こんにちは。
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。

相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。

 


 

被相続人が多額の借金をしていた場合、その支払い義務は相続人が引き継ぎます。

もし、負債額がプラスの財産よりも高い場合、そのまま財産を相続してしまうと損になりますから、一切の相続権を手放す「相続放棄」を選ぶ方法もあります。
 

ただ、相続放棄をすると財産が他の相続人に分配されることとなるので、相続税の計算にも影響が出てきます。

本コラムでは相続放棄によって相続税にどのように影響するのか、詳しく解説していきます。

 

相続放棄とは

相続放棄とは、相続人としての権利を全て手放す行為です。

手続きを行えば、被相続人の預貯金や不動産など、一切の遺産を取得できなくなります。
 

しかし、借金や滞納した税金といったマイナスの財産も取得しなくて良くなるので、「遺産が債務超過になりそうなケース」において有効な対策と言えます。

また相続人ではなくなることから、遺産分割協議にも参加しなくてよくなります。

よって、「遺族同士の遺産争いに巻き込まれたくない」場合にも有効です。
 

なお、相続放棄ができるのは「熟慮期間」中です。

これは、自己のために相続開始を知った時から3ヶ月以内です。
 

期限を過ぎたり、遺産の一部を処分したりすれば「単純承認」が成立し、相続放棄はできません

家庭裁判所に申請すれば、期限を延長することもできますが、相応の事由がないと申請が認められません。
 

また、一度、相続放棄の手続きをすると、原則的に取り消しができません

そのため、財産調査が不十分で、後から遺産が債務超過ではなかったことが発覚して、損をするケースもあります。
 

よって、相続放棄には、慎重な判断が求められます

 

相続放棄をした本人や周りへの影響

(1)本人に対して

 
相続放棄をすると、本人は相続財産を取得しないので、相続税の申告もしなくて良くなります。

ただし、遺贈によって特定の財産を得る場合や、死亡保険金や死亡退職金を受け取る場合は話が変わってきます
 

まず遺贈による財産取得ですが、「相続放棄による相続人としての権利放棄」と「受遺者としての財産放棄」は法律上、別の問題です。

遺贈自体も受けたくないのであれば、遺贈の放棄をする必要があります。(放棄の方法は法律上、特に決まりはなく、本人が意思表示をすれば大丈夫です。)
 

よって、相続放棄をしても、遺言によって指定された財産は受け取れるわけなので、受け取った財産分の相続税を負担しなければなりません
 

そして、死亡保険金についても同様です。

相続放棄があった場合でも死亡保険金は取得できるので、財産に応じて相続税額を算出し、金額によっては申告と納付をする必要があります

 

(2)他の相続人に対して

 
相続放棄をした方の財産は他の相続人が取得するため、その分、負担する相続税自体は増えることになります

相続税の計算に当たっては、相続放棄をした相続人がいても、その放棄がなかったものとして計算します
 

例えば、基礎控除額などは算定に法定相続人数を用いますが、相続放棄をした人もカウントします。

よって、相続放棄があってもなくても相続税の総額は変わりません。
 

 

基礎控除額への影響

相続放棄をすると、その相続人は「いなかった」ものとなります。

しかし、基礎控除の計算については、「放棄はなかった」ものとして、相続放棄した人を法定相続人に加えて良いのです。
 

相続税の基礎控除は下記の計算式で算出します。

「3,000万円+600万円×法定相続人の数」

 

法定相続人が被相続人の配偶者と子供二人の計三人で、子供の一人が相続放棄したとすると、基礎控除額は3,000万円+600万円×3=4,800万円となり、相続放棄がある前と同じ金額になります。

こうみると、特定の遺族が相続放棄を行っても基礎控除は同じなので、相続税額が不当に増えることはないという話になります。

 

