遺言書の種類をおさらい【特殊な形式についても解説】
こんにちは。
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
自身が亡くなった時、財産分割やその方法などについて、指定できる遺言書は相続において重要なものです。遺産の行き先だけでなく、婚外子の認知や、後見人の指定など様々な効力を持ちます。
遺言書は相続人同士のトラブルを回避するためにも、できる限り作成をしておいた方が良いものですが、どの種類を選択するかも重要になってきます。
通常の遺言書は、「自筆証書遺言」・「公正証書遺言」・「秘密証書遺言」の3種類がありますが、それぞれメリット・デメリットがあるからです。またこれ以外にも、特殊な状況下で作成できるものもあるので、選択肢の一つとして覚えておいた方が良いでしょう。(かなり、限定的ではありますが。)
遺言書の種類
遺言書は一つではなく、いくつかの種類があります。
各種類には作成のルールが決まっているので、方式に従わなければ、無効となってしまいます。
上表の通り、遺言書はまず大きく「普通方式」と「特別方式」の二つに分かれます。
普通方式遺言とは平常時に作成される遺言書で、冒頭で述べた自筆証書遺言・秘密証書遺言・公正証書遺言の三つに分かれます。
特別方式遺言とは、遺言者が平常時ではない状況で作成が可能となる遺言書です。
平常時ではない状況とは、病気や大怪我で死が迫っている、行動が制限された状態にある等、特殊な状況下にある(普通方式遺言が作成不可である)場合に作成が認められます。
状況が限定的であるため、普通方式と比較すると作成される機会はそんなにありません。
なお、特殊な状況を脱し、普通方式での遺言ができる状態になってから6ヶ月が経過した場合は、特別方式で作成した遺言は無効になります。
普通方式遺言
(1)自筆証書遺言
自筆証書遺言は遺言者本人が自ら書いて完成させます。
- 手軽に作成可能
- 作成費用がかからない
- 証人も不要
等々、手順が簡単な遺言書です。お手軽なため、作成頻度も高いです。
ただし、その反面以下のデメリットもあります。
- 証人を必要としないため、内容不備が起きやすい
- 紛失のリスクがある
- 発見されないリスクがある
遺言者自身が作成しなければならないので、作成不備が起こりやすく保管の面にも不安があります。
不備となった場合は、遺言書が無効になってしまいます。
なお、2020年7月より法務局で自筆証書遺言の保管制度が開始されています。
少し手間はかかりますが、法務局が原本の保管をしてくれるので、紛失のリスクはなくなります。
また、相続発生後の検認手続きも不要になるというメリットも付いてくるので、保管が心配な場合は、同制度を利用した方が良いでしょう。
(2)公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証役場で作成される遺言書です。
公証役場とは、公正証書の作成、私文書の認証、確定日付の付与等を行う役場であり、法務局が管轄しています。
全国約300箇所に設置されています。
遺言書の作成方法は、公証役場の公証人が遺言者から遺言内容を聞き取り、代理で書面に書き起こします。
公証人が作成するため、作成不備は起きません。また、原本も公証役場に保管されるので、紛失や偽造のリスクは無くなります。
また、状況によっては公証人が病院や自宅へ出張してくれるため、高齢や入院中の方でも利用しやすくなっています。
メリットをまとめると以下の通りです。
- 公証人が作成するので不備が起きにくい
- 紛失や、偽造されるリスクがなく、遺族にも発見されやすい
- 検認不要
- 病院や自宅へ出張してくれる
ただし、以下のデメリットがあることも覚えておきましょう。
- 原案の打ち合わせ等で作成の手間がかかること
- 作成費用がかかること
- 二人以上の証人が必要
公正証書遺言には自筆証書遺言ほどのお手軽さはありません。
しかし、作成や保管の面で優れているのが特徴です。
(3)秘密証書遺言
遺言内容を秘密にしたい場合に利用されます。
本人が遺言書を作成した後、公証人と二人以上の立ち合いで完成します。
遺言書を作成した記録は公証役場に残りますが、遺言書自体の管理は遺言者が行います。
遺言書内容は作成者本人の秘密にできますが、内容不備になるリスクや紛失のリスクがあります。
また証人を用意しなければならない等、手間もかかります。
実務上はほとんど利用されていません。
特別方式遺言とは
特別方式遺言とは事情により普通方式が作成不可な際に認められる遺言書です。
よって、後に普通方式が作成可能になった場合は、効力が失われます。
(具体的には平常時に戻ってから6ヶ月後に無効となります。)
特別方式遺言はあくまで緊急時の特別措置です。
(1)危急時遺言
遺言者に死の危険が迫っている際に作成可能なものです。
状況によって「一般危急時遺言」と「難船危急時遺言」に作成方法が分かれます。
一般危急時遺言は以下の特徴があります。
- 病気や怪我等で死の危険が迫っている場合に作成できる
- 利害関係のない三人の証人による立会いで作成する
- 証人による代筆も可能
