厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
相続で取得した不動産について住む人がない、賃貸物件としての活用も難しいのであれば、手放すことも検討しましょう。
というのも、不動産は所有しているだけで年に数回固定資産税が徴収される他、修繕費やメンテナンス費の負担もあるからです。特に人が住まない家は傷みやすいので、そのまま放置していると、多くのお金がかかるでしょう。
不動産を処理するには売却が最もベターな方法ですが、寄付という方法もあります。
実は相続不動産を国へ寄付できる制度も2023年から始まっています。
この制度を利用すれば、国に土地を引き取ってもらえる可能性がありますが、要件が厳しいこと、負担金があるなど、デメリットもあるので注意が必要です。
相続土地国庫帰属制度
(1)概要
相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈によって取得した土地を国庫に返還する制度です。
土地であれば何でも良いというわけではなく、寄付できる土地には条件が決められています。
また、その土地管理に要する10年分の費用を寄付する方が負担しなければなりません。
審査もゆるくはないことと、それなりの負担金があることから、安易に利用できる制度ではありません。
相続土地国庫帰属制度の施行日は2023年の4月27日であり、既にスタートしている状態です。
同制度の創設により、民法に所有権放棄に関する新たな規定は設けないこととなりました。
(2)申請資格者の要件
申請者は相続もしくは遺贈によって、その土地を引き継いだ方です。
生前贈与で土地をもらった方は対象ではありませんし、購入した方も同様です。
また、土地を複数人で共同所有しているのであれば、他の共有者の合意がなければ申請できません。
(3)土地要件
国に寄付できる土地は通常管理・処分するにあたり高い費用や労力がかからないものに限られます。
つまり、草木が生い茂っている荒れ地、産業廃棄物や建材が散乱しているような土地だと、国は引き取りません。
更地にして再利用するために、手間とお金がかかるからです。
具体的に制度の対象にならない土地は以下の項目に該当するものです。
- 土地の上に建物がある
- 人に貸している
- 担保権又は用益権が設定されている
- 通路や水路など、他人による使用がある
- 土壌汚染がある
- 境界が不明確である、または所有権の帰属等に争いがある
以下のものはケースごとに判断されます
- 崖地
- 車両・樹木等の残置物がある土地
- 地下埋設物等がある土地
- 災害などの危険区域
後に述べた項目に該当しても、一つ一つ整理していけば、審査に合格できる可能性はあります。
(4)費用
同制度には申請手数料と負担金が必ずかかります。
申請手数料は、登記上の土地の個数を表す単位である1筆当たりに1万4000円がかかります。
審査手数料は、申請書に収入印紙を貼って納付します。
このお金は申請を取り下げた時や審査が不合格になった際にも返ってきません。
また、承認された後に、土地の管理費として10年分の負担金を納付しなければなりません。
負担金は、基本的に1筆20万円がベースです。森林や田畑の場合は面積に応じ算定されることになります。
相続土地国庫帰属制度は安易に利用できない
相続土地国庫帰属制度で国に返還できる土地は、通常管理や処分に際し、高い費用や労力を必要としないものに限られます。
面倒な土地を国は引き取ってくれません。
また土地は更地であることが重要です。
崖地や適切な造林などが実施されていない森林など、活用ができないと判断されれば審査落ちとなります。
審査には半年から1年ほどの期間がかかります。
そして、10年分の管理費に相当する額を支払う必要があります。
100m2の住宅地の場合は審査料と合わせて40万円程度かかるので、負担はかなりのものになります。
遺贈寄付
国への返還制度を利用しない場合、国以外の団体に「相続人が寄付をする」か「遺言者が遺言によって寄付を指定する」という遺贈寄付もあります。
寄付を受け付けているのは、学校や公益法人・非営利団体等があります。
しかし、遺贈寄付もハードルが高いといえます。
そもそも、土地の寄付を受け付けている非営利団体はとても少ないのが現状です。
不動産は現金の寄付と比較すると、「団体活動への利用が簡単ではないこと」「換金の手間がかかること(売れないリスクもある)」などが主な理由です。
このような点から、相続不動産の寄付も難しいと言えます。
売却できなかった土地の処理として、寄付を選択するのも良いですが、簡単ではないことは覚えておきましょう。
まとめ
相続で取得した土地の寄付は簡単ではありません。「不要な土地は寄付すれば良い」と考えるのは危険です。
いずれにせよ土地は持っているだけで税金が発生しますので、早期に処理できるように対策をしておくべきです。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
行政書士、司法書士、弁護士、不動産鑑定士との強いネットワークを活かして、あなたの相続の悩みをサポートいたします。
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相続財産の中でも不動産は、分け方が難しいものです。現金のように1円単位で細かく分割できないため、トラブルの元にもなりやすいのです。
不動産の分割では、「代償分割」「換価分割」「現物分割」「共有分割」の四つの方法がありますが、それぞれの方法にはメリット・デメリットが存在します。
相続不動産の種類
相続不動産は被相続人が住んでいた住宅だけでなく、他にも様々なものがあります。
- 戸建ての自宅(土地・建物)
- 自宅用マンション
- 倉庫
- 店舗
- 投資用賃貸物件(マンション・アパート・駐車場など)
- 山・畑・田・空き地(遊休地)
- 別荘
また上記以外にも「不動産にかかわる権利」もあります。地主から土地を借りて建物を建築する借地権、地上権、定期借地権などが該当します。
各不動産については分割方法をどうするか、所有者を誰にするのか決めなければなりません。
相続不動産の分割方法
