相続において「遺産分割の対象」になるものとは
こんにちは。
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
相続においては「遺言書に従う」か「相続人同士の話し合い」で遺産分割を決定します。遺産分割とは、被相続人の財産について、個々の権利者を確定させる手続きです。
ここで注意したいのは遺産のすべてが分割される対象ではないことです。また、相続財産ではないのに分割対象となりうるものもあります。
よって、相続手続きにおける遺産分割では、分割対象となる財産の範囲をあらかじめ把握しておくことが大切です。
本コラムで遺産分割の対象となるものについて解説いたしますので、参考にしてください。
遺産分割の対象となるもの
対象となるものについては以下のものがあります。
- 現金・預貯金
- 不動産
- 株式
- 借地権
- 動産
(1)現金・預貯金
遺産分割対象の財産に加えられるのが通常です。
預貯金については、葬儀等のために払戻しが必要な場合を除いて、遺産分割が確定するまで各相続人は単独で引き出すことができません。
(2)不動産
被相続人の自宅やマンション等の不動産は遺産分割の対象となります。
不動産は分割が困難な遺産ですが、被相続人が保有していた状態のまま相続するか、金銭に換えて分割するかは協議で決定します。
注意したいのは被相続人が所有する不動産で賃貸収入を得ていた場合です。被相続人の死亡後も収入は発生しますが、この場合の賃貸収入については遺産分割の対象とはならないのが通例です。
理由としては、そのような収入は相続手続きの中で共有状態となった不動産の共有者が固有に取得するものであり、そもそも遺産ではないとの考えがあるからです。
(3)株式
取引で得たものや、会社経営で保有していた株式については、遺産分割の対象です。
特例有限会社における出資持分についても同様です。
(4)借地権
借地権とは、建物の所有を目的とする地上権もしくは土地の賃借権です。建物を建てたり、所有を目的として、その土地の地主から土地を借りて、地代を支払うというものです。
借地権も相続財産であり分割対象です。
(5)動産
動産とは言葉の通り、「動かすことのできる財産」です。これに対して不動産とは「動かすことのできない財産」となります。
動産の中で対象となるのは貴金属や美術品等、高価な物です。家財や洋服等も動産に当たりますが全てを対象とすると遺産相続の手続きがスムーズにできないので、高価でないものについては財産的な評価を省くのが通常です。
相続人同士の合意で組み入れ可能なもの
遺産分割対象ではないものの、相続人全員の同意があれば分割対象にできるものがあります。
前述した相続開始後の賃貸収入の他に、
- 貸付金
- 交通事故等の損害賠償請求権
- 消費者金融取引の過払金などの不当利得債権
- 借金
がそれに当たります。
(1)貸付金
分割して実現できる給付を内容とする債権(可分債権)に当たります。各共同相続人が各相続分に応じて権利を有することになるから遺産分割の対象とはなりません。
ただし、実務上は共同相続人全員合意で、遺産分割の対象とすることが許容されています。
(2)交通事故等の損害賠償請求権および消費者金融取引の過払金などの不当利得債権
貸付金同様に可分債権に当たり、相続人全員の合意があれば分割対象となります。
(3)借金
被相続人の借金は、内容を分割して給付することができる債務である可分債務に当たります。
前述した可分債権同様に、相続人全員の合意で遺産分割の対象とすることが許容されています。
まとめ
遺産分割の交渉や調停では、財産をどの範囲で分割対象にするかで揉めることが非常に多いと言えます。そのため、遺産分割対象について、法律的な知識や判断が必要不可欠です。
遺産分割の結果にも大きく影響してくるので、迷ったら相続手続きの専門家に相談することをお勧めいたします。
次回のコラムでは「遺産分割の対象とならないもの」について詳しく解説いたします。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。