厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。

相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。

 


 

2023年の税制改正大綱では相続や贈与を中心に様々な制度の見直しが行われました。
特に来年実施となる生前贈与加算の変更は相続税額に大きな影響を与えると予想されます

本コラムでは、生前贈与財産の加算期間延長について詳しく解説していきます。

 

生前贈与加算について

(1)概要

 
生前贈与加算は、死亡前の一定期間内に故人から贈与を受けていた場合、相続税課税価格に贈与額を加算する仕組みです。
要は相続直前の贈与は生前贈与と認めないということです。

現時点だと、加算の該当期間は被相続人の死亡日(=相続開始日)の3年前までとなっています。

該当期間の贈与分は全て相続財産に加えた上で、相続税計算をするため、相続税対策で行なった生前贈与の効果はなくなってしまいます。
ただし、生前贈与の際に贈与税額を支払っているのであれば、その分は相続税から差し引くことが可能です。

 

(2)対象者

 
加算対象者は相続もしくは遺贈により財産を取得する方です。
そのため、故人の遺産を取得しない方は生前贈与加算の対象者となりません。

ただし、以下の方は生前贈与加算の対象者となるので注意しましょう。

みなし相続財産を取得する方

死亡保険金や死亡退職金等は民法上で相続財産ではないものの、税法上では相続財産と同様のものとみなされ、相続税が課税されます。よって、これらの財産を取得した人は生前贈与加算の対象者です。

相続時精算課税制度の適用を受けた方

生前贈与で相続時精算課税制度の適用を受けている場合、制度上、贈与された財産は相続開始後に相続財産として加算されます。

 

改正内容後の詳細

2023年度税制改正の中で、生前贈与加算の期間は3年から7年に変更されました
期間が長くなるので、相続税計算上の相続財産は今まで以上に増えやすくなるため、多くのケースで相続税の増税が予想されます

しかし、延長4年分については、「合計100万円まで相続財産に加算しない」という緩和措置も設定されています

これは、相続開始3年以内に贈与で得た財産以外=相続開始前4~7年の間に得た財産のうち、100万円分を控除するというものです。(4年間の合計が100万円であり、年間100万円の400万円ではありません。)

なお、今回の改正で対象者は「相続もしくは遺贈により財産を取得した者」とされていますから、改正前後で生前贈与加算の対象者が変わることはありません。

 

適用開始日

加算期間の延長については、2024年1月1日以降の贈与から、適用となります。

これは、2024年1月1日以降の相続から、7年前の贈与が加算されるという意味ではなく、下記のように相続開始年に合わせて、段階的に加算年数が延びていきます。

2026年開始の相続→最長3年間加算(加算対象となる贈与年は2023年以降)

2027年開始の相続→最長4年間加算(加算対象となる贈与年は2024年以降)

2028年開始の相続→最長5年間加算(加算対象となる贈与年は2024年以降)

2029年開始の相続→最長6年間加算(加算対象となる贈与年は2024年以降)

2030年開始の相続→最長7年間加算(加算対象となる贈与年は2024年以降)

2031年開始の相続→7年間加算(加算対象となる贈与年は2024年以降)

 

相続税対策

延長が適用となるのは、2024年1月以降からです。
つまり、今年いっぱいまでに行われる贈与は今までどおり、3年間分しか加算されません。

よって、生前贈与を早期にすれば、相続時の財産加算を減らせる可能性は高くなります。
ただし、贈与税は相続税と比較すると税率が高いので、高額の贈与を行うと損になるリスクもあります。

生前贈与は相続税とまとめて考えなくては節税となりません。どのようにすれば最もお得になるのか、これはやはり相続税専門の税理士に相談した方が良いでしょう。

 

孫への贈与

生前贈与加算対象者は、相続や遺贈によって財産を得る方であるため、法定相続人や受遺者が該当します。

つまり、法定相続人ではない被相続人の孫への贈与は相続財産には加算されません
この仕組みを利用すれば、税金を抑えた上で財産移転が可能となります。

ただし、孫が法定相続人になる場合や、遺言書で受遺者に指定されている場合、生命保険金の受取人になっていた場合は、加算対象です

また、現行法では抜け道的な財産移転方法として活用されているため、今後の法改正次第では将来的に活用できなくなる可能性もあります。(生前贈与による相続税対策の制限は今後も見込まれているため。)

 

まとめ

生前贈与の相続税加算期間が7年になったことで、相続税額への影響は大きくなるでしょう。

もし、生前贈与を検討している場合は、税負担のリスクを軽減するためにも、制度が始まる前にある程度の贈与を行なっておきましょう。

 

 


 

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相続財産に農地がある場合、相続人である誰かが引き継ぐことになります。

農業を継ぐ意志のある方が引き継げば問題ありませんが、会社員などをしていて、農業経験がなく、今後農業をする予定もない方が取得すると対応に困る可能性が大きいです。

なぜなら、農地は通常の土地と扱いが違って、厳しい制限があるからです。
農地は国の食糧政策の基礎となるもののため、売るにも転用するにしても事前に許可が必要です

 

