書は遺言者本人が亡くなるまではいつでも変更が可能です

民法では、遺言の全部あるいは一部を撤回したい場合、遺言作成者は新たに遺言を作成した上、その遺言で前に作成した遺言の全部または一部を撤回する旨の内容にすれば前の遺言は撤回したものとなると定めています。

つまり、遺言書の撤回には新しい遺言書を作ってしまえば良いわけです。ただし、遺言書が複数あると相続人が混乱するので、前の遺言書を破棄したい場合もあります。

自筆証書遺言の場合は、ご自身で作成と保管を行なっているので、保管してある遺言書を破棄してしまえば撤回となります。

もし、法務局の遺言書保管制度を利用している場合は、遺言書が保管されている法務局に出向いて保管の撤回手続きを行います。法務局から遺言書が返還されたら、その遺言書を廃棄すれば良いでしょう。

秘密証書遺言の場合は、手元にある原本を廃棄してしまえば良いでしょう。

原本が公証役場に保管してある公正証書遺言の場合、公正証書遺言を作成したときと同じく証人2人を用意して、公証人に対し公正証書遺言を撤回の手続きを行います。



遺言書の種類に優先順位はない

遺言書の撤回をしたい場合は、新たに遺言書を作成してしまえば良いと言いましたが、新しく作成する遺言書は前の遺言書と種類を合わせる必要はありません

つまり、遺言書の種類自体で優劣が決まるわけではないのです。遺言書で優先されるのはあくまで日付(作成日)だからです。

公正証書遺言の取り消しを行いたい場合、自筆証書遺言や秘密証書遺言を作成しても良いですし、逆に自筆証書遺言や秘密証書遺言を公正証書遺言で撤回することもできます。

ただし、公正証書遺言を自筆証書遺言で取り消す場合、作成不備によって撤回が無効になるリスクもあることに留意しましょう。(作成不備が怖いのなら、法務局の保管制度を利用しましょう。)



遺言内容の変更

遺言内容を変更したい場合、新たに遺言を書き直すもしくは、作成した遺言自体を変更する方法があります。変更する部分が軽微かつ、自筆証書遺言の場合は直接その遺言の文章を変更が可能と民法で定められています。

取り消しと同様、新しい日付で遺言書を書き直すか、自筆証書遺言の場合は決められた方法で訂正を入れると有効です。

自筆証書遺言の変更方法は、変更箇所を示し、変更した旨、変更した内容を書き、署名と押印をします。こちらも変更方法に不備があれば無効となり、変更自体が無かったものとなります。

また、元の内容が判別できなくなった場合、該当部分は当初から記載無しとされるので注意しましょう。



遺言書に載せた財産を処分した場合

遺言作成者が、遺言書に記載された財産を売却したり、破棄した場合はどうなるのでしょうか。

その場合は処分された財産に限り撤回したものみなされます。これは「財産処分による撤回擬制」といいます。

例えば、「妻に自宅を渡す」と遺言書に書いた後に、自宅を売却した場合、この部分につき撤回が成立となるので、奥さんは自宅を相続することはできません。(売却した代金が奥さんのものになるわけでもありません。)

奥さんに売却代金を相続してほしいのであれば、新しく遺言書を作成するか・変更の手続きを行い、その旨を遺言書で指定しなければいけません。



被相続人死亡後の遺言書の撤回や変更

遺言書は作成者(被相続人)の死亡後に効力が発生します。効力が発生すれば、原則的に撤回や変更はできません

しかし、遺言作成において、他の相続人や受遺者から脅迫を受けていたり、詐欺行為があった場合は取り消すことが出来ます。

ただし、子の認知などの身分に関する事項は取り消しができません



まとめ

遺言書は、遺言者が生前のうちは撤回も変更も可能です。

手続きは遺言書の種類によって変わりますが、新しく作成する遺言書はどの種類でも構わないので、安心してください。






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相続では遺産をそのまま引き継ぐ方法もあれば、マイナスの財産の範囲で遺産引き継ぐことや、遺産の引き継ぎ自体をやめる方法もあります。

具体的には以下の三つの方法があります。

 

三つのうち、どの方法を選択するかは相続人の意思に委ねられます。
ただし、選択できるのは相続の開始を知った時から3ヶ月以内になります。

この期間を過ぎると、自動的に単純承認が成立します。

また、一定の事由があれば、例え熟慮期間内でも単純承認となってしまいます。
このような事由を法定単純承認事由といいますが、相続では注意すべき点です。

本コラムでは、どのようなケースで単純承認が成立するのか、解説していきます。



熟慮期間を過ぎた

自己のために相続開始を知った時から3ヶ月以内は熟慮期間と呼ばれます。
この期間内に家庭裁判所に対して相続放棄もしくは限定承認を申述しないと、相続人は単純承認を選択したことになります。

期間を設けてある理由は、早期に相続を確定させ、法的な安定性を保つためだとされています。
相続の選択を早く決めないと、被相続人の債権者も請求先が決められず困ります。

そのために、3ヶ月と制限を作ったのです。
(相続の開始を知ったとされているのは、相続人が海外に住んでいて連絡がつかない場合もあるからです。)

なお、被相続人が多方面に債務を抱えており、財産調査が間に合わない等、相応の理由がある場合は、熟慮期間を延ばすことも可能です。ただし、延長の申述も熟慮期間内に行う必要があるので、注意しましょう。