相続不動産の分割方法には下記の4つがあります。
- 現物分割
- 代償分割
- 換価分割
- 共有分割
不動産は1つしかない財産なので、お金のように細かく分けることはできません。そのため、完全に公平に分けるのは難しいと言えます。
現物分割の特徴
現物分割はそのままの状態で不動産を相続する方法です。
遺産に住宅と現金がある場合、配偶者が自宅を、長男が現金を相続するパターンです。
この分割は、明確かつ簡単な方法ですが、不動産は他の財産と比べて高価なため、バランスが釣り合わず、不公平が生じやすいのがデメリットです。不動産価値と同額の預貯金があれば良いですが、そのようなケースは珍しいでしょう。
もっとも、「不動産は管理も売却も大変なため、現金のみで良い」という相続人もいるので、合意が得られるのであれば、この現物分割はオススメな方法です。
また、現物分割は対象の不動産を処理しなくて良い=そのままの状態で残せることもメリットです。
代償分割の特徴
特定の相続人に法定相続分を超える遺産を相続させ、超過分の代替として他の相続人に金銭等を渡す方法です。不動産は母親が引き継ぎ、子供には代償の現金を母親が払うパターンです。
代償として金銭を渡すので、細かい調整が可能です。最終的に相続人全員が不動産と同額に近い財産を得ることもできるので、公平性があります。
ただし、不動産を取得する相続人は金銭を支払うための資力が必要です。支払いが遅れると他の相続人から支払いを求める訴訟を起こされるリスクもあります。
代償金の支払能力がないのであれば、この方法はお勧めできません。
換価分割の特徴
換価分割は不動産を処分し、その売却金を相続人間で分け合う方法です。
手順としては相続人の話し合いにより不動産の名義変更を行う代表者を決定します。代表者は不動産の相続登記と売却を行なった後、お金を分割します。
換価分割は売却後の現金を分けるので、公平性があります。また、代表者が不動産名義変更と売却をするので、手続きもしやすいのです。
ただし、売却により譲渡所得税の納付および種々の手数料が生じます。また、不動産が思った通りの金額で売れるとは限りませんし、売れるまでに時間がかかり、お金の分割が大幅に遅れることもあります。
共有分割の特徴
共有分割は相続人が各人の持分を決めた上で不動産を共有取得する方法です。
共有取得のため、分割に不公平性はありませんが、デメリットが多くあまりオススメできません。
まず、不動産の売却に共有者全員の合意を得る必要があるので、手間がかかります。そして、建物の管理や実際に住む人を誰にするかなどについても、共有者間で話し合いをしなければなりません。
また、共有名義者の内の一人が亡くなると、その子供に不動産の権利が分割相続され、権利関係者が増えていきます。そうなると、複数の利害関係人が出てきてしまい、不動産の管理や処分について意見の収拾が更に困難となります。
最終的には共有状態解消に多大な手間や諸々の費用が発生する怖れがあるので、共有状態は最初から避けた方が良いのです。
状況に応じて最適な選択を
どの分割方法を選択するかは状況に応じて考えなければいけません。
まずは相続人全員で不動産を売っても良いかどうか決めましょう。仮に誰か一人でも売却を拒んだら手続きは進めなくなってしまうので、全員の意思を確認します。
売却が不可能であれば、金銭での精算方法で進めていくことになります。
相続不動産の相続はどの方法が一番適しているか、ケースごとにきちんと検討して進めていきましょう。
相続税の申告と相続登記も忘れずに
相続財産を取得した場合、財産の総額に応じて相続税が生じます。
不動産の評価を行った後、相続財産総額が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告と納付をしましょう。期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。期限を破った場合、無申告加算税や延滞税などのペナルティを課せられてしまいますので注意してください。
相続税の控除に関する特例制度を適用する場合も、この期限内に申請しなくてはなりません。
(不動産には相続税控除の制度があるので、活用するケースが多いと言えます。)
また、不動産の名義変更(相続登記)も忘れずに手続きしましょう。
2024年には相続登記義務化を含む新法が施行されるため、可能な限り早く行っておきましょう。
まとめ
相続不動産の分割方法について解説しました。不動産は分割が難しい財産であると同時に「相続税の評価方法が違う」「名義変更(相続登記)をしなければならない」など、手続きも面倒です。
よって、財産の中に不動産が含まれる場合は、諸々の手続きを専門家に代行してもらうことも検討しましょう。
専門家に任せることで、手続きもスムーズに進むでしょう。
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相続税の計算では、各財産の評価・各種の控除制度など、注意する点が多くあります。そのため、正しい税額を算出するのは非常に難しく、本来の金額とは違う額で申告してしまう可能性もあります。
もし、少ない金額で申告してしまうと、「過少申告」として後々に追徴されてしまうので注意が必要です。
では、逆に高い金額で申告し、相続税を納め過ぎた場合はどうなるのか。
税金を多く申告・支払うこと自体に問題はありません。期限が迫っている中で、過少申告を避けるためにあえて多めに申告するといったケースもあります。
ただし、多めに払った相続税は自動的に返ってはこないのです。相続税の還付を受けるには、「更正の請求」をする必要があります。
相続税還付とは
過払いとなった相続税を、税務署から返金してもらうことを相続税還付と言います。
しかし、還付は自動的にされるわけではなく、申告者側が過払い部分を精査して請求する必要があります。
この一連の手続きを「相続税の更正の請求」と言います。
税務署が請求内容を認めれば、納め過ぎた相続税が戻ってくるのです。
この時、納めすぎた分は現金で戻ってきます。(物納で土地を納めた場合も、還付が認められれば現金で戻ってきます。)
相続税の払い過ぎが発生する理由
多く相続税を払いすぎてしまう理由には、様々理由があります。
