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遺言書は死後に遺族に発見されてこそ効力が出ます。また、相続人が遺言書に沿って諸々の手続きをスムーズにできるように、相続開始後速やかに遺言書が遺族の手に渡るようにしておく必要があります。

実は法務局が実施する「自筆証書遺言保管制度」では、遺言者が亡くなった後に指定の遺族に通知がされるシステムがあります

この通知制度は、公正証書遺言にはありません。よって、自筆証書遺言保管制度の大きなメリットといえる部分なのです。

 

自筆証書遺言の保管制度とは

自筆証書遺言の保管制度は法務局管轄の遺言保管所で遺言書の原本を預かってもらう制度です。2020年7月10日より実施されています。
原本は保管所にて管理されるので、紛失することはありませんし、第三者によって内容を改ざんされる怖れもありません。

また、遺言の預かりの手続き時に保管所担当官が形式の確認をしてくれるため、自筆証書遺言の大きなデメリットだった形式不備の心配もなくすことができます。

「署名や押印がされてない」「日付が書いていない」といったことで、遺言書が無効になることがありません。

 

制度利用のメリットと注意点

保管制度のメリットと注意点は以下の通り。
 

(1)メリット

 

法務局には遺言書の原本が保管されるので、紛失はもちろん第三者による改ざんの心配がなくなります。

また、手続きの過程で遺言書が方式に従って作成されているかどうかを担当者が確認してくれるので、形式不備による無効のリスクも回避できます。

なお、法務局で預かってもらう場合、通常の自筆証書遺言とは違ったルールが出てきますので注意しましょう。具体的には以下の項目があります。

遺言書は死亡後に相続人が自由に閲覧可能で、写しの交付を請求することもできます。もし、相続人の誰かが遺言書情報証明書の交付を請求、原本の閲覧等した場合は、ほかの相続人にも遺言書保管の事実が通知されます。

そして、保管制度を利用すると、裁判所での検認手続きも不要になります。通常の自筆証書遺言だと必要なので、その手続きが減る分、遺族にとっては大きなメリットと言えるでしょう。

 

(2)注意点

 

申請はただではありません。手数料がかかります。(公正証書遺言が概ね2万~5万円程度と考えると、それよりは安いですが。)

保管制度を利用する場合、遺言者本人が申請しなければなりません。
出張サービスなどはしておらず、体の不自由な方でも窓口まで行かなくてはなりません。

管轄の法務局は以下の3つなので、事前に予約をしましょう。

そして、内容については自己責任です。記載内容が特定の相続人の遺留分を侵害しているか、不動産情報がきちんと書かれているかは確認されません。

遺言書が有効かどうか不安な場合は、事前に専門家の確認を受けておいた方が良いでしょう。

 

遺言保管制度の通知システム

保管制度では、「死亡時通知」のシステムが利用可能です。これは、遺言者が死亡した際に推定相続人など遺言者が指定した任意の方へ「遺言書が法務局にあること」を通知してもらえる制度です。

法務局は戸籍の担当部署と連携しているため、遺言者の死亡事実が戸籍に反映されれば通知が送られるようになっています。通知相手は推定相続人の他、受遺者や遺言執行者でも構いません。

従来は1名までの指定でしたが、令和5年10月から3名になりました

 

関係者が遺言書を閲覧すると他の関係者にも通知される

遺言書保管所に保管されている遺言書は、遺言者が亡くなった時に、相続人や受遺者・遺言執行者等が閲覧可能となります。

この時、遺言書の閲覧もしくは遺言書情報証明書の交付を受けると、他の関係者に対して、法務局から遺言書が保管されていることが通知されます。

これによって、他の関係相続人等への連絡が円滑になります。ただし、関係者の誰かが閲覧しない限り、この通知は実施されません。

先に述べた遺言者指定自動通知システムで通知を受け取った方が速やかに遺言書の閲覧をしにいくと、その後の連絡がスムーズです。

 

まとめ

通知制度のおかげで、遺言者の死亡後にすぐに遺言内容が遺族に渡るようになりました。

もし、遺族の方で法務局からの通知を受領した場合には最寄りの遺言保管所において、すぐに確認しましょう。

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配偶者居住権は2018年の相続法改正によって創設され、2020年から施行されている新制度です。

この配偶者居住権は、被相続人所有の建物に住んでいた配偶者について、原則、家賃などの支払いをせずに、その住宅に住み続けられる権利を保障するものです。

以前では、遺産分割の中で住宅が売却され配偶者が住む場所を失うといったケースもありましたが、同制度の新設によりこれらの問題が解消されることでしょう。

 

配偶者居住権とは

配偶者居住権は相続開始時に、被相続人が所有していた自宅やマンションに住んでいた配偶者は、原則、家賃などを払わずに終身まで住み続けられるというものです。

 
配偶者居住権の存続期間は対象者の終身までですが、遺産分割協議で存続期間を一定期間にすることもできます。

対象建物の利用については相続開始前と同じにしなければならないので、建物の一部を賃貸として利用していた場合、その状態を継続する必要があります。

 

居住権には長期と短期がある

同制度は「長期居住権」と「短期居住権」の二つに分かれます。
異なる点としては、住める期間・対象建物の範囲・適用要件があります。

配偶者短期居住権では、居住可能期間が「相続開始から6ヶ月間」もしくは「遺産分割が終了し住宅取得が決まった日」のいずれか遅い方となります。また、対象となる範囲は建物の居住部分のみとなります。

