祭祀財産の承継と注意点
こんにちは。
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
前回のコラムでは祭祀財産の概要と特徴について説明いたしました。
今回はその承継方法や、注意すべき事項について解説していきます。
祭祀財産の承継者は一人
通常の相続財産は、遺言書に従うか相続人同士で話し合って分割内容を決定します。祭祀財産はこれと異なり、原則一人の承継者に引き継がれます。
ただし、特別な理由があれば、数人での承継が可能です。(共同にするか分割で承継するかは同意の上で決定。)
承継者の決定方法
承継者の決定には以下3つがあります。
第2順位…慣習
第3順位…家庭裁判所の判断
(1)被相続人の指名
指名の仕方は遺言書に記載するか、被相続人の生前に承継者本人と話し合って決定します。
生前の指名があれば多くの場合は承継者も家族も納得いくのでオススメです。尚、生前の指名は口頭でも良いですが、文書に残しておく方が適切でしょう。
(2)慣習
被相続人の指名がない時は一族や地域の慣習によって決定します。
慣習がなければ、家族同士で話し合って承継者を決めます。
(3)家庭裁判所の判断
話し合いがまとまらなければ、家庭裁判所に調停を申し立てて判断を委ねます。
これは最終的な方法ですが、ハッキリ言ってほとんどありません。
なぜなら、祭祀財産は通常の相続財産と違って金銭的価値があるわけではないので、所有権を巡る争いが起こる可能性が低いのです。
ただ可能性はゼロではないので、やはり被相続人の生前に承継予定者と家族全員で話し合いをしておいた方が良いでしょう。
注意すべき事項
(1)共同や分割での承継
お墓や墓地等を共同で承継することはまだ良いですが、祭具等を数人で承継することはオススメしません。
祭具は祭祀ごとに必要なので、法要の時期に承継者全員で祭具を持ってくることを考えると、面倒ですよね。
(2)承継者は財産管理ができる方を
祭祀承継者に指名された方に拒否権はなく、必ず祭祀財産を引き継ぎます。
ただし、祭祀を行うことや財産の管理について義務もありません。これはつまり、承継後は、法要等を行うも自由、家系図や祭具の処分も自由ということです。
もし、適任でない方や、望んでいない方に無理に承継させた場合は、一族で先祖代々受け継いできた祭祀財産を処分される可能性があります。
このことから、承継者の選別は慎重に行うべきです。
もし、被相続人の家族が誰も承継者になりたがらない場合は、被相続人の親戚を指名するという手もあります。
(3)承継者への配慮
繰り返しとなりますが、祭祀財産と相続財産は違うものなので、祭祀承継者になっても財産分割や相続税に影響はありません。
ただし、承継者は今後法要などの負担が出てくるので、その分を幾分か分割内容に考慮するというのは良いことと言えます。
負担分を分割内容で補ってあげれば、承継者の心情も安定し、法要および相続の話合いもスムーズに進むかも知れません。
しかし、それはあくまで相続手続きにおける義務ではなく、相続人全員の合意を持ってするということに留意しましょう。
まとめ
神仏や先祖を祀るための祭祀財産は、信仰的な目的から相続税の課税対象外で相続自体に影響はありません。
ただし、法要などの負担から承継を嫌がる人もいます。そのような方を承継者に選んでしまうと、大切な祭祀財産が失われる可能性もあります。
きちんと管理ができて、祭祀主宰者としてふさわしい人を選ぶことが大切です。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。