単純な計算の誤り以外には、下記の理由があります。
(1)遺産に土地が含まれている
過払いが起きるケースで最も多いのは、相続財産に土地がある場合です。
土地評価の方法は大まかな評価額であれば簡単ですが、減額される要素がたくさんあります。
つまり、細かく見ていけば評価額が変わるのです。
査定を行う人間によって評価額が変わってしまう程ですから、相続税を納め過ぎてしまう可能性が高いのです。
(2)税務署から通達されない
相続税を払いすぎても税務署から通達されません。
税務署は税金が足りない場合のみ、税務調査などで指摘します。
そのため、過払い部分は申告者側が申告内容の修正をして、手続きをしないと返ってこないのです。
(3)相続税や不動産評価に不慣れな税理士が見落としてしまう
会計・経理が得意な税理士もいれば、相続税等の資産税を得意とする税理士もいます。
それぞれの業務は異なるので、税金関係はなんでも得意というわけではありません。
還付手続きの方法
相続税還付の手続きの流れは以下の通りになります。
↓
更正の請求書など、必要書類を提出する
↓
税務署側で審査が実施される
↓
更正通知書が届く
↓
指定口座に還付金が振り込まれる
更正の請求手続きに必要な書類は以下のとおりです。
- 修正した相続税申告書
- 更正の請求書
- 修正事実を証明する資料(土地の評価資料一式・遺産分割協議書の写しなど)
土地の評価額を再計算したことで税額が変わる場合は、その証明書類として土地の評価資料を添付します。
更正の請求書を提出してから指定口座に還付金が振り込まれるまでの期間は、更正内容によって前後しますが、大体6ヶ月くらいかかります。
土地の鑑定や、必要書類の準備なども含めると1年近くかかるケースもあります。
還付手続きの期限
相続税申告の期限は、相続開始を知った翌日から10ヶ月以内となっていますが、還付(更正の請求)の手続きにも期限があります。
それは、「相続税の申告期限から5年」です。
相続開始から数えると5年10ヶ月以内となります。期限を過ぎると還付請求はもちろんできません。
前述したように手続きには土地の鑑定や、必要書類の準備にも時間がかかるので、注意しましょう。
なお、還付請求に、他の相続人の同意を得る必要はなく、個々人が単独で行うことができます。他の相続人に知らせる必要もありません。
また、各相続人の取得財産に応じてお金が戻されますので、分割協議をし直す必要もありません。還付金は所得に該当しないので、所得税の確定申告や修正申告も不要です。
過払いに気づいたら、早急に準備を進めるか、税理士に相談しましょう。
まとめ
様々な理由で相続税を払いすぎる場合があります。
ご自身で納付した相続税に疑問がある場合は、相続専門の税理士に相談してみましょう。払いすぎた相続税を返金してもらうには、過去に納めた相続税を見直しの他、財産の再評価をする必要があります。
特に土地の評価は複雑なため、相続税の知識と経験が豊富な税理士への相談がおすすめです。
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相続では被相続人の夫もしくは妻である配偶者が、最も優遇されます。
他の親族は被相続人との関係性から法定相続人になれる順番が決まっていますが、配偶者は必ず相続人となります。
また、配偶者には相続税を大幅に軽減する制度もあるため、ほぼ無税で相続財産を取得することができます。
配偶者は必ず法定相続人となる
相続では被相続人と法的に婚姻関係にある配偶者は無条件で法定相続人になります。
他の親族は下記の順位に従って、法定相続人となります。
第2順位:直系尊属(両親や祖父母)
第3順位:兄弟姉妹
配偶者は自動的に法定相続人となりますが、配偶者でも相続欠格事由に該当した場合は、相続人になれません。
相続欠格事由とは詐欺や脅迫によって遺言変更を妨げる場合や、被相続人や他の相続人を死亡させる等です。
また、相続放棄をしていた場合も相続人にはなれません。
配偶者は法定相続分が多い
配偶者の法定相続分は「法定相続人が配偶者のみの場合は全額」、「法定相続人が配偶者と子供なら1/2」、「配偶者と直系尊属なら2/3」、「配偶者と兄弟姉妹の場合3/4」になります。
相続割合が100%から最低でも半分のため、他の相続人と同等かそれ以上となっています。
(最低限の財産取得を保障される権利として遺留分がありますが、配偶者遺留分も他の相続人よりも同等かそれ以上に設定されています。)
なお、相続割合は、相続人全員が合意すれば自由に変更可能ですし、遺言者が割合を指定することもできます。
配偶者控除が使える
相続税には要件を満たせば相続税額が軽減される制度がいくつかあります。
「配偶者控除制度」はその一つです。
これは配偶者が取得する遺産が「1億6,000万円」か「配偶者の法定相続分額」まで非課税となるものです。
控除額は高い方を適用します。
仮に法定相続人が被相続人の配偶者と息子なら、配偶者の法定相続分は総遺産の半分なので、遺産総額が3億円であれば、配偶者法定相続分は1億5,000万円となり、控除額は1億6,000万円の方が適用されます。遺産が5億円の場合、配偶者法定相続分は2億5,000万円のため、控除額は2億5,000万円が適用されます。
ケースにもよりますが、この制度によって配偶者が支払う相続税はほぼ0円になります。
配偶者控除を適用する場合、以下の要件全てを満たします。
- 相続人が戸籍上の配偶者にあたる…内縁関係は不可
- 相続税申告期限までに遺産分割が完了済み…相続税計算のために配偶者の財産取得額を決定させなければなりません
- 相続税申告書の提出…相続税が0円であっても、制度適用のために申告書の提出が必須
- 相続財産の隠蔽をしていない…故意の財産隠蔽は重加算税が課せられる恐れがあります
もし相続税が0円でも、申告は必須条件です。
申告期限は申告者が相続開始を知った翌日から10ヶ月以内です。
小規模宅地等の特例が適用できる
小規模宅地等の特例は被相続人の自宅に使われていた土地、事業利用されていた土地、貸していた土地に対して、一定の要件を満たす場合、土地評価額が最大80%減額される制度です。
不動産としては土地のみが対象で、建物は対象外です。
