遺留分侵害額請求とは
こんにちは。
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
遺留分は、被相続人の兄弟姉妹を除く法定相続人が最低限の遺産を取得できる権利です。
遺言内容に偏りがあった場合や、生前贈与で遺産の取り分が減少した場合に、多く取得した方から遺産を取り返すことができます。
本コラムでは、遺留分が侵害された場合に自身の相続分を要求する手続き=「遺留分侵害額請求」について解説いたします。
遺留分侵害額請求とは
遺留分は自動的に最低限の財産を得られるわけではありません。
権利者が遺留分の返還を受けるには請求が必要で、この請求を「遺留分侵害額請求」と言います。
遺留分侵害額請求には時効があり
- 相続の開始および遺留分を侵害する贈与や遺贈について知った時から1年間
- 相続開始から10年
のいずれかを過ぎると請求ができなくなります。
よって、できるだけ早めに手続きをすることが大切です。
各相続人の遺留分の割合と計算
請求する前に、自身の遺留分と侵害されている金額を把握します。
遺留分は法定相続分同様、相続人の順位によって変わります。
割合は以下の図の通りです。
遺留分の金額は、「(相続手続き開始時の遺産+生前贈与された財産−債務)×割合」で算出します。
遺産総額:6,000万円
生前贈与:4,000万円
債務:1,000万円の場合
のケースだと
子ども全員の遺留分:9,000万円×1/2=4,500万円
子供1人あたりの遺留分:4,500万円×1/2(法定相続分割合)=2,250万円
となります。
もし、分割内容に偏りがあって子供の一人が1,500万円しか受け取れなかったら、不足分の750万円について請求ができます。
遺留分侵害額請求書の手続き
請求には特に決まった形式はありません。
口頭で請求をすることも有効ですが、確実な証拠を残すためにも内容証明郵便での請求が良いでしょう。
請求が行われると、遺留分の時効は一時中断されます。
請求相手が無視したり、対応を遅らせても無効です。
遺留分侵害額請求をした後は相手と交渉して、具体的な遺留分の返還について話し合います。
合意が得られれば請求は決着となりますが、そうでない場合は家庭裁判所で遺留分侵害額の請求調停を行います。
まとめ
何もしなければ遺留分を受けることはできません。
侵害されていることがわかったら、遺留分侵害額請求の手続きを行なって相手と交渉を行う必要があります。
期限があるため、くれぐれも後回しにしないことが大切です。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
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