- 証人の署名と押印が必要
- 作成した後は、20日以内に家庭裁判所で確認手続きをする
利害関係のない証人とは、相続とは関係ない人=推定相続人に該当しない人です。
難船危急時遺言には以下の特徴があります。
- 船や飛行機の搭乗中に危機が迫った場合に作成可
- 利害関係のない証人二人の立会いで作成
- 代筆も可能
- 証人の署名と押印が必要
- 家庭裁判所で確認手続きをする(日数の決まりなし)
状況が局所的であることや、船や飛行機に搭乗している中で証人を二人も集めるのはハードルが高いため、作成される頻度は低いです。
(2)隔絶地遺言
交通が遮断されていたり、陸地から遠く離れている場所にいる場合に作成可能です。
危急時遺言と違って、死の危険が迫っている状況では無いので代筆は認められていません。
「一般隔絶地遺言」と「船舶隔絶地遺言」の二種類があります。
一般隔絶地遺言の特徴は以下です。
- 刑務所に服役していたり、伝染病で隔離されている人が作成可能
- 地震や台風等の被災者も対象
- 警察官一名と証人一名の立会で作成される
- 遺言者と立会人それぞれの署名捺印が必要
- 本人作成のため家庭裁判所の確認は不要
船舶隔絶地遺言の特徴は以下の通りです。
- マグロ漁船等航海中の船で仕事をしていて、長期間陸地にいない場合に作成できる
- 船長や事務員一名と証人二名以上の立会で作成
- 遺言者と立会人それぞれの署名捺印が必要
- 本人作成のため家庭裁判所の確認は不要
遺言書の選択で考慮するべき事項
(1)検認の有無
遺言書の検認とは、相続人に遺言書の存在と記載内容を知らせること、内容を明らかにして偽造や変造を防ぐ手続きです。遺言書の内容とは、形、加除訂正の状態、日付、署名等です。
相続開始後に、遺言書が見つかった場合は、この検認手続きが必要になります。
検認前に遺言書を遺族が開封してしまうと無効にはなりませんが、開封した方が偽造や変造を疑われるリスクが出てしまいます。また、5万円以下の過料も科される可能性もあるので要注意です。
普通方式遺言の中で自筆証書遺言と秘密証書遺言は検認が必要です。
公正証書遺言については原本が公証役場内に保管されており、作成も公証人が行うため、書類不備や偽造・改ざんの恐れがなく、検認が不要となっています。また、自筆証書遺言でも法務局の保管制度を利用した場合は検認が不要となります。
検認が不要となれば、遺族の相続手続きによる負担が減ることとなるので、検認の有無は考慮にいれて良いでしょう。
(2)保管方法
遺言の保管方法については、法律に定めがありません。遺言者判断で、自由に遺言書を保管できます。(遺言執行者に預けておくことも可能です。)
ただし、相続が起きたときにその遺言書が遺族によって直ちに発見され、遺言執行者によって速やかに遺言内容が実現されるようにしておかなければなりません。発見が遅れれば、相続手続きもスムーズに行かなくなるからです。
相続の起きた時期から大分遅れて遺言書が見つかった場合、相続人の間で面倒な手続きが生じることもあります。(遺産分割が済んでしまった状態で発見されれば、分割をやり直すことになります。)
(3)作成不備となるリスク
遺言書は各様式のルールに従って作成しなければなりません。従っていない場合は、形式上の不備により遺言自体が無効となってしまう可能性があります。
特に、自分自身で作成する自筆証書遺言と秘密証書遺言は作成不備が起きやすいのです。
例えば、自筆証書遺言では以下のような不備がよくあります。
- 日付、氏名、押印のいずれか一つが欠けている
- パソコンで作成されている
- 修正や変更の方法に誤りがある
これらの不備はお一人で作成されている場合、どうしても気付きにくくなります。その意味でも、証人が遺言の中身を確認しない秘密証書遺言も不備になる可能性が高いのです。
せっかく作成した遺言書が無効となってしまう事態は避けたいところ。
よって、作成不備のリスクがない公正証書遺言、もしくは自筆証書遺言の場合は保管制度を利用しましょう。保管制度では、担当官が形式不備をチェックしてくれます。
まとめ
遺言書には多くの種類があります。大体の場合は普通方式の3つの形式から遺言作成方法を選択することになりますが、メリットとデメリットを把握した上で、最適な形式を選びましょう。
作成が不安であったり、どの形式を選んで良いかわからない場合は、専門家に相談してください。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
行政書士 、司法書士、弁護士、不動産鑑定士との強いネットワークを活かして、あなたの相続の悩みをサポートいたします。
まずはお気軽に初回無料相談をご利用ください。
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■お電話で今すぐ初回無料相談をしたい方→046-297-0055(受付時間:平日9:00~17:00)
1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。
まずはお気軽に無料相談・お問い合わせをご利用ください!
