こんにちは。
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
相続における被相続人数(死亡者数)は年々増加傾向にあり、2015年では1,290,444人でしたが2018年には1,362,470人まで増えています。
相続件数が増えるに従い、相続税が課税される件数も増えていますが、中には相続税がかからないケースも一定数存在します。
では、相続税がかからないケースとはどのようなケースか。
このページでは該当するケースをまとめていますので、参考にしてください。
ケース1:相続財産の総額が基礎控除を下回る
相続税には「基礎控除」と呼ばれる控除枠があります。
もし、相続財産の総額(課税対象額)が基礎控除の範囲内なら、相続税はかかりません。
基礎控除額は以下の数式で算出されます。
基礎控除=3,000万円+(法定相続人の数×600万円)
例えば、家族構成が父と母と子供2人の合計4人で父が亡くなった場合、基礎控除額は3,000万円+(3人×600万円)=4,800万円となります。
もし、財産総額が4,800万円以下なら相続税はかかりません。
ケース2:配偶者控除(配偶者の税額軽減)の活用
相続税の控除制度には前述した基礎控除の他に、各要件を満たすことで活用できる特例制度があります。
「配偶者控除(配偶者の税額軽減)」はその一つで、配偶者が取得する相続財産については一定額を控除する仕組みになっています。
具体的には「1億6,000万円」か「配偶者の法定相続分額」のどちらか大きい金額まで非課税になるので、かなりの税額を抑えることが可能です。(金額を超えた場合は、控除分を差し引いて相続税が課税されます。)
そのため、同制度を利用すれば高い確率で相続税を無税にできるでしょう。
なお、制度利用の要件としては、戸籍上の配偶者であること以外にも細かい事項が設けられています。
詳細は以下のリンク先を一読下さい。
ケース3:小規模宅地等の特例の活用
小規模宅地等の特例とは、被相続人や生計を共にする親族の事業用や居住用として使用している宅地について、評価額を最大80%減額する制度です。
減額できる面積や割合は土地の種類(居住用や事業用など)によって変わります。
こちらも、ケースによっては相続税を0円にすることも十分にあり得ます。
なお、前述した配偶者控除同様、細かい取り決めがあるので注意しましょう。
注意点
三つのケースを紹介しましたが、相続税が0円になるからと言って申告が不要とはなりません。
申告が不要なのは、相続財産が基礎控除を下回る場合のみで、特例制度を活用する場合は、相続税がかからなくても申告を行わなければなりません。
逆に申告をしなければ制度の利用ができないのです。
相続税の申告期限は「相続人が相続開始を知った翌日から10か月後」となっています。
特例制度を活用する場合は、忘れずに手続きをしましょう。
まとめ
相続税がかからない三つのケースを紹介しました。
繰り返しますが、相続税が0円の場合でも申告が必要なケースがあります。
これを知らずに申告を怠ると、特例制度の活用ができない他、場合によっては申告漏れになる可能性もあります。
十分に注意して、申告や納付の準備を進めるようにしましょう。
不安な場合は、信頼できる税理士に相談することをおすすめします。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
行政書士 、司法書士、弁護士、不動産鑑定士との強いネットワークを活かして、あなたの相続の悩みをサポートいたします。
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厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
前回、生前贈与における配偶者特別控除の概要について説明しました。
非課税枠が2,000万円と高額なので非常に魅力的に見えますが、利用方法を誤ると無駄な手間がかかったり、税金面で損をする可能性もあります。
つまり、デメリットも多いので同制度の利用には十分な検討が必要なのです。
生前贈与における配偶者特別控除の概要
「生前贈与における配偶者特別控除」とは贈与した財産について、居住用不動産またはその購入資金であれば2,000万円まで非課税となる制度です。
戸籍上で20年以上の婚姻関係にある夫婦が対象となっています。
制度利用における注意点
(1)税務署への申告が必須
制度利用には税務署に申告書を必ず提出します。
(控除によって、贈与税が無税となっても行います。)