短期居住権は、相続開始後に自動的に権利が認められます
また、居住権が相続分にカウントされない=課税対象とならないこと、難しい制度要件がない点があります。

 

制度要件について

前述したように配偶者短期居住権は、法律上当然に認められる権利であり、相続開始後に対象の建物に自動的に一定期間は住み続けられます。

長期居住権については、自動的なものではなく、遺言に記載されるか、遺産分割協議で全ての相続人が同意しないと認められません

それらを踏まえると、長期居住権の制度要件は以下の通りとなります。

 
短期居住権と違ってハードルが高く設定されていますが、要件を満たすことで無償かつ終身まで住むことが可能になります。

 

配偶者居住権とは建物を使う権利

配偶者居住権は所有権ではなく使用権です。
配偶者が自宅の所有権を相続できなくてもその家に住み続けられることが重要な点です。

配偶者が自宅を相続した場合は、所有権を持っているため居住権を行使する必要はありません。配偶者居住権の適用をお勧めするのは、「住んでいた不動産の所有権を相続しなかった場合」です。

以下はお勧めしたいケースの一例です。

被相続人(夫)の相続財産:2,000万円の住宅、2,000万円の現金の計4,000万円
相続人:妻と子供の2人

相続開始前から夫婦は対象住宅に住んでいたとします。

法定相続分に従うと、4,000万円を半分ずつ分ける形になります。
妻は自宅に住み続けたいので住宅のみ(2,000万円)を相続しますが、現金を相続できない分、今後の生活が苦しくなる可能性があります。

しかし、現金も相続すると、法定相続分に足りないので住宅を分割相続する必要があります。この場合、住宅を売却して分割になる怖れがあります。

このような場合に居住権適用がお勧めです。
住宅に配偶者居住権を設定すれば、2,000万円の住宅を居住権分1,000万円、負担付き所有権1,000万円に分けることが可能です。

そうなれば、妻は現金を半分の1,000万円取得して、住宅に住み続けられるようになります。
(子供は1,000万円の負担付き所有権と現金1,000万円を相続します。)

負担付き所有権は、その家に住む権利はありません。配偶者が建物を使用しているうちは売却もできません。

配偶者居住権は対象者が亡くなると消滅するので、負担付き所有権を相続していた人が、権利を全て持つようになります。
そうなれば、自分で住むことや、売却、取り壊し、建て替えが自由にできます。

 

まとめ

配偶者居住権は、今までの相続ルールの問題点を解決する有効な手段となります。

長期の配偶者居住権の利用は決して強制ではなく、権利を取得するには遺言書によって権利を与える事を明記してもらうか、あるいは遺産分割によって権利を獲得する必要があります。

配偶者居住権の利用をした方が良いのかは人によって異なりますので、迷う場合は専門家に相談してください。

 

 


 

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相続が発生すると、被相続人の遺産は相続人に引き継がれます。

その遺産取得の過程で相続税が発生しますが、この相続税は誰にでもかかるわけではありません。むしろ、年間に起こる相続において実は相続税が生じないケースの方が多いのです。

しかし、相続税の申告と納税が必要かどうかは、税務署はいちいち通知してくれません。期限までに「ご自身で判断して」手続きをする必要があります。

では、その判断はどうやってやれば良いのでしょうか。本コラムでまとめてみました。

 

遺産総額が基礎控除を超えているか

相続税発生の大前提は、遺産総額が基礎控除額を超えているかいないかです。

「基礎控除」とは、ある金額までは相続税が課税されないボーダーラインです。被相続人の遺産総額がこのラインを超えた時に、超過分に適応した税率が課税されるのです。

相続税課税率早見表

上表が相続税の税率表です。
ご覧のとおり、遺産が高いほど税率が高くなる累進課税制度が採用されています。

もし、遺産総額が基礎控除額以下であるならば、相続税は生じず、申告も納付も不要となります

基礎控除の金額は一定ではなく、法定相続人の数によって変動します。計算式で表すと以下になります。
 

■基礎控除の計算式
「3,000万円+法定相続人の数×600万円」

 
法定相続人とは民法で定められた相続人です。
故人の遺族の中で配偶者は必ず法定相続人となり、他の子供や両親については、故人との関係性によって順位付がされています。

死亡や相続放棄などで上の順位の相続人がいない場合は下の順位の人が法定相続人となります。
ただし、代襲相続が起きる場合には順位は変わりません。

被相続人の子供に子供=故人の孫がいて、子供が被相続人より先に死亡していても、孫が代襲相続すれば、次の順位の(被相続人の)両親は法定相続人にならないということです。

第1順位…(被相続人の)子供
第2順位…(被相続人の)両親
第3順位…(被相続人の)兄弟姉妹

 

相続に参加していなければ相続税の申告は不要

相続税の申告義務者は相続に参加して遺産を受け取った方です。

よって、相続放棄などで法定相続人にならなかった方は相続税の申告は不要になります
逆に法定相続人でない人でも、遺言書などで被相続人から遺産を受けとった場合は相続税の申告が必要になります。

受遺者以外にも以下のようなケースで遺産を受け取る場合もあります。

 
このようなケースでも相続税申告が義務となります。
相続税の申告期限は、「相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」なので、忘れずに手続きをしましょう。

なお、相続人や受遺者が複数いる場合、各人が個別で税務署に申告をしても構いませんが、相続人の代表者が一括で申告しても良いです。
ただし、相続税申告をまとめて行う場合は、相続人たちが協力し合わないと、手続きがスムーズに進みません。