農業委員会の届け出が必須

通常の土地であれば、相続で引き継ぐ際には相続税の申告(相続財産総額が基礎控除を超える場合に限る)と相続登記(名義変更)が必要となります。
農地相続では、それに加えて「農業委員会」への届け出をします

農業委員会は農地法に基づき、農地の売買や貸借の許可、転用の意見具申、遊休農地の調査・指導など、に関する業務を行う団体です。
農地相続の管理もしているので、相続時にはこの団体へ「相続開始を知った翌日から10ヶ月以内」に以下の書類を出します。

期限を過ぎて届出がされていない場合は10万円以下の過料が科されますので注意しましょう。

なお、法定相続人ではない方が農地を相続する場合、届け出だけではなく農業委員会の許可も必要です。

 

農地の相続税計算方法

(1)農地の種類

 
農地には種類によって相続税評価が異なります。

 

(2)相続税計算方法

 

倍率方式は固定資産税額について、定められた倍率をかける計算方法です。
評価額=固定資産税評価額 × 評価倍率
農地以外の土地でも路線価のない土地を評価する際の計算方法です。

宅地批准方式は以下の計算式で算出します。
評価額=該当農地が宅地だった場合の評価額−造成費

造成費とは農地を宅地に変えるためにかかる費用で、地域ごとに金額が設定されています。
固定資産税評価額は、所有者に毎年交付される固定資産税の納付書で確認し、評価倍率や宅地造成費は国税庁のサイトで見られます。

★参考:国税庁 HP 路線価図・評価倍率表

 

相続農地の処理方法

(1)売却する

 
相続農地で農業をしない場合や、他の人への貸し出しも困難な場合、売却するという方法がありますが、冒頭でも述べたように農地売却には、農業委員会の許可を得なければなりません。

なお、農地のまま売却するにも、宅地などに地目を変更して売却するにしても、原則として農業委員会への許可申請が必要です。

地目を変更は許可が下りない場合もあります。その場合は農地のまま売り先を探します。

 

(2)相続放棄

 
農地管理が難しく、手放したいとなったら、相続放棄という手段もあります。
相続が開始を知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所に申し立てをすれば、農地を含む財産の相続を放棄できます。

しかし、相続放棄は全ての財産を手放すため、農地に加えて他の不動産屋や預貯金なども受け取れません。
農地以外の遺産がある場合、相続放棄を選択するかどうか慎重に検討しましょう。

 

(3)転用

 
農業を引き継がない場合、農地を自宅や駐車場、賃貸アパートにするという選択肢もあります。

ただし、農業以外の用途への転用には、農業委員会の許可が必要です。

農地面積が大きい場合、農業委員会に加えて農林水産大臣との協議が必要な場合もあります。

 

許可申請の流れ

農地を売却したり、転用したりする場合の許可取得は以下の流れで行います。

農業委員会に申請書を提出

農業委員会は、意見を付して都道府県知事又は指定市町村長に送付

申請者に許可通知

 

準備する書類は、以下の通り。

この他に、農地や周辺の写真も準備しておきます。

農地転用の場合、内容によって追加の資料が必要な場合もあるので、事前に管轄の農業委員会へ確認しましょう。

 

転用できる農地の種類

(1)第2種農地

 
市街地として発展する可能性や、農業公共投資の対象外で生産力の低い小団地農地を指します。

 

(2)第3種農地

 
市街化が進んでいる地域にある農地です。

 

まとめ

農業離れが進む日本では農業を継ぐ方も少なく、相続された農地の扱いに困るケースが多くなっています。

農地法の制約によって転用ができない場合も多く、土地の押し付け合いで相続人同士がトラブルとなることもあります。農地が相続財産にある場合、取得後のことも加えて専門家に相談することを推奨します。

 

 


 

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世の中にはお金を銀行に預けず、自宅のタンスや金庫で保管している方もいます。

これらのお金は、所有者の死後に遺族によって見つけられることとなりますが、中には、相続財産として計上せずに、隠し通そうとする方がいます。

預金でない分、税務署に見つからないという考えからでしょうが、タンス預金等のお金は税務署にバレやすい上、発覚した際のデメリットも非常に大きいので危険です。

税務署は独自の管理システムによって、相続財産を把握し、徹底した調査でタンス預金を突きとめます。

タンス預金がバレてしまうと、多額の追徴課税を課せられることはもちろん、場合によっては刑事犯罪として処断される恐れもあるので、きちんと相続税申告をすべきなのです。

 

相続税の時効

相続税にも時効がありますが、正しくは「除斥期間」といいます。
除斥期間は時効と同じ考えで、申告期限から一定期間、税務署から請求がなければ、納税者は納税義務を負わないというものです。