期限は贈与があった年の翌年2月1日から3月15日までです。
(2)贈与回数は1回だけ
同制度を利用して行える贈与は同じ配偶者に対して1回のみです。
つまり、住宅の取得資金を数回に分けて贈与した場合、控除適用されるのは初回のみとなります。
控除額をフルに使うには、一括贈与でなければならないということです。
(3)節税効果は低い
同制度における節税効果ははっきり言って低いです。
なぜなら
- 相続時に配偶者の税額軽減を利用すれば1億6,000万円まで相続税が非課税になる
- 小規模宅地等の特例によって、土地の330㎡まで評価額を80%減額できる
- 相続税の基礎控除額は3,600万円以上ある
という理由があるからです。
要するに、相続税の控除制度にもこれだけのものが揃っているので、わざわざ生前贈与を利用して不動産を渡さなくても良いのです。
生前贈与によって配偶者に不動産を渡してしまうと、小規模宅地等の特例が利用できなくなるので損になってしまう可能性が高いです。
また、受贈者が先に亡くなる可能性もあります。
そうなれば、せっかく贈与した不動産が相続によって再び贈与者のものになってしまい、相続税対策として意味をなさなくなってしまいます。
(4)不動産取得税や登録免許税がかかる
配偶者に不動産を贈与する際には不動産取得税や登録免許税がかかります。
不動産取得税は価格の4%(2021年3月31日までに取得した土地・住宅については3%)、登録免許税は価格の2%が課税されます。
これらの税金は相続時だと不動産取得税は非課税で、登録免許税は価格の0.4%に下がるので、手続費用の面からも損だということがわかります。
まとめ
生前贈与における配偶者特別控除は一見節税に有利に見えますが、実は相続税軽減にはほとんど効果がありません。
家族同士の関係や、財産の運用状況によっては効果的な場合もありますが、非常に稀でしょう。
それでも利用するのであれば、制度の特徴をよく理解した上で行ってください。
不安な場合は、専門の税理士へ相談するのも良いでしょう。
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生前贈与には、配偶者に自宅や住宅の取得資金を贈与した場合、一定の範囲で贈与税が非課税になる特例制度があります。
非課税枠が最高2,000万円と高額ですが、婚姻期間が20年以上である等、利用にはいくつかの要件をクリアしなければなりません。
生前贈与における配偶者特別控除とは
「生前贈与における配偶者特別控除」とは贈与で渡した財産が、居住用の不動産もしくはその購入資金であれば2,000万円まで非課税となる特例制度です。
婚姻期間が20年以上の夫婦に限定されることから、「おしどり贈与」とも呼ばれます。
なお、同制度が適用されて非課税となった財産は「特定贈与財産」と言います。
特定贈与財産は厳密には、相続開始前年以前の贈与で取得した財産で、配偶者特別控除が適用され、その控除額に相当する部分を指します。
制度要件
(1)夫婦の婚姻期間が20年以上
婚姻歴は20年以上必要です。1年未満の月数は切り捨てとなるので19年7ヶ月のような場合はNGです。
日数は入籍日からカウントされ、1日でも足りなければ制度利用はできません。
また、婚姻関係は戸籍上のものであることが条件です。
内縁の妻のような関係は認められません。
(2)贈与財産は居住用の不動産かその取得資金
贈与される財産は配偶者が住む不動産か住宅を購入する資金に限定されます。
住宅ローン返済のための資金は認められていません。
なお、不動産は一戸建てやアパートの部屋など建物でなく、土地だけでもOKです。
ただし、土地のみの贈与で控除適用を受ける場合は、以下のいずれかに該当する必要があります。
- 夫もしくは妻が居住用家屋を所有している
- 贈与を受けた配偶者と同居する親族が居住用家屋を所有している
(3)居住する期間が決まっている
非課税の対象となるのは居住用不動産なので、住んでいない不動産や賃貸用不動産はダメです。
贈与があった翌年の3月15日までに対象物件に入居を済ませ、居住し続けなければなりません。
居住していなかったり、贈与された後に不動産を売却した場合にはもちろん控除の適用外となります。
生前贈与加算の対象外
通常の贈与なら、相続開始日から3年前までの贈与は無効となり、相続税の課税対象になります。(納付済みの贈与税を控除した上で相続税が課税されます。)
ただし、配偶者特別控除を利用した場合、相続開始日から3年以内のものであっても、相続税の課税対象になりません。
これは大きなメリットと言えます。
