厚木市で 相続手続 支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。

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死亡保険金が遺留分に含まれるかどうかは、多くの人が気になる問題でしょう。最初に答えを言いますが、原則として生命保険金は遺留分の対象には含まれません。しかしながら、例外的に含まれるケースが存在します。

そのため、被相続人が契約者および被保険者として保険契約に加入していた場合、その保険金が遺留分に影響を与えるかどうかきちんと理解しておかなければなりません。

今回は、死亡保険金が遺留分に影響する可能性のある具体的なケースについて詳しく解説していきます。

死亡保険金は受取人固有の財産である

まず、前提となる考えですが、死亡保険金は、基本的には「受取人の固有財産」として扱われます。このため、受取人である相続人が相続放棄をしていても、保険金を受け取れます。

これは、死亡保険金が被相続人の財産ではなく、保険契約に基づいて保険会社が指定された受取人に支払うものであるからです。

法律上、相続財産とは「亡くなった人が生前に所有していた財産や権利、義務」に該当します。しかし、死亡保険金は被相続人が所有していた財産とはみなされません。つまり、「死亡保険金は民法上では相続財産ではなく、受取人固有の権利によって取得するもの」とされています

ただし、税法上では死亡保険金は「みなし相続財産」に該当し、相続税の課税対象となります。

 

遺留分の基本的な考え方

遺留分とは、法定相続人が最低限確保することができる遺産の割合を指します。この権利は、被相続人が遺言などで財産を特定の相続人や第三者に多く配分した場合でも、他の法定相続人は最低限の取り分を請求できるように保障する制度です。

遺留分は自動的に確保されるわけではありません。遺留分権利者自身が「遺留分侵害額請求」という手続きをする必要があります。この請求には以下の時効が設定されています。

  • 相続開始および侵害を知った時から1年
  • 相続開始から10年

上記のどちらか早い方が経過すると、請求権は消滅します。遺留分の権利を行使する場合は、できるだけ迅速に手続きを進めることが求められます。

 

死亡保険金は原則として遺留分の対象外だが…

冒頭でもすでに述べたように死亡保険金は、原則として遺留分の対象になりません。

これは保険金が、保険会社から保険金受取人に対して支払われるものであり、被相続人の財産ではなく、保険金受取人固有の財産として扱われるためです。

しかし、特定の条件下では遺留分の対象に含まれる場合があります。この点については、平成16年10月に下された最高裁判決が参考になります。

この判決では以下のように述べられています:
被相続人を保険契約者および被保険者とし、共同相続人の一部を保険金受取人とする保険契約に基づく死亡保険金は、原則として民法903条に規定する遺贈または贈与には該当しない。しかし、保険金額が遺産全体に対して著しく大きい場合や、受取人と他の相続人との間で極端な不公平が生じる場合には、特別受益に準じて扱われる可能性がある。

この判例から言えることは、死亡保険金が遺産全体の中で非常に大きな割合を占めており、相続人の中で著しい不公平が生じると判断される場合には、遺留分の計算対象となる可能性があるのです

例えば、被相続人が長男と二男の2人を相続人として残したケースを考えてみます。この場合、被相続人の相続財産が100万円であり、二男が受取人として指定されている保険金が1億円だったとします。

このようなケースでは、保険金の額が遺産全体と比較して極端に大きいため、不公平が生じる可能性が高いでしょう。そのため、生命保険金が遺留分の計算対象として扱われる可能性が出てきます。

ただし、受取人が生前に被相続人の介護を全面的に担っていたなどの特別な事情がある場合には、不公平が認められず、遺留分の対象とならない可能性もあります。

 

まとめ

死亡保険金は原則として遺留分には含まれませんが、相続財産全体に対して過度に偏った配分が行われた場合には、例外的に遺留分の対象となることがあります。

そのため、保険金が遺留分に含まれるかどうかは、個々の事案に応じた総合的な判断が求められます。

死亡保険金には相続税の非課税枠もあるので、被相続人の立場からすると残される家族のためにも活用したいところですが、分割のバランスを大きく崩すような分配はやめておくべきです。

なお、死亡保険金に「どういった税金がかかるか」「非課税枠は使えるのか」といった判断は、専門的で難しいものです。活用したい場合は、税理士に相談したほうが良いでしょう。

 

 


 

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