時効と異なり、除斥期間は中断がありません。
時効は期間中に催告等の請求があれば、期間がリセットされますが、除斥期間にはそのようなルールがありません。

相続税の除斥期間は税法上、原則5年となっており、悪意があると判断された場合は7年となります。

悪質だとされるのは「わざと申告しなかった」「申告するつもりが、申告期限を忘れた」「相続財産を隠した」等のケースです。忘れていただけでも、7年に延長されるので、申告期限までの日数と合わせると、逃げきるまでに7年10ヶ月はかかります。

 

税務署にごまかしは通用しない

銀行に預けているお金ではないことから、7年どころか未来永劫バレないと思いがちですが、実際には隠し通せません
税務署は簡単に相続財産を把握できるからです。

税務署は、被相続人と関係者(相続人)の全ての金融機関履歴・納税状況をチェックします。相続税申告の中身に疑問を抱けば、毎月のお金の流れを細かくチェックし、使途不明金がないか詳細に調べます。

もし、申告書に記載のない入出金等があれば、税務調査が行われます。
税務調査では相続人に質問したり、被相続人や相続人の家具の引出や家庭内の金庫、銀行にある貸金庫等が調査されたりします。

税務署は自宅に保管されているものであっても、ある程度の予測を立てて調査していますので、おおよそのことは明確になります。

実地の調査で実態把握ができない場合、被相続人と生前に交流のあった知人などからも情報の入手を図る等、徹底的な調査が行われます。
そのため、タンス預金であっても隠し通すことは非常に難しいのです。

相続財産は預貯金でも現金でも不動産でも、必ず適正な評価額を算出し、財産総額が基礎控除を超えるのであれば、相続税申告をしなければなりません。

万一、申告後に自宅からお金が見つかった場合でも、申告をやり直しましょう。
税務調査から指摘を受ける前に自主的に修正申告をした場合は過少申告加算税が免除されるからです。

 

隠した場合のペナルティー

(1)無申告とした場合

 
期限までに申告を行わなかった場合、「無申告加算税」が課されます。たとえ、1日遅れただけでもかかるので期限には十分注意してください。

課税率は以下の通りです。

税務調査の事前通知前に期限後申告書を自主的に提出…一律5%
税務調査の事前通知以後に期限後申告書を提出…50万円まで10%、50万円超の部分に15%
調査による更正など予知以後に期限後申告書を提出…50万円まで15%、50万円超の部分に20%

 
税務調査の通知が入る前、事前通知があり税務調査が入る前、税務調査を受けた後等、どのタイミングで期限後申告を行うかによって税率が変わります。

 

(2)申告額を少なくした場合

 
期限内に申告を行っても本来の納税額より低かった場合は、「過少申告加算税」がかかります。

過少申告加算税は、正しい税額と最初に支払った税額との差分についてかけられます。

課税率は以下の通りです。

税務署から事前通知を受けて調査前に修正申告をする…当初の納税額と50万円のいずれか多い方以下の部分に5%、それらを超える部分に10%
税務調査を受けてから修正申告をする…当初の納税額と50万円のいずれか多い方以下の部分に10%、それらを超える部分に15%

 
一度提出した申告が誤りだと気づき、法定期限までに修正申告を行えば、過少申告加算税はかかりません。

 

(3)重加算税

 
意図的に財産を隠したり、税金逃れをしたりしようとした場合、「重加算税」が課せられます。

重加算税は相続税の申告書を提出していた場合35%、申告書が提出されていない場合は40%が徴収されます。

 

最悪の場合は刑事罰が待っている

遺産を相続したのに相続税を払わないという行為は脱税であり犯罪行為です。
悪質だと判断されれば、刑事罰となり懲役刑の可能性もあります

このように軽い気持ちで相続財産を隠せば、取り返しのつかないことになるので注意しましょう。

 

まとめ

大前提として、被相続人の遺産総額が基礎控除額を超える場合は、税務署に相続税を申告し、税金を納めなければなりません。

遺産額に応じて相続税額も高くなるため、中には「税務署に見つからなければお得だ」と考える人もいます。
ただし、税務調査からは逃げ切れる可能性は少ないですし、ペナルティーを考慮すれば、リスクが大きすぎます。

相続税はリスクを冒すより、専門家に節税対策を相談することで税金の払い過ぎを防げます。
お悩みの方は早いうちに税理士に相談してください。

 

 


 

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故人の遺産では衣服も含まれます。
遺産である以上、相続税計算のために、価額を評価する必要がありますが、それらを一点ずつ行なっていくのは、非常に大変ですし、現実的ではありません。

相続では、衣服などは一般的に経済的価値が低いので、個別に財産評価することはなく、「家財道具一式」としてまとめられます。(遺産分割の対象からも除外されます。)

衣服の中でも、ブランド品など経済的価値が高いものだけは、専門業者の査定等を用いて評価額とします。

 