まとめ
今回説明した生前贈与における配偶者特別控除は婚姻歴が20年以上の夫婦であれば、利用ができます。
自身が亡くなる前に、長年連れ添った配偶者に住宅を渡したいと考えている方にはぴったりの制度です。
ただし、節税対策として利用するには、いくつかの難点もあるので注意が必要です。
同制度の注意点については、次回のコラムで解説するので、そちらも参考にしてください。
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故人(被相続人)が生前の一定期間内に収入を得ていた場合、相続人が確定申告と納付の手続きを代行する必要があります。
この手続きは「準確定申告」と言います。
準確定申告は通常の確定申告と名前は似ていますが、まったく別のものです。
準確定申告が必要なケースや手続き方法について、本コラムで解説いたします。
準確定申告とは
準確定申告とは、被相続人の生前の一定期間内の収入に応じて、税金の申告と納付を行う手続きです。
相続人が代行して行います。
対象となる期間は、被相続人が死亡した(相続が開始された)年の1月1日から死亡日(相続開始日)までです。
被相続人の死亡日が3月15日より以前で、前年の確定申告をしていなかった場合は、前年分も合わせて申告する必要があります。
準確定申告が必要なケース
(1)必要なケース
- 被相続人が個人事業主で事業所得を得ていた
- 給与収入が2,000万円を超えていた
- 年金額が400万円を超えていた
- 副収入(必要経費以外)が20万円を超えていた
- 2つ以上の企業から給与収入を得ていた
- 不動産所得を得ていた
- 株や不動産の売却収入を得ていた
- 保険金をもらっていた(相続税、贈与税対象は除外)
上記項目に当てはまる場合は、必ず準確定申告をします。
(2)した方がお得なケース
下記の場合は準確定申告をすると税金の還付を受けられるのでお得です。
- 年金や配当金から源泉徴収された税金額が本来のものより高額だった
- 高額の医療費負担があり、医療費控除を受ける場合
還付金は自動では返ってきません。
高額のお金が返ってくることもあるので、やっておいた方が良いでしょう。
なお、準確定申告で得た還付金は相続税の課税対象です。
よって、相続税の申告期限にも十分注意して、早めに手続きを行いましょう。
準確定申告の期限
準確定申告の期限は、相続人が相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内です。
還付金が相続税対象となる関係で相続税申告よりも早い期限設定となっています。
期限を過ぎると加算税や延滞税等の罰則が科されるので注意してください。
手続き方法
(1)申告は被相続人住所地管轄の税務署へ
準確定申告は被相続人の住所地を管轄している税務署で行います。
管轄の税務署が遠方にある場合は、郵送で申告を行うと良いでしょう。
なお、通常の確定申告で使える電子システムのe-Tax申告は利用できないので注意しましょう。
(2)申告は相続人全員で署名する
申告の際には確定申告付表に全員で連署します。
各相続人が個別で申告を行うことも可能ですが、その場合は他の相続人に申告内容を通知しなければなりません。
(3)必要書類は通常の確定申告と同じ
必要書類は源泉徴収票や医療費領収書、生命保険等の控除証明書です。
ほかに、申告者のマイナンバーや関係書類など、必要書類は通常の確定申告と同じです。
まとめ
準確定申告の期限は相続税申告よりも早いので、他の手続きに気を取られて期限を過ぎないようにしてください。
相続税同様に期限を破った際にはペナルティがあるので、注意しましょう。
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生前贈与には年間で110万円の非課税枠が設けられている「暦年贈与」の他、特定要件をクリアすることで活用できる特例制度があります。
特例制度は、高額の贈与が無税で可能となるものの、やはり要件のハードルが高く、安易に利用できないのが難点です。
では、高額の贈与はできないのかというと、そうでもありません。
実は贈与者と受贈者の関係や資金用途によっては、金額に関わらず贈与税が一切かからない場合があります。
扶養義務者からの都度必要な贈与は無税
贈与者が受贈者の扶養義務者で、受贈者の生活や教育のために行う贈与には税金がかかりません。
これは、国税庁のHPにも贈与税がかからないケースの一例として記載されています。
扶養義務者とは受贈者の配偶者や両親、祖父母、曽祖父母の他、兄弟姉妹の他、三親等内の親族で生計を一にする人です。