死亡保険金への影響

被保険者が亡くなった後に保険会社から支払われる「死亡保険金」は受取人の固有財産です。

そのため、通常の相続財産とは違い、相続放棄をしていても受け取りが可能です。
 

ただし、死亡保険金は「みなし相続財産」とされ、通常の遺産と同じように相続税が課税されます

※保険料の負担者および被保険者の設定によっては、課税される税金の種類は異なります。
 

なお、死亡保険金には非課税枠があります。金額は下記の通りです。

「500万円×法定相続人の数」

 
これも、基礎控除と同じように、相続放棄をした方も法定相続人の数に加えて良いのです。

そのため、相続放棄による相続税への影響はありません。
 

ただし、受取人が相続放棄をした方だった場合、非課税枠の適用ができません
 

前述した例と同じく、配偶者と子供二人の計三人で、子供の一人が相続放棄するケースで考えると、

配偶者:保険金を受け取れる上、非課税枠の適用が可能。
子供A:配偶者と同じ条件。
子供B(相続放棄):保険金は受け取れるが、非課税の適用はなし

 
非課税枠は「500万円×3人=1,500万円」となりますが、これは受取人の配偶者と子供Aで按分します。

もし保険金総額が5,000万円で配偶者が3,000万円、子供Aが2,000万円受け取る場合、

配偶者:1,500万円×(3,000万円/5,000万円)=900万円
子供A:1,500万円×(2,000万円/5,000万円)=600万円

が非課税額となります。
 

★参考記事:相続放棄しても死亡保険金は受け取れる

 

未成年者控除・障害者控除への影響

相続人が未成年者や障害者である場合、特定要件を満たせば、相続税を控除できます。

未成年者控除=(20歳−相続人の年齢)×10万円

障害者控除(一般障害者)=(85歳-相続開始時の満年齢)×10万円
障害者控除(特別障害者)=(85歳-相続開始時の満年齢)×20万円

 
これらの控除についても同様で、相続人が相続放棄をしていても相続税の計算上はなかったものとして考えます。

したがって、遺贈による財産や死亡保険金取得にかかる相続税については、未成年者控除を組み入れられることになります
 

★参考記事:相続における未成年者控除【概要】

★参考記事:相続税の障害者控除について

 

配偶者控除への影響

配偶者が相続人の場合、「1億6,000万円か配偶者の法定相続分額」のうちどちらか大きい金額までを非課税とする配偶者控除を適用できます。

金額を超える場合は、控除分を差し引いて相続税が課税されます。
 

配偶者が相続放棄をして、死亡保険金などのみなし相続財産や遺贈による財産を受け取った場合、この税額軽減を適用することができます。

これは相続放棄をしても被相続人の配偶者である事実は変わらないためです。
 

★参考記事:1億6千万円以上が非課税!相続税の配偶者控除とは

 

債務控除への影響

被相続人の借金や未払いの固定資産税など、いわゆるマイナスの財産は通常、債務控除として相続財産の金額から差し引きます。

相続放棄をした場合、債務控除の対象となりません。(相続放棄をした時点でプラスの財産もマイナスの財産も引き継がないからです。)
 

ただし、葬儀などの社会通念上相当な費用を負担していた場合には、相続放棄をしていても、相続財産からその葬式費用分を差し引くことができます

 

相次相続控除への影響

相次相続とは10年以内に立て続けに起きる相続のことで、相次相続控除とは2次以降の相続で課税される相続税から一定額を控除するものです。

相次相続控除は適用が相続人に限定されるので、相続放棄をした場合は適用することができません
 

★参考記事:複数の相続が起きた場合の控除制度【相次相続控除】

 

まとめ

基本的には、相続放棄をすることで相続税の計算方法には大きな影響は出ません

基礎控除や死亡保険金の非課税枠などについては、「相続放棄がなかったものとして計算される」ことを覚えておきましょう。
 

もし、税額計算で不明な点があれば、相続を専門とする税理士に相談しましょう。

相続税のプロに相談すれば、相続時における税額のシミュレーションもできますし、節税対策のアドバイスも受けることができます。
 

面倒な相続税の申告も代行してくれるので、お勧めです。

 

 


 
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相続税には他の税金と同様に「時効」があります。

時効を迎えれば、申告額が不足していたとしても、不足分を払わずに済むことになります。
 

ただし、時効が適用されるケースは稀です

申告額の誤りや申告漏れがわかっている場合、そのままにしておくと、後々、多額の税金を支払わなくてはならないリスクを負います。

 