相続財産の処分

故人の財産を処分した場合、自分のものとして扱っていたことになります。
よって、単純承認が成立します。

具体的には以下の行為が該当します。


被相続人の名義口座から、ただお金を引き下ろしただけの場合は大丈夫です。
あくまで、自己のために利用したのかどうかで分かれます。



債務の支払い

被相続人が亡くなった後に、相続人が被相続人の債務を支払う場合も、相続財産の処分に当たります。
ただし、債務の支払いは相続財産から支払うか、相続人自身の財産で支払うかで判断が分かれます。

過去の判例から、被相続人の残した債務を、相続人が自分の財産から支払う場合は、相続財産の一部の処分にはあたらないと考えられます。
しかし、相続財産の中から支払った場合には、処分行為にあたると判断されます。

ここの部分は、明確な線引きがないのでできる限り、被相続人の債務には触らない方が良いとも言えます。



葬式費用が常識的な金額でない

相続財産から葬式費用を支払う行為については、単純承認にはなりません。

なぜなら、お葬式は遺族が行うべき当然の行為だからです。
お葬式もそれなりのお金がかかるので、相続財産からそれらの費用を出すのは問題ないという判断です。

そのため、一般常識的に考えられる規模の葬儀であれば、単純承認事由には当たらないと言えるでしょう。
(あまりにも豪華な場合は、遺族都合となり、事由に該当する可能性も出てきます。)



相続財産の隠匿

相続財産の一部または全部を故意に隠匿したり、財産目録へ記載をしなかった場合(背信行為があった場合)、たとえ「相続放棄」や「限定承認」が成立していても、法定単純承認とみなされます。

なお、過失で書き漏らした場合には、法定単純承認にはなりません。



まとめ

単純承認を選択して相続をした場合、故人の財産のありのままを相続することになります。
財産の中に大きな借金があれば、それも含めて取得するので、注意が必要です。

リスクを避けるためには、故人の相続財産について十分に調べて全体像を把握することが重要です。また、単純承認が成立しないように、相続財産の扱いには十分注意してください。






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相続手続きとはよく複雑で面倒と言われますが、実際にやることは多く専門知識も必要なため、何をすべきかを知っていないとスムーズにいきません。

手続きの中には期限が設定されているものもあるので、しっかりと事前準備をしておかないと、大変なことになってしまいます。

本コラムでは、相続手続きがどうして面倒なのかを解説いたします。
相続を予定されている方は、是非参考にしていただければと思います。



相続手続きが面倒な理由

(1)相続に関する知識が必要


誰が相続人なのか、見つけた遺言書をどうすれば良いのか、相続ではある程度の知識を身につけておかないと、作業もスムーズに進みません

手続きの概要はインターネットから検索できますが、専門用語の多い文章を読んでいくことになるので、時間がかかってしまいます。



(2)戸籍謄本などの取得に手間がかかる


戸籍取得は、相続の関係者を明確にする大事な作業であり、多くの手続きに必要な書類にもなります。「被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍」と「全ての相続人の戸籍」は必ず取得します。

相続人の人数が少数であれば、取得にそこまで時間はかかりませんが、大半は複数の役所から戸籍を取り寄せることになります。そうなれば、手間も増えていきます

なお、戸籍を取り漏らしてしまうと、後から他の相続人の存在が発覚し、手続きが止まってしまう怖れがあります。



(3)財産調査


相続人同士で遺産分割協議を行う時や、相続税申告のためにも、被相続人の遺産の内容を調べなければなりません。
仮に遺言書があっても、「遺言書作成時と相続開始時で財産が変わっている場合がある」「遺言書に財産の記載漏れの可能性がある」といったケースもあるので、調査は必要です。

預貯金については、金融機関ごとに残高証明書を取得しますが、故人名義の口座が複数あり、海外にも口座を持っているとなると、結構な手間がかかります。

金融機関の窓口も平日の決められた時間しか開いていないので、仕事をされている方が手続きに行くのは大変です

不動産も、固定資産税の納税通知書を探したり、市区町村役場の税務課を訪ねて故人名義の不動産がないか確認する必要があります。役所の窓口も土日は開いていないので、面倒です



(4)名義変更


相続では預貯金の口座はもちろん、不動産や有価証券、保険、自動車などの名義変更を行わなくてはなりません。

変更の手続きは一日で終わるものではありません。
また、担当の窓口が住んでいる地域から遠いとなると、交通の負担も大きくなるでしょう。



(5)相続税申告


相続税申告は相続人が相続開始を知ってから10ヵ月以内に行わなくてはなりません。
申告は税務署に行くまでに、財産の評価を適切に済ませなくてはなりません。

期限に追われる大変さもありますが、評価計算を間違えるリスクもあります。
もし、申告額を間違えてしまった場合は、ペナルティーとして通常よりも高い税金(追徴課税)を支払わされます。

また、何もしないでいると相続税が高くなってしまうので、各種の控除制度など、必要な節税対策を調べなくてはなりません。

特に要件を満たすと適用できる特例制度などは、制度内容自体を理解するのに時間がかかります。



やることが多い

相続手続きが面倒なのは、やることが多いからです。
時間を作って複数の機関へ出向いたり、郵便で書類を送付したり、一つずつ丁寧に手続きを完了させていかなくてはなりません。

そして、法務局でも役所でも銀行でも、必要な書類は異なります。
(一部、共通のものもありますが。)