 

相続税が0円だから申告も不要とはならない

相続税には特定要件をクリアすれば、税額控除となる特例がいくつかあります。
「配偶者控除」や「小規模宅地等の特例」がそれに該当し、遺産額によっては相続税額を無税にすることも可能です。

ただし、これらの特例の要件として、「相続税の申告書を提出すること」とされています。

つまり、相続税が0円になったからといって、申告が不要になるわけではありません。相続税申告書を提出しなければ、特例も適用できないので注意しましょう。

 

気をつけたいケース

今まで述べた基準で相続税の申告義務があるかどうかの判断がある程度つくことでしょう。
しかし、例外的に間違えやすいケースもあります。
 

(1)死亡退職金や保険金を受け取った

 
相続に参加していなければ相続税の申告は不要と説明しましたが、これには例外があります。

遺産を相続していなくても、死亡退職金や保険金を受け取っていれば相続税の申告をしなければならない可能性があるからです

死亡退職金や保険金は、民法では被相続人の財産ではなく受取人固有の財産とされています。
よって、相続放棄をしていても、受け取れるのです。

しかし、税法上ではその仕組みが相続財産と同じである点から、「みなし相続財産」として相続税課税の対象となっています。

前述したように相続税には基礎控除があり、遺産額の合計が基礎控除の範囲内であれば、税金はかかりません。しかし、みなし相続財産が含まれることで合計額が基礎控除の範囲を超えてしまう可能性があるのです。

なお、死亡退職金や保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。この範囲分には相続税はかかりません。

しかし、相続人以外や相続放棄者が受取人の場合は、この枠を適用できないので注意しましょう。

 

(2)家族名義の預金がある

 
名義が家族のものであっても、被相続人自身が管理しており、名義人が自由にできないお金を名義預金といいますが、この名義預金は、被相続人の遺産として相続税の課税対象になります

よって、名義預金を含めた遺産総額が基礎控除額を超えれば相続税の申告義務が生じます。

 

まとめ

相続税の申告と納税は期限までにご自身で手続きをする必要があります。
税務署は教えてくれません。(相続税を申告するよう促す書類が送られてくる場合はありますが。)

申告及び納付をしないままでいると、期限後に延滞税や加算税といった追徴が行われます。

判断に迷う場合は税理士に相談してください。

 

 


 

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遺言書は故人の意思を相続に反映させる書類であり、内容が偏っていなければ、相続人間の争いを避けることや、相続手続きをスムーズにするという効果も期待できます。

しかし、時には「全く違う遺言書が複数見つかった」ということもあります。このように二つ以上の遺言書が出てきた場合、どの遺言書が優先されるのか、解説いたします。

 

遺言書の種類

まず遺言書は、「普通方式」と「特別方式」の2つに分かれます。普通方式遺言は私たちがイメージする一般的なものです。特別方式は作成できる条件が限定されるため、作成件数は多くありません。
 

(1)普通方式遺言

 
一般的な遺言書であり、遺言者が存命であれば、いつでも作成することができます。形式によって「自筆証書遺言」・「公正証書遺言」・「秘密証書遺言」の3つに細かく分類されます。
 

 

 

 

(2)特別方式遺言

 
普通方式遺言が残せない特殊な状況下にある場合、作成できます。

特殊な状況下とは、病気やけがなどで死亡の危機が迫っている、乗っている船が遭難し、死の危険に瀕している、伝染病などで遠隔地に隔離され、通常の遺言方式を利用するのが難しいなどです。

それぞれの状況下に応じて、作成方法はやや異なりますが、証人の立ち会いが必要です。

 

遺言書の優先順位はあるのか

遺言書にはたくさんの種類がありますが、これらの中では優先順位は決められていません。

では、複数の遺言書が出てきた場合にどうするのかというと、新しい日付の遺言書を優先することになります

もし、公正証書遺言の後に古い日付の自筆証書遺言書が出てきた場合、公正証書遺言の内容が優先となります。
日付が1日違いだったとしても、新しい方が優先となるのです。

ただし、遺言内容が抵触しない項目については、古い日付の遺言の効力が残ります

例えば、最初の遺言で「預貯金を長男に渡す」と記載され、後の遺言では「不動産は次男に渡す」と記載されていた場合、どちらの遺言の効力も残ります。

ただし、これは不動産と預貯金は別の財産であるからです。日付の新しい遺言書で財産全体の配分割合が指定されている場合は事情が異なります。

 

日付のない遺言書は無効になる

遺言書には日付が必要ですから、日付のない遺言書は無効です
なお、年月のみしか書いていない遺言書は無効ですから、作成時には年・月・日を忘れずに書くべきです。

その他、必要項目が抜けていて形式不備となる遺言書は無効です
無効になれば、新しい遺言書と内容が抵触していなくても、その遺言書の内容は実行されません。

自筆証書遺言で言えば、「全文を自筆で書いていない(別の人が書いた、PCで作成した)」、「署名押印が抜けている」などが形式不備の事項です。
これらはかなり多いパターンなので、遺言作成時には十分注意するべきです。

 

遺産分割協議結果と遺言はどちらが優先か

遺言は故人が自分の財産の処分について意思決定した書類であり、相続では強い効力を持ちます。
そのため、遺産分割協議結果よりも優先されます

もし、遺産分割協議がまとまった後に、遺言が発見された場合は、遺言内容に従うことになります。

ただし、遺言でも遺留分(法定相続人が最低限の遺産を取得する権利)を侵害するような内容の場合は、効力を持たない可能性もあります。

そして、仮に法定相続人全員が合意するのであれば、遺言内容と違う遺産分割協議をしても大丈夫です。
ただし、遺言執行者や相続人以外の受遺者がいる場合は、それらの同意も必要です。