制度適用には細かな条件がありますが、被相続人の自宅に使われていた土地を配偶者が引き継ぐ場合は、無条件で適用されます。
その土地の住宅に同居していたケースだけでなく、別居していたケースでも適用されます。
また、相続後にそのまま住み続けている場合でも、相続後にすぐ売った場合でも適用されます。
配偶者居住権で自宅に住み続けられる
配偶者は配偶者居住権が認められています。
建物の権利を「所有権」と「居住権」に分け、配偶者は建物の所有権がなくても、居住権を取得することで相続後でも被相続人の自宅に住み続けられます。所有者に家賃を払う必要もありません。
ただし、配偶者居住権取得には、以下の条件に該当しなければなりません。
- 配偶者居住権取得の条件
- 被相続人の配偶者である
- 相続財産に当たる不動産に相続開始前から住んでいた
- 遺言書に配偶者居住権を与える記述がある、もしくは遺産分割協議での決定がある
まとめ
配偶者は被相続人に最も近しい存在として、相続税軽減の他、優遇措置が多く設けられています。
これらの優遇措置を適用するには、配偶者であること以外にも適用条件があるので注意が必要です。
制度利用を考えている場合は、よく調べた上で適用条件をクリアできるようにしておきましょう。
不安な場合は相続専門の税理士に相談してください。
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相続では現金や不動産等の他にも、「権利」も課税対象となります。
権利には著作権やゴルフの会員権の他に、電話加入権もあります。
現在ではスマホの普及で固定電話も少なくなりましたが、稀に相続財産の中にも電話加入権が含まれる場合があります。
電話加入権も相続財産なので、その際は相続税評価をしなくてはなりません。
電話加入権の相続税評価については、個別評価は必須ではなく他の家庭用財産とまとめて申告することも可能です。
(以前では電話加入料は高額だったが、インターネット回線等の電話サービスの普及で加入料が下がったためです。)
電話加入権について
電話加入権は、NTT(NTT東日本or NTT西日本)のアナログ回線と契約する権利です。
契約して回線を引き込めば、他の利用者と電話で通話可能となります。
戦後復興時より普及が進み、日本全国に利用者がいます。
電話加入権は、施設設置負担金と同じ意味で用いられます。施設設置負担金とは、加入者回線の建設費用の一部を前払い的に負担する仕組みです。
実際には電話回線利用の負担金ですが、利用者間での売買取引ができるので、「権利」ともされています。
普及当初の加入料は7万円を超えるなど金額が高額でしたが、現在では固定電話利用者が減った関係で、36,000円程度に値下げされています。
電話加入権も相続財産に該当する
電話加入権は契約者が亡くなった後、解約するか引き継ぐかを選択します。
引き継ぐ場合は相続財産として、相続税の課税対象になります。
相続税評価の方法は、国税庁によって以下のように決められています。
- 取引相場のある電話加入権の場合…課税時期における通常の取引価額によって評価
取引相場のない電話加入権の場合…売買実例価額等を基準に、電話取扱局ごとに国税局長が定める標準価額を採用する
特殊番号の電話加入権…上記二つのどちらかを元に評価した金額をベースとして、売買実例価額や精通者意見の価格を参考に評価額を決める
ほとんどの電話加入権は、上記2番目のケースです。
現在の標準価格は1500円(全国一律価格)です。
特殊番号とは、100番といった覚えやすい番号や「42番」「4989番」のように良くない印象のものであり、通常とは違う用途で使用されます。
相続開始後の手続き
電話加入権も相続財産になるので、被相続人が権利を所有しているかはっきりとさせておきましょう。
NTTに問い合わせるか、請求書を確認すれば分かります。
所有が分かったら、その電話加入権を引き継ぐか、解約するかを選びます。
(1)承継の場合
電話加入権を相続する場合、電話加入権を取得する法定相続人が手続きを行います。
承継手続き申込は、申請書の他、相続人本人の確認書類、被相続人の死亡診断書、戸籍謄本などが必要です。
(故人との関係性によって、必要資料は異なります。)
承継手続きでは、手数料は必要ありません。
(2)解約の場合
電話回線が不要なら解約しましょう。
解約手続きも本人確認書類や死亡診断書が必要です。
解約後は、回線使用料や工事費用は払わなくてよくなります。
(3)一時利用停止の場合
電話加入権の権利を保有していたい場合は、利用停止の選択もあります。
この方法であれば、電話加入権の権利が最大10年間は存続されます。
5年毎に更新しなければならない点に注意しましょう。
停止期間中の回線使用料はかかりませんが、再開時に電話番号が変わり、「電話を止めるとき」と「再開するとき」に工事費用が生じます。
申告書への記載方法
電話加入権を相続するのであれば、少額であっても申告します。
相続申告においては、ほかの家庭用財産(一個あたり5万円を下回る少額品)と一緒に、まとめて申告することも可能です。
具体的には、申告書第11表の種類欄、細目欄に「家庭用財産」、利用区分、銘柄等欄に「家具等一式」と記入すれば良いでしょう。
前述したように評価額が1500円のため、単体では相続税にそれほど大きな影響を与えません。
まとめ
電話加入権は、相続財産の中でも少額であり、手続き自体も決して難しいものではありません。
しかし、忘れないようにしっかりと対応しましょう。
契約関係の手続きで不明な点がある場合は、NTTに問い合わせると良いでしょう。
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2023年度の税制改正の中で相続税に影響するものとして、前回は「生前贈与加算の延長」について解説しました。
もう一つの大きな変更として、「相続時精算課税制度の見直し」があります。
こちらも前回同様、生前贈与に関するものです。
相続時精算課税制度について
(1)従来の制度概要
相続時精算課税制度とは生前贈与の課税方式の1種です。
ざっくり言うと、「生前贈与で得た贈与額合計が2,500万円を超えない場合、非課税となる」制度です。