手続き方法を調べる、必要書類を集める、他の相続人から署名捺印をもらう、不備があればやり直す、このようなことをしていくうちに負担は大きくなっていくのです。


仕事をなされてる方は、忌引き休暇を使えば何とかなると考えるかも知れませんが、書類の収集や相続人間の連携が思ったようにスムーズに進まないのが大半です。

先述したように期限を過ぎるとペナルティーのある手続きもあるので、相続手続きにおいては、専門家に手続きの代行を依頼するというのも検討した方がよいでしょう。

お金はかかってしまいますが、専門家が全ての手続きをサポートしてくれるので、手間もなく、忙しさからも解放されるのでお勧めです。



まとめ

相続手続きは、思ったよりも面倒で時間がかかるものです。
相続人同士で連絡を取っておく、必要資料を揃えておくといった事前準備がとても大切になります。

もし時間がなかったり、不安な場合は、専門家に一度相談してください。






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高齢になったご両親がご自身の認知症リスクを心配してお金や金品をお子さん等に預けるといったケースは珍しくありません。

しかし、預かる場合には、そのお金が「贈与に当たるかどうか」を懸念される方もいらっしゃいます。
ご自身のお金ではなくご両親のものですから、不安に思うのもわかります。



預かっているお金は贈与ではない

答えを言ってしまうと、親からお金を預かっただけでは贈与ではありませんので、贈与税の対象にもなりません

贈与とは、財産を渡す側と受け取る側の意思が一致して、成立するものです。よって、単に財産を預かっている状態では、贈与は成立しません。通帳や銀行印を預かって管理しておくのも問題ないですし、預かったお金を個人名義の預金口座に入れて管理していても構いません。

ただし、税務署に対してその事実を説明する用意はしておくべきです

税務署が今の状態を見たときには、間違いなく生前贈与を疑うことになるからです。そのため、贈与税が課されないようにするために、客観的な証拠が必要になります。

ベターなのは、預かる側と預ける側で書面を交わしておくことです。双方の署名の入った預かり証を作成し、お互いで保管しておけば「その行為が贈与でない」と第三者にも証明できるでしょう。



贈与とみなされないための対策

預かったお金を税務署に贈与だとみなされないようにするためにはポイントがあります。

上記三点を抑えておけば大丈夫です。

預かったお金を適切に管理しない場合は、税務署から贈与だと誤解されてしまう上、相続においても他の相続人とのトラブルの原因になる怖れがあります。



(1)覚書を作成しておく


預かり金である事実を第三者に示すには、双方の署名が入った文書を作成しておけば良いでしょう。

覚書の作成に細かいルールはありません。
しかし、金額とそれが預かり金である旨、預かった日時は必ず書きましょう。

また、双方の署名と押印も忘れないように。



(2)預かり金は自分のお金と区別する


預かり金を自身のお金と明確に区別するために、専用の口座を作っておくと良いでしょう。口座を別にしておけば、自身のお金との区別が容易にできます。

ご両親の通帳と印鑑を預かる場合は、「代理人カード」の発行が良いでしょう。

代理人カードとは口座の名義人本人に代わって、ATM等で入出金が可能となるカードです。口座名義人が手続きをする必要がありますが、代理人へ渡せば、利用できるようになります。



(3)使った分は記録しておく


預かったお金を両親の介護費用などに使用する場合もあるでしょう。もし、そのような場合は、必ず使用した金額と用途を記録に残しておきましょう。


記録は手書きのメモでも構いません。領収書やレシートが発行できるなら、なるべくそちらで保管しましょう。使用用途が不明の場合、税務署から贈与を疑われますし、相続時に他の相続人が財産を使い込んでいると勘違いしてしまいます。

なお、預かり金を自身の都合や目的のために使用した場合は、贈与税の課税対象になってしまいます。贈与には「みなし贈与」というものがあり、お互いに贈与契約の意思がなくても、経済的利益の享受が生じた場合には、贈与が成立するからです。

もし、預かったお金を個人的に利用してしまった場合には、すぐにお金を口座に戻し、どういった用途で一時利用し、いつ戻したかを記録しましょう。



まとめ

親からお金を預かっただけでは贈与税の対象になりませんので安心してください。ただし、税務署に対してその事実を証明する準備を怠らないようにしておきましょう。

覚書を作成するのはもちろん、預かったお金は自身の財産とは明確に区分して管理し、その入出金の履歴がわかるようにしてください。

預かったお金を私的に使ってしまうと贈与になってしまうので注意しましょう。






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相続人が一人だけの場合は、その方が手続きを行えば良いですが、相続人が複数人いる場合は、相続人同士が協力し合って手続きを進めていく必要があります。

しかし、他の相続人が遠方に住んでいてレスポンスが遅い、仲が悪くて非協力的な場合は、手続きもスムーズに進みません。

相続手続きの中には期限が決まっているものもあるので、先延ばしにはしない方が良いでしょう。
できれば、取り掛かれるものは早めに手をつけたいところです。

実は、相続手続きには相続人一人で行えるものもあります
そのため、動ける方が他の相続人に代わってそれらの手続きを進めたほうが良いと言えます。

相続人が単独で行えるのは、以下の手続きです。



一人でできる相続手続き1:遺言書の確認

遺言書の確認は他の相続人の同意を得る必要はありません。
遺言書はその形式によって、探し方も異なるので注意しましょう。



(1)公正証書遺言・秘密証書遺言の場合


公正証書遺言・秘密証書遺言の場合、作成に役場を通しているので、全国の公証役場の「遺言検索システム」で照会ができるようになっています。

遺言検索システムは、基本的に相続人であれば利用できます。
ただし、遺言者(被相続人)との関係を第三者に証明する書類が必須となります。

代理人でもシステムを使えますが、その場合は上記の書類に加えて相続人からの実印で押印した委任状等が追加で必要となります。

なお、公正証書遺言は原本が役場に保管されますが、秘密証書遺言においては、原本は遺言者の管理となっています
そのため、システムによって遺言書の有無は確認できますが、原本は遺言者の自宅などから探し出さなければなりません