つまり、夫から妻へ生活費を渡したり、祖父母から孫へ入学費や授業料を渡しても贈与税は課税されません。
ただし、ポイントとして贈与は「必要な分を必要なタイミング」で渡すこととされています。
要するに一括贈与ではなく、「都度の贈与」でなければなりません。
非課税となる資金の範囲
資金の範囲は大きく分けて生活費と教育費になります。
どちらも具体的な用途が細かく決められています。
(1)生活費
- 仕送り(賃料や食費などの生活費)
- 結婚費用(式場代や料理代、撮影費用等、結婚式を開くための費用)
- 出産費用(病院での検査代や入院費など、出産にかかる費用)
- 新婚生活の費用(家具購入費や引越代等)
が該当します。
生活費を渡す場合、必要な範囲内の金額でなければなりません。
例えば、生活費を過剰に超える仕送りをしている場合は、超過分に対して贈与税が課税されます。
仕送りが30万円で、15万円を生活費として使い、残った15万円を貯金している場合は、その15万円が課税対象となります。
(2)教育費
- 入学費用
- 授業料
- 教科書等の教材費
- 定期券購入代などの通学費
- 修学旅行などの行事参加費
- 塾の月謝
- 受験費用
などが該当します。
生活費と同じく、必要な範囲内を都度贈与すれば税金はかかりません。
なので、祖父が幼稚園に入園した孫に対して大学までの教育費をまとめて渡すのはNGです。
まとまった資金を一括で渡すには生前贈与の特例制度を利用します。
まとめ
生前贈与には様々な非課税枠がありますが、扶養義務者が都度必要なお金を渡すこと自体、税金がかかりません。
無駄な手間をかけずにお得に贈与を行えるので、是非覚えておきましょう。
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今回も「相続登記の義務化」についてとりあげます。
相続登記自体の説明や義務化に至る背景等について知りたい方は前回のコラムをご参照ください。
義務化に伴う罰則について
相続登記の義務化に伴って、適切に手続きが行われなかった際の罰則が設けられることも予測されます。
現行の法律では罰則はなく、不動産登記で表記をしなかった場合に発生する10万円以下の「過料」があるのみです。
「表記をしなかった」とは具体的には以下のケースです。
- 建物を新築した時にする『建物表題登記』
- 建物を取り壊した際にする『滅失登記』
- 埋め立てなどにより土地が新たに生じた場合にする『土地表題登記』
- 土地の地目が変更した際にする『地目変更登記』
- 土地の地積が変更した際にする『地積更正登記』
また過料とは「行政上、軽い禁令をおかしたものに支払わせる金銭罰」で、相続税申告を怠った際に科せられる加算税等よりも処分は軽いと言えます。
相続登記の義務化については、背景にある課題が大きいので、過料よりも重い「罰金」が科せられる可能性が高いと予想されます。
現時点では詳細が協議されている段階なので、罰則が過料なのか罰金になるのか定かではありませんが、留意しておいた方が良いでしょう。
義務化と並行して検討されている項目
所有者不明の土地や建物を減らすための施策として、相続登記の義務化以外にも以下の項目が議論されています。
- 一定期間以内に相続登記を行った場合は手続きを簡素化し、かかる費用も軽減される
- 要件を満たせば、土地の放棄ができるようになる
- 遺産分割をスムーズにするために遺産分割期限を設定する
このほか、土地の共有制限や財産管理制度の見直しも議論されています。
相続登記のみならず、様々な手続きが簡素化されたり、諸経費がかからないようになれば、持ち主不明の土地も少なくなるでしょう。
相続登記を行わないと様々なデメリットが
相続登記の義務化自体は、改正案の実施後に相続される不動産が対象で、現時点で相続登記されていない不動産への適用はないと考えられます。
だからと言って、そのまま何もしないのも良くありません。
実は相続登記を行わないと下記のようなデメリットを被る可能性があります。
- 相続した不動産を売ることができない
- 相続した土地の活用(賃貸物件や駐車場等)ができない
- 他の相続人に不動産を処分される怖れがある
- 共同相続人に債務を抱えている人がいると債権者が不動産を差し押さえる可能性がある
- 時間が経つと登記の費用が高くなる
- 危険な家屋を放置しておくことによる災害リスク
様々なリスクを考えれば、たとえ義務でなくても、不動産を相続した場合は相続登記をすることを推奨します。
手間がかかる・面倒だと言う場合は専門家に手続きを代行する方法もあります。