通常の生前贈与(=暦年課税方式)の場合、年間110万円が贈与額から控除されますが、相続時精算課税制度では一人の贈与者からの贈与合計額に非課税枠が設けられています。
つまり、贈与額の総額が2,500万円以内なら非課税です。贈与は一括で行なっても、年をまたいでの分割贈与でも問題ありません。財産の内容(金銭の他、不動産や株式等でも可)にも縛りはありません。
限度額に到達するまで何回でも無税で贈与できる反面、2,500万円を超えた場合、一律20%の贈与税が課税されます。
そして、贈与者と受贈者には下記要件があります。
- 贈与した年の1月1日時点で贈与者は60歳以上であること
- 贈与した年の1月1日時点で受贈者が成年(18歳)以上であること
- 贈与者と受贈者は親と子か祖父母と孫の関係であること
同制度は、早期に高額の資産を子供や孫の世代に移転させるための制度です。
よって、基本的には相続が起こる関係で利用できます。
暦年課税方式と比べると、一括贈与でも高額の控除が付いてくるので、短期間で大型の贈与をしたい方に有効な方法といえます。
(2)贈与分は相続時に課税対象に
2,500万円の非課税枠があると言っても、相続時精算課税制度を利用して贈与した財産は、相続時に相続財産に加算され、相続税の課税対象となります。
相続財産に加算された後の遺産総額が相続税の基礎控除額を超えるのであれば、相続税の申告と納付をしなければなりません。
この仕組みから、相続時精算課税制度とは非課税枠があると言っても、完全な非課税とはならず、税金の支払いを相続時に先送りにしているだけとも言えます。
相続時精算課税制度のデメリット
(1)暦年贈与への変更が不可
贈与時の課税方式に相続時精算課税制度を選択すれば、二度と暦年贈与に変更できません。
暦年課税方式であれば、1年ごとに110万円まで無税となります。
また、4年間だと合計で440万円まで贈与税を控除できます。
(2)贈与した年は必ず申告を行う
暦年贈与は年間贈与額が110万円を超えなければ、贈与税申告が不要です。
しかし、相続時精算課税制度だと贈与額に関係なく贈与があった年は必ず申告をします。(厳密に言うと、1円でも申告が必要です。)
(3)小規模宅地等の特例が活用不可
小規模宅地等の特例とは、一定要件を満たすことで、相続した土地の相続税評価額を最大80%まで減額できる制度です。
結論から言えば、相続時精算課税制度で贈与された土地に対して、小規模宅地等の特例を適用することができません。
小規模宅地等の特例適用には、土地を相続もしくは遺贈によって取得する必要があるからです。
贈与によって取得すると、特例の対象外となります。
改正後の相続時精算課税制度
今回の税制改正後は、相続時精算課税制度を選択しても暦年課税方式と同様に毎年110万円を控除することができます。
更に言うと、この控除分である110万円は相続開始時に相続財産に加算されません。
また、年間の贈与額が110万円を超えないならば、申告も不要です。
今まで相続時精算課税制度は相続時にすべての贈与を相続財産に加算され、かつ少額の贈与であっても毎年申告をする必要がありました。
これらの勝手の悪さが精算課税贈与の利用件数を少なくした要因となっていましたが、この度に解消されて、使いやすくなったと言えます。(相続時精算課税制度に暦年課税方式の要素が組み合わさったと言えます。)
制度の変更は2024年1月1日以降の贈与からとなります。
それでも、相続時精算課税制度は使いにくい
今回の改正によって、相続時精算課税制度は活用しやすくなったと言えます。
しかしながら、暦年課税制度のような控除枠が設けられることになったとはいえ、「一度相続時精算課税制度を選ぶと、変更ができない」点は変わらないのです。
つまり、相続時精算課税制度を利用して移転した財産は、年間の控除分を除いて相続時に相続税課税対象となります。
そもそも、相続時精算課税制度は早期に財産移転をしたい方のための制度です。また、贈与と遺産との合算が基礎控除額を下回る(=相続税がかからない)ことが想定されるのであれば、活用しても良いでしょう。相続手続きに比べ、贈与の手続きの方が簡単だからです。
節税を考えるのであれば、最初から相続時精算課税制度は選択せずに、通常の生前贈与を続けたほうが良いでしょう。
まとめ
今回の税制改正では生前贈与に関する変更点がありました。
生前贈与を検討している場合は、相続時精算課税の変更点や加算延長期間の変更をしっかりと押さえておきましょう。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
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厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
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2023年の税制改正大綱では相続や贈与を中心に様々な制度の見直しが行われました。
特に来年実施となる生前贈与加算の変更は相続税額に大きな影響を与えると予想されます。
本コラムでは、生前贈与財産の加算期間延長について詳しく解説していきます。
生前贈与加算について
(1)概要
生前贈与加算は、死亡前の一定期間内に故人から贈与を受けていた場合、相続税課税価格に贈与額を加算する仕組みです。
要は相続直前の贈与は生前贈与と認めないということです。
現時点だと、加算の該当期間は被相続人の死亡日(=相続開始日)の3年前までとなっています。
該当期間の贈与分は全て相続財産に加えた上で、相続税計算をするため、相続税対策で行なった生前贈与の効果はなくなってしまいます。
ただし、生前贈与の際に贈与税額を支払っているのであれば、その分は相続税から差し引くことが可能です。
(2)対象者
加算対象者は相続もしくは遺贈により財産を取得する方です。
そのため、故人の遺産を取得しない方は生前贈与加算の対象者となりません。
ただし、以下の方は生前贈与加算の対象者となるので注意しましょう。
みなし相続財産を取得する方
死亡保険金や死亡退職金等は民法上で相続財産ではないものの、税法上では相続財産と同様のものとみなされ、相続税が課税されます。よって、これらの財産を取得した人は生前贈与加算の対象者です。
