相続によって取得した建物の評価方法
こんにちは。
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
被相続人が保有していた建物を引き継ぐ場合は、土地と同様に評価額を算出しなければなりません。
土地の評価額は前回のコラムでご説明した通り、「路線価方式」か「倍率方式」どちらかの計算方法を使って算出します。
対して、建物の評価は被相続人の生前の利用方法によって変わってきます。
利用方法とは
- 個人で利用していた
- 第三者に貸していた
- 賃貸物件として運用していた
です。
建物の相続税評価額算出方法
建物の相続税額の評価方法は固定資産税評価額を基準に、各利用状況に設定された利率を掛けます。
各計算式は以下の通りです。
- 個人利用…固定資産税評価額×1.0
第三者に貸していた…固定資産税評価額×(1-借家権割合)
賃貸物件として運用していた…固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)
※借家権は賃借人が建物を利用する権利で借家権割合は全国一律30%
※賃貸割合は貸し出されている部屋の床面積の割合
被相続人が住宅として建物を利用しているなら、相続税評価額は固定資産税評価額と同じになります。
別荘やセカンドハウスとして利用していた場合も同じです。
なお、固定資産税評価額は毎年4月頃に市区町村役場から送られてくる固定資産税の納税通知書を参考にしましょう。
納税通知書が見当たらない場合は各役所に置いてある固定資産税台帳を調べてください。
友人に貸していたり、賃貸アパートを運用していた場合は借家権割合や賃貸割合で評価額が安くなります。
借家権割合が全国一律で30%ということを踏まえると、少なくとも固定資産税評価額よりも3割は価格が下がります。
ただし、無償で貸している場合(固定資産税程度の賃料しかもらっていない場合も含む)は使用貸借として扱われるので、借地権も認識しません。
そのため、評価額は個人利用と同じになります。
建設中の建物の評価方法
建設中の建物の場合、固定資産税評価額が未決定です。
そのため、相続開始までにかかった費用原価(建築費用)を基準に評価額を計算します。
建物の費用原価は以下の通りになります。
工事進捗率の確認は工事担当の建設会社から「進捗率証明書」を発行してもらえば良いでしょう。
土地同様に建物も相続税評価額は安い
土地と同じく、建物の相続税評価額は買った時よりも低くなります。
これは、売り手を探したり、整備したり、現金化するのに多くの手間が必要になることや、経年劣化を考慮しているからです。
不公平性を無くす・納税者の負担を軽くする点で、評価が安くなるのです。
前述したように、賃貸物件であればもっと評価額は下がるので、節税対策のために持っている現金でアパート運営を始めるという方法もあります。(ただし、取得後の登記変更や、管理の手間、運用のリスク等がかかってしまうことに注意が必要です。)
まとめ
相続によって取得した建物の評価方法について説明いたしました。
建物の評価は利用方法によって大きく変わること、建築中である場合は工事進捗率によって変わることを覚えておきましょう。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。