 

新しい遺言書を作成する場合の注意事項

遺言書は新しい日付のものが優先されます。そして、内容が被らない部分については、古い遺言書でも有効となります。
そのため、遺言書が多数存在していると、どの部分が有効かで相続人達が混乱しやすくなります。

よって、新しいものを作る際には、「○年○月○日に作成した遺言は撤回する」という内容を記載して、前の遺言書を撤回しておくとわかりやすいでしょう。

 

まとめ

遺言書は種類の中での優先順位はありません。日付の新しいものが優先されます。

ただし、内容が抵触しない項目については、古い日付の遺言であっても効力が残ります。
相続時に遺言が複数発見された場合は、まずは日付をチェックし、その後に内容に被りがないかを確認してください。

 

 


 

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相続で取得した不動産について住む人がない、賃貸物件としての活用も難しいのであれば、手放すことも検討しましょう。

というのも、不動産は所有しているだけで年に数回固定資産税が徴収される他、修繕費やメンテナンス費の負担もあるからです。特に人が住まない家は傷みやすいので、そのまま放置していると、多くのお金がかかるでしょう。

不動産を処理するには売却が最もベターな方法ですが、寄付という方法もあります。
実は相続不動産を国へ寄付できる制度も2023年から始まっています。

この制度を利用すれば、国に土地を引き取ってもらえる可能性がありますが、要件が厳しいこと、負担金があるなど、デメリットもあるので注意が必要です。

 

相続土地国庫帰属制度

(1)概要

 
相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈によって取得した土地を国庫に返還する制度です。

土地であれば何でも良いというわけではなく、寄付できる土地には条件が決められています
また、その土地管理に要する10年分の費用を寄付する方が負担しなければなりません

審査もゆるくはないことと、それなりの負担金があることから、安易に利用できる制度ではありません。

相続土地国庫帰属制度の施行日は2023年の4月27日であり、既にスタートしている状態です。
同制度の創設により、民法に所有権放棄に関する新たな規定は設けないこととなりました。

 

(2)申請資格者の要件

 
申請者は相続もしくは遺贈によって、その土地を引き継いだ方です。
生前贈与で土地をもらった方は対象ではありませんし、購入した方も同様です。

また、土地を複数人で共同所有しているのであれば、他の共有者の合意がなければ申請できません。

 

(3)土地要件

 
国に寄付できる土地は通常管理・処分するにあたり高い費用や労力がかからないものに限られます。

つまり、草木が生い茂っている荒れ地、産業廃棄物や建材が散乱しているような土地だと、国は引き取りません。
更地にして再利用するために、手間とお金がかかるからです。

具体的に制度の対象にならない土地は以下の項目に該当するものです。

 
以下のものはケースごとに判断されます

 
後に述べた項目に該当しても、一つ一つ整理していけば、審査に合格できる可能性はあります。

 

(4)費用

 
同制度には申請手数料と負担金が必ずかかります。
申請手数料は、登記上の土地の個数を表す単位である1筆当たりに1万4000円がかかります。

審査手数料は、申請書に収入印紙を貼って納付します。
このお金は申請を取り下げた時や審査が不合格になった際にも返ってきません。

また、承認された後に、土地の管理費として10年分の負担金を納付しなければなりません。
負担金は、基本的に1筆20万円がベースです。森林や田畑の場合は面積に応じ算定されることになります。

 

相続土地国庫帰属制度は安易に利用できない

相続土地国庫帰属制度で国に返還できる土地は、通常管理や処分に際し、高い費用や労力を必要としないものに限られます。
面倒な土地を国は引き取ってくれません

また土地は更地であることが重要です。
崖地や適切な造林などが実施されていない森林など、活用ができないと判断されれば審査落ちとなります。

審査には半年から1年ほどの期間がかかります。

そして、10年分の管理費に相当する額を支払う必要があります。
100m2の住宅地の場合は審査料と合わせて40万円程度かかるので、負担はかなりのものになります

 

遺贈寄付

国への返還制度を利用しない場合、国以外の団体に「相続人が寄付をする」か「遺言者が遺言によって寄付を指定する」という遺贈寄付もあります。
寄付を受け付けているのは、学校や公益法人・非営利団体等があります。

しかし、遺贈寄付もハードルが高いといえます

そもそも、土地の寄付を受け付けている非営利団体はとても少ないのが現状です。
不動産は現金の寄付と比較すると、「団体活動への利用が簡単ではないこと」「換金の手間がかかること(売れないリスクもある)」などが主な理由です。

このような点から、相続不動産の寄付も難しいと言えます。
売却できなかった土地の処理として、寄付を選択するのも良いですが、簡単ではないことは覚えておきましょう。

 

まとめ

相続で取得した土地の寄付は簡単ではありません。「不要な土地は寄付すれば良い」と考えるのは危険です。
いずれにせよ土地は持っているだけで税金が発生しますので、早期に処理できるように対策をしておくべきです。

 

 


 

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相続財産の中でも不動産は、分け方が難しいものです。現金のように1円単位で細かく分割できないため、トラブルの元にもなりやすいのです。