衣服は家庭用財産

課税対象の相続財産は、預貯金や不動産はもちろん、事業用の機械設備や、著作権・特許権などの権利も対象になります。

それらに加え、「家庭用財産」も同じく相続税の課税対象です。
家庭用財産とは家庭内の一般動産です。具体的には下記のものがあります。

 
家庭にある動産は全て含むので、衣類はもちろん、家電、自動車、貴金属や骨董品の他に、書籍や書類等も該当します。

これらのものは、相続税のくくりで言えば、一般的に経済的価値が低いかどうかで分けられます
自動車や貴金属等は客観的に経済的価値のあるものなので、専門業者に査定してもらって、個別に財産評価をする必要があります。

逆に衣類や家電などは5万円以下の評価になることが大半ですので、「家財道具一式」としてまとめて評価をするケースが多いです。

 

家庭用財産の評価方法

(1)原則的な評価方法

相続開始時の時価を調べます。
類似している家庭用財産の売買実例価額や、同財産を取り扱う業者や専門家の意見を参考価格とします。

具体的には中古品価格をインターネットで調べるか、買い取り業者に査定価格を出してもらいます。

 

(2)特例的な評価方法

前述での価格が不明な場合は、新品の価格から、相続開始日までに下がった価格を差し引いて計算します。

価値が下がった金額の基準は、法定耐用年数に基づく減価償却費の累計額です。

 

家財一式はいくらぐらいになるのか

前述した通り、衣類や家電は1個単位の評価額が安くなります。
ブランド品であっても、5万円を超えるものはそんなに多くないでしょう。

よって、個別に価格を算出していくと、非常に手間がかかります
故人が大量に衣服を持っていた場合は、相続税申告に間に合わなくなってしまいますから、通常では「家財一式」として概算的に評価します。

民法においても、1個もしくは1組の価額が5万円以下のものについては、一括計上して良いことになっています。
(5万円を超えそうな超高級品だけは個別に評価した方が良いでしょう。)

なお、一般的に家財一式は10万円程度で計上されるケースが多いです。
1人暮らしでつつましく生活している場合は5万円以下でも良いですし、高級家具を多く揃えていた場合であれば多めに申告します。

 

家庭用財産をゼロで申告する場合

家庭によっては、電化製品や家具を家族が購入し、車の名義も家族のものにしている場合があります。
そうした理由から、家庭用財産を0円申告する方もいますが、見落としがあれば税務署から指摘が入ります

国税局が公表している『相続税申告のチェックリスト』には家庭用財産の計上漏れに関する項目があり、家庭用財産の評価を軽視していないことがわかります。

そもそも、故人が所有していた家電や衣類が一つもないということも珍しいので、ゼロ申告せずに「とりあえず」計上しておいた方が安心とも言えます。

 

まとめ

相続では故人の衣服は、「家財一式」として他の家庭財産とまとめて計上されます。
一式の額はケースによって分かれますが、10万円程度が多く、それほど大きな金額にはなりません。

ただし、計上せずに処分等をしてしまうと、財産隠しと判断されることにもなります。
税務署から指摘があれば、ペナルティとして過少申告加算税を納付しなければいけません。

たとえ少額でも、きっちりと申告書に載せて申告を行いましょう。

 

 


 

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相続財産にはプラスの財産もあれば、マイナスの財産もあります。
マイナスの財産とは借入金や未払金などです。

マイナスの財産はプラスの財産から差し引いて相続税を計算できますが、この仕組みを「債務控除」といいます。
債務控除では、相続人が支払った葬式費用の一部も対象です。

 

債務控除とは

相続税の計算では、相続財産の総額から基礎控除を差し引きますが、被相続人に借入金などの債務があった場合は、これも同様に引くことができます。(引いた後の金額に税率をかけて、相続税額を計算します。)

この仕組みを債務控除といいます。

債務控除の対象は、相続開始時に存在し、確実と認められるものです
被相続人の残した借金もそうですが、未納付となっている国税や地方税のほか、光熱費も含まれます。

また、葬儀費用は債務とは異なるものの、相続時に必ず発生するもののため、こちらも相続財産の価額から差し引けます。

 

債務控除に該当するもの

(1)借入金

亡くなった時点で支払いの済んでいない借入金は債務控除の対象です。
金融機関からの借入金や、住宅ローンが該当します。

家族からの借金についても、借入の経緯や内容がわかる契約書や証書があれば問題ありません。
証書などがないと、税務署に対しての証明ができないので、適用が難しくなります。

 

(2)連帯債務

被相続人が連帯債務者である場合、負担金額が明確になっている部分については、債務控除の対象です。
被相続人以外の連帯債務者が弁済不能状態の場合、その弁済不能部分のうち被相続人が負担すべき金額についても債務控除の対象となります。

これは被相続人が保証人となっている場合も同様です。
主な債務者が弁済不能の状態にあり、請求不可となっている場合、弁済不能部分の被相続人が負担すべき部分は債務控除対象です。

 

(3)未払い分の医療費

被相続人が亡くなった後に支払う入院費や手術費などは債務控除の対象です。

死亡診断書は債務控除の対象ですが、葬儀費用に該当しません。
なお、保険金請求のために遺族が追加で発行するものの費用は該当しません。

 

