相続において「遺産分割の対象」にならないものとは
こんにちは。
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
遺産分割は、相続手続きにおいて誰がどの財産を相続するか、分割方法をどうするかを話し合って決めることです。
この時、分割協議の前提として遺産の特定と分割の対象を決めなければなりません。
被相続人の財産すべてが遺産分割の対象ではなく、そうでないものも含むからです。
前回のコラムでは「遺産分割の対象となるもの」を解説しましたが、本コラムでは「遺産分割の対象にならないもの」について解説いたします。
遺産分割の対象にならないもの
遺産分割の対象にならないものについては大別すると以下のカテゴリーに分かれます。
◼︎相続人の権利義務にあたらないもの
- 祭祀財産
- 遺骨や香典
- 遺族給付金
◼︎受取人の契約上の権利となるもの
- 生命保険金
- 死亡退職金
相続人の権利義務にあたらないもの
(1)祭祀財産
祭祀財産とは先祖や神を祀るためのもので、仏壇や位牌、墓石などの他、家系図も該当します。
これらは、そもそも相続財産に当たらないので遺産分割が不可能です。よって、承継は原則一人となります。(ただし、特別な事情がある場合には、複数人での共同承継・分割承継も可能)
承継者の決定は被相続人の指名や慣習に従って決めます。話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所に承継者を決定してもらいます。
(2)遺骨や香典
遺骨は祭祀主催者に帰属するとされるため、分割対象とはなりません。
香典についても喪主や遺族への贈与とされるので、分割対象とはなりません。
(3)遺族給付金
遺族給付金は故人の家族の生活を保障するためのお金であり、法律によって与えられた固有の権利です。
相続財産に当たらないので、遺産の分割対象とはなりません。
受取人の契約上の権利となるもの
(1)生命保険金
被相続人が保険料を支払い、特定の相続人を受取人に指定した場合、保険金は受け取る側の固有の権利となるので遺産分割対象には当たりません。
ただし、生命保険金の額が遺産総額において大きな比率を占める場合、その受取人に対する特別受益の持ち戻しの対象として扱われてしまいます。
特別受益とは、被相続人から特定の相続人に対して特別な利益を与えることです。多額の贈与を行なったり、扶養の範囲におさまらない生活費を与えていたりするケースが該当します。
特別受益の持ち出しとは、このようなお金を考慮した上で相続人同士が遺産を公平に分配できるように設けられた制度です。
(2)死亡退職金
死亡保険金と同様に受け取る側の固有権利として、分割対象に当たりません。
ただし、これは支給規程に受取人が明記されている場合です。
企業によっては受取人が定められていないこともありますので、相続財産になるかどうかは個別に判断します。
まとめ
遺産分割の対象とならないものについて解説いたしました。
個別に判断を求められるものも多いので、遺産分割の対象になるかどうか分からない場合は、相続の専門家に相談することをお勧めいたします。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
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