相続時精算課税制度の適用を受けた方
生前贈与で相続時精算課税制度の適用を受けている場合、制度上、贈与された財産は相続開始後に相続財産として加算されます。
改正内容後の詳細
2023年度税制改正の中で、生前贈与加算の期間は3年から7年に変更されました。
期間が長くなるので、相続税計算上の相続財産は今まで以上に増えやすくなるため、多くのケースで相続税の増税が予想されます。
しかし、延長4年分については、「合計100万円まで相続財産に加算しない」という緩和措置も設定されています。
これは、相続開始3年以内に贈与で得た財産以外=相続開始前4~7年の間に得た財産のうち、100万円分を控除するというものです。(4年間の合計が100万円であり、年間100万円の400万円ではありません。)
なお、今回の改正で対象者は「相続もしくは遺贈により財産を取得した者」とされていますから、改正前後で生前贈与加算の対象者が変わることはありません。
適用開始日
加算期間の延長については、2024年1月1日以降の贈与から、適用となります。
これは、2024年1月1日以降の相続から、7年前の贈与が加算されるという意味ではなく、下記のように相続開始年に合わせて、段階的に加算年数が延びていきます。
2026年開始の相続→最長3年間加算(加算対象となる贈与年は2023年以降)
2027年開始の相続→最長4年間加算(加算対象となる贈与年は2024年以降)
2028年開始の相続→最長5年間加算(加算対象となる贈与年は2024年以降)
2029年開始の相続→最長6年間加算(加算対象となる贈与年は2024年以降)
2030年開始の相続→最長7年間加算(加算対象となる贈与年は2024年以降)
2031年開始の相続→7年間加算(加算対象となる贈与年は2024年以降)
相続税対策
延長が適用となるのは、2024年1月以降からです。
つまり、今年いっぱいまでに行われる贈与は今までどおり、3年間分しか加算されません。
よって、生前贈与を早期にすれば、相続時の財産加算を減らせる可能性は高くなります。
ただし、贈与税は相続税と比較すると税率が高いので、高額の贈与を行うと損になるリスクもあります。
生前贈与は相続税とまとめて考えなくては節税となりません。どのようにすれば最もお得になるのか、これはやはり相続税専門の税理士に相談した方が良いでしょう。
孫への贈与
生前贈与加算対象者は、相続や遺贈によって財産を得る方であるため、法定相続人や受遺者が該当します。
つまり、法定相続人ではない被相続人の孫への贈与は相続財産には加算されません。
この仕組みを利用すれば、税金を抑えた上で財産移転が可能となります。
ただし、孫が法定相続人になる場合や、遺言書で受遺者に指定されている場合、生命保険金の受取人になっていた場合は、加算対象です。
また、現行法では抜け道的な財産移転方法として活用されているため、今後の法改正次第では将来的に活用できなくなる可能性もあります。(生前贈与による相続税対策の制限は今後も見込まれているため。)
まとめ
生前贈与の相続税加算期間が7年になったことで、相続税額への影響は大きくなるでしょう。
もし、生前贈与を検討している場合は、税負担のリスクを軽減するためにも、制度が始まる前にある程度の贈与を行なっておきましょう。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
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厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
相続財産に農地がある場合、相続人である誰かが引き継ぐことになります。
農業を継ぐ意志のある方が引き継げば問題ありませんが、会社員などをしていて、農業経験がなく、今後農業をする予定もない方が取得すると対応に困る可能性が大きいです。
なぜなら、農地は通常の土地と扱いが違って、厳しい制限があるからです。
農地は国の食糧政策の基礎となるもののため、売るにも転用するにしても事前に許可が必要です。
農業委員会の届け出が必須
通常の土地であれば、相続で引き継ぐ際には相続税の申告(相続財産総額が基礎控除を超える場合に限る)と相続登記(名義変更)が必要となります。
農地相続では、それに加えて「農業委員会」への届け出をします。
農業委員会は農地法に基づき、農地の売買や貸借の許可、転用の意見具申、遊休農地の調査・指導など、に関する業務を行う団体です。
農地相続の管理もしているので、相続時にはこの団体へ「相続開始を知った翌日から10ヶ月以内」に以下の書類を出します。
- 農地法の規定による届出書
- 相続登記後の登記事項証明書
期限を過ぎて届出がされていない場合は10万円以下の過料が科されますので注意しましょう。
なお、法定相続人ではない方が農地を相続する場合、届け出だけではなく農業委員会の許可も必要です。
農地の相続税計算方法
(1)農地の種類
農地には種類によって相続税評価が異なります。
- 純農地…農業地区域内の農地や第一種農地、甲種農地などが該当
中間農地…第二種農地やそれに準ずる農地が該当
市街地周辺農地…第三種農地やそれに準ずる農地が該当
市街地農地…転用許可を受けた農地や市街化区域内にある農地、各都道府県知事より転用許可を要しないとされた農地が該当
(2)相続税計算方法
- 純農地…倍率方式
中間農地…倍率方式
市街地周辺農地…該当地が市街地農地である場合の80%相当額
市街地農地…宅地批准方式か倍率方式
倍率方式は固定資産税額について、定められた倍率をかける計算方法です。
評価額=固定資産税評価額 × 評価倍率
農地以外の土地でも路線価のない土地を評価する際の計算方法です。
宅地批准方式は以下の計算式で算出します。
評価額=該当農地が宅地だった場合の評価額−造成費
造成費とは農地を宅地に変えるためにかかる費用で、地域ごとに金額が設定されています。
固定資産税評価額は、所有者に毎年交付される固定資産税の納付書で確認し、評価倍率や宅地造成費は国税庁のサイトで見られます。
相続農地の処理方法
