相続で所得税がかかるケースはあるのか 【株式配当金・不動産売却】

厚木市で 相続手続 支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続 の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
相続が発生すると、引き継いだ相続財産に対して相続税が課されることはよく知られています。
しかし、相続財産の種類やその取得方法によっては、相続税だけでなく所得税がかかるケースもあります。
本コラムでは、相続人に所得税が発生する主なケースについて詳しく説明します。
相続財産に対する基本的な課税関係の整理
相続財産には現金、預貯金、不動産、有価証券などさまざまな種類があり、それぞれの課税関係が異なります。
通常、相続によって取得した財産には金額に応じて相続税が課されるだけです。所得税とは給料やビジネスで得た利益に対してかかる税金ですから、それらと関係のない遺産相続では基本的に所得税はかかりません。
しかし、相続した財産を処分したり、特定の条件を満たしたりする場合には所得税が発生することがあります。
相続人に所得税が発生するケース
(1)収益を生む財産を相続した場合
相続財産の中には、定期的に収益を生み出すものがあります。これらの財産を取得すると、相続後に発生する所得に対して所得税がかかります。
- 賃貸不動産…相続した不動産が賃貸物件である場合、その不動産から得られる家賃収入は相続人の所得とみなされ、所得税の対象となります。家賃収入に対する課税は、相続人の他の所得と合算して総合課税の対象となります。
- 株式の配当金…相続した株式から配当金が発生する場合、配当所得として所得税が課されます。配当所得は原則として総合課税の対象ですが、一定の上場株式等に関しては申告分離課税を選択することも可能です。
(2)不動産を売却した場合
相続した財産を売却すると、その売却益に対して所得税が発生します。
相続した土地や建物、株式などを売却すると、取得費と売却価額の差額が譲渡所得となり、所得税・住民税が課されます。譲渡所得は「所得税+住民税」の税率で課税され、長期保有(取得後5年超)の場合は税率が軽減される特例もあります。
譲渡所得は以下の計算式で求められます。
(3)被相続人の所得に関する申告義務
被相続人が亡くなった年の所得については、相続人が「準確定申告」を行う必要があります。
被相続人が生前に得た給与所得や事業所得、不動産所得などに対して、死亡後4か月以内に相続人が申告を行います。所得税が発生する場合、相続人が納税義務を負います。
- ○準確定申告が必要な所得の例
- 事業を営んでいた場合の事業所得
- 不動産賃貸収入
- 株式の売却益や配当所得
- 年金収入
(4)退職金や未支給給与の課税
- 死亡退職金
- 未支給給与の扱い
被相続人が生前に勤務していた会社から死亡退職金を受け取る場合、これは「みなし相続財産」として相続税の対象となります。ただし、非課税枠(500万円×法定相続人の数)があり、これを超えた部分については相続税が課されます。死亡後3年を経過してから支給が確定した死亡退職金については、相続税の課税価格計算の基礎には算入されず、受取人の一時所得として所得税の課税対象になります。
死亡前に支給期が到来していた給与が死亡後に支給された場合、これは「給与所得」として被相続人の所得税の対象となります。死亡後3年を経過してから支給が確定した給与については、相続税の課税価格計算の基礎には算入されず、受取人の一時所得として所得税の課税対象となります。
(5)相続財産の運用による所得税
- 相続財産を活用した事業収益
- 仮想通貨や金融資産の運用
相続した現金や不動産を元手に事業を行った場合、その収益は当然ながら所得税の対象となります。例えば、相続した資産を元に投資を行い、運用益が発生した場合は、事業所得や投資所得として課税されます。
相続した仮想通貨や外国為替資産を売却した場合、その売却益が雑所得または譲渡所得として課税されます。仮想通貨は特に価格変動が激しく、相続時の評価額と売却時の価格差が大きくなることが多いため、課税額にも注意が必要です。
まとめ
相続財産に対する税金は相続税だけでなく、相続人が所得税を負担するケースも少なくありません。
特に、「収益を生む財産(賃貸不動産、株式)の取得」「相続財産の売却」「準確定申告による被相続人の所得申告」「退職金や未支給給与」「相続財産の運用益」といったケースでは所得税が発生する可能性があります。
相続税と所得税の両面から適切な申告と納税を行うためには、早い段階で税理士などの専門家に相談することが重要です。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。