(4)準確定申告で払う所得税や消費税

準確定申告は、被相続人の生前の所得税における確定申告です。
これらに係る所得税や消費税は債務控除対象です。

 

(5)固定資産税

毎年1月1日時点で不動産等を所有する方に課される固定資産税も債務控除が可能です。

固定資産税は通常、年4回に分けて納めます。このうち債務控除ができるのは、亡くなった時点で未納付の部分です。
被相続人が8月に亡くなった場合、同年12月の3期分と翌年2月の4期分が未納付ですから、2回分が債務控除の対象になります。

なお、被相続人の責任で税金の納付が遅れており、延滞金等が生じたものについても債務控除の範囲内です。
税金でいうと他にも、住民税も被相続人の死亡時に未払い分のものは同様の扱いとなります。

 

(6)預かり敷金・保証金の控除

被相続人が不動産賃貸をしていた場合、居住者から預かっている預かり敷金や保証金も債務として控除することができます。

ただし、償却がある場合、その部分を除いた金額が債務控除の対象です。
なので、不動産賃貸借契約書の内容を確認するようにしましょう。

 

(7)水道光熱費

被相続人が住んでいた住居の水道光熱費は、被相続人が亡くなる前の部分について債務控除の対象です。
相続開始後に生じる費用は相続人の負担です。

被相続人が死亡して水道・光熱費が必要なくなったら、早急に停止の手続きをしましょう。
電話料金についても同様の扱いです。

 

(8)建築やリフォーム等の未払金

建築やリフォームにかかる費用については、工事進捗次第です。

引き渡しが完了しており、代金だけ未払いの状態だった場合、全額が債務控除できます。

 

(9)葬儀費用

葬式費用も債務控除可能です。

香典返しの費用や墓石・墓地の購入費等は該当しないので注意しましょう。
 

まとめ

遺産の中には、未払い費用や葬儀費用など、相続税の課税価格から差し引けるものがあります。

ただし、控除の対象にならないものもあるので、詳しく知りたい場合は相続専門の税理士に相談しましょう。

 

 


 

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相続財産は相続税の課税対象です。
現金や預金、有価証券、換価価値のある骨董品などが対象であり、総額が基礎控除額を超えると相続税が生じます。

土地や建物といった不動産も相続財産のため、相続税の課税対象です。
ただし、不動産の場合は相続税の他にも登録免許税や名義変更のための費用がかかります

 

相続税

不動産は相続財産なので、相続税の課税対象となります。

ただし、相続税は全ての場合に生じるのではなく、相続財産総額が「基礎控除額」を超えた場合のみ発生します
基礎控除額は「3000万円+(法定相続人の数×600万円)」で算出するので、法定相続人の数が多ければ控除額も高くなります。

不動産は、土地・建物共に相続税の評価方法が定められており、それぞれの計算方法で評価額を出します。

 

①土地の評価方法

土地は「路線価」に面積をかけて価格を計算する「路線価方式」を使用します。路線価が設定されていない場合、土地の固定資産税評価額に一定倍率をかけて価格を算出する「倍率方式」を使用します。

路線価は国税庁HPの路線価図から該当年分のものを用いますが、その年の路線価発表は7月なので、2月や3月に所有者が亡くなった場合は、7月まで待たなくてはなりません。

倍率も国税庁が定めたもので、評価倍率表に記載があります。

★参考記事:国税庁HP 路線価図・評価倍率表

 

②建物の評価方法

固定資産税評価額が計算のベースとなります。
被相続人の住宅であれば、相続税評価額は固定資産税評価額とイコールになり、賃貸物件であれば、借家権割合が考慮され、評価額は下がります。

固定資産税評価額は、各市区町村(東京都23区の場合は都)が決定します。
3年ごとに見直され、公示価格のおよそ70%になるように調整されています。

固定資産税評価額を調べたいのであれば、市区町村から毎年届く固定資産税の納税通知書を確認しましょう。通知書がない場合、市区町村役場で固定資産税台帳を閲覧すると良いでしょう。(東京23区の場合は、該当区の都税事務所で閲覧可能。)

 

登録免許税

登録免許税とは、不動産を登記・登録する際に課される税金です。
登記とは、権利関係などを公にする制度で、不動産登記は土地や建物の所有者を明確にする手続きです。

相続によって不動産を取得した場合も、不動産登記が必要(この場合、相続登記と言われます)で、同時に登録免許税も納める必要があります。もし、登録免許税を納付しなければ、登記申請は却下されてしまいます。

相続登記における登録免許税率は、「不動産の固定資産税評価額の0.4%」です。

固定資産税評価額が1,000万円の土地を相続登記する場合の登録免許税額は、
1,000万円×0.4%=4万円です。

固定資産税評価額は前述した方法で確認すると良いでしょう。

 