(1)売却する
相続農地で農業をしない場合や、他の人への貸し出しも困難な場合、売却するという方法がありますが、冒頭でも述べたように農地売却には、農業委員会の許可を得なければなりません。
なお、農地のまま売却するにも、宅地などに地目を変更して売却するにしても、原則として農業委員会への許可申請が必要です。
地目を変更は許可が下りない場合もあります。その場合は農地のまま売り先を探します。
(2)相続放棄
農地管理が難しく、手放したいとなったら、相続放棄という手段もあります。
相続が開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てをすれば、農地を含む財産の相続を放棄できます。
しかし、相続放棄は全ての財産を手放すため、農地に加えて他の不動産屋や預貯金なども受け取れません。
農地以外の遺産がある場合、相続放棄を選択するかどうか慎重に検討しましょう。
(3)転用
農業を引き継がない場合、農地を自宅や駐車場、賃貸アパートにするという選択肢もあります。
ただし、農業以外の用途への転用には、農業委員会の許可が必要です。
農地面積が大きい場合、農業委員会に加えて農林水産大臣との協議が必要な場合もあります。
許可申請の流れ
農地を売却したり、転用したりする場合の許可取得は以下の流れで行います。
農業委員会に申請書を提出
↓
農業委員会は、意見を付して都道府県知事又は指定市町村長に送付
↓
申請者に許可通知
準備する書類は、以下の通り。
- 転用予定農地の登記簿謄本(登記事項証明書)
- 転用予定農地の公図
- 転用予定農地の図面(農地位置や近隣状況が確認できるもの)
この他に、農地や周辺の写真も準備しておきます。
農地転用の場合、内容によって追加の資料が必要な場合もあるので、事前に管轄の農業委員会へ確認しましょう。
転用できる農地の種類
(1)第2種農地
市街地として発展する可能性や、農業公共投資の対象外で生産力の低い小団地農地を指します。
- 鉄道駅や官公庁などから500m以内にある農地
- 市街化区域から500m以内にあり、10ha以上の集団農地に該当しない
(2)第3種農地
市街化が進んでいる地域にある農地です。
- 上下水道やガス管のうち2種類以上が前面道路に埋設、かつ500m以内に教育機関・医療機関・その他の公共施設が2つ以上ある
- 鉄道の駅や官公庁等から300m以内にある
- 街区の面積に占める宅地化率40%以上の区画にある
- 用途地域内にある
まとめ
農業離れが進む日本では農業を継ぐ方も少なく、相続された農地の扱いに困るケースが多くなっています。
農地法の制約によって転用ができない場合も多く、土地の押し付け合いで相続人同士がトラブルとなることもあります。農地が相続財産にある場合、取得後のことも加えて専門家に相談することを推奨します。
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世の中にはお金を銀行に預けず、自宅のタンスや金庫で保管している方もいます。
これらのお金は、所有者の死後に遺族によって見つけられることとなりますが、中には、相続財産として計上せずに、隠し通そうとする方がいます。
預金でない分、税務署に見つからないという考えからでしょうが、タンス預金等のお金は税務署にバレやすい上、発覚した際のデメリットも非常に大きいので危険です。
税務署は独自の管理システムによって、相続財産を把握し、徹底した調査でタンス預金を突きとめます。
タンス預金がバレてしまうと、多額の追徴課税を課せられることはもちろん、場合によっては刑事犯罪として処断される恐れもあるので、きちんと相続税申告をすべきなのです。
相続税の時効
相続税にも時効がありますが、正しくは「除斥期間」といいます。
除斥期間は時効と同じ考えで、申告期限から一定期間、税務署から請求がなければ、納税者は納税義務を負わないというものです。
時効と異なり、除斥期間は中断がありません。
時効は期間中に催告等の請求があれば、期間がリセットされますが、除斥期間にはそのようなルールがありません。
相続税の除斥期間は税法上、原則5年となっており、悪意があると判断された場合は7年となります。
悪質だとされるのは「わざと申告しなかった」「申告するつもりが、申告期限を忘れた」「相続財産を隠した」等のケースです。忘れていただけでも、7年に延長されるので、申告期限までの日数と合わせると、逃げきるまでに7年10ヶ月はかかります。
税務署にごまかしは通用しない
銀行に預けているお金ではないことから、7年どころか未来永劫バレないと思いがちですが、実際には隠し通せません。
税務署は簡単に相続財産を把握できるからです。
税務署は、被相続人と関係者(相続人)の全ての金融機関履歴・納税状況をチェックします。相続税申告の中身に疑問を抱けば、毎月のお金の流れを細かくチェックし、使途不明金がないか詳細に調べます。
もし、申告書に記載のない入出金等があれば、税務調査が行われます。
税務調査では相続人に質問したり、被相続人や相続人の家具の引出や家庭内の金庫、銀行にある貸金庫等が調査されたりします。
税務署は自宅に保管されているものであっても、ある程度の予測を立てて調査していますので、おおよそのことは明確になります。
実地の調査で実態把握ができない場合、被相続人と生前に交流のあった知人などからも情報の入手を図る等、徹底的な調査が行われます。
そのため、タンス預金であっても隠し通すことは非常に難しいのです。
相続財産は預貯金でも現金でも不動産でも、必ず適正な評価額を算出し、財産総額が基礎控除を超えるのであれば、相続税申告をしなければなりません。
万一、申告後に自宅からお金が見つかった場合でも、申告をやり直しましょう。
税務調査から指摘を受ける前に自主的に修正申告をした場合は過少申告加算税が免除されるからです。
隠した場合のペナルティー
(1)無申告とした場合
期限までに申告を行わなかった場合、「無申告加算税」が課されます。たとえ、1日遅れただけでもかかるので期限には十分注意してください。
課税率は以下の通りです。
税務調査の事前通知以後に期限後申告書を提出…50万円まで10%、50万円超の部分に15%