お電話でのお問い合わせはこちらお問い合わせ・ご相談は、お電話またはお問い合わせフォームにて受け付けております。お問い合わせフォームでのお問い合わせは24時間受け付けておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。受付時間 9:00〜17:00定休日:土曜・日曜・祝祭日
自筆証書遺言は遺言者本人が自ら書いて完成させます。
- 手軽に作成可能
- 作成費用がかからない
- 証人も不要
等々、手順が簡単な遺言書です。お手軽なため、作成頻度も高いです。
ただし、その反面以下のデメリットもあります。
- 証人を必要としないため、内容不備が起きやすい
- 紛失のリスクがある
- 発見されないリスクがある
遺言者自身が作成しなければならないので、作成不備が起こりやすく保管の面にも不安があります。
不備となった場合は、遺言書が無効になってしまいます。
なお、2020年7月より法務局で自筆証書遺言の保管制度が開始されています。
少し手間はかかりますが、法務局が原本の保管をしてくれるので、紛失のリスクはなくなります。
また、相続発生後の検認手続きも不要になるというメリットも付いてくるので、保管が心配な場合は、同制度を利用した方が良いでしょう。
(2)公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証役場で作成される遺言書です。
公証役場とは、公正証書の作成、私文書の認証、確定日付の付与等を行う役場であり、法務局が管轄しています。
全国約300箇所に設置されています。
遺言書の作成方法は、公証役場の公証人が遺言者から遺言内容を聞き取り、代理で書面に書き起こします。
公証人が作成するため、作成不備は起きません。また、原本も公証役場に保管されるので、紛失や偽造のリスクは無くなります。
また、状況によっては公証人が病院や自宅へ出張してくれるため、高齢や入院中の方でも利用しやすくなっています。
メリットをまとめると以下の通りです。
- 公証人が作成するので不備が起きにくい
- 紛失や、偽造されるリスクがなく、遺族にも発見されやすい
- 検認不要
- 病院や自宅へ出張してくれる
ただし、以下のデメリットがあることも覚えておきましょう。
- 原案の打ち合わせ等で作成の手間がかかること
- 作成費用がかかること
- 二人以上の証人が必要
公正証書遺言には自筆証書遺言ほどのお手軽さはありません。
しかし、作成や保管の面で優れているのが特徴です。
(3)秘密証書遺言
遺言内容を秘密にしたい場合に利用されます。
本人が遺言書を作成した後、公証人と二人以上の立ち合いで完成します。
遺言書を作成した記録は公証役場に残りますが、遺言書自体の管理は遺言者が行います。
遺言書内容は作成者本人の秘密にできますが、内容不備になるリスクや紛失のリスクがあります。
また証人を用意しなければならない等、手間もかかります。
実務上はほとんど利用されていません。
特別方式遺言とは
特別方式遺言とは事情により普通方式が作成不可な際に認められる遺言書です。
よって、後に普通方式が作成可能になった場合は、効力が失われます。
(具体的には平常時に戻ってから6ヶ月後に無効となります。)
特別方式遺言はあくまで緊急時の特別措置です。
(1)危急時遺言
遺言者に死の危険が迫っている際に作成可能なものです。
状況によって「一般危急時遺言」と「難船危急時遺言」に作成方法が分かれます。
一般危急時遺言は以下の特徴があります。
- 病気や怪我等で死の危険が迫っている場合に作成できる
- 利害関係のない三人の証人による立会いで作成する
- 証人による代筆も可能
- 証人の署名と押印が必要
- 作成した後は、20日以内に家庭裁判所で確認手続きをする
利害関係のない証人とは、相続とは関係ない人=推定相続人に該当しない人です。
難船危急時遺言には以下の特徴があります。
- 船や飛行機の搭乗中に危機が迫った場合に作成可
- 利害関係のない証人二人の立会いで作成
- 代筆も可能
- 証人の署名と押印が必要
- 家庭裁判所で確認手続きをする(日数の決まりなし)
状況が局所的であることや、船や飛行機に搭乗している中で証人を二人も集めるのはハードルが高いため、作成される頻度は低いです。
(2)隔絶地遺言
交通が遮断されていたり、陸地から遠く離れている場所にいる場合に作成可能です。
危急時遺言と違って、死の危険が迫っている状況では無いので代筆は認められていません。
「一般隔絶地遺言」と「船舶隔絶地遺言」の二種類があります。
一般隔絶地遺言の特徴は以下です。
- 刑務所に服役していたり、伝染病で隔離されている人が作成可能
- 地震や台風等の被災者も対象
- 警察官一名と証人一名の立会で作成される
- 遺言者と立会人それぞれの署名捺印が必要
- 本人作成のため家庭裁判所の確認は不要
船舶隔絶地遺言の特徴は以下の通りです。
- マグロ漁船等航海中の船で仕事をしていて、長期間陸地にいない場合に作成できる
- 船長や事務員一名と証人二名以上の立会で作成
- 遺言者と立会人それぞれの署名捺印が必要
- 本人作成のため家庭裁判所の確認は不要
遺言書の選択で考慮するべき事項
(1)検認の有無
遺言書の検認とは、相続人に遺言書の存在と記載内容を知らせること、内容を明らかにして偽造や変造を防ぐ手続きです。遺言書の内容とは、形、加除訂正の状態、日付、署名等です。
相続開始後に、遺言書が見つかった場合は、この検認手続きが必要になります。
検認前に遺言書を遺族が開封してしまうと無効にはなりませんが、開封した方が偽造や変造を疑われるリスクが出てしまいます。また、5万円以下の過料も科される可能性もあるので要注意です。
普通方式遺言の中で自筆証書遺言と秘密証書遺言は検認が必要です。
