遠方の相続人がいる・連絡が取れない家族がスムーズに口座解約や名義変更を進める方法

厚木市で相続の手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
家族が亡くなった後には、お通夜や葬儀のバタバタが落ち着く間もなく、膨大な相続手続きが待っています。特に「預貯金口座の解約」や「実家の名義変更(相続登記)」は、期限や段取りが複雑で頭を悩ませる方も多いのではないでしょうか。
そうした手続きを進める中で、多くの方が直面するのが「相続人が遠方に住んでいて、なかなか集まれない」「普段から疎遠で、連絡先すらわからない兄弟がいる」という問題です。
【参考】
連絡の取れない相続人がいる場合の相続手続き
https://stepup-souzoku.com/2025/12/19/jiiko3ode0364/
「全員が集まれないと、手続きは進められないの?」「連絡が取れない人がいたら、実家の名義変更はどうなるのだろう……」と、一人で不安を抱え込んでしまうケースも珍しくありません。
結論から言えば、たとえ相続人が遠方にいても、あるいは連絡が取りづらい状況であっても、正しい法的手順を踏めば安全に手続きを完了させることができます。
今回は、遠方に相続人がいる場合や連絡がつかない家族がいる場合に、トラブルを防ぎながらスムーズに口座解約や名義変更を進める具体的な解決策を、相続の専門家として分かりやすく解説します。
全員の同意が必要!遺産分割協議が進まない2つの典型パターン
まず大前提として知っておいていただきたいのは、亡くなった方の財産(遺産)を分けるためには、原則として「法定相続人全員」による話し合いと合意が必要になるということです。
【参考】
法定相続人の確定はどうやってするのか?調査の方法を解説
https://stepup-souzoku.com/2025/10/17/nuu98gtrws09/
この話し合いを「遺産分割協議」と呼び、全員が同意した証として「遺産分割協議書」を作成します。
しかし、実務においてはこの話し合いが以下の2つのパターンでストップしてしまうことが非常によくあります。
(1)兄弟や子どもが遠方(地方や海外)に住んでいて集まれない
長男は厚木市に住んでいるが、次男は九州、長女は海外に赴任しているといったケースです。全員が仕事や家庭を持って多忙な中、本厚木駅周辺の実家に一堂に会して話し合いの場を持つことは、物理的に極めて困難と言えます。
(2)普段から疎遠で、現在の連絡先(住所)や電話番号がわからない
何年も音信不通の兄弟がいる、あるいは前妻との間の子どもがどこに住んでいるかわからないといったケースです。話し合いを始めたくても、そもそも連絡を取る手段がないため、スタートラインにすら立てずに行き詰まってしまいます。
「全員のハンコが必要なのに、これでは口座解約も名義変更もできない」と諦めてしまう方もいますが、いざという時に慌てないために、それぞれの解決策を知っておくことが大切です。
遠方にいる相続人とスムーズに「遺産分割協議書」をまとめる手順
相続人全員の居場所や連絡先は分かっているものの、距離が離れていて集まれない場合は、「持ち回り(もちまわり)」という方法で遺産分割協議書を作成することが可能です。
わざわざ全員が1つの場所に集まって同じ書類に署名・押印する必要はありません。具体的な手順は以下の通りです。
ステップ1:電話やメール、オンライン面談で内容を合意する
まずは厚木にいる代表者が中心となり、電話やメール、オンライン会議ツールなどを活用して「誰がどの財産を引き継ぐか」の意思確認を行います。
ステップ2:遺産分割協議書を郵送で回す
合意した内容をもとに作成した「遺産分割協議書」を、遠方の相続人に郵送します。受け取った相続人は、内容を確認した上で署名し、実印を押印します。
ステップ3:各自の「印鑑登録証明書」を同封してもらう
銀行の手続きや法務局での名義変更には、実印の証明として「印鑑登録証明書」が必ずセットで必要になります。署名・押印した協議書と一緒に返送してもらいましょう。
この郵送の手間を少しでも減らしたい場合は、「遺産分割協議証明書」という書類を人数分作成し、各自が1枚ずつ署名・押印して厚木の代表者に送り返すというテクニックもあります。
これなら書類が郵送で行ったり来たりする時間を大幅に短縮できます。判断が難しい場合は、事前に私たち専門家にご相談ください。
連絡先がわからない時は?「戸籍」と「住民票」を追う方法
「名前はわかるけれど、今どこに住んでいるのか全くわからない相続人がいる」という場合は、法律に則った方法でその方の現住所を調べることができます。
実は、正当な相続手続きのためであれば、他の相続人の「戸籍」や「住民票」を取得することが法的に認められているのです。
相続人であれば、他の相続人の住民票(戸籍の附票)を取得可能
具体的な流れとしては、まず亡くなった方の戸籍謄本を出生から死亡まで遡って集めます。その過程で、知らなかった相続人(前妻の子など)の存在や、疎遠な親族の現在の本籍地が判明します。
本籍地がわかれば、その役所から「戸籍の附票(こせきのふひょう)」を取り寄せることができます。戸籍の附票には、その本籍地に入っている人の「住所の移り変わり」がすべて記録されているため、現在どこの住民票に登録されているか(現住所)を正確に突き止めることができるのです。
一般の方には負担が大きい「戸籍集め」の壁