調査による更正など予知以後に期限後申告書を提出…50万円まで15%、50万円超の部分に20%
税務調査の通知が入る前、事前通知があり税務調査が入る前、税務調査を受けた後等、どのタイミングで期限後申告を行うかによって税率が変わります。
(2)申告額を少なくした場合
期限内に申告を行っても本来の納税額より低かった場合は、「過少申告加算税」がかかります。
過少申告加算税は、正しい税額と最初に支払った税額との差分についてかけられます。
課税率は以下の通りです。
税務調査を受けてから修正申告をする…当初の納税額と50万円のいずれか多い方以下の部分に10%、それらを超える部分に15%
一度提出した申告が誤りだと気づき、法定期限までに修正申告を行えば、過少申告加算税はかかりません。
(3)重加算税
意図的に財産を隠したり、税金逃れをしたりしようとした場合、「重加算税」が課せられます。
重加算税は相続税の申告書を提出していた場合35%、申告書が提出されていない場合は40%が徴収されます。
最悪の場合は刑事罰が待っている
遺産を相続したのに相続税を払わないという行為は脱税であり犯罪行為です。
悪質だと判断されれば、刑事罰となり懲役刑の可能性もあります。
このように軽い気持ちで相続財産を隠せば、取り返しのつかないことになるので注意しましょう。
まとめ
大前提として、被相続人の遺産総額が基礎控除額を超える場合は、税務署に相続税を申告し、税金を納めなければなりません。
遺産額に応じて相続税額も高くなるため、中には「税務署に見つからなければお得だ」と考える人もいます。
ただし、税務調査からは逃げ切れる可能性は少ないですし、ペナルティーを考慮すれば、リスクが大きすぎます。
相続税はリスクを冒すより、専門家に節税対策を相談することで税金の払い過ぎを防げます。
お悩みの方は早いうちに税理士に相談してください。
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故人の遺産では衣服も含まれます。
遺産である以上、相続税計算のために、価額を評価する必要がありますが、それらを一点ずつ行なっていくのは、非常に大変ですし、現実的ではありません。
相続では、衣服などは一般的に経済的価値が低いので、個別に財産評価することはなく、「家財道具一式」としてまとめられます。(遺産分割の対象からも除外されます。)
衣服の中でも、ブランド品など経済的価値が高いものだけは、専門業者の査定等を用いて評価額とします。
衣服は家庭用財産
課税対象の相続財産は、預貯金や不動産はもちろん、事業用の機械設備や、著作権・特許権などの権利も対象になります。
それらに加え、「家庭用財産」も同じく相続税の課税対象です。
家庭用財産とは家庭内の一般動産です。具体的には下記のものがあります。
- 家電…パソコン・スマホ・テレビ・冷蔵庫・洗濯機・エアコンなど
家具…ソファー・テーブル・椅子・本棚・ベッドなど
衣類…洋服や着物・バッグ・靴など
美術品…絵画や骨董品など
貴金属等…貴金属・宝石・高級時計など
自動車…自動車・自動二輪車など
電話加入権…固定電話の契約形態に係るもの(現在では家庭用財産として評価します)
家庭にある動産は全て含むので、衣類はもちろん、家電、自動車、貴金属や骨董品の他に、書籍や書類等も該当します。
これらのものは、相続税のくくりで言えば、一般的に経済的価値が低いかどうかで分けられます。
自動車や貴金属等は客観的に経済的価値のあるものなので、専門業者に査定してもらって、個別に財産評価をする必要があります。
逆に衣類や家電などは5万円以下の評価になることが大半ですので、「家財道具一式」としてまとめて評価をするケースが多いです。
家庭用財産の評価方法
(1)原則的な評価方法
相続開始時の時価を調べます。
類似している家庭用財産の売買実例価額や、同財産を取り扱う業者や専門家の意見を参考価格とします。
具体的には中古品価格をインターネットで調べるか、買い取り業者に査定価格を出してもらいます。
(2)特例的な評価方法
前述での価格が不明な場合は、新品の価格から、相続開始日までに下がった価格を差し引いて計算します。
価値が下がった金額の基準は、法定耐用年数に基づく減価償却費の累計額です。
家財一式はいくらぐらいになるのか
前述した通り、衣類や家電は1個単位の評価額が安くなります。
ブランド品であっても、5万円を超えるものはそんなに多くないでしょう。
よって、個別に価格を算出していくと、非常に手間がかかります。
故人が大量に衣服を持っていた場合は、相続税申告に間に合わなくなってしまいますから、通常では「家財一式」として概算的に評価します。
民法においても、1個もしくは1組の価額が5万円以下のものについては、一括計上して良いことになっています。
(5万円を超えそうな超高級品だけは個別に評価した方が良いでしょう。)
なお、一般的に家財一式は10万円程度で計上されるケースが多いです。
1人暮らしでつつましく生活している場合は5万円以下でも良いですし、高級家具を多く揃えていた場合であれば多めに申告します。
家庭用財産をゼロで申告する場合
家庭によっては、電化製品や家具を家族が購入し、車の名義も家族のものにしている場合があります。
そうした理由から、家庭用財産を0円申告する方もいますが、見落としがあれば税務署から指摘が入ります。
国税局が公表している『相続税申告のチェックリスト』には家庭用財産の計上漏れに関する項目があり、家庭用財産の評価を軽視していないことがわかります。
そもそも、故人が所有していた家電や衣類が一つもないということも珍しいので、ゼロ申告せずに「とりあえず」計上しておいた方が安心とも言えます。
まとめ
相続では故人の衣服は、「家財一式」として他の家庭財産とまとめて計上されます。
一式の額はケースによって分かれますが、10万円程度が多く、それほど大きな金額にはなりません。
ただし、計上せずに処分等をしてしまうと、財産隠しと判断されることにもなります。
税務署から指摘があれば、ペナルティとして過少申告加算税を納付しなければいけません。
たとえ少額でも、きっちりと申告書に載せて申告を行いましょう。
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