公正証書遺言については原本が公証役場内に保管されており、作成も公証人が行うため、書類不備や偽造・改ざんの恐れがなく、検認が不要となっています。また、自筆証書遺言でも法務局の保管制度を利用した場合は検認が不要となります。
検認が不要となれば、遺族の相続手続きによる負担が減ることとなるので、検認の有無は考慮にいれて良いでしょう。
(2)保管方法
遺言の保管方法については、法律に定めがありません。遺言者判断で、自由に遺言書を保管できます。(遺言執行者に預けておくことも可能です。)
ただし、相続が起きたときにその遺言書が遺族によって直ちに発見され、遺言執行者によって速やかに遺言内容が実現されるようにしておかなければなりません。発見が遅れれば、相続手続きもスムーズに行かなくなるからです。
相続の起きた時期から大分遅れて遺言書が見つかった場合、相続人の間で面倒な手続きが生じることもあります。(遺産分割が済んでしまった状態で発見されれば、分割をやり直すことになります。)
(3)作成不備となるリスク
遺言書は各様式のルールに従って作成しなければなりません。従っていない場合は、形式上の不備により遺言自体が無効となってしまう可能性があります。
特に、自分自身で作成する自筆証書遺言と秘密証書遺言は作成不備が起きやすいのです。
例えば、自筆証書遺言では以下のような不備がよくあります。
- 日付、氏名、押印のいずれか一つが欠けている
- パソコンで作成されている
- 修正や変更の方法に誤りがある
これらの不備はお一人で作成されている場合、どうしても気付きにくくなります。その意味でも、証人が遺言の中身を確認しない秘密証書遺言も不備になる可能性が高いのです。
せっかく作成した遺言書が無効となってしまう事態は避けたいところ。
よって、作成不備のリスクがない公正証書遺言、もしくは自筆証書遺言の場合は保管制度を利用しましょう。保管制度では、担当官が形式不備をチェックしてくれます。
まとめ
遺言書には多くの種類があります。大体の場合は普通方式の3つの形式から遺言作成方法を選択することになりますが、メリットとデメリットを把握した上で、最適な形式を選びましょう。
作成が不安であったり、どの形式を選んで良いかわからない場合は、専門家に相談してください。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。
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公正証書遺言とは、公証役場で作成される遺言書です。
公証役場とは、公正証書の作成、私文書の認証、確定日付の付与等を行う役場であり、法務局が管轄しています。
全国約300箇所に設置されています。
遺言書の作成方法は、公証役場の公証人が遺言者から遺言内容を聞き取り、代理で書面に書き起こします。
公証人が作成するため、作成不備は起きません。また、原本も公証役場に保管されるので、紛失や偽造のリスクは無くなります。
また、状況によっては公証人が病院や自宅へ出張してくれるため、高齢や入院中の方でも利用しやすくなっています。
メリットをまとめると以下の通りです。
- 公証人が作成するので不備が起きにくい
- 紛失や、偽造されるリスクがなく、遺族にも発見されやすい
- 検認不要
- 病院や自宅へ出張してくれる
ただし、以下のデメリットがあることも覚えておきましょう。
- 原案の打ち合わせ等で作成の手間がかかること
- 作成費用がかかること
- 二人以上の証人が必要
公正証書遺言には自筆証書遺言ほどのお手軽さはありません。
しかし、作成や保管の面で優れているのが特徴です。
(3)秘密証書遺言
遺言内容を秘密にしたい場合に利用されます。
本人が遺言書を作成した後、公証人と二人以上の立ち合いで完成します。
遺言書を作成した記録は公証役場に残りますが、遺言書自体の管理は遺言者が行います。
遺言書内容は作成者本人の秘密にできますが、内容不備になるリスクや紛失のリスクがあります。
また証人を用意しなければならない等、手間もかかります。
実務上はほとんど利用されていません。
特別方式遺言とは
特別方式遺言とは事情により普通方式が作成不可な際に認められる遺言書です。
よって、後に普通方式が作成可能になった場合は、効力が失われます。
(具体的には平常時に戻ってから6ヶ月後に無効となります。)
特別方式遺言はあくまで緊急時の特別措置です。
(1)危急時遺言
遺言者に死の危険が迫っている際に作成可能なものです。
状況によって「一般危急時遺言」と「難船危急時遺言」に作成方法が分かれます。
一般危急時遺言は以下の特徴があります。
- 病気や怪我等で死の危険が迫っている場合に作成できる
- 利害関係のない三人の証人による立会いで作成する
- 証人による代筆も可能
- 証人の署名と押印が必要
- 作成した後は、20日以内に家庭裁判所で確認手続きをする
利害関係のない証人とは、相続とは関係ない人=推定相続人に該当しない人です。
難船危急時遺言には以下の特徴があります。
- 船や飛行機の搭乗中に危機が迫った場合に作成可
- 利害関係のない証人二人の立会いで作成
- 代筆も可能
- 証人の署名と押印が必要
- 家庭裁判所で確認手続きをする(日数の決まりなし)
状況が局所的であることや、船や飛行機に搭乗している中で証人を二人も集めるのはハードルが高いため、作成される頻度は低いです。
(2)隔絶地遺言
交通が遮断されていたり、陸地から遠く離れている場所にいる場合に作成可能です。
危急時遺言と違って、死の危険が迫っている状況では無いので代筆は認められていません。
「一般隔絶地遺言」と「船舶隔絶地遺言」の二種類があります。
一般隔絶地遺言の特徴は以下です。
- 刑務所に服役していたり、伝染病で隔離されている人が作成可能
- 地震や台風等の被災者も対象
- 警察官一名と証人一名の立会で作成される