相続登記にかかる費用

相続登記申請には、申請書のほかに、以下の書類も必要です。

 
戸籍謄本の取得や住民票の写しの発行には、数百円程度の費用がかかります。

相続人が少なかったり、各自が戸籍謄本等を取得すれば、まとまったお金はかかりませんが、被相続人の転籍が多かったり、代表者が全て用意する場合には、金額は高くなります。

なお、相続登記の申請手続きを専門家に代行してもらった場合、その報酬費用が生じます。報酬金額は手続きの数や依頼内容によって変わるので、一度問い合わせをして、見積もってもらいましょう。

専門家に手続きをお願いする場合、他の相続手続きも合わせて依頼した方が手間が掛からないのでお勧めです。できれば、相続税の申告も代行してもらうと良いでしょう。

ただし、相続税の申告代行は税理士のみできますので、注意してください。

 

まとめ

相続不動産を取得すると、相続税だけではなく、登録免許税や相続登記にかかる費用などもかかってきます。

相続税には申告期限もあるので、期限を破らないように手続きを済ませておくことが大切です。

 

 


 

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遺言書では、法定相続人以外に財産を取得させることも可能です。
ただし、法定相続人以外の方が「遺贈」によって財産を取得する場合、その財産も相続税の課税対象となります。

相続税には、基礎控除がありますが、遺贈された財産を含む相続財産総額が控除額を上回るのであれば、相続税が生じ、申告と納付をしなければなりません。

相続税の計算方法は基本的には相続人と同じですが、受遺者が被相続人の配偶者や子供、両親以外なら「相続税が2割加算」となってしまいます

 

遺贈とは

遺贈とは、遺言によって自身の財産を、他の人へ無償で与えることです。
受遺者は遺言者が選べるので、法定相続人以外であっても大丈夫です。受遺者の承諾も不要であり、受遺者は個人でなく、法人でも良いとされています。

相続が被相続人の財産を法定相続人のみに取得させることに対し、遺贈は遺言等によって財産を「法定相続人以外」にも取得させることができます

相続は故人とその家族(被相続人と法定相続人間)で自動的に生じます。
故人の配偶者や子供、父母や兄弟姉妹など、近親者の中で決まった順位に従い、法定相続人の権利が得られ、財産を取得します。

遺贈はそのような縛りがなく、受遺者となる方に条件や制限がないことが大きな違いでしょう。

 

遺贈の種類

(1)包括遺贈

 
譲渡財産の内容を指定せず、全部もしくは一定分の割合で遺贈する方法です。
例えば遺言が「全財産をAに渡す」や「全財産の3分の1はBに遺贈」といった内容であれば、包括遺贈です。

なお、包括遺贈は、金銭や不動産などのプラス資産だけでなく、借金などのマイナス資産も取得します。
もし、負債が高額であれば、取得によって受遺者が損をする可能性もあります。

また、包括遺贈の場合、受遺者は遺産分割協議に参加する必要があります。
これは各財産をどのように分割するか決めるためです。

 

(2)特定遺贈

 
特定の財産を指定し、譲渡する方法が特定遺贈です。
「自宅はAに譲る」「保有する骨董品は全てBに渡す」といった内容であれば、特定遺贈となります。

特定遺贈は包括遺贈とは違い、負債まで取得しなくて良いのです。
あくまで指定された財産だけを取得します。

ただし、遺言書に借金引き継ぎの指定がある場合は取得します。

 

遺贈の放棄

民法では、遺言者の死亡後、受遺者が遺贈の放棄をいつでも行えると定められています。
遺贈の放棄は、遺言者の死亡時までさかのぼって効力が発生するため、遺贈放棄が成立すると、受遺者の権利は最初からなかったことになります。

特定遺贈の放棄は、法定相続人や遺言執行者に意思表示すれば成立します
包括遺贈の場合、包括受遺者には相続人と同一の権利義務があるため、放棄には裁判所での申述が必要となります

そして申述の期間は、受遺者が包括遺贈のあった事実を知った日から3ヶ月以内となります。
この期間は相続放棄と同様の期限です。

 

法定相続人以外は納税額に2割加算する

相続税では被相続人の配偶者や一親等の血族(被相続人の子供・両親)以外が遺産を取得した場合、相続税が2割増しになるルールがあります。

よって、遺言書によって遺贈で財産を取得する方も相続税が2割加算されます。

2割加算対象者と非対象者を分けると以下の通りになります。

 

 

小規模宅地等の特例が適用不可に

相続によって不動産を取得した場合、一定の要件を満たせば、亡くなられた方の自宅や事業用敷地については土地の評価額を最大80%減額できます。

これは「小規模宅地等の特例」とされますが、遺贈によって不動産を取得する方が親族以外の場合は適用されません。

土地が高額であれば、その分相続税の負担も大きくなります。

 

死亡保険金の非課税枠が適用不可に

死亡保険金は民法上の相続財産ではないものの、税法上で「みなし相続財産」となり、相続税課税対象です。

そして、死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の控除枠が設定されていますが、受取人が法定相続人ではない場合、控除が適用されません。
つまり、遺贈の場合は、非課税枠が使えないのです。