相続税の時効は原則5年

相続税の時効は「除斥期間」といいます。

税務署は相続税の申告義務があるにも関わらず無申告だった方、申告漏れがあった方などに対して、課税処分を行いますが、それはこの除斥期間内のみ可能です。
 

法定申告期限から一定年数が経過し、除斥期間を過ぎてしまうと税務署は課税処分を行えません

つまり、時効が成立するのです。
 

除斥期間は相続税の法定申告期限の翌日から、原則「5年」となります。

ただし、「偽りその他不正の行為」があった場合、除斥期間は「7年」に延びます。
 

偽りその他不正の行為とは、虚偽の回答をしたり、相続財産を隠すといったものです。

意図的に申告をしないような場合も、期間は長くなるのです。

 

時効の起算日

時効の起算日は、相続税の申告期限の翌日となります。


相続税の法定申告期限は、相続人が相続開始を知った翌日から10ヶ月なので、その時点から5年(悪意のある場合は7年)が時効の期間となります。
 

例えば、相続開始が令和2年1月10日の場合は、法定申告期限は同年11月10日です。

時効はそこを基準とするので令和7年11月10日(もしくは令和9年11月10日)となります。

 

時効成立の可能性は低い

税務署もプロですから、独自のルートで被相続人や相続人に関する情報を持っています。

かなりの年月を遡った範囲まで確認するので、故人の財産をおおよそ把握していると考えて良いでしょう。
 

よって、時効を迎えて逃げ切れるということはほぼありません。

ほとんどが税務署にバレて、高額のペナルティーを支払わされるという結果になります

 

申告期限が遅れればペナルティは大きくなる

申告期限を破った場合、延滞税、無申告加算税、過少申告加算税、重加算税といったペナルティーが発生します。

ペナルティーを受ければ、本来よりも多くの税金を納めなければなりません。
 

そのため、申告額の誤りや申告漏れに気づいた場合は、1日でも早く納付しましょう。

 

まとめ

相続税には時効がありますが、時効を迎えるケースはほぼありません。

「このくらいなら申告しなくても大丈夫」という考えは通用しません。高額のペナルティーを受ける前に一刻でも早く申告を済ませましょう。

 

 


 
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「両親が借金の肩代わりをしてくれた」「知人が貸してくれていたお金を無しにしてくれた」というケースは世間ではよくあることです。

しかし、これらの行為には贈与税がかかってきます
 

というのも、贈与は「双方の合意があって成立する契約」と民法では定義されますが、税法上では双方の合意がなくても特定のケースを「贈与と同じ行為」と考えるのです。

 

みなし贈与とは

贈与は契約行為です。よって、贈与者と受贈者共に贈与の認識があって成立します。

しかし、相続税法では贈与の認識がない場合であっても、特定の行為を贈与と同じだとみなし、贈与税を課税することになっています。
 

これは「みなし贈与」といいますが、該当するケースに以下のものがあります。

 

債務免除益とは

債務免除とは、無償もしくは低い対価で債権が放棄され、債務が免除されることです。
 

本来であれば自分で支払うはずだった金額が無しになったりすれば、贈与によって利益を受けたことと同じになります。

よって、みなし贈与として贈与税が課税されるのです。
 

みなし贈与の対象となる債務免除益は以下になります。

 
借金を親や配偶者に代わりに支払ってもらう場合もみなし贈与に該当します。

また、支払い義務のある税金を払ってもらった場合も同じです。
 

一時的な立て替えである場合は当てはまりませんが、その際は後の返済について当事者間で合意があった事実を示すための証書が必須です。

証書がなければ、税務署に指摘された場合にみなし贈与扱いになる可能性が高くなります。

 

課税対象外の債務免除益とは

債務免除には例外的に課税の対象外となるものがあります。

それは、債務者が極度の貧困や病気などにある場合に債務が免除される場合です。
 

債務者の状態が「明らかに返済困難」な場合は、みなし贈与とはなりません。

同条件であれば、債務者の扶養義務者が債務を肩代わりしても非課税です。
 

弁済が困難かどうかについては、債務者の信用による借り換えや労務状況、今後の収入などもあわせて判定されます。

 