不動産の分割では、「代償分割」「換価分割」「現物分割」「共有分割」の四つの方法がありますが、それぞれの方法にはメリット・デメリットが存在します。

相続不動産の種類

相続不動産は被相続人が住んでいた住宅だけでなく、他にも様々なものがあります。

 
また上記以外にも「不動産にかかわる権利」もあります。地主から土地を借りて建物を建築する借地権、地上権、定期借地権などが該当します。

各不動産については分割方法をどうするか、所有者を誰にするのか決めなければなりません。

 

相続不動産の分割方法

相続不動産の分割方法には下記の4つがあります。

 
不動産は1つしかない財産なので、お金のように細かく分けることはできません。そのため、完全に公平に分けるのは難しいと言えます。

 

現物分割の特徴

現物分割はそのままの状態で不動産を相続する方法です。
遺産に住宅と現金がある場合、配偶者が自宅を、長男が現金を相続するパターンです。

この分割は、明確かつ簡単な方法ですが、不動産は他の財産と比べて高価なため、バランスが釣り合わず、不公平が生じやすいのがデメリットです。不動産価値と同額の預貯金があれば良いですが、そのようなケースは珍しいでしょう。

もっとも、「不動産は管理も売却も大変なため、現金のみで良い」という相続人もいるので、合意が得られるのであれば、この現物分割はオススメな方法です。

また、現物分割は対象の不動産を処理しなくて良い=そのままの状態で残せることもメリットです。

 

代償分割の特徴

特定の相続人に法定相続分を超える遺産を相続させ、超過分の代替として他の相続人に金銭等を渡す方法です。不動産は母親が引き継ぎ、子供には代償の現金を母親が払うパターンです。

代償として金銭を渡すので、細かい調整が可能です。最終的に相続人全員が不動産と同額に近い財産を得ることもできるので、公平性があります。

ただし、不動産を取得する相続人は金銭を支払うための資力が必要です。支払いが遅れると他の相続人から支払いを求める訴訟を起こされるリスクもあります。

代償金の支払能力がないのであれば、この方法はお勧めできません。

 

換価分割の特徴

換価分割は不動産を処分し、その売却金を相続人間で分け合う方法です。

手順としては相続人の話し合いにより不動産の名義変更を行う代表者を決定します。代表者は不動産の相続登記と売却を行なった後、お金を分割します。

換価分割は売却後の現金を分けるので、公平性があります。また、代表者が不動産名義変更と売却をするので、手続きもしやすいのです。

ただし、売却により譲渡所得税の納付および種々の手数料が生じます。また、不動産が思った通りの金額で売れるとは限りませんし、売れるまでに時間がかかり、お金の分割が大幅に遅れることもあります。

 

共有分割の特徴

共有分割は相続人が各人の持分を決めた上で不動産を共有取得する方法です。
共有取得のため、分割に不公平性はありませんが、デメリットが多くあまりオススメできません。

まず、不動産の売却に共有者全員の合意を得る必要があるので、手間がかかります。そして、建物の管理や実際に住む人を誰にするかなどについても、共有者間で話し合いをしなければなりません。

また、共有名義者の内の一人が亡くなると、その子供に不動産の権利が分割相続され、権利関係者が増えていきます。そうなると、複数の利害関係人が出てきてしまい、不動産の管理や処分について意見の収拾が更に困難となります。

最終的には共有状態解消に多大な手間や諸々の費用が発生する怖れがあるので、共有状態は最初から避けた方が良いのです。

 

状況に応じて最適な選択を

どの分割方法を選択するかは状況に応じて考えなければいけません。

まずは相続人全員で不動産を売っても良いかどうか決めましょう。仮に誰か一人でも売却を拒んだら手続きは進めなくなってしまうので、全員の意思を確認します。

売却が不可能であれば、金銭での精算方法で進めていくことになります。

相続不動産の相続はどの方法が一番適しているか、ケースごとにきちんと検討して進めていきましょう。

 

相続税の申告と相続登記も忘れずに

相続財産を取得した場合、財産の総額に応じて相続税が生じます。

不動産の評価を行った後、相続財産総額が基礎控除額を超える場合は、相続税の申告と納付をしましょう。期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。期限を破った場合、無申告加算税や延滞税などのペナルティを課せられてしまいますので注意してください。

相続税の控除に関する特例制度を適用する場合も、この期限内に申請しなくてはなりません。
(不動産には相続税控除の制度があるので、活用するケースが多いと言えます。)

また、不動産の名義変更(相続登記)も忘れずに手続きしましょう。

2024年には相続登記義務化を含む新法が施行されるため、可能な限り早く行っておきましょう。

 

まとめ

相続不動産の分割方法について解説しました。不動産は分割が難しい財産であると同時に「相続税の評価方法が違う」「名義変更(相続登記)をしなければならない」など、手続きも面倒です。

よって、財産の中に不動産が含まれる場合は、諸々の手続きを専門家に代行してもらうことも検討しましょう。

専門家に任せることで、手続きもスムーズに進むでしょう。

 

 


 

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厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。

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相続税の計算では、各財産の評価・各種の控除制度など、注意する点が多くあります。そのため、正しい税額を算出するのは非常に難しく、本来の金額とは違う額で申告してしまう可能性もあります。

もし、少ない金額で申告してしまうと、「過少申告」として後々に追徴されてしまうので注意が必要です。
では、逆に高い金額で申告し、相続税を納め過ぎた場合はどうなるのか。