言葉で言うのは簡単ですが、厚木市役所だけでなく、遠方の役所に対して郵送で何度も戸籍を請求する作業は、一般の方にとって非常に時間と根気がいる作業です。また、「見ず知らずの親族の戸籍を自分で取るのは心理的に抵抗がある」という方も少なくありません。
このような複雑な戸籍集めや住所調査は、相続手続相談士の資格を持つ税理士などの専門家へ丸ごと依頼することをお勧めいたします。
住所が判明した後は、いきなり遺産分割協議書を送りつけるのではなく、「〇〇(亡くなった方)の相続手続きについて、お話ししたいことがあります」と、丁寧なお手紙を出して誠意を持ってアプローチしていくことが、その後のトラブル(争族)を防ぐ重要な一歩となります。
どうしても連絡がつかない・行方不明者がいる場合の法的手段
手紙を出しても返事がない、あるいは住民票の場所に誰も住んでおらず、完全に生死や行方がわからないという特殊なケースも珍しくありません。
だからといって、その人を無視して残りのメンバーだけで遺産分割協議を行っても、その協議は法的に一切無効になってしまいます。銀行口座の凍結も解除できませんし、実家の名義変更もできません。
このような「どうしても連絡がつかない行方不明者」がいる場合は、家庭裁判所に対して以下のような法的な手続きを申し立てる必要があります。
【参考】
不在者財産管理人選任|裁判所
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_05/index.html
■不在者財産管理人(ふざいしゃざいさんかんりにん)の選任
行方不明者の代わりに、その人の財産を守る「管理人(弁護士や司法書士など)」を裁判所に選んでもらう手続きです。この管理人が家庭裁判所の許可を得て、行方不明者の代わりに遺産分割協議に参加します。
■失踪宣告(しっそうせんこく)の申し立て
生死不明の状態が7年以上(震災などの災難の場合は1年)続いている場合に、法律上「亡くなったもの」とみなす手続きです。この場合、その行方不明者にさらに子ども(代襲相続人)がいれば、その子どもが話し合いに参加することになります。
これらの手続きは非常に厳格であり、申し立てから解決までに半年から1年以上かかることもあります。無理をして一人で悩まず、早い段階で専門家のサポートを受けることを推奨いたします。
まとめ:時間がかかる複雑な相続手続きは、厚木相続相談センターへ
遠方に相続人がいたり、連絡が取れない家族がいたりする相続は、通常の相続に比べて手続きの難易度が格段に上がります。「実印をもらうだけで数ヶ月かかってしまった」「相手の感情を逆なでしてしまいトラブルになってしまった」というケースも少なくありません。
特に、2024年4月からは「相続登記(実家の名義変更)の義務化」も始まっており、放置するとペナルティが科されるリスクもあります。いざという時に慌てないためにも、早めの行動が大切です。
【参考】
相続登記の申請義務化特設ページ(法務省)
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00590.html
- 「遠方にいる兄弟とのやり取りをどう進めればいいかわからない」
- 「相手の住所を調べるための戸籍集めで行き詰まってしまった」
- 「相続税がかかるのか不安なので、シミュレーションをしてほしい」
そのような時は、決して一人で抱え込まずに、まずは私たち相続の専門家を頼ってください。
当センターでは、行政書士、司法書士、弁護士、不動産鑑定士といった各専門士業との強いネットワークを活かし、戸籍の収集から遠方との書類のやり取り、口座解約、最後の相続税申告まで、窓口一つでトータルにサポートいたします。
まずはお気軽に、当センターの初回無料相談をご利用ください。あなたとご家族にとって最も負担の少ない、最適な解決策をご提案いたします。
よくある質問
Q:遺産分割協議書は全員が集まらず、郵送で署名・押印しても法的に有効ですか?
A:はい、有効です。全員が同じ場所で署名する必要はなく、郵送(持ち回り)で各人が署名・実印で押印し、印鑑登録証明書を添付すれば法的に認められます。ただし、全員分の書類が揃うまで銀行や法務局での手続きは開始できません。
Q:他の相続人の現住所を戸籍(戸籍の附票)で調べる場合、本人の同意は必要ですか?
A:本人の同意は不要です。正当な相続手続きを目的とする場合、相続人が他の相続人の戸籍の附票を取得することは法律上認められています。ただし、取得した個人情報は相続手続き以外の目的に使用することはできません。
Q:不在者財産管理人の選任には、どれくらいの費用と時間がかかりますか?
A:申立て費用は収入印紙800円等ですが、選任される管理人(弁護士・司法書士など)への報酬が別途発生します。申立てから選任まで数ヶ月かかることが多く、遺産分割協議の許可を得るにはさらに時間を要するため、解決まで1年以上を見込んでおく必要があります。
Q:2024年4月以前に亡くなった方の不動産も相続登記義務化の対象になりますか?
A:はい、対象です。2024年4月1日以前に発生した相続で未登記の不動産も義務化の対象であり、2027年3月31日(令和9年3月31日)までに相続登記の申請が必要です。正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
行政書士、司法書士、弁護士、不動産鑑定士との強いネットワークを活かして、あなたの相続の悩みをサポートいたします。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。