まとめ

生前贈与は相続税対策として有効な手段ですが、活用する場合はみなし贈与にも十分注意しておく必要があります。

判断に困る場合は、専門家に相談するとよいでしょう。

 

 


 
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遺言書はせっかく書いても、遺族の方が相続開始後に発見しなければ効力を持ちません。

遺言書が見つからなければ、遺族は遺産分割協議で分割内容や方法を話し合うことになります。
 

相続の中には、苦労して分割協議をまとめた後に遺言書が出てくるというタイミングの悪いケースもあります。

この時、遺言内容は協議結果と異なるものである可能性が高いですが、そうなった場合一体どうすれば良いのか、本コラムで解説いたします。

 

遺産分割協議と遺言書の優先度

相続において遺産分割協議が開かれるのは以下の2ケースです。

 
遺言書は遺言者の最終意思なので最大限尊重されるものです。

そのため、法定相続分や遺産分割協議結果よりも優先度は高くなります

 

どちらに従うかは合意次第

遺言書内容は遺産分割協議結果よりも優先されるため、分割協議後に遺言書が見つかった場合、原則として遺言書に従います。

ただし、遺言書内容を相続人全員で確認の上、合意が取れた場合は従う必要はありません
 

遺産は分割協議で決めた内容に従って分配することになります。

 

相続人の数が変わるケースに注意

遺言書には遺産の分割内容や方法の指定以外にも様々な効力があります。

その中には、法定相続人以外に財産を渡す「遺贈」、法律的に自分の子供とする「認知」、特定の相続人の資格を剥奪する「相続廃除」があります。
 

これらは、相続人(遺産を受け取れる権利者)の数を変動させる要素を持ちますが、もし記載されている場合は注意が必要です。
 

というのも、既に遺産分割協議が完了している場合、遺言書によって加わった受遺者や相続人を交えた上で同意を得なければなりません

遺言執行者が指定されている場合は、執行者の同意も必要です
 

合意が取れなければ、分割協議の結果は無効となり、遺言書に従って遺産分配を行うことになります。

 

遺言書は早急に発見されるように工夫を

遺言書は遺言者が亡くなった後、遺族に早く発見されるのが理想です。

発見が遅れれば、相続手続きの手間も余計にかかってしまい、遺族の負担となります。
 

証人が必要な公正証書遺言を選択する、自筆証書遺言の法務局保管制度を利用する、遺言執行者に遺言保管の事実を伝えておくなど、相続開始時に遺族がすぐに内容を確認できるよう工夫しましょう。

 

まとめ

遺産分割協議完了後に遺言書が見つかった場合、原則として遺言内容に従いますが、ケースによっては、再分配をしなくても大丈夫です。

相続人全員の合意を得ることも大事ですが、遺言内容に受遺者・相続人の増減に関わる事項がないかの確認も大切です。

 

 


 
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相続が開始されると様々な効力を生じる遺言書。

ですが、その効力は遺言書が有効である場合のみです。
 

遺言の有効性は、民法で定められたルールの遵守を前提としています。

ルールに則っていなければ無効となり、なかったことになります
 

遺言書がなければ、相続人同士で遺産分割協議を行い、改めて配分内容を議論しなくてはなりません

相続手続きの手間が増える他、遺言者の意思も反映されなくなります。
 

そのため、遺言書を残す場合には、無効となる原因に注意しなくてはなりません。

本コラムでは遺言書が無効になるケースについて説明いたしますので、遺言書作成時の参考にしてください。

 

作成様式の不備

遺言書のうち、公正証書遺言なら公証人が代理で作成するので、作成不備は起こりません。

ですが、第三者が内容を確認しない自筆証書遺言や秘密証書遺言だと、様式に沿っていない書き方をしているために無効となる場合も見られます
 

例えば、自筆証書遺言の場合には以下の作成ルールがあります。

これらの要件を満たさないと自筆証書遺言は有効になりません。

なお、自筆証書遺言でも法務局の保管制度を利用すれば、保管前に担当官が様式チェックをするので、様式不備は起こりません。

 