- 遺言者と立会人それぞれの署名捺印が必要
- 本人作成のため家庭裁判所の確認は不要
船舶隔絶地遺言の特徴は以下の通りです。
- マグロ漁船等航海中の船で仕事をしていて、長期間陸地にいない場合に作成できる
- 船長や事務員一名と証人二名以上の立会で作成
- 遺言者と立会人それぞれの署名捺印が必要
- 本人作成のため家庭裁判所の確認は不要
遺言書の選択で考慮するべき事項
(1)検認の有無
遺言書の検認とは、相続人に遺言書の存在と記載内容を知らせること、内容を明らかにして偽造や変造を防ぐ手続きです。遺言書の内容とは、形、加除訂正の状態、日付、署名等です。
相続開始後に、遺言書が見つかった場合は、この検認手続きが必要になります。
検認前に遺言書を遺族が開封してしまうと無効にはなりませんが、開封した方が偽造や変造を疑われるリスクが出てしまいます。また、5万円以下の過料も科される可能性もあるので要注意です。
普通方式遺言の中で自筆証書遺言と秘密証書遺言は検認が必要です。
公正証書遺言については原本が公証役場内に保管されており、作成も公証人が行うため、書類不備や偽造・改ざんの恐れがなく、検認が不要となっています。また、自筆証書遺言でも法務局の保管制度を利用した場合は検認が不要となります。
検認が不要となれば、遺族の相続手続きによる負担が減ることとなるので、検認の有無は考慮にいれて良いでしょう。
(2)保管方法
遺言の保管方法については、法律に定めがありません。遺言者判断で、自由に遺言書を保管できます。(遺言執行者に預けておくことも可能です。)
ただし、相続が起きたときにその遺言書が遺族によって直ちに発見され、遺言執行者によって速やかに遺言内容が実現されるようにしておかなければなりません。発見が遅れれば、相続手続きもスムーズに行かなくなるからです。
相続の起きた時期から大分遅れて遺言書が見つかった場合、相続人の間で面倒な手続きが生じることもあります。(遺産分割が済んでしまった状態で発見されれば、分割をやり直すことになります。)
(3)作成不備となるリスク
遺言書は各様式のルールに従って作成しなければなりません。従っていない場合は、形式上の不備により遺言自体が無効となってしまう可能性があります。
特に、自分自身で作成する自筆証書遺言と秘密証書遺言は作成不備が起きやすいのです。
例えば、自筆証書遺言では以下のような不備がよくあります。
- 日付、氏名、押印のいずれか一つが欠けている
- パソコンで作成されている
- 修正や変更の方法に誤りがある
これらの不備はお一人で作成されている場合、どうしても気付きにくくなります。その意味でも、証人が遺言の中身を確認しない秘密証書遺言も不備になる可能性が高いのです。
せっかく作成した遺言書が無効となってしまう事態は避けたいところ。
よって、作成不備のリスクがない公正証書遺言、もしくは自筆証書遺言の場合は保管制度を利用しましょう。保管制度では、担当官が形式不備をチェックしてくれます。
まとめ
遺言書には多くの種類があります。大体の場合は普通方式の3つの形式から遺言作成方法を選択することになりますが、メリットとデメリットを把握した上で、最適な形式を選びましょう。
作成が不安であったり、どの形式を選んで良いかわからない場合は、専門家に相談してください。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
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税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
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「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
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遺言書内容は作成者本人の秘密にできますが、内容不備になるリスクや紛失のリスクがあります。
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特別方式遺言とは
特別方式遺言とは事情により普通方式が作成不可な際に認められる遺言書です。
よって、後に普通方式が作成可能になった場合は、効力が失われます。
(具体的には平常時に戻ってから6ヶ月後に無効となります。)
特別方式遺言はあくまで緊急時の特別措置です。
(1)危急時遺言
遺言者に死の危険が迫っている際に作成可能なものです。
状況によって「一般危急時遺言」と「難船危急時遺言」に作成方法が分かれます。
一般危急時遺言は以下の特徴があります。
- 病気や怪我等で死の危険が迫っている場合に作成できる
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利害関係のない証人とは、相続とは関係ない人=推定相続人に該当しない人です。
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- 代筆も可能
- 証人の署名と押印が必要
- 家庭裁判所で確認手続きをする(日数の決まりなし)
状況が局所的であることや、船や飛行機に搭乗している中で証人を二人も集めるのはハードルが高いため、作成される頻度は低いです。
(2)隔絶地遺言
交通が遮断されていたり、陸地から遠く離れている場所にいる場合に作成可能です。
危急時遺言と違って、死の危険が迫っている状況では無いので代筆は認められていません。
「一般隔絶地遺言」と「船舶隔絶地遺言」の二種類があります。
一般隔絶地遺言の特徴は以下です。
- 刑務所に服役していたり、伝染病で隔離されている人が作成可能
