自筆証書遺言の書き方を解説
こんにちは。
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
手軽に作成できる「自筆証書遺言」は利用者の多い遺言書です。ただしその反面、書き間違いで無効になるケースも多いと言えます。
時間をかけて作った遺言書を無駄にしないためにも、作成の際には要件を守らなくてはなりません。
自筆証書遺言とは
自筆証書遺言は一般的な遺言書である普通方式遺言の一種です。
- 紙とペンがあればすぐに作成できる
- 手数料などの費用がかからない
の点から、最も手軽に作れる遺言書です。
ただし、その反面、
- 書き間違いが多く無効になるリスクが高い
- 原本の保管を遺言者自身で行うので、紛失するリスクも高い
といったデメリットもあります。
なお、自筆証書遺言書は、相続が始まると家庭裁判所で「検認」しなければなりません。
検認とは、他の相続人に遺言の存在や記載内容を通知することと、偽造や変造がないか確認するための手続きです。(遺言者が有効か無効かを審査するものではありません。)
検認前に開封してしまうと5万円以下の過料が課されるので注意してください。
自筆証書遺言の要件
自筆証書遺言を有効とするには
- 本文を自筆で記入(財産目録はパソコンで作成可能)
- 日付を入れる
- 署名・押印がしてある
の要件を満たします。
もし、どれか一つでも抜けてしまえば無効になります。
また内容においても
- 第三者が見て内容がわかる
- 曖昧な書き方をしない
- 遺言書の効力の範囲外の事項を書かない
という点に注意して記入しましょう。
記入にあたって用いる筆記具等はペンでも筆でも良いですが、長期保管を考慮して、紙は高品質・高耐久、筆記具については消えにくいインクのものを選びましょう。
作成方法の流れ
(1)所有財産の把握
まず、遺言書を書く前に、自身の所有財産について把握しておきます。
遺言書に記す財産内容と実際に相続で取得する財産が違うと、分割もスムーズに行きません。
しっかりと把握したら、財産目録を作っておきます。
(2)財産特定の資料準備
相続人が財産を把握できるように、財産特定が可能な資料を準備します。
土地の場合は登記簿、預貯金なら支店名や口座番号を記載して、誰が見てもわかるようにしておきましょう。
(3)財産の配分内容を決める
相続開始時に法定相続人となる人を確認し、配分内容を決めます。
被相続人の配偶者は必ず法定相続人になり、そのほかは子供、両親、兄弟姉妹と順位にしたがって、法定相続人となります。
気をつけたいのは、各相続人の遺留分です。
遺留分とは、法定相続人が最低限の財産を取得できる権利で、遺言書の効力でも侵害できません。
侵害するような内容にしてしまうと、相続手続きでの手間を増やす他、相続人同士の対立を引き起こしてしまいます。
十分に注意しましょう。
配分内容を決めたら、分割が円滑に進むように遺言執行者を決めることも重要です。
(4)遺言書の作成
本文は必ず自筆で書きます。
- 日付は年月日で書く
- 誰が見ても読めるように明瞭な字体で書く
- 財産の特定は資料に基づいて正確に記入する
- 氏名は戸籍に記されている正確な漢字で書く
上記の点に気をつけて記入してください。
(5)遺言書を封筒に入れて封印する
封をするのは法律上の要件ではないのですが、内容を改ざんされないためにもやっておきましょう。
封筒には遺言書が入っていることと、作成者の名前を書いておきましょう。
「検認を終えるまで封を開かないこと」というメモも添えれば、誤って封をきられることもありません。
自筆証書遺言の保管制度
自筆証書遺言の保管制度が2020年の7月より実施されています。
同制度は、法務局で遺言書の原本を保管できるので、紛失はもちろん偽造・変造のリスクも軽減でき、相続開始時に検認を受けなくても良くなります。
相続人としても、遺言者の死亡後に原本の照会や、閲覧請求が容易にできるので大変便利です。
自筆証書遺言を作成する場合には、是非覚えておきましょう。
まとめ
繰り返しとなりますが、自筆証書遺言は手軽に作成できる反面、書き間違いで無効になるケースの多い遺言書です。
時間をかけて作った遺言書が無駄にならないよう、要件をしっかり守って作成してください。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。