2020年以降に義務化する相続登記【後編】
こんにちは。
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
今回も「相続登記の義務化」についてとりあげます。
相続登記自体の説明や義務化に至る背景等について知りたい方は前回のコラムをご参照ください。
義務化に伴う罰則について
相続登記の義務化に伴って、適切に手続きが行われなかった際の罰則が設けられることも予測されます。
現行の法律では罰則はなく、不動産登記で表記をしなかった場合に発生する10万円以下の「過料」があるのみです。
「表記をしなかった」とは具体的には以下のケースです。
- 建物を新築した時にする『建物表題登記』
- 建物を取り壊した際にする『滅失登記』
- 埋め立てなどにより土地が新たに生じた場合にする『土地表題登記』
- 土地の地目が変更した際にする『地目変更登記』
- 土地の地積が変更した際にする『地積更正登記』
また過料とは「行政上、軽い禁令をおかしたものに支払わせる金銭罰」で、相続税申告を怠った際に科せられる加算税等よりも処分は軽いと言えます。
相続登記の義務化については、背景にある課題が大きいので、過料よりも重い「罰金」が科せられる可能性が高いと予想されます。
現時点では詳細が協議されている段階なので、罰則が過料なのか罰金になるのか定かではありませんが、留意しておいた方が良いでしょう。
義務化と並行して検討されている項目
所有者不明の土地や建物を減らすための施策として、相続登記の義務化以外にも以下の項目が議論されています。
- 一定期間以内に相続登記を行った場合は手続きを簡素化し、かかる費用も軽減される
- 要件を満たせば、土地の放棄ができるようになる
- 遺産分割をスムーズにするために遺産分割期限を設定する
このほか、土地の共有制限や財産管理制度の見直しも議論されています。
相続登記のみならず、様々な手続きが簡素化されたり、諸経費がかからないようになれば、持ち主不明の土地も少なくなるでしょう。
相続登記を行わないと様々なデメリットが
相続登記の義務化自体は、改正案の実施後に相続される不動産が対象で、現時点で相続登記されていない不動産への適用はないと考えられます。
だからと言って、そのまま何もしないのも良くありません。
実は相続登記を行わないと下記のようなデメリットを被る可能性があります。
- 相続した不動産を売ることができない
- 相続した土地の活用(賃貸物件や駐車場等)ができない
- 他の相続人に不動産を処分される怖れがある
- 共同相続人に債務を抱えている人がいると債権者が不動産を差し押さえる可能性がある
- 時間が経つと登記の費用が高くなる
- 危険な家屋を放置しておくことによる災害リスク
様々なリスクを考えれば、たとえ義務でなくても、不動産を相続した場合は相続登記をすることを推奨します。
手間がかかる・面倒だと言う場合は専門家に手続きを代行する方法もあります。
特に、何代にもわたって相続登記をせずに、権利関係者が多くなってしまったケース等は内容も複雑になるので任せてしまった方が良いでしょう。
まとめ
相続登記の義務化は、相続において重要な事項です。
法改正の発表から1年近くが経ちましたが、まだ詳細は見えていません。
新しい情報が入り次第、当コラムでもご報告致します。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。