- 地震や台風等の被災者も対象
- 警察官一名と証人一名の立会で作成される
- 遺言者と立会人それぞれの署名捺印が必要
- 本人作成のため家庭裁判所の確認は不要
船舶隔絶地遺言の特徴は以下の通りです。
- マグロ漁船等航海中の船で仕事をしていて、長期間陸地にいない場合に作成できる
- 船長や事務員一名と証人二名以上の立会で作成
- 遺言者と立会人それぞれの署名捺印が必要
- 本人作成のため家庭裁判所の確認は不要
遺言書の選択で考慮するべき事項
(1)検認の有無
遺言書の検認とは、相続人に遺言書の存在と記載内容を知らせること、内容を明らかにして偽造や変造を防ぐ手続きです。遺言書の内容とは、形、加除訂正の状態、日付、署名等です。
相続開始後に、遺言書が見つかった場合は、この検認手続きが必要になります。
検認前に遺言書を遺族が開封してしまうと無効にはなりませんが、開封した方が偽造や変造を疑われるリスクが出てしまいます。また、5万円以下の過料も科される可能性もあるので要注意です。
普通方式遺言の中で自筆証書遺言と秘密証書遺言は検認が必要です。
公正証書遺言については原本が公証役場内に保管されており、作成も公証人が行うため、書類不備や偽造・改ざんの恐れがなく、検認が不要となっています。また、自筆証書遺言でも法務局の保管制度を利用した場合は検認が不要となります。
検認が不要となれば、遺族の相続手続きによる負担が減ることとなるので、検認の有無は考慮にいれて良いでしょう。
(2)保管方法
遺言の保管方法については、法律に定めがありません。遺言者判断で、自由に遺言書を保管できます。(遺言執行者に預けておくことも可能です。)
ただし、相続が起きたときにその遺言書が遺族によって直ちに発見され、遺言執行者によって速やかに遺言内容が実現されるようにしておかなければなりません。発見が遅れれば、相続手続きもスムーズに行かなくなるからです。
相続の起きた時期から大分遅れて遺言書が見つかった場合、相続人の間で面倒な手続きが生じることもあります。(遺産分割が済んでしまった状態で発見されれば、分割をやり直すことになります。)
(3)作成不備となるリスク
遺言書は各様式のルールに従って作成しなければなりません。従っていない場合は、形式上の不備により遺言自体が無効となってしまう可能性があります。
特に、自分自身で作成する自筆証書遺言と秘密証書遺言は作成不備が起きやすいのです。
例えば、自筆証書遺言では以下のような不備がよくあります。
- 日付、氏名、押印のいずれか一つが欠けている
- パソコンで作成されている
- 修正や変更の方法に誤りがある
これらの不備はお一人で作成されている場合、どうしても気付きにくくなります。その意味でも、証人が遺言の中身を確認しない秘密証書遺言も不備になる可能性が高いのです。
せっかく作成した遺言書が無効となってしまう事態は避けたいところ。
よって、作成不備のリスクがない公正証書遺言、もしくは自筆証書遺言の場合は保管制度を利用しましょう。保管制度では、担当官が形式不備をチェックしてくれます。
まとめ
遺言書には多くの種類があります。大体の場合は普通方式の3つの形式から遺言作成方法を選択することになりますが、メリットとデメリットを把握した上で、最適な形式を選びましょう。
作成が不安であったり、どの形式を選んで良いかわからない場合は、専門家に相談してください。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
行政書士 、司法書士、弁護士、不動産鑑定士との強いネットワークを活かして、あなたの相続の悩みをサポートいたします。
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■お電話で今すぐ初回無料相談をしたい方→046-297-0055(受付時間:平日9:00~17:00)
1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。
まずはお気軽に無料相談・お問い合わせをご利用ください!
お電話でのお問い合わせはこちらお問い合わせ・ご相談は、お電話またはお問い合わせフォームにて受け付けております。お問い合わせフォームでのお問い合わせは24時間受け付けておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。受付時間 9:00〜17:00定休日:土曜・日曜・祝祭日
遺言者に死の危険が迫っている際に作成可能なものです。
状況によって「一般危急時遺言」と「難船危急時遺言」に作成方法が分かれます。
一般危急時遺言は以下の特徴があります。
- 病気や怪我等で死の危険が迫っている場合に作成できる
- 利害関係のない三人の証人による立会いで作成する
- 証人による代筆も可能
- 証人の署名と押印が必要
- 作成した後は、20日以内に家庭裁判所で確認手続きをする
利害関係のない証人とは、相続とは関係ない人=推定相続人に該当しない人です。
難船危急時遺言には以下の特徴があります。
- 船や飛行機の搭乗中に危機が迫った場合に作成可
- 利害関係のない証人二人の立会いで作成
- 代筆も可能
- 証人の署名と押印が必要
- 家庭裁判所で確認手続きをする(日数の決まりなし)
状況が局所的であることや、船や飛行機に搭乗している中で証人を二人も集めるのはハードルが高いため、作成される頻度は低いです。
(2)隔絶地遺言
交通が遮断されていたり、陸地から遠く離れている場所にいる場合に作成可能です。
危急時遺言と違って、死の危険が迫っている状況では無いので代筆は認められていません。
「一般隔絶地遺言」と「船舶隔絶地遺言」の二種類があります。
一般隔絶地遺言の特徴は以下です。
- 刑務所に服役していたり、伝染病で隔離されている人が作成可能