この非課税枠は本来、被相続人の家族の税負担を軽減するように考慮されたものです。
そのため、その方々ではない人が財産を受け取っても、減税されないのです。

 

遺贈の相続税計算

遺贈が行われた際の相続税額計算は、他の法定相続人と同じく以下の流れで行います。

相続財産の総額(遺産総額)を求める

法定相続人数をカウントし、基礎控除額を算定

課税遺産総額と相続税の総額を出す

相続財産の取得割合によって相続税額を振り分ける

 

ただし、遺贈の場合は、相続税が1.2倍となりますので、最後のステップのみ異なります

なお、相続税には基礎控除額があり、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。
もし、相続財産総額がその金額内であれば、相続税は生じません。(受遺者は上記の法定相続人の数にも含まれないので、その点も注意してください。)

 

まとめ

受遺者にも、相続人同様に相続税がかかります。

計算方法は同じですが、遺贈の場合は相続税が2割加算されるので、注意が必要です。

 

 


 

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相続でよくあるケースは、相続人が故人の配偶者と子供という形ですが、状況によっては故人の兄弟姉妹が相続人になる場合もあります

故人の兄弟姉妹は相続順位でも第3順位となり、遺産配分目安となる法定相続分や、遺留分が認められていない等の違いがあります

 

故人の兄弟姉妹は第3順位

民法では法定相続人となる順番が決められています。この優先順位は相続順位と言われ、第3順位まであります。

第1順位…子供(孫・ひ孫)
第2順位…両親(祖父母)
第3順位…兄弟姉妹(甥・姪)

 
故人の配偶者は必ず法定相続人になれます。他の血縁者は上記の順位に従って相続人の権利を取得します。

上の順位の方が1人でもいるなら、下の順位の方に相続権は与えられません。順位が移るのは、その方が亡くなっているか、相続放棄などで相続権を失くしている場合です。

なお、該当順位の相続人が亡くなっていても、その方に子供がいるなら「代襲相続」が発生して順位は移動しません。例えば、被相続人の子供が相続開始前に既に亡くなっている場合、その子供(被相続人にとっては孫)が代襲相続人となります。

故人の兄弟姉妹は第3順位となるので、故人に子供も孫もおらず、両親・祖父母も既に他界している場合、相続権を持つこととなります。

 

兄弟姉妹の法定相続分

前述した通り、ケースによっては故人の兄弟姉妹が法定相続人となるケースもあります。

兄弟姉妹が法定相続人になるのは、相続人が「配偶者と兄弟姉妹」と「兄弟姉妹のみ」のパターンですが、その際の法定相続分は、以下の通りです。

配偶者と兄弟姉妹の場合…配偶者が相続財産の3/4、兄弟姉妹が1/4を取得
兄弟姉妹のみ…相続財産の全額

※兄弟姉妹が複数人いるなら、取得合計分を人数で分割します。

 

注意点

第3順位である兄弟姉妹には、被相続人の子供や両親と違って、相続人としての権利にも若干の違いがあります。
 

(1)遺留分がない

 
遺留分とは相続財産の最低分を取得する権利です。この権利を有するのは、故人の配偶者と子供および両親です。

故人の兄弟姉妹には遺留分がありません。
そのため、遺言書によって『遺産全額を配偶者に渡す』等の記載があった場合は、兄弟姉妹は遺産を一切受け取れません。

 

(2)代襲相続は一代のみ

 
前述した代襲相続は故人の子供の場合は、ひ孫・玄孫(やしゃご)等、直系卑属であれば、何代でも可能です。
しかし、兄弟姉妹は、その子供である甥・姪までの一代のみです

なお、代襲相続は相続放棄では成立しません。
相続人自ら相続権を手放す相続放棄の場合、最初からその方は相続権を持たなかったことになるので、代襲相続も生じません。

 

(3)相続税は2割加算となる

 
相続財産が一定の金額に達する場合=基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えている場合、相続税が生じます。
相続税は「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」に所定の税務署に申告し、税金を納付しなければなりません。

この時、兄弟姉妹は通常の相続税額の2割に相当する額を加算した金額を納めることになります。
この取り決めは「相続税の2割加算」と言います。

兄弟姉妹に2割加算が適用される理由としては、被相続人と血縁関係が薄いことから、「相続財産の取得が偶発的である」と考えられるからです

なお、兄弟姉妹だけでなく、故人の孫が相続財産を取得した場合も、2割加算の対象です。その理由は孫が財産を取得する場合、1世代分またいで財産が移動するので、相続税の課税を1回分免れるからです。税金は公平に課税されるべきという考えから、故人の孫にも相続税は多めに加算されるのです。

 

(4)通常よりも戸籍謄本を集めなければならない

 
通常の相続手続きの場合、相続人の確定のために、被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本を取得します。しかし、兄弟姉妹が法定相続人になる場合、先の戸籍謄本に加えて、被相続人の両親の戸籍謄本も取得しなければなりません。