原本が見つからない場合は、その遺言書は効力を持ちません。
これは自分で管理を行う自筆証書遺言にも言えることです。



(2)法務局の保管制度を利用している場合


自筆証書遺言には、法務局で原本を保管してくれる制度があります。

そのため、遺言者がその制度を利用していることがわかっている場合、法務局に出向けば良いのです。

相続人が遺言書を閲覧できるのは相続開始後で、全国の遺言書保管所にてモニターで閲覧可能です。
ただし、原本の閲覧は遺言書が保管されている遺言書保管所のみとなります

閲覧請求には以下の書類が必要です。

相続人の一人が遺言書の閲覧をした場合、遺言書保管所の方から他の相続人に遺言書を保管している旨を連絡してくれるので便利です。

なお、遺言者が保管制度を利用しているかどうか分からなくても、証明書の請求をすれば遺言書が保管されているかが分かります。
証明書の請求は全国の遺言書保管所でできます。



一人でできる相続手続き2:相続財産の調査

相続財産の調査は、相続人として財産の引き継ぎ方法を選択する上でも、相続税を申告する上でも重要なものです。できる限り、早めにしておくのが良いでしょう。

相続財産の調査と言えば、銀行に被相続人名義の口座があるかどうかや、所有している不動産を確認することがメインとなりますが、これらは相続人単独で行うことができます。

相続財産調査をするにあたり、最低限必要となるのは以下の書類です。 

なお、相続財産の調査については過去のコラムでも説明しておりますので、是非参考にしてください。

★参考記事:相続における財産調査の重要性について


一人でできる相続手続き3:相続放棄の手続き

相続放棄は相続権を手放し、財産の取得をしないことです。

遺産は全てのケースでプラスの財産が多いわけではありません。
被相続人が生前に抱えていた借金が多い場合は、そのまま財産を引き継いでしまうと相続人が返済に苦しむことになります。

そのようなケースにおいては、相続放棄はとても有効な手段です。
相続放棄については、各相続人が判断するので、単独での手続きが可能です。

以下の書類を用意し、家庭裁判所に申し立てを行います。

ただし、相続放棄ができるのは、相続開始を知ってからから3ヶ月以内の「熟慮期間内」となります
「財産調査が進んでいない」といった、相応の理由がある場合には、期間延長の申請も可能ですが、期限を過ぎないように注意しましょう。



まとめ

相続人が単独で行える手続きについて解説いたしました。
相続手続きには期限付きのものもありますから、できることから早めに取りかかった方が良いでしょう。

ただし、故人の葬儀や法要だけでも大変なのに、相続手続きもするとなると相当な負担です。

等々、やるべきことはたくさんあります。


たくさんの手続きを時間のない中で行うには非常に大変です。
放置してしまうと、大きなペナルティが発生するので、忙しい方や、不安な方は、相続専門の税理士に手続きを代行してもらうことを検討してください。

相続のプロが手続きを代行するので、ご自身の負担はありませんし、問題も起こりません。
相続税の申告までスムーズに終えることができるので、お勧めです。






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被相続人の家が借り地の上に建っていた場合、相続ではどのように扱えば良いのかご存じでしょうか。
借地とは、土地の上に建物を建設するために土地を借りることです。

借り物のため、土地所有の場合と分けて考えますが、借り地の場合でも、相続では相続財産の対象となります

よって、借地も通常の土地と同じように相続税評価を行わなければなりません。
金額の算出には、国税庁がホームページ上で公表している「借地権割合」をベースに計算します。

本コラムでは、借地上の建物を相続した場合を想定して、借り地の扱いを詳しく解説していきます。
実際、家が建っている土地が借地であるといったケースは多いので、是非参考にしてもらえればと思います。



借地権について

(1)借地権とは


土地を借りているというのは、「借地権」を持っていることになります。借地権とは建物を所有する目的で、土地の所有者に地代を支払い、その土地を借りる権利です。

土地を占有する権利には、借地権の他に所有権がありますが、借地権は自分自身で土地を保有する所有権とは異なります

土地の借地権者土地の所有権者
売買不可
賃貸地主の承諾次第で可
管理
利用


借り物の土地なので、土地の利用や管理はできますが、当然ながら売ることはできません。しかし、地主の承諾次第では土地の賃貸は可能です。

なお、借地権は建物所有が前提です。そのため、駐車場として利用している場合、借地権は生じません。借地権を有していないと、解約が容易に行われてしまいます。



(2)借地権割合とは


借地として借りている土地の権利は、土地所有者の地主が持つ底地と借りている方が持つ借地権のある借地に分かれます。借地権割合とは、土地の権利のうち借地が何割を占めるかを表す数字です。