- 地震や台風等の被災者も対象
- 警察官一名と証人一名の立会で作成される
- 遺言者と立会人それぞれの署名捺印が必要
- 本人作成のため家庭裁判所の確認は不要
船舶隔絶地遺言の特徴は以下の通りです。
- マグロ漁船等航海中の船で仕事をしていて、長期間陸地にいない場合に作成できる
- 船長や事務員一名と証人二名以上の立会で作成
- 遺言者と立会人それぞれの署名捺印が必要
- 本人作成のため家庭裁判所の確認は不要
遺言書の選択で考慮するべき事項
(1)検認の有無
遺言書の検認とは、相続人に遺言書の存在と記載内容を知らせること、内容を明らかにして偽造や変造を防ぐ手続きです。遺言書の内容とは、形、加除訂正の状態、日付、署名等です。
相続開始後に、遺言書が見つかった場合は、この検認手続きが必要になります。
検認前に遺言書を遺族が開封してしまうと無効にはなりませんが、開封した方が偽造や変造を疑われるリスクが出てしまいます。また、5万円以下の過料も科される可能性もあるので要注意です。
普通方式遺言の中で自筆証書遺言と秘密証書遺言は検認が必要です。
公正証書遺言については原本が公証役場内に保管されており、作成も公証人が行うため、書類不備や偽造・改ざんの恐れがなく、検認が不要となっています。また、自筆証書遺言でも法務局の保管制度を利用した場合は検認が不要となります。
検認が不要となれば、遺族の相続手続きによる負担が減ることとなるので、検認の有無は考慮にいれて良いでしょう。
(2)保管方法
遺言の保管方法については、法律に定めがありません。遺言者判断で、自由に遺言書を保管できます。(遺言執行者に預けておくことも可能です。)
ただし、相続が起きたときにその遺言書が遺族によって直ちに発見され、遺言執行者によって速やかに遺言内容が実現されるようにしておかなければなりません。発見が遅れれば、相続手続きもスムーズに行かなくなるからです。
相続の起きた時期から大分遅れて遺言書が見つかった場合、相続人の間で面倒な手続きが生じることもあります。(遺産分割が済んでしまった状態で発見されれば、分割をやり直すことになります。)
(3)作成不備となるリスク
遺言書は各様式のルールに従って作成しなければなりません。従っていない場合は、形式上の不備により遺言自体が無効となってしまう可能性があります。
特に、自分自身で作成する自筆証書遺言と秘密証書遺言は作成不備が起きやすいのです。
例えば、自筆証書遺言では以下のような不備がよくあります。
- 日付、氏名、押印のいずれか一つが欠けている
- パソコンで作成されている
- 修正や変更の方法に誤りがある
これらの不備はお一人で作成されている場合、どうしても気付きにくくなります。その意味でも、証人が遺言の中身を確認しない秘密証書遺言も不備になる可能性が高いのです。
せっかく作成した遺言書が無効となってしまう事態は避けたいところ。
よって、作成不備のリスクがない公正証書遺言、もしくは自筆証書遺言の場合は保管制度を利用しましょう。保管制度では、担当官が形式不備をチェックしてくれます。
まとめ
遺言書には多くの種類があります。大体の場合は普通方式の3つの形式から遺言作成方法を選択することになりますが、メリットとデメリットを把握した上で、最適な形式を選びましょう。
作成が不安であったり、どの形式を選んで良いかわからない場合は、専門家に相談してください。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
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交通が遮断されていたり、陸地から遠く離れている場所にいる場合に作成可能です。
危急時遺言と違って、死の危険が迫っている状況では無いので代筆は認められていません。
「一般隔絶地遺言」と「船舶隔絶地遺言」の二種類があります。
一般隔絶地遺言の特徴は以下です。
- 刑務所に服役していたり、伝染病で隔離されている人が作成可能
- 地震や台風等の被災者も対象
- 警察官一名と証人一名の立会で作成される
- 遺言者と立会人それぞれの署名捺印が必要
- 本人作成のため家庭裁判所の確認は不要
船舶隔絶地遺言の特徴は以下の通りです。
- マグロ漁船等航海中の船で仕事をしていて、長期間陸地にいない場合に作成できる
- 船長や事務員一名と証人二名以上の立会で作成
- 遺言者と立会人それぞれの署名捺印が必要
- 本人作成のため家庭裁判所の確認は不要
遺言書の選択で考慮するべき事項
(1)検認の有無
遺言書の検認とは、相続人に遺言書の存在と記載内容を知らせること、内容を明らかにして偽造や変造を防ぐ手続きです。遺言書の内容とは、形、加除訂正の状態、日付、署名等です。
相続開始後に、遺言書が見つかった場合は、この検認手続きが必要になります。
検認前に遺言書を遺族が開封してしまうと無効にはなりませんが、開封した方が偽造や変造を疑われるリスクが出てしまいます。また、5万円以下の過料も科される可能性もあるので要注意です。
普通方式遺言の中で自筆証書遺言と秘密証書遺言は検認が必要です。
公正証書遺言については原本が公証役場内に保管されており、作成も公証人が行うため、書類不備や偽造・改ざんの恐れがなく、検認が不要となっています。また、自筆証書遺言でも法務局の保管制度を利用した場合は検認が不要となります。
検認が不要となれば、遺族の相続手続きによる負担が減ることとなるので、検認の有無は考慮にいれて良いでしょう。
(2)保管方法
遺言の保管方法については、法律に定めがありません。遺言者判断で、自由に遺言書を保管できます。(遺言執行者に預けておくことも可能です。)
ただし、相続が起きたときにその遺言書が遺族によって直ちに発見され、遺言執行者によって速やかに遺言内容が実現されるようにしておかなければなりません。発見が遅れれば、相続手続きもスムーズに行かなくなるからです。