特に、何代にもわたって相続登記をせずに、権利関係者が多くなってしまったケース等は内容も複雑になるので任せてしまった方が良いでしょう。
まとめ
相続登記の義務化は、相続において重要な事項です。
法改正の発表から1年近くが経ちましたが、まだ詳細は見えていません。
新しい情報が入り次第、当コラムでもご報告致します。
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昨年の2019年2月に法務省より、民法と不動産登記法の見直しが発表されました。
その中では、相続登記を義務化する話も出ています。
この流れの根底にあるのは、所有者不明の土地や建物の問題です。
過去に起きた東日本大震災でも、所有者不明の土地が多いせいで復興事業の用地買収の妨げになったそうです。
所有者の調査は相当な労力とお金を要しますし、それが複数ともなると目もあてられません。
日本政府としてはこのような状況を放置するわけにもいかないので、相続登記義務化によって課題の解決を図ろうとしているのです。
相続登記とは
そもそも登記とは、個人や法人・不動産・物権・債権など法的に重要な権利や義務を保護すると共に、公にすることで第三者との円滑な取引を実現するシステムです。
登記にも種類がありますが、代表的なのは不動産登記と相続登記です。
前者は、不動産の状況や持ち主を記載する手続きです。
後者は、不動産登記の一種で、所有者が亡くなった際に、登記の名義を亡くなった方=被相続人から相続人へ変更する手続きです。
現在(2020年5月段階)、不動産登記で義務となっているのは物理的公示(土地の番地等の基本情報)のみで、権利関係の登記は任意です。
要するに、譲渡や相続で所有権が移った後に、登記を変更しなくてもペナルティはありません。
そのため、手間を嫌って変更手続きをしないケースが多いのです。
何代も登記名義の変更をしないままだと、当然ながら最終的には所有者が分からなくなってしまいます。
義務化の主な理由
日本国内では、手間を嫌って登記変更を行わないケースが多いせいで、持ち主不明の土地や建物が増え続けています。
土地だけで換算すれば、九州と同じ面積の410万ヘクタールにもなるそうです。
これらの何が問題かと言うと、冒頭でも触れましたが、復興事業の用地買収の妨げになる=再活用や再開発が困難になることです。
土地を活用するには所有者の同意を得なくてはなりません。
しかし、所有者不明の場合は、それを探す費用がかかる上、もし危険な建築物や違法投棄があれば処理費用もかかります。
九州と同じ面積の土地を全て再活用するとなると莫大な資金が必要になってしまいます。
相続登記義務化の流れは、これらの問題を大きくしないための対策と言えます。
相続登記の義務化はいつから
義務化についての詳細な日程は決定していません。
あくまで、『2020年までに必要な制度改正の実現を目指す。』に止まっています。
とは言っても、今年中の実施が予想されるので、相続で取得した不動産の登記変更を終えていなかったり、将来的に相続が行われる場合は、今のうちから準備をするべきです。
相続登記は個人でもできますが、 税率の計算等、専門的な知識を有するので手間がかかります。
確実性とスピードを求めるなら、専門家に依頼しても良いでしょう。
まとめ
相続登記の概要や、相続登記の義務化の背景について説明いたしました。
次回も同問題について取り扱います。
相続登記をしておいた方が良い点や、義務化に伴って予想される罰則等について触れていきますので、是非ご一読ください。
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前回のコラムで「相続開始日」について説明しました。
相続開始日とは「被相続人が亡くなった日」です。
大抵の場合、被相続人の死亡判定は医学的観点から行われますが、状況によっては法的観点から決定されることもあります。
さて、この相続開始日は各手続き期限の起算日にもなりますが、よくよく調べると一部の手続きには「相続人が相続開始を知った日」から起算されるものもあります。
相続開始を知った日とはそのままの意味なので、被相続人の死亡日と必ずしも一致しません。
一体どういうことなのか、本コラムで詳しく解説いたします。
相続開始を知った日とは
相続の開始を知った日の定義は「被相続人が亡くなって相続が開始された事実」と「自分自身が相続人である事実」の両方を認知した日です。
つまり、被相続人が亡くなってもそのことを知らなかったり、知っていても自分が相続人であることを知らなければ成立しません。