数字は地域特性や借地事情によって変わりますが、一般に都心の周辺や繁華街は借地権割合が高くなる傾向にあります。



借地権も相続可能

借り地の場合、建物のみが相続財産だと思いがちですが、借地権も被相続人固有の相続財産として相続可能です。借地権は目に見える資産ではないものの、法律上の権利として相続財産の一種に扱われます。

被相続人固有の財産なので、相続にあたっては地主からの許可も不要です。

しかし、相続財産なので、相続税の課税対象でもあります



評価方法

借地権の評価額は、「土地の自用地評価額×借地権割合」にて計算します。

自用地評価額とは借地権がついてない前提の土地評価額で、それに借地権割合を掛ければ、借地権の評価額が算出できます。

借地権割合は不動産の路線価同様、国税庁のホームページから調べることができます。

★参考:国税庁ホームページ 路線価図・評価倍率表

 

上記の国税庁のページから該当する土地の住所を検索すると、道路沿いに図形と数字・アルファベットが書かれた地図が表示されます。借地権割合はアルファベットに変換されています。



遺贈の場合は注意

法定相続人への相続は問題ありませんが、相続人以外の方へ借地権を遺贈する場合は、地主の承諾と譲渡承諾料が必要です。

譲渡承諾料は借地権価格の10%程度が相場です。あくまで金額は目安なので、各パターンに応じて最終的な金額を決定します。

地主の承諾が得られない場合、家庭裁判所に借地権譲渡の承諾に代わる許可を求める申立てをすることも可能です。



土地の相続税評価が不明な場合は税理士に相談

借地権の相続税評価は前述したように、路線価と借地権割合を調べれば簡単に分かります。

ただし、土地評価は「奥行きがあるか」「間口が狭いか」「角地か」といった要素によっても金額が変わります。

つまり、専門知識のない方が評価計算をしてしまうと、金額を過剰に見積もって相続税を多く支払ったり、逆に少なく見積りすぎて税務調査に入られるリスクが出てきます。

土地や建物など、不動産の相続税評価は難しい分野です。よって、可能であれば不動産の相続税評価は経験と知識が豊富な税理士に相談した方が良いでしょう。

適正な評価額を算出するのはもちろん、様々な節税方法を提案したり、相続税申告を代行することも可能ですので、検討してみてください。



まとめ

借地権も相続財産となるので、建物と一緒に遺族(相続人)が引継ぎます。しかし、相続財産である以上、相続税もかかってきます。

もし、借地権の評価額が高額である場合、想定外に高い相続税が課されてしまうこともあります。よって、高額の借地権の相続が予定にある場合、できる限り相続開始前に、納税の対策を行っておくことが重要です。


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相続が開始されてしばらくすると、役所から相続人宛に「相続人代表者指定届」が送付されるケースがあります。

役所からの書類なので少し驚かれるかもしれませんが、相続人代表者指定届とは被相続人に関する税金関係の書類を受け取る相続人の代表を指定する書類です。



相続人代表者指定届とは

相続人代表者指定届は、故人の財産の中に不動産等がある場合、役所から送付されます。なぜならば、書類の目的が固定資産税等の納税を知らせることだからです

不動産には一年ごとに固定資産税がかかってきますが、所有者が亡くなられると、その固定資産税は不動産を受け継ぐ方に支払い義務が移ります。

しかし、遺産分割協議が完了しておらず、新しい所有者も決まっていない場合、不動産は相続人全員の共有状態となるため、相続人全員に支払義務があります。

この状態では、役所側は誰に税金関係の書類を送って良いかわかりません。全員に書類を送付するとなると、事務処理の手間もかかってしまいます。

そのため、相続人代表者指定届を送付して代表者を指定してもらうのです。代表者が決まれば、今後は代表者の住所に書類を送れば済むので、事務処理上の手間が大いに省けます。



送付される人は誰か

相続人代表者指定届がどの相続人に送付されるのかははっきりわかっていません。

役所によって異なります。ただ、該当の相続不動産に居住している相続人に送付される傾向にあります。

それ以外だと、不動産のある市町村に住んでいる相続人に送られるケースが多いようです。



無視しても罰則などはない

相続人代表者指定届を放っておいても、罰則はありません。書類を受け取ったからといって、その相続人が固定資産税を払わねばならないわけではなく、単に納税通知書などの書類を受け取る代表者を決めるだけの書類だからです。

ただし、相続人側で代表者を指定しておいた方がメリットもあります。税金関連書類が全て、代表者の元に送付されるので、税金の支払い漏れの可能性が少なくなるからです。

よって、できれば内容を記入した上で、郵送か役所へ持参しましょう。

なお、届け出をしていない場合は、役所側で納税通知書の送付先を決めることになります。もし、管理ができない方に書類が届いてしまうと、税金漏れが起こるリスクが出てきます



代表者の支払い義務について

不動産もそうですが、遺産分割協議が完了していない状態の財産は「相続人全員で共同所有している」ものです。

そのため、代表者になったからといって固定資産税を全て負担するようなことはありません。新しい所有者が決まるまで、固定資産税は相続人全員で支払います



記入方法

相続人代表者指定届のひな形は市町村ごとに少々異なります。詳しい記入方法は不動産を管轄する市町村に確認しましょう。

大半は相続人代表者と被相続人の氏名と住所・電話番号等を記載します。記載内容はそこまで難しいものではないので、押印も大抵の場合、代表者個人のもののみで良いです。

※細かい部分は市町村によって異なるので、事前に管轄の市町村に確認した方が安全です。



相続放棄を考えている場合

相続放棄とは、相続人としての権利を手放すことです。よって、相続放棄をした方は代表者にはなれません

よって、相続放棄を検討している方は、代表者にならないようにしましょう。なお、相続不動産にかかる固定資産税や都市計画税を払ってしまうと、遺産を処理したことになり、相続放棄できなくなってしまいます。