相続の起きた時期から大分遅れて遺言書が見つかった場合、相続人の間で面倒な手続きが生じることもあります。(遺産分割が済んでしまった状態で発見されれば、分割をやり直すことになります。)
(3)作成不備となるリスク
遺言書は各様式のルールに従って作成しなければなりません。従っていない場合は、形式上の不備により遺言自体が無効となってしまう可能性があります。
特に、自分自身で作成する自筆証書遺言と秘密証書遺言は作成不備が起きやすいのです。
例えば、自筆証書遺言では以下のような不備がよくあります。
- 日付、氏名、押印のいずれか一つが欠けている
- パソコンで作成されている
- 修正や変更の方法に誤りがある
これらの不備はお一人で作成されている場合、どうしても気付きにくくなります。その意味でも、証人が遺言の中身を確認しない秘密証書遺言も不備になる可能性が高いのです。
せっかく作成した遺言書が無効となってしまう事態は避けたいところ。
よって、作成不備のリスクがない公正証書遺言、もしくは自筆証書遺言の場合は保管制度を利用しましょう。保管制度では、担当官が形式不備をチェックしてくれます。
まとめ
遺言書には多くの種類があります。大体の場合は普通方式の3つの形式から遺言作成方法を選択することになりますが、メリットとデメリットを把握した上で、最適な形式を選びましょう。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
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「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
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遺言書の検認とは、相続人に遺言書の存在と記載内容を知らせること、内容を明らかにして偽造や変造を防ぐ手続きです。遺言書の内容とは、形、加除訂正の状態、日付、署名等です。
相続開始後に、遺言書が見つかった場合は、この検認手続きが必要になります。
検認前に遺言書を遺族が開封してしまうと無効にはなりませんが、開封した方が偽造や変造を疑われるリスクが出てしまいます。また、5万円以下の過料も科される可能性もあるので要注意です。
普通方式遺言の中で自筆証書遺言と秘密証書遺言は検認が必要です。
公正証書遺言については原本が公証役場内に保管されており、作成も公証人が行うため、書類不備や偽造・改ざんの恐れがなく、検認が不要となっています。また、自筆証書遺言でも法務局の保管制度を利用した場合は検認が不要となります。
検認が不要となれば、遺族の相続手続きによる負担が減ることとなるので、検認の有無は考慮にいれて良いでしょう。
(2)保管方法
遺言の保管方法については、法律に定めがありません。遺言者判断で、自由に遺言書を保管できます。(遺言執行者に預けておくことも可能です。)
ただし、相続が起きたときにその遺言書が遺族によって直ちに発見され、遺言執行者によって速やかに遺言内容が実現されるようにしておかなければなりません。発見が遅れれば、相続手続きもスムーズに行かなくなるからです。
相続の起きた時期から大分遅れて遺言書が見つかった場合、相続人の間で面倒な手続きが生じることもあります。(遺産分割が済んでしまった状態で発見されれば、分割をやり直すことになります。)
(3)作成不備となるリスク
遺言書は各様式のルールに従って作成しなければなりません。従っていない場合は、形式上の不備により遺言自体が無効となってしまう可能性があります。
特に、自分自身で作成する自筆証書遺言と秘密証書遺言は作成不備が起きやすいのです。
例えば、自筆証書遺言では以下のような不備がよくあります。
- 日付、氏名、押印のいずれか一つが欠けている
- パソコンで作成されている
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これらの不備はお一人で作成されている場合、どうしても気付きにくくなります。その意味でも、証人が遺言の中身を確認しない秘密証書遺言も不備になる可能性が高いのです。
せっかく作成した遺言書が無効となってしまう事態は避けたいところ。
よって、作成不備のリスクがない公正証書遺言、もしくは自筆証書遺言の場合は保管制度を利用しましょう。保管制度では、担当官が形式不備をチェックしてくれます。
まとめ
遺言書には多くの種類があります。大体の場合は普通方式の3つの形式から遺言作成方法を選択することになりますが、メリットとデメリットを把握した上で、最適な形式を選びましょう。
作成が不安であったり、どの形式を選んで良いかわからない場合は、専門家に相談してください。
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「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
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相続の起きた時期から大分遅れて遺言書が見つかった場合、相続人の間で面倒な手続きが生じることもあります。(遺産分割が済んでしまった状態で発見されれば、分割をやり直すことになります。)
(3)作成不備となるリスク
遺言書は各様式のルールに従って作成しなければなりません。従っていない場合は、形式上の不備により遺言自体が無効となってしまう可能性があります。
特に、自分自身で作成する自筆証書遺言と秘密証書遺言は作成不備が起きやすいのです。
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