内容の誤り

遺言書における内容にもルールがあります。

それは「遺言者以外に遺言内容が理解可能であること」・「遺言効力に基づいているか」・「第三者の介在がなかったか」です。
 

記載内容が曖昧で、本来の意味が分からない場合、その遺言書は無効です。

また、遺言書には遺言者が指定できる範囲が決められています。それは主に相続分や分割方法遺言執行者などですが、その範囲外のことが書かれていても、効果はありません。
 

さらに、遺言書作成時に第三者の意思が介在している可能性がある場合、他の相続人から「遺言無効確認の訴え」を起こされることがあります。

訴えが認められると、無効となります。

 

遺言者に遺言能力がない

遺言者には遺言を作成する際にある程度の意思能力と判断能力が必要です

つまり、加齢や認知症などでそれらの能力を喪失していた場合は無効です。
 

遺言能力の有無は、医師の診断書やカルテなどをもとに裁判所が判断します。

 

偽造や変造が発覚した

遺言者でない他の方が遺言書を偽造したり、既に作成されたものを変造した場合は無効となります。

無効なのは偽造や変造と認められた部分のみです。

 

まとめ

遺言書が無効になるケースについて説明いたしました。
 

遺言書を残す場合は、無効にならないように対策をするべきですが、なかなか難しいかと思います。

特に、自筆証書遺言の場合、手書きで作成しなければ行けないため、間違いも起こりやすくなります。
 

そんな時は、専門家に相談をしましょう。

専門家に相談することで、遺言書が無効になるリスクは軽減されますし、イレギュラーなことが起こった場合でも対応できる遺言内容の書き方や、相続税を節税する分割方法も提案してくれます。
 

無料相談を行なっている事務所もたくさんあるので、是非活用してください。

 

 


 
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人が亡くなった時、所有されていた財産はその方の遺族=相続人同士で分割されて引き継がれます。

しかし、中には「独身で兄弟もいない」、「両親も既に他界している」等、相続人が全くいないケースもあり得ます。
 

そのような場合は、遺産は一体どうなるのでしょうか。

 

相続人が存在しないケース

(1)身寄りが全くいない

 
法定相続人となる親族の範囲と順位は民法で決まっています。

ですが、被相続人が独身者で、兄弟姉妹もおらず、両親も他界しているなら、法定相続人はいないことになります。

 

(2)法定相続人が全員相続放棄をした

 
相続放棄をすればその相続人は最初からいなかったことになります。

また、相続放棄をすると、その相続人の子供に相続権が移る代襲相続はできません。
 

よって、法定相続人となれる範囲の方全員が相続放棄をした場合、相続人は不在となります。

 

遺産は最終的に国庫に帰属

相続人が全くいないことが確認されると、相続財産を管理するために「相続財産管理人」が選定されます。

これは家庭裁判所によって選定されますが、大抵は地域の弁護士が担当します。
 

この相続財産管理人が相続人や相続債権者が本当にいないのか改めて捜索しますが、一定期間見つからなければ、相続財産は最終的に国庫に帰属することとなります

もし、捜索中に相続人が名乗り出た場合は、手続き後に財産が引き継がれます。

 

故人の遺体は市区町村で埋葬

故人の遺体は住所を管轄する市区町村が引き取って、埋葬を行います。

法務局長の許可を得た後に、戸籍に死亡の記載が行われます。
 


諸々の費用は、遺産の一部から割当てられますが、不足分は市区町村が一時的に立て替え、最終的に都道府県が負担します。

 

遺言書の必要性

法定相続人がいない場合、基本的に遺産は国庫のものとなります。

そのため、身寄りがいなくても友人やお世話になった方に財産を渡したいと考えるなら、遺言書の作成が必須です。
 

遺言書があれば、親族でなくても受遺者として財産を受け取れるからです。

被相続人の療養看護に務めていた「特別縁故者」であれば、財産を受け取れなくもないですが、遺言書がある方が手続きは遥かにスムーズです。

 

まとめ

現代では少子高齢化やライフスタイルの多様化によって、相続人不存在となるケースも増えていくように思われます。

自身が亡くなったときの財産を誰かに譲渡したい場合は、生前に遺言を書いておきましょう。

 

 


 
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口座の名義人が亡くなった事実を金融機関側が知ると、その口座は凍結されてしまいます。