相続放棄が成立した後でも、支払いをすれば相続放棄が無効になってしまうので注意してください。



まとめ

相続人代表者指定届は、相続不動産にかかる固定資産税の納税通知書の受取人を指定するためのものです。代表者になっても、一人で税金の負担をするわけではないので安心してください。

書類を提出しなくても罰則はないですが、支払い漏れのリスクを減らすためにも提出しておいた方が良いと言えます。






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厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。

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生前贈与とは個人から個人へ財産を無償で渡すことであり、贈与者が生きている間に行われます。

生前贈与を行えば贈与税が課税されますが、一定の金額以内(年間110万円以内)であれば、無税となります。また、後に相続税の課税対象である自身の財産を減らすことにもなるので、相続税対策として活用できます。

難しい要件もなく扱いやすい生前贈与ですが、「相続発生から遡って3年以内の贈与は相続財産に加算される」というルールもあるので、注意が必要です。



生前贈与加算というルール

相続税は、被相続人の死亡時に所有していた財産の総額に課されます。そのため、冒頭でも述べたように、生前にある程度の財産を推定相続人に渡しておけば、課税対象となる財産が少なくなるので、相続税を減らせます。

しかし、被相続人が亡くなる直前に渡された財産は贈与とみなされません。これを「生前贈与加算」と言います。

具体的には贈与から3年以内に贈与者が亡くなった場合に、贈与がなかったものとされます。贈与は無効となるので、受け取った財産は相続で得た物となり、相続税課税の対象になります。

このルールは、被相続人が亡くなる直前に相続税対策を目的とした過剰な贈与を制限する役割があります。

国としても、亡くなる直前の駆け込みによる生前贈与を無制限に認めると、税収が少なくなってしまうので、こういった取り決めを設けているわけです。

加算日の起算点は被相続人の死亡日からなので、死亡日が2022年1年1日なら、2019年1月1日が起算点です。その間の贈与については生前贈与加算の適用となってしまいます。



相続税の加算額

相続開始の3年前までに行われた贈与は全て相続財産に含まれて相続税が計算されます。

ただし、贈与税を支払っている場合、支払った分は控除されます。

例えば300万円の生前贈与を行った後に生前贈与加算にカウントされ、その際の相続税が100万円だったとすると、下記のようになります。

贈与税:(300万円-110万円)×0.10=19万円※

相続税:100-19万円=81万

※贈与税は一般贈与でも特例贈与でも19万円となります。



加算対象にならない例外

生前贈与加算は全てのケースに適用されるわけではありません。

以上の二点に該当する場合は、加算対象外です。詳しく解説いたします。



(1)推定相続人以外への贈与


推定相続人とは、相続開始時に相続人となる予定のある人です。具体的には被相続人の配偶者や子供、子供がいない場合は配偶者と親等、法定相続人の順位に従って相続権がある人です。

生前贈与加算は推定相続人以外への贈与については、対象としていないので、例えば被相続人の子供の配偶者、被相続人の友人への贈与は、加算の対象外となります。

ただし、孫への贈与は注意が必要です。孫が代襲相続人であったり、被相続人の養子になっている等、推定相続人として該当するからです。

また、遺言書によって財産を遺贈する場合、受遺者は相続人と同様の扱いとなるので、これらの方への贈与があった場合は加算対象となります。



(2)特例の贈与制度の利用


生前贈与の中には特定要件を満たすことで利用できる特例があります。

非課税額や資金用途は各制度によって異なりますが、生前贈与加算の対象になりません。


ただし、生前贈与加算の対象とはならないものの、各制度のルールによって資金の一部が相続税対象となるケースもあるので、活用の際にはしっかりとルールを把握してください。



まとめ

使い勝手の良い生前贈与ですが、生前贈与加算というデメリットもあるため、万能とは言えません。節税を行うにはこれらの注意点も考慮した上で、対策をしましょう。

万全を期すなら、相続税専門の税理士に相談をしてください。






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一般的な相続といえば、故人の配偶者や、お子さんが遺産を受け取る形が想定されます。要するに、故人にとって近しい方が相続人となるケースが多いと言えます。

ただし、相続のケースにも色々とあるので、介護をしてくれた子供の奥さんや、孫などにも相続財産を渡される場合もあります。

法定相続人には最低限の財産を保障する「遺留分」というルールはあるものの、基本的に財産を誰に渡すかは被相続人が自由に決めることができます。そのため、法定相続人ではない方に遺産を相続させても構いません。

ただし、相続税には「特定の方が遺産を取得した場合、相続税が2割加算される」というルールもあります。

2割加算は非常に重く、相続税が500万円だった場合、2割加算によって600万円となってしまいます。場合によっては、遺産を受け取る方が重い税負担に苦しむ可能性も出てきます。



相続税の2割加算とは

相続税額の2割加算とは、配偶者や被相続人の子供・親等、関係の近しい方以外が相続財産を取得する場合、従来の相続税より2割分多く支払うという制度です。

つまり、被相続人との関係の近さによって、対象者は分かれます。

同制度の加算対象者と非対象者を詳しく分けると以下の通りとなります。

【対象者】
・孫やひ孫
・兄弟姉妹
・甥や姪
・子供の配偶者
・内縁の妻や夫
・遺言で財産をもらう人(受遺者)