例えば、被相続人の兄にあたる方がいたとします。
この方は、法定相続人としては第3順位なので、上の順位にあたる被相続人の子供や親が亡くなるか、相続放棄をしない限り、法定相続人とはなりません。
よって、相続開始日=相続開始を知った日ではないことになります。
また、元々、法定相続人になる予定だったとしても、長期の海外旅行等に出かけていて連絡が取れず、相続開始を知ることができないケースもあります。
そのような場合でも相続開始日と相続開始を知った日は同じではありません。
相続開始を知った日が起算となる手続き
相続開始を知った日を起算とする手続きには、以下があります。
- 相続放棄・限定承認の申立て
- 遺留分侵害額請求
- 準確定申告
- 相続税申告
相続放棄・限定承認の申立てや遺留分侵害額請求は、手続きが期限内におさまっているかは家庭裁判所が判断します。
相続開始日起算からの期限を超えている場合は、相続開始を知った日が遅れた理由について説明する義務があります。
相続税等の税金の申告については、税務署が判断します。
申告書には、相続開始を知った日を記載する欄はないので、相続開始日起算からの期限を超えている場合は、知った日にズレが生じた事実を証明するために、書き方を工夫したり証拠の郵便物やメール等を添付します。
原則、相続開始日起算の期限を守る
相続開始日とそれを知った日は必ずしも同じではありませんが、各手続きの期限は相続開始日起算の日付を守ることが原則です。
現代では連絡手段も発達しており、基本的に両日は同じものであると解釈されるからです。
もちろんそれなりの事由があれば、相続開始を知った日を起算としても問題ありませんが、できる限り相続開始日(被相続人死亡日)を起算とした期限を守るようにしましょう。
まとめ
相続開始日を知った日について説明いたしました。
相続手続きの期限は破ってしまうと、様々なリスクが発生します。
特に税金の申告や納付については、ペナルティとして重い税負担を強いられます。
十分に注意して、手続きを終えるようにしてください。
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相続手続きでは「相続開始日」を起算として期限設定がされているものも多いですが、経験のない人にとっては「相続開始日とは一体いつからなのか」困惑することでしょう。
本コラムではこの相続開始日についての基準を詳しく説明いたします。
基準を正しく理解して諸々の期限を破らないようにしましょう。
相続開始日とは被相続人の死亡日
民法によると「相続は、死亡によって開始する」と決められています。死亡=被相続人が亡くなるということなので、相続開始日は被相続人の亡くなった日となります。
死亡届の提出や準確定申告等、各種の手続きも被相続人が亡くなってからできるようになります。
各手続きには相続開始日を起算とした期限が設けられているものもあるので、親族への連絡や通夜・葬儀の準備で気を取られすぎて手続きを怠らないようにしましょう。
相続開始日の決め方
大抵の場合、被相続人の死亡は老衰で亡くなる自然死や、病気で亡くなる病死となります。これらは、医学的に死亡したとみなされるパターンです。
死亡後に医師から死亡診断書が出され、死亡日=相続開始日が決定します。
しかし、中には地震・台風等の災害に巻き込まれて遺体が見つからない場合や、長期間音信不通の失踪状態にある場合など、医学的に死亡を証明できないパターンもあります。
このような場合は、然るべき手順を踏んだ後、法的に死亡が認められ相続が開始されます。
よって、死亡判定=相続開始判定は以下の3つと言えます。
- 自然死亡
- 認定死亡
- 擬制死亡
(1)自然死亡
遺体があり、医学的に死亡とみなされるパターンです。
医師が死亡確認の後、死亡診断書や死亡検案書を作成し、その中に死亡日時が記載されます。
死亡日時はそのまま相続開始日となります。
(2)認定死亡
地震や台風等の災害に巻き込まれて、長期間行方不明となるケースがあります。
そのような状況で、生存の可能性が低いと判断された場合は、取調官公署が死亡を認定することがあります。
遺体はないものの、死亡を推定した上で、戸籍に死亡日が記載されます。
後に生きていることが分かった場合は、取り消しもできます。
(3)擬制死亡
擬制死亡とは、法的に死亡を認めることです。
例えば、長い間音信不通で生死が分からず長期間失踪している人に対しては、家庭裁判所が「失踪宣告」をして戸籍から除籍する措置があります。