税金を多く申告・支払うこと自体に問題はありません。期限が迫っている中で、過少申告を避けるためにあえて多めに申告するといったケースもあります。

ただし、多めに払った相続税は自動的に返ってはこないのです。相続税の還付を受けるには、「更正の請求」をする必要があります。

 

相続税還付とは

過払いとなった相続税を、税務署から返金してもらうことを相続税還付と言います。

しかし、還付は自動的にされるわけではなく、申告者側が過払い部分を精査して請求する必要があります。
この一連の手続きを「相続税の更正の請求」と言います。

税務署が請求内容を認めれば、納め過ぎた相続税が戻ってくるのです。
この時、納めすぎた分は現金で戻ってきます。(物納で土地を納めた場合も、還付が認められれば現金で戻ってきます。)

 

相続税の払い過ぎが発生する理由

多く相続税を払いすぎてしまう理由には、様々理由があります。
単純な計算の誤り以外には、下記の理由があります。
 

(1)遺産に土地が含まれている

 
過払いが起きるケースで最も多いのは、相続財産に土地がある場合です。
土地評価の方法は大まかな評価額であれば簡単ですが、減額される要素がたくさんあります。

つまり、細かく見ていけば評価額が変わるのです。
査定を行う人間によって評価額が変わってしまう程ですから、相続税を納め過ぎてしまう可能性が高いのです。

 

(2)税務署から通達されない

 
相続税を払いすぎても税務署から通達されません。
税務署は税金が足りない場合のみ、税務調査などで指摘します。

そのため、過払い部分は申告者側が申告内容の修正をして、手続きをしないと返ってこないのです。

 

(3)相続税や不動産評価に不慣れな税理士が見落としてしまう

 
会計・経理が得意な税理士もいれば、相続税等の資産税を得意とする税理士もいます。

それぞれの業務は異なるので、税金関係はなんでも得意というわけではありません。

 

還付手続きの方法

相続税還付の手続きの流れは以下の通りになります。

正しい内容で相続税の再計算を行い、超過分を算出



更正の請求書など、必要書類を提出する



税務署側で審査が実施される



更正通知書が届く



指定口座に還付金が振り込まれる

 

更正の請求手続きに必要な書類は以下のとおりです。

 
土地の評価額を再計算したことで税額が変わる場合は、その証明書類として土地の評価資料を添付します。

更正の請求書を提出してから指定口座に還付金が振り込まれるまでの期間は、更正内容によって前後しますが、大体6ヶ月くらいかかります。
土地の鑑定や、必要書類の準備なども含めると1年近くかかるケースもあります。

 

還付手続きの期限

相続税申告の期限は、相続開始を知った翌日から10ヶ月以内となっていますが、還付(更正の請求)の手続きにも期限があります。
それは、「相続税の申告期限から5年」です。

相続開始から数えると5年10ヶ月以内となります。期限を過ぎると還付請求はもちろんできません。
前述したように手続きには土地の鑑定や、必要書類の準備にも時間がかかるので、注意しましょう。

なお、還付請求に、他の相続人の同意を得る必要はなく、個々人が単独で行うことができます。他の相続人に知らせる必要もありません。

また、各相続人の取得財産に応じてお金が戻されますので、分割協議をし直す必要もありません。還付金は所得に該当しないので、所得税の確定申告や修正申告も不要です。

過払いに気づいたら、早急に準備を進めるか、税理士に相談しましょう。

 

まとめ

様々な理由で相続税を払いすぎる場合があります。

ご自身で納付した相続税に疑問がある場合は、相続専門の税理士に相談してみましょう。払いすぎた相続税を返金してもらうには、過去に納めた相続税を見直しの他、財産の再評価をする必要があります。

特に土地の評価は複雑なため、相続税の知識と経験が豊富な税理士への相談がおすすめです。

 

 


 

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相続では被相続人の夫もしくは妻である配偶者が、最も優遇されます

他の親族は被相続人との関係性から法定相続人になれる順番が決まっていますが、配偶者は必ず相続人となります。
また、配偶者には相続税を大幅に軽減する制度もあるため、ほぼ無税で相続財産を取得することができます

 

配偶者は必ず法定相続人となる

相続では被相続人と法的に婚姻関係にある配偶者は無条件で法定相続人になります。

他の親族は下記の順位に従って、法定相続人となります。

第1順位:直系卑属(子供や孫、ひ孫)
第2順位:直系尊属(両親や祖父母)
第3順位:兄弟姉妹

 
配偶者は自動的に法定相続人となりますが、配偶者でも相続欠格事由に該当した場合は、相続人になれません
相続欠格事由とは詐欺や脅迫によって遺言変更を妨げる場合や、被相続人や他の相続人を死亡させる等です。

また、相続放棄をしていた場合も相続人にはなれません

 

配偶者は法定相続分が多い

配偶者の法定相続分は「法定相続人が配偶者のみの場合は全額」、「法定相続人が配偶者と子供なら1/2」、「配偶者と直系尊属なら2/3」、「配偶者と兄弟姉妹の場合3/4」になります。

相続割合が100%から最低でも半分のため、他の相続人と同等かそれ以上となっています
(最低限の財産取得を保障される権利として遺留分がありますが、配偶者遺留分も他の相続人よりも同等かそれ以上に設定されています。)

なお、相続割合は、相続人全員が合意すれば自由に変更可能ですし、遺言者が割合を指定することもできます。

 

