厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。

相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。

 


 

2023年の税制改正大綱では相続や贈与を中心に様々な制度の見直しが行われました。
特に来年実施となる生前贈与加算の変更は相続税額に大きな影響を与えると予想されます

本コラムでは、生前贈与財産の加算期間延長について詳しく解説していきます。

 

生前贈与加算について

(1)概要

 
生前贈与加算は、死亡前の一定期間内に故人から贈与を受けていた場合、相続税課税価格に贈与額を加算する仕組みです。
要は相続直前の贈与は生前贈与と認めないということです。

現時点だと、加算の該当期間は被相続人の死亡日(=相続開始日)の3年前までとなっています。

該当期間の贈与分は全て相続財産に加えた上で、相続税計算をするため、相続税対策で行なった生前贈与の効果はなくなってしまいます。
ただし、生前贈与の際に贈与税額を支払っているのであれば、その分は相続税から差し引くことが可能です。

 

(2)対象者

 
加算対象者は相続もしくは遺贈により財産を取得する方です。
そのため、故人の遺産を取得しない方は生前贈与加算の対象者となりません。

ただし、以下の方は生前贈与加算の対象者となるので注意しましょう。

みなし相続財産を取得する方

死亡保険金や死亡退職金等は民法上で相続財産ではないものの、税法上では相続財産と同様のものとみなされ、相続税が課税されます。よって、これらの財産を取得した人は生前贈与加算の対象者です。

相続時精算課税制度の適用を受けた方

生前贈与で相続時精算課税制度の適用を受けている場合、制度上、贈与された財産は相続開始後に相続財産として加算されます。

 

改正内容後の詳細

2023年度税制改正の中で、生前贈与加算の期間は3年から7年に変更されました
期間が長くなるので、相続税計算上の相続財産は今まで以上に増えやすくなるため、多くのケースで相続税の増税が予想されます

しかし、延長4年分については、「合計100万円まで相続財産に加算しない」という緩和措置も設定されています

これは、相続開始3年以内に贈与で得た財産以外=相続開始前4~7年の間に得た財産のうち、100万円分を控除するというものです。(4年間の合計が100万円であり、年間100万円の400万円ではありません。)

なお、今回の改正で対象者は「相続もしくは遺贈により財産を取得した者」とされていますから、改正前後で生前贈与加算の対象者が変わることはありません。

 

適用開始日

加算期間の延長については、2024年1月1日以降の贈与から、適用となります。

これは、2024年1月1日以降の相続から、7年前の贈与が加算されるという意味ではなく、下記のように相続開始年に合わせて、段階的に加算年数が延びていきます。

2026年開始の相続→最長3年間加算(加算対象となる贈与年は2023年以降)

2027年開始の相続→最長4年間加算(加算対象となる贈与年は2024年以降)

2028年開始の相続→最長5年間加算(加算対象となる贈与年は2024年以降)

2029年開始の相続→最長6年間加算(加算対象となる贈与年は2024年以降)

2030年開始の相続→最長7年間加算(加算対象となる贈与年は2024年以降)

2031年開始の相続→7年間加算(加算対象となる贈与年は2024年以降)

 

相続税対策

延長が適用となるのは、2024年1月以降からです。
つまり、今年いっぱいまでに行われる贈与は今までどおり、3年間分しか加算されません。

よって、生前贈与を早期にすれば、相続時の財産加算を減らせる可能性は高くなります。
ただし、贈与税は相続税と比較すると税率が高いので、高額の贈与を行うと損になるリスクもあります。

生前贈与は相続税とまとめて考えなくては節税となりません。どのようにすれば最もお得になるのか、これはやはり相続税専門の税理士に相談した方が良いでしょう。

 

孫への贈与

生前贈与加算対象者は、相続や遺贈によって財産を得る方であるため、法定相続人や受遺者が該当します。

つまり、法定相続人ではない被相続人の孫への贈与は相続財産には加算されません
この仕組みを利用すれば、税金を抑えた上で財産移転が可能となります。

ただし、孫が法定相続人になる場合や、遺言書で受遺者に指定されている場合、生命保険金の受取人になっていた場合は、加算対象です

また、現行法では抜け道的な財産移転方法として活用されているため、今後の法改正次第では将来的に活用できなくなる可能性もあります。(生前贈与による相続税対策の制限は今後も見込まれているため。)

 

まとめ

生前贈与の相続税加算期間が7年になったことで、相続税額への影響は大きくなるでしょう。

もし、生前贈与を検討している場合は、税負担のリスクを軽減するためにも、制度が始まる前にある程度の贈与を行なっておきましょう。

 

 


 

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