この失踪宣告は要件によって「普通失踪」と「特別失踪」に分かれ、それぞれ死亡日の規程が異なります。
本人が行方不明になってから7年経った後、家庭裁判所に申し立てを行いこれが受理されると死亡が認定されます。行方不明から7年経った日=死亡日であり相続開始日です。
死亡日は行方不明日から起算されるので、例えば、2010年より10年間行方不明だった場合でも、死亡日は2017年となります。
②特別失踪
自然災害や、船舶沈没などの危難に見舞われた後、1年以上生死不明な場合は家庭裁判所の失踪宣言により死亡が認定されます。危難が去った日を起算日とするので、注意しましょう。
もし本人が生きていた場合は家庭裁判所に失踪宣言の取り消し審判を申し立てます。
まとめ
相続開始日とは、被相続人の亡くなった日です。
大抵の場合、死亡日は医学的に決定されますが、イレギュラーがあることも理解しておきましょう。
相続開始が決まれば、各種の手続き期限も決まるので、それらを破らないように手順や日程をしっかり把握しておくことも重要です。
期限を過ぎると罰則を科せられる場合もあるので注意しましょう。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
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こんにちは。
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
前回、相続における「未成年者控除」の概要を解説いたしました。
未成年者控除の特徴としては、
- 20歳未満の未成年者が相続財産を取得する際に相続税が控除される
- 控除額が相続税額を上回る場合、差額を扶養義務者が支払う相続税から減額できる
- 控除額は「(20歳−相続人の年齢)×10万円」の数式で算出
- 年数は1年未満の期間は切り捨てる
があります。
このコラムでは、未成年者控除の控除額の計算方法やその他の注意事項について説明いたします。
控除額の計算方法
控除額を算出する場合は以下の手順で行います。
②控除額が未成年者の相続税額を上回る場合は差額を扶養義務者の相続税額から差し引く
未成年者控除は対象となる相続財産から金額を控除するのではなく、実際に支払う税額を減額します。
例えば、基礎控除や他の控除制度を適用した際の相続税が200万円で未成年控除が100万円であれば、相続税は200−100=100万円となります。
【計算例】相続人が未成年者(5歳)の弟と20歳を超えている兄の2人で、それぞれの相続税額が100万円だった場合を見てみます。
未成年者控除制度を利用すると
(20歳−5歳)×10万円=150万円で
相続税額は控除額を差し引き100万円−150万円=▲50万円となります。
兄が弟の扶養義務者にあたる場合、この50万円を兄の相続税から引くことができるので
扶養義務者の相続税額は
100万円-50万円=50万円となります。
民法改正との関係について
現在の民法では、20歳以上を成人としていますが、その年齢を18歳に引き下げる改正案もあります。
施行自体は2022年4月1日以降となっていますが、未成年者控除の対象年齢も引き下げることについては決まっていない状態です。
2022年4月1日以降に相続開始が予想される場合においては、注意しておいた方が良いでしょう。
未成年者は代理人を立てて相続を行う
民法には未成年者は法律行為ができないルールがあります。
相続手続きにおける遺産分割や相続放棄等は法律行為のため、それらを行うには成年者の代理人を立てる必要があります。
この時の代理人は「法定代理人」と「特別代理人」の2つに分かれます。
法定代理人は未成年者に代わって法律行為を行う者で、未成年者の親等がなるケースが多くあります。
ただし、同じ相続人である場合は「利益相反行為」に該当するので法定代理人になれません。
その場合は家庭裁判所へ手続きを行なって特別代理人を選任します。
特別代理人は相続の結果で利益が生じない第三者であればなることができます。
(相続人との血縁関係である必要はありません。)
叔父や叔母などを特別代理人にするケースもありますが、報酬を支払って相続手続きの専門家に依頼することも可能です。
まとめ
前述した通り、相続人に未成年者だった場合は、遺産分割や相続放棄などを行うための代理人が必要となります
他の相続手続きの手間も考えると、特別代理人を含め全ての手続きについて専門家に代行を依頼することが最もおすすめです。
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