配偶者控除が使える

相続税には要件を満たせば相続税額が軽減される制度がいくつかあります。
配偶者控除制度」はその一つです。

これは配偶者が取得する遺産が「1億6,000万円」か「配偶者の法定相続分額」まで非課税となるものです。
控除額は高い方を適用します。

仮に法定相続人が被相続人の配偶者と息子なら、配偶者の法定相続分は総遺産の半分なので、遺産総額が3億円であれば、配偶者法定相続分は1億5,000万円となり、控除額は1億6,000万円の方が適用されます。遺産が5億円の場合、配偶者法定相続分は2億5,000万円のため、控除額は2億5,000万円が適用されます。

ケースにもよりますが、この制度によって配偶者が支払う相続税はほぼ0円になります
 
配偶者控除を適用する場合、以下の要件全てを満たします。

 
もし相続税が0円でも、申告は必須条件です。
申告期限は申告者が相続開始を知った翌日から10ヶ月以内です。

 

小規模宅地等の特例が適用できる

小規模宅地等の特例は被相続人の自宅に使われていた土地、事業利用されていた土地、貸していた土地に対して、一定の要件を満たす場合、土地評価額が最大80%減額される制度です。

不動産としては土地のみが対象で、建物は対象外です。

制度適用には細かな条件がありますが、被相続人の自宅に使われていた土地を配偶者が引き継ぐ場合は、無条件で適用されます。

その土地の住宅に同居していたケースだけでなく、別居していたケースでも適用されます。
また、相続後にそのまま住み続けている場合でも、相続後にすぐ売った場合でも適用されます。

 

配偶者居住権で自宅に住み続けられる

配偶者は配偶者居住権が認められています。
建物の権利を「所有権」と「居住権」に分け、配偶者は建物の所有権がなくても、居住権を取得することで相続後でも被相続人の自宅に住み続けられます。所有者に家賃を払う必要もありません。

ただし、配偶者居住権取得には、以下の条件に該当しなければなりません。

 

まとめ

配偶者は被相続人に最も近しい存在として、相続税軽減の他、優遇措置が多く設けられています。

これらの優遇措置を適用するには、配偶者であること以外にも適用条件があるので注意が必要です。
制度利用を考えている場合は、よく調べた上で適用条件をクリアできるようにしておきましょう。

不安な場合は相続専門の税理士に相談してください。

 

 


 

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相続では現金や不動産等の他にも、「権利」も課税対象となります
権利には著作権やゴルフの会員権の他に、電話加入権もあります。

現在ではスマホの普及で固定電話も少なくなりましたが、稀に相続財産の中にも電話加入権が含まれる場合があります。
電話加入権も相続財産なので、その際は相続税評価をしなくてはなりません

電話加入権の相続税評価については、個別評価は必須ではなく他の家庭用財産とまとめて申告することも可能です。
(以前では電話加入料は高額だったが、インターネット回線等の電話サービスの普及で加入料が下がったためです。)

 

電話加入権について

電話加入権は、NTT(NTT東日本or NTT西日本)のアナログ回線と契約する権利です。
契約して回線を引き込めば、他の利用者と電話で通話可能となります。

戦後復興時より普及が進み、日本全国に利用者がいます。

電話加入権は、施設設置負担金と同じ意味で用いられます。施設設置負担金とは、加入者回線の建設費用の一部を前払い的に負担する仕組みです。
実際には電話回線利用の負担金ですが、利用者間での売買取引ができるので、「権利」ともされています。

普及当初の加入料は7万円を超えるなど金額が高額でしたが、現在では固定電話利用者が減った関係で、36,000円程度に値下げされています。

 

電話加入権も相続財産に該当する

電話加入権は契約者が亡くなった後、解約するか引き継ぐかを選択します
引き継ぐ場合は相続財産として、相続税の課税対象になります。

相続税評価の方法は、国税庁によって以下のように決められています。

 
ほとんどの電話加入権は、上記2番目のケースです。
現在の標準価格は1500円(全国一律価格)です。

★参考:国税庁HP

 
特殊番号とは、100番といった覚えやすい番号や「42番」「4989番」のように良くない印象のものであり、通常とは違う用途で使用されます。

 

相続開始後の手続き

電話加入権も相続財産になるので、被相続人が権利を所有しているかはっきりとさせておきましょう。
NTTに問い合わせるか、請求書を確認すれば分かります。

所有が分かったら、その電話加入権を引き継ぐか、解約するかを選びます。
 

(1)承継の場合

 
電話加入権を相続する場合、電話加入権を取得する法定相続人が手続きを行います。

★参考:NTT東日本 名義変更のお手続きについて

 
承継手続き申込は、申請書の他、相続人本人の確認書類、被相続人の死亡診断書、戸籍謄本などが必要です。
(故人との関係性によって、必要資料は異なります。)

承継手続きでは、手数料は必要ありません。

 

(2)解約の場合

 
電話回線が不要なら解約しましょう。
解約手続きも本人確認書類や死亡診断書が必要です。

解約後は、回線使用料や工事費用は払わなくてよくなります。

 

(3)一時利用停止の場合

 
電話加入権の権利を保有していたい場合は、利用停止の選択もあります。

この方法であれば、電話加入権の権利が最大10年間は存続されます。
5年毎に更新しなければならない点に注意しましょう。

停止期間中の回線使用料はかかりませんが、再開時に電話番号が変わり、「電話を止めるとき」と「再開するとき」に工事費用が生じます。

 

申告書への記載方法

電話加入権を相続するのであれば、少額であっても申告します。
相続申告においては、ほかの家庭用財産(一個あたり5万円を下回る少額品)と一緒に、まとめて申告することも可能です