 

【対象者外】
・配偶者
・子供
・両親
・養子(孫を養子にした場合を除く)
・子供が亡くなっている場合の代襲相続人(=被相続人の孫)
・親が亡くなっている場合の代襲相続人(=被相続人の祖父母)

 

注意したいのは、被相続人の兄弟姉妹も対象者になります。兄弟姉妹は法定相続人の順位が、第1順位のお子さん、第2順位のご両親に次いで3位となっていますが、財産を受けとれば相続税は2割増しとなるのです。



相続税の計算方法

相続税の計算は以下の手順で行われます。

①被相続人の財産調査と金銭的評価を実施
②①の金銭評価額をもとに、相続税の総額を計算し、基礎控除を差し引く
③②を各相続人の相続分に応じて按分、相続税率を掛け合わせる
 

2割加算は③の部分で行います。

相続税の2割加算は、相続人全員ではなく、あくまで対象者にだけかかります。



どうして2割も加算されるのか

2割加算制度の目的は、「相続税額の負担の調整」が大きいでしょう。

一般的に相続財産を取得すれば相続税の支払いが生じます。被相続人の子供が財産を受け取っても、その子供が亡くなって孫が財産を相続しても同じです。つまり、相続が起こるたびに相続税はかかるのです。

しかし、最初の相続で孫に財産を渡すとなると、相続税が本来であれば二世代分かかるはずなのに、一世代分だけでよくなります(世代飛ばしと言われます)。これでは、税金が公平に負担されているとは言えないですよね。

そのため、被相続人の孫など、本来は法定相続人ではない方が財産を受け取る場合に限り、「税金を多く負担する」ことによって公平にしているのです。

また、被相続人の配偶者や一親等の血族以外の「近しくない方」が対象になっているのは、被相続人が亡くなっても、その方の生活に大きな影響はないからです。

また、偶発的に遺産を受け取ったとも言えるので、遺産を2割増しにしたとしても問題ないと考えられているのでしょう。(仮に遺産を受け取ったせいで大きな負担となるのであれば、受け取らないという選択もできます。)



代襲相続人の場合、2割加算の対象外

前述したように、被相続人のお孫さんは2割加算となります。しかし、代襲相続人であるなら、加算対象とはなりません

代襲相続とは、元々推定相続人の方が亡くなったり、何らかの形で相続権を失った時に、その人の子供が代わりに相続する制度です。

お孫さんにとっては、親が先に亡くなっている等の特別な事情があるため、相続税を2割も加算してしまうと、今後の生活への影響が大きいと考えられるからでしょう。

なお、代襲相続は相続欠格や相続廃除で相続資格を失った場合にも認められます。



まとめ

遺言書をのこしておけば、本来相続人ではない孫などにも遺産を渡すことが可能です。

ただし、その場合は2割加算の対象になることも覚えておきましょう。

加算対象に該当すると、多くの税金を負担することになります。財産に現金や預貯金の割合が多ければ良いですが、仮にほとんど現金がなく、不動産が多い場合などは、相続税を期限内に支払えなくなる怖れもあります。

くれぐれも注意しましょう。






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自身が亡くなった時、財産分割やその方法などについて、指定できる遺言書は相続において重要なものです。遺産の行き先だけでなく、婚外子の認知や、後見人の指定など様々な効力を持ちます。

遺言書は相続人同士のトラブルを回避するためにも、できる限り作成をしておいた方が良いものですが、どの種類を選択するかも重要になってきます。

通常の遺言書は、「自筆証書遺言」・「公正証書遺言」・「秘密証書遺言」の3種類がありますが、それぞれメリット・デメリットがあるからです。またこれ以外にも、特殊な状況下で作成できるものもあるので、選択肢の一つとして覚えておいた方が良いでしょう。(かなり、限定的ではありますが。)



遺言書の種類

遺言書は一つではなく、いくつかの種類があります。
各種類には作成のルールが決まっているので、方式に従わなければ、無効となってしまいます。


上表の通り、遺言書はまず大きく「普通方式」と「特別方式」の二つに分かれます。

普通方式遺言とは平常時に作成される遺言書で、冒頭で述べた自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言の三つに分かれます。
特別方式遺言とは、遺言者が平常時ではない状況で作成が可能となる遺言書です。

平常時ではない状況とは、病気や大怪我で死が迫っている、行動が制限された状態にある等、特殊な状況下にある(普通方式遺言が作成不可である)場合に作成が認められます。

状況が限定的であるため、普通方式と比較すると作成される機会はそんなにありません。
なお、特殊な状況を脱し、普通方式での遺言ができる状態になってから6ヶ月が経過した場合は、特別方式で作成した遺言は無効になります



普通方式遺言

(1)自筆証書遺言


自筆証書遺言は遺言者本人が自ら書いて完成させます。

等々、手順が簡単な遺言書です。お手軽なため、作成頻度も高いです。

ただし、その反面以下のデメリットもあります。


遺言者自身が作成しなければならないので、作成不備が起こりやすく保管の面にも不安があります。
不備となった場合は、遺言書が無効になってしまいます。

なお、2020年7月より法務局で自筆証書遺言の保管制度が開始されています。
少し手間はかかりますが、法務局が原本の保管をしてくれるので、紛失のリスクはなくなります。