凍結されれば、預金をおろしたり、引き落としでの支払いもできなくなります。
 

★参考記事:知っておきたい銀行口座の凍結【手続きや相続前の対策も】

 
相続では、葬儀費用や相続税など、支払いの機会は意外に多いものです。

もし、手元に現金がない場合は、困った事態になります。
 

そこで民法では、「預貯金の仮払い制度」が2019年より創設されました。

この制度を利用すれば、凍結解除の手続きをしなくても、遺族が口座からお金を引き出すことができます。

 

預貯金の仮払い制度とは

故人の口座は相続財産のため、トラブル防止の目的で金融機関側が凍結を行います。

凍結口座からは、出金および振込や引き落としができません
 

もし生活資金を被相続人の口座にまとめていた場合、相続開始後の遺族の生活に影響が出る可能性もあります。

そのため、日本政府は「預貯金の仮払い制度」を創設し、遺産分割が完了していなくても、法定相続人であれば一定の金額を引き出せるようにしたのです。
 

引き出せるのは、以下の二項目のうち低い金額に該当するものです。

なお、上限額は金融機関単位なので、金融機関を跨って複数の口座がある場合は、出金可能な金額も増えます。

 

払戻しに必要な書類

各金融機関ごとに手続きの内容や必要書類は変わってきますが、以下の書類はおおよそ必須です。(必ず事前確認をしてください。)

 

引き出しの金額が足りない場合

先に述べた引き出しの上限額は、「遺族がおよそ1年分暮らすための生活費、葬式およびその他の必要経費」を根拠に決定されています。
 

ですが、この金額ではお金が足りないという遺族もいることでしょう。

そんな時は、家庭裁判所で「仮処分」という手続きを行なえば、出金の上限額を増やせます。
 

ただし、裁判所の認可をもらうには、必要性や妥当性を示さなければなりません

仮処分の決定を受けるまでのハードルは高いので、現実的ではないでしょう

 

注意事項

故人の口座から預貯金を引き出して使用すれば、相続財産を処理したことになり、「単純承認」が成立します。

単純承認は財産を相続したことになるので、相続放棄はできません。
 

ただし、預貯金の仮払い制度を利用して払い戻したお金の使用先が葬儀代等であれば単純承認とはなりません。

生活費など自身のために使用した場合に、成立します
 

もし、相続放棄を検討しているなら、安易に預金の仮払いを利用するのは避けたほうが良いでしょう。

また、制度利用には他の相続人の同意を得る必要はありませんが、遺産分割協議時にもめごとにならないよう、できる限り利用前に事前に連絡をしておくべきでしょう。

 

まとめ

預貯金の仮払い制度について解説いたしました。

スムーズに凍結口座から預貯金が引き出せるのは良いことのように思えますが、相続放棄や他の相続人との関係を考えると、活用には慎重な対応が必要です。
 

不安な場合は、相続手続きの専門家に相談してください。

 

 


 
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故人の預金口座は相続開始後に凍結されてしまいます。

凍結された口座からはお金の引き出しや預け入れはできませんし、電話代や光熱費、クレジットカードの引き落としもされなくなります。
 

もし、家族の生活資金を故人の口座にまとめていると、困ったことになります。

 

何故、凍結されるのか

故人の口座が凍結されるのには以下の理由があります。

 
故人の口座にあるお金は相続財産となります。

また、遺産分割が行われるまでは、法定相続人の共同所有物です。
 

誰もが自由に引き出せる状態だと、様々なトラブルを起こす可能性があります

そのため、口座凍結が行われるのです。

 

どの段階で凍結されるのか

口座の凍結は相続開始後すぐにされるわけではありません。

死亡届が市町村役場に提出されても、役場から金融機関に連絡をすることはないからです。
 

金融機関は以下の方法で名義人の死亡を確認し、口座の凍結を行います。

 
このため、中には名義人の死亡が確認されず、口座が凍結されないケースもあります。

口座が凍結されるのを防ぐために、相続人から銀行に連絡をしないことも可能ですが、前述のように他の相続人が勝手に預貯金を引き出す怖れもあります。
 

そういったリスクを考えると、口座名義人が亡くなった時点で、遺族側から銀行に連絡を入れた方が良いと言えます。

 

