厚木市で 相続手続 支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。

相続 の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。

 


 

「自分には子供がいないから」「相続人は配偶者だけだから」といった理由で、遺言書を用意しない方がいます。

しかし、結論から言えば、遺言書を作成しておいた方が良いのです。相続ではご自身が予想されるよりも多くのことが起こり得ます。遺言書があれば、あなたの死後に残される家族が不要なトラブルに巻き込まれるリスクを大幅に減らせます。

そのため遺言書を書くことを強く推奨いたします。

 

身内が少なくても遺言書は書いておいた方が良い

遺言書がない場合、相続財産の分割方法は法定相続人たちの話し合いに委ねられます。このとき、法定相続人は被相続人の配偶者に加えて、子供、両親、兄弟姉妹の順で決まります。具体的には、以下のように法定相続人が定義されます。

子供がいる場合:配偶者と子供が相続人
子供がいない場合:配偶者と両親が相続人
子供も両親もいない場合:配偶者と兄弟姉妹が相続人

 
ここで注意が必要なのは、法定相続人は配偶者だけだからと決めつけてかかることです。相続では被相続人すら把握していない、意外なところから法定相続人が現れる可能性があります

たとえば、被相続人に実は片親が異なる兄弟姉妹がいた場合。この場合、その兄弟姉妹も法定相続人になります。(片親が共通の兄弟姉妹の相続分は両親が共通の兄弟姉妹の半分となります。)

いずれにせよ、これまで知らなかった兄弟姉妹や親族が相続の場面で突然現れることも考えられます。こうしたケースでは、当初想定していた相続の計画が大きく崩れる可能性があります。

 

代襲相続にも気をつける必要がある

被相続人が亡くなる前に、法定相続人となるはずだった人がすでに亡くなっている場合、その人の子供や孫などが代わりに相続人になる「代襲相続」という仕組みが適用されます。

たとえば、被相続人の兄弟姉妹が他界している場合、その兄弟姉妹の子供、つまり被相続人の甥や姪が相続権を引き継ぎます。この結果、遺族がこれまで会ったこともない親族から「自分の取り分を主張された」というケースが発生することもあります。

代襲相続が適用される場合、遺産分割協議を通じて財産の配分を決める必要があります。こうした話し合いがうまく進まないと、争いが長引く原因になります。

 

遺言書がもたらす安心

こうしたトラブルは、遺言書を作成しておけば回避できます。遺言書に「すべての財産を配偶者に渡す」と明記しておくだけで、無関係な親族が相続に介入するリスクを下げられるのです。

ただし、遺言書を作成する際に「遺留分」の存在に注意しましょう。遺留分とは、法定相続人が最低限相続できる権利のことで、遺言書の効力でも侵害できません。

遺留分は法定相続分に比べて少額ですが、相続人によって遺留分を持つかどうか異なります。たとえば、配偶者や子供には遺留分がありますが、被相続人の兄弟姉妹や甥姪には遺留分が認められていません。これは、兄弟姉妹や甥姪との親族関係が、直系の家族に比べて近しくはないためです。

この仕組みを利用すれば、関係性の薄い親族から財産を請求されることを効果的に防ぐことができます。たとえ遺留分を持つ相続人がいたとしても、その額は法定相続分よりも少なくなるため、遺言書を作成するメリットは非常に大きいといえます。

 

トラブルを防ぐための遺言書作成を

相続に関連するトラブルは、どの家庭でも起こりうるものです。「うちは大丈夫」と思っていても、予期せぬ事態に直面する可能性はゼロではありません。特に子供がいない夫婦の場合、遺言書がないことで配偶者が不利益を被るリスクが高まります。

そのため、遺言書を作成することは非常に重要です。自分の意思を明確に記し、残された家族に負担や争いを生じさせないよう配慮することも、遺族への配慮とも言えるでしょう。

なお、遺言書を作成する際には、公正証書遺言を利用するのがおすすめです。公証役場で作成された公正証書遺言は、内容の証明力が高く、紛失や改ざんのリスクがないからです。自筆証書遺言書でも、法務局が原本の管理をしてくれる自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、紛失や改ざんのリスクがなくせます。

 

まとめ

遺言書を残すことで、遺族間の不要なトラブルを防ぐことができます。たとえ身内が少ない場合でも、相続に関する予期せぬ問題を避けるためには、遺言書の作成が欠かせません。残された家族の安心と、あなたの意思が反映された相続を実現するために、早めに行動を起こしましょう。

 

 


 

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