また、相続発生後の検認手続きも不要になるというメリットも付いてくるので、保管が心配な場合は、同制度を利用した方が良いでしょう。



(2)公正証書遺言


公正証書遺言とは、公証役場で作成される遺言書です。

公証役場とは、公正証書の作成、私文書の認証、確定日付の付与等を行う役場であり、法務局が管轄しています。
全国約300箇所に設置されています。

遺言書の作成方法は、公証役場の公証人が遺言者から遺言内容を聞き取り、代理で書面に書き起こします。
公証人が作成するため、作成不備は起きません。また、原本も公証役場に保管されるので、紛失や偽造のリスクは無くなります。

また、状況によっては公証人が病院や自宅へ出張してくれるため、高齢や入院中の方でも利用しやすくなっています。

 

メリットをまとめると以下の通りです。


ただし、以下のデメリットがあることも覚えておきましょう。


公正証書遺言には自筆証書遺言ほどのお手軽さはありません。
しかし、作成や保管の面で優れているのが特徴です。



(3)秘密証書遺言


遺言内容を秘密にしたい場合に利用されます。

本人が遺言書を作成した後、公証人と二人以上の立ち合いで完成します。
遺言書を作成した記録は公証役場に残りますが、遺言書自体の管理は遺言者が行います。

遺言書内容は作成者本人の秘密にできますが、内容不備になるリスクや紛失のリスクがあります。
また証人を用意しなければならない等、手間もかかります。

実務上はほとんど利用されていません。



特別方式遺言とは

特別方式遺言とは事情により普通方式が作成不可な際に認められる遺言書です。

よって、後に普通方式が作成可能になった場合は、効力が失われます。
(具体的には平常時に戻ってから6ヶ月後に無効となります。)

特別方式遺言はあくまで緊急時の特別措置です。



(1)危急時遺言


遺言者に死の危険が迫っている際に作成可能なものです。
状況によって「一般危急時遺言」と「難船危急時遺言」に作成方法が分かれます。

一般危急時遺言は以下の特徴があります。

利害関係のない証人とは、相続とは関係ない人=推定相続人に該当しない人です。



難船危急時遺言には以下の特徴があります。

状況が局所的であることや、船や飛行機に搭乗している中で証人を二人も集めるのはハードルが高いため、作成される頻度は低いです。



(2)隔絶地遺言


交通が遮断されていたり、陸地から遠く離れている場所にいる場合に作成可能です。
危急時遺言と違って、死の危険が迫っている状況では無いので代筆は認められていません。

「一般隔絶地遺言」と「船舶隔絶地遺言」の二種類があります。

一般隔絶地遺言の特徴は以下です。



船舶隔絶地遺言の特徴は以下の通りです。



遺言書の選択で考慮するべき事項

(1)検認の有無


遺言書の検認とは、相続人に遺言書の存在と記載内容を知らせること、内容を明らかにして偽造や変造を防ぐ手続きです。遺言書の内容とは、形、加除訂正の状態、日付、署名等です。

相続開始後に、遺言書が見つかった場合は、この検認手続きが必要になります。

検認前に遺言書を遺族が開封してしまうと無効にはなりませんが、開封した方が偽造や変造を疑われるリスクが出てしまいます。また、5万円以下の過料も科される可能性もあるので要注意です。

普通方式遺言の中で自筆証書遺言と秘密証書遺言は検認が必要です。

公正証書遺言については原本が公証役場内に保管されており、作成も公証人が行うため、書類不備や偽造・改ざんの恐れがなく、検認が不要となっています。また、自筆証書遺言でも法務局の保管制度を利用した場合は検認が不要となります。

検認が不要となれば、遺族の相続手続きによる負担が減ることとなるので、検認の有無は考慮にいれて良いでしょう。



(2)保管方法


遺言の保管方法については、法律に定めがありません。遺言者判断で、自由に遺言書を保管できます。(遺言執行者に預けておくことも可能です。)

ただし、相続が起きたときにその遺言書が遺族によって直ちに発見され、遺言執行者によって速やかに遺言内容が実現されるようにしておかなければなりません。発見が遅れれば、相続手続きもスムーズに行かなくなるからです。

相続の起きた時期から大分遅れて遺言書が見つかった場合、相続人の間で面倒な手続きが生じることもあります。(遺産分割が済んでしまった状態で発見されれば、分割をやり直すことになります。)



(3)作成不備となるリスク


遺言書は各様式のルールに従って作成しなければなりません。従っていない場合は、形式上の不備により遺言自体が無効となってしまう可能性があります。

特に、自分自身で作成する自筆証書遺言と秘密証書遺言は作成不備が起きやすいのです。

例えば、自筆証書遺言では以下のような不備がよくあります。

これらの不備はお一人で作成されている場合、どうしても気付きにくくなります。その意味でも、証人が遺言の中身を確認しない秘密証書遺言も不備になる可能性が高いのです。

せっかく作成した遺言書が無効となってしまう事態は避けたいところ。

よって、作成不備のリスクがない公正証書遺言、もしくは自筆証書遺言の場合は保管制度を利用しましょう。保管制度では、担当官が形式不備をチェックしてくれます。



まとめ

遺言書には多くの種類があります。大体の場合は普通方式の3つの形式から遺言作成方法を選択することになりますが、メリットとデメリットを把握した上で、最適な形式を選びましょう。

作成が不安であったり、どの形式を選んで良いかわからない場合は、専門家に相談してください。






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