相続開始後の手続き

凍結された口座を利用するには、名義変更が必須です。

なお、必要な書類や手続き内容は銀行によって若干異なるので、事前確認が必要です。
 

書類に不備がなければ1~2週間程度で凍結が解除されます。
 

(1)遺言書がある場合

 
遺言書で預貯金の取得者が指定されているなら、遺産分割協議が不要となるので、凍結解除は簡易に行えます。

手続きに必要な主な書類は以下の通りです。

 

(2)遺言書がない場合

 
遺言書がなければ、遺産分割協議で相続人全員が財産分割に同意する必要があります。

同意がなければ、口座の凍結解除は不可能です
 

手続きに必要なものは以下の通りです。

 

相続開始前にしておいた方が良い事項

トラブル防止のために口座の凍結解除には手間がかかるようになっています。

手続き後も、お金を引き出すまでには、間があきます。
 

相続では葬儀などで現金が必要になることもあります。

困った事態にならないように、被相続人が生前のうちから対策をしておく方が良いでしょう。
 

(1)口座からお金を引き出しておく

 
葬儀費用や生活資金が必要なら、相続が始まる前にいくらか引き出しておきましょう。

引き出す時は、トラブル防止のために推定相続人全員の承諾を得ること
 

なお、被相続人自身が生前に預貯金を引き出しておいて、特定の親族に託す方法でも良いでしょう。

 

(2)生命保険など死亡保険金等に加入しておく

 
死亡保険金は被保険者の死後、手続きを行えばすぐに保険金を受け取れます。

口座凍結の解除よりも手間がかからないので、相続開始直後の手元資金を増やすには良いでしょう。

 

(3)遺言書を作成しておく

 
前述したように遺言書で預貯金の取得者を指定しておけば、口座凍結解除はスムーズに進みます。

逆に遺言書がないと遺産分割協議がまとまらず、手続きをするのに一年以上かかる場合もあります。

 

(4)口座を整理しておく

 
故人の口座数が多いと管理や手続きが大変になるので、生前にできる限りまとめておいた方が良いでしょう。

外国の金融口座を所有している場合は、言語の違いから手続きも面倒になるので、できる限り解約をしておきましょう。

 

まとめ

名義人の死亡情報が金融機関に伝われば、その口座は凍結されます。

凍結口座の解除や名義変更は、遺産分割協議が終わって取得者が確定するまで不可能です。
 

口座が凍結されても困らないように、相続開始前からある程度の対策はしておきましょう。

 

 


 
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厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。

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相続税の申告と納付は原則、相続開始=(被相続人が亡くなってから)から10ヵ月以内に行います。

期限を破ってしまうと、本来の税額にペナルティーとしていくつかの税金が課されてしまいます。
 

しかし、期限内の申告を意識するあまり申告額を誤るケースもあります。

申告額が本来の正しい金額よりも大きければ問題ありません。

ですが、本来よりも申告額が少なかった場合は、相続税の申告を早急にし直さなければなりません

 

相続税申告には間違いがつきもの

相続財産は株式、土地、建物、家財など各財産によって評価方法が異なります。

相続税は各評価によって正しく算出しなければなりませんが、専門知識がなければ理解が難しく、時間も大幅にかかるので、申告額に誤りが生じやすいのです
 

また、申告後に、新たな遺産が見つかるケースもあります。

相続税額が増えるのであれば、早急に申告内容を修正しなければなりません。

 

ペナルティの有無

(1)期限内の再申告ならペナルティなし

 
申告の間違いに気づいたのが、申告期限内であれば、申告書を再度提出すればOKです。

これは「訂正申告」と呼ばれます。
 

相続税法では、申告期限内に相続税申告書を提出した方が、同期限内にもう一度申告書を出した場合、その書類は最初から期限内に提出された正確な申告書として処理されるのです。
 

要するに申告書の提出が複数ある場合は、最後に提出されたものが採用されるということです。

なお、訂正申告は通常の申告と同じなので、訂正した後、原則すべての書類を再び提出します。

 