具体的には、申告書第11表の種類欄、細目欄に「家庭用財産」、利用区分、銘柄等欄に「家具等一式」と記入すれば良いでしょう。
前述したように評価額が1500円のため、単体では相続税にそれほど大きな影響を与えません。

 

まとめ

電話加入権は、相続財産の中でも少額であり、手続き自体も決して難しいものではありません。
しかし、忘れないようにしっかりと対応しましょう。

契約関係の手続きで不明な点がある場合は、NTTに問い合わせると良いでしょう。

 

 


 

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2023年度の税制改正の中で相続税に影響するものとして、前回は「生前贈与加算の延長」について解説しました。

★参考記事:変わる相続税制度1 生前贈与の相続税加算期間が3年から7年に

 
もう一つの大きな変更として、「相続時精算課税制度の見直し」があります。
こちらも前回同様、生前贈与に関するものです。

 

相続時精算課税制度について

(1)従来の制度概要

 
相続時精算課税制度とは生前贈与の課税方式の1種です。
ざっくり言うと、「生前贈与で得た贈与額合計が2,500万円を超えない場合、非課税となる」制度です。

通常の生前贈与(=暦年課税方式)の場合、年間110万円が贈与額から控除されますが、相続時精算課税制度では一人の贈与者からの贈与合計額に非課税枠が設けられています。

つまり、贈与額の総額が2,500万円以内なら非課税です。贈与は一括で行なっても、年をまたいでの分割贈与でも問題ありません。財産の内容(金銭の他、不動産や株式等でも可)にも縛りはありません。

限度額に到達するまで何回でも無税で贈与できる反面、2,500万円を超えた場合、一律20%の贈与税が課税されます。

そして、贈与者と受贈者には下記要件があります。

 
同制度は、早期に高額の資産を子供や孫の世代に移転させるための制度です。
よって、基本的には相続が起こる関係で利用できます。

暦年課税方式と比べると、一括贈与でも高額の控除が付いてくるので、短期間で大型の贈与をしたい方に有効な方法といえます。

 

(2)贈与分は相続時に課税対象に

 
2,500万円の非課税枠があると言っても、相続時精算課税制度を利用して贈与した財産は、相続時に相続財産に加算され、相続税の課税対象となります

相続財産に加算された後の遺産総額が相続税の基礎控除額を超えるのであれば、相続税の申告と納付をしなければなりません。

この仕組みから、相続時精算課税制度とは非課税枠があると言っても、完全な非課税とはならず、税金の支払いを相続時に先送りにしているだけとも言えます。

 

相続時精算課税制度のデメリット

(1)暦年贈与への変更が不可

 
贈与時の課税方式に相続時精算課税制度を選択すれば、二度と暦年贈与に変更できません

暦年課税方式であれば、1年ごとに110万円まで無税となります。
また、4年間だと合計で440万円まで贈与税を控除できます。

 

(2)贈与した年は必ず申告を行う

 
暦年贈与は年間贈与額が110万円を超えなければ、贈与税申告が不要です。

しかし、相続時精算課税制度だと贈与額に関係なく贈与があった年は必ず申告をします。(厳密に言うと、1円でも申告が必要です。)

 

(3)小規模宅地等の特例が活用不可

 
小規模宅地等の特例とは、一定要件を満たすことで、相続した土地の相続税評価額を最大80%まで減額できる制度です。
結論から言えば、相続時精算課税制度で贈与された土地に対して、小規模宅地等の特例を適用することができません

小規模宅地等の特例適用には、土地を相続もしくは遺贈によって取得する必要があるからです。
贈与によって取得すると、特例の対象外となります。

 

改正後の相続時精算課税制度

今回の税制改正後は、相続時精算課税制度を選択しても暦年課税方式と同様に毎年110万円を控除することができます

更に言うと、この控除分である110万円は相続開始時に相続財産に加算されません
また、年間の贈与額が110万円を超えないならば、申告も不要です

今まで相続時精算課税制度は相続時にすべての贈与を相続財産に加算され、かつ少額の贈与であっても毎年申告をする必要がありました。

これらの勝手の悪さが精算課税贈与の利用件数を少なくした要因となっていましたが、この度に解消されて、使いやすくなったと言えます。(相続時精算課税制度に暦年課税方式の要素が組み合わさったと言えます。)

制度の変更は2024年1月1日以降の贈与からとなります。

 

それでも、相続時精算課税制度は使いにくい

今回の改正によって、相続時精算課税制度は活用しやすくなったと言えます。
しかしながら、暦年課税制度のような控除枠が設けられることになったとはいえ、一度相続時精算課税制度を選ぶと、変更ができない」点は変わらないのです。

つまり、相続時精算課税制度を利用して移転した財産は、年間の控除分を除いて相続時に相続税課税対象となります。

そもそも、相続時精算課税制度は早期に財産移転をしたい方のための制度です。また、贈与と遺産との合算が基礎控除額を下回る(=相続税がかからない)ことが想定されるのであれば、活用しても良いでしょう。相続手続きに比べ、贈与の手続きの方が簡単だからです。

節税を考えるのであれば、最初から相続時精算課税制度は選択せずに、通常の生前贈与を続けたほうが良いでしょう。

 

まとめ

今回の税制改正では生前贈与に関する変更点がありました。

生前贈与を検討している場合は、相続時精算課税の変更点や加算延長期間の変更をしっかりと押さえておきましょう。

 

 


 

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