(2)期限後ならペナルティあり

 
申告期限後にもう一度申告をし直す場合は、「修正申告」となります。

相続税本来の期限を破っているので、「延滞税」と「過少申告加算税」が課されます。
 

延滞税は本来の納期限から修正申告をした日までの日数に、年14.6%(2カ月以内なら年7.3%)が加算されます。

過少申告加算税は修正のタイミングで税率が異なります。

 
税務調査の通知が来る前に、修正を行っていれば過少申告加算税の課税は免れます。

 

税務調査はいつ頃くるのか

相続税の税務調査は、相続税の申告を行った後、およそ1~2年後に来る可能性が高いと言えます。

2年が経過すれば、ひとまず安心と言いたいところですが、相続税の時効は5年のため、絶対に安心とは言い切れません。

 

まとめ

相続税額の計算は非常に複雑なため、間違いが生じやすいと言えます。

誤りに気づくのが申告期限内なら、早急に申告書を提出し直せば、ペナルティを受けることはありません。
 

そのため、如何に素早く手続きを終えられるかが重要です。

ご自身で手続きをやり直すのも良いですが、確実性とスピードを求めるのであれば、相続税専門の税理士に手続きを代行してもらうのもお勧めです。
 

余計な税金を支払うことがないよう、十分に対策をしてください。

 

 


 
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被相続人が実は死亡保険金を契約しており、被保険者になっていた場合があります。

この時に払われる保険金は受取人に設定された方のものです。
 

死亡保険金は厳密には相続財産には該当しないので、相続放棄をしていても受け取ることができます

 

相続放棄とは

相続放棄とは法定相続人としての権利を手放す行為です。

相続権が失くなるので、相続財産の取得はできませんが、借金などのマイナスの財産も受け継がなくて良くなります。

そのため、相続財産に借金が多い場合はもちろん、単純に遺産分割協議に参加したくないケースでも活用されます。
 

相続放棄を行うには、相続開始を知った翌日から三ヶ月以内の熟慮期間中に手続きを行います。

期間を過ぎた場合は、単純承認が成立し、相続放棄はできません
 

単純承認は相続財産である預金を払い戻したり、借金の一部を返済したりする等、財産を処分した場合でも成立します。

 

相続放棄をしても死亡保険金を受け取れる理由

相続放棄をしても、生命保険金などの死亡保険金は受け取れます。

これは、死亡保険金は相続財産ではなく、受取人の固有財産だからです。

 

民法では相続財産は「亡くなった人が所有していた財産に関する権利と義務」です。

しかし、保険金は保険契約に基づいて受取人が受け取るお金であるため、被相続人の所有財産ではないのです。
 

よって、相続放棄をしていても、死亡保険金は受け取れるのです。

 

死亡保険金はみなし相続財産

死亡保険金は相続財産ではありませんが、「みなし相続財産」のため相続税がかかります。

みなし相続財産とは本来は被相続人の所有財産ではないものの、被相続人が亡くなった際に相続人が受け取る財産です。
 

この点が相続財産と同じであるという点から、税法上では通常の相続財産と同じように相続税の課税対象となるのです。

 

非課税枠が使えない

死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」という非課税枠があります。

相続放棄をしても非課税額の計算上では、法定相続人の数にカウントされますが、相続放棄をした方が受け取る保険金への適用はできないのです。
 

非課税枠が適用されるのは、あくまで「相続人だけ」なのです。

よって、相続放棄をした人は非課税枠を使えません。

 

設定によっては課税される税金が変わる

保険料の負担者が被保険者と違う場合、課税される税金の種類が変わってしまいます

例えば、被相続人が被保険者で、奥さんが保険料負担者、子供が受取人の場合は、保険金は贈与として受け取ったものとして贈与税が課せられます。
 

贈与税は相続税よりも税率が高いので、場合によっては高額の税金を支払うことになってしまいます。

上手く節税したいのであれば、十分に注意しましょう。

 

まとめ

相続放棄をしても、死亡保険金は受け取れますが、非課税枠が使えない等、注意点もあります。

相続放棄をするかどうかの検討も大事ですが、無駄な税金を払わないようにこれらの事項に気を付けることも大切です。
 

相続において確実に節税を実現するなら、専門の税理士への相談がお勧めです。

 

 


 
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