これは、兄弟姉妹と被相続人の関係を明らかにし、なおかつ、先の順位の方が不在な事実を証明する必要があるからです

このように、通常の相続での戸籍収集と比較して、兄弟姉妹が相続人となる相続では、戸籍収集の量が多く、手続きも煩雑となります

手続きが煩雑になれば、相続手続き完了までに多大な時間がかかります。
従って、専門家に手続きを代行してもらった方が良いでしょう。

 

まとめ

被相続人の兄弟姉妹が相続人になるかは、ケースとしては少ないものの、状況によってはあり得ます。

兄弟姉妹は、その他の親族と比較すると、保有する権利に違いがあることを覚えておきましょう。

 

 


 

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秘密証書遺言は、名前の通り「誰にも公開されずに秘密にできる」ものです。公証人によって、遺言の存在を証明してもらうことができます。

ただし、形式不備となる可能性が高く、加えて原本を自分で保管するので、紛失のリスクもあります。このような部分もあり、自筆証書遺言・公正証書遺言と比べてあまり作成されません

 

秘密証書遺言の概要

秘密証書遺言とは、遺言内容を秘密のまま、存在だけを公証役場で証明してもらえるものです

秘密証書遺言の特徴は以下の通りです。

 
秘密証書遺言は書類を作成した後、公証役場で公証人及び証人の立ち合いを経て完成します。
遺言書作成の事実は役場に記録されますが、遺言書管理は遺言者本人が行います。

手続きには11,000円の手数料がかかり、証人も役場で紹介してもらうなら一人あたり5,000円から1万円程度かかります。

なお、証人は遺言者自身で用意できますが、以下の方は証人になれません。

 
遺言者にとって、近しい親族も証人になれません
証人は相続について、遺言者と利害関係の無い第三者でなくてはならないからです。
そのため、遺言者の親類は大半が証人になれないと覚えておきましょう。

周囲に証人になってくれる方(資格者)がいない場合は、先述した公証役場で紹介してもらうか、税理士などの相続の専門家に依頼しましょう。

 

秘密証書遺言の利点

秘密証書遺言のメリットは、遺言内容を遺言者自身はもちろん証人にも知られないという点です。
公証人ですら遺言の中身を見ません。

また、財産目録以外は自筆での作成が求められる自筆証書遺言とは異なり、秘密証書遺言は全文パソコンで作成しても良く、代筆も大丈夫です。(ただし、署名は自筆で書くこと。)

遺言者が封をして公証人が封紙に署名する方式なので、第三者の偽造や変造を防ぐこともできます

 

秘密証書遺言がお勧めされない理由

(1)不備が起こりやすい

 
秘密証書遺言は形式不備で無効となるリスクがあります

これは、遺言者以外だれも中身を見られないからです。形式不備にならないためには、遺言者自身が作成時に注意する以外にありません。

内容等を専門家に確認してもらってから、公証役場で手続きをしても良いですが、それであれば、秘密証書遺言を選ぶメリットはないでしょう。

 

(2)原本が発見されない場合も

 
公証役場は秘密証書遺言が作成された事実のみを証明するだけなので、原本は遺言者が相続まで保管します。

よって、紛失や、相続時に発見してもらえない可能性も高くなります

公正証書遺言では原本が公証役場に保管されるので、紛失等の心配はありません。自筆証書遺言でも法務局の保管制度を利用すれば、同様にリスクがなくなります。

 

(3)相続では検認手続きが必要

 
秘密証書遺言は、ルールに従って遺言書が書かれているのか、家庭裁判所で確認される必要があります。

これは「検認」と言われるものです。

なお、検認が終わるまでは遺言書を開封できないので注意しましょう。もし、誤って開封してしまった場合は罰則として過料が課せられる可能性もあります。

 

遺言の原本が無ければ効力は生じない

秘密証書遺言は、日本公証人連合会の「遺言検索システム」で存在を確認できます。

検索利用者が相続人本人の場合は以下の書類が必要です。

 
代理人がシステムを利用する場合、以下の書類が必要です。

 
検索システムによって存在は確認できますが、原本が無ければ意味はないのです。誰も保管場所を知らずに遺言書を見つけてもらえなければ、結果として紛失と同じです。

また、苦労して発見しても前述の通り、形式不備等で遺言書が無効になる恐れもあります。

 

まとめ

ご説明した通り、秘密証書遺言は形式不備や保管のリスクが多く、あまり利用されないのです。

遺言形式でどれを選ぶかは遺言者の自由ですが、メリット・デメリットをよく把握した上で、最適なものを選ぶようにしましょう。

 

 


 

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「遺言書」が残されていない場合、相続財産は相続人全員で協議を行い、財産分割について話し合いますが、しばしば「被相続人の介護をしていた」「遺産の中に占める不動産の割合が多く、遺産を平等に分けることが難しい」などの理由でまとまらない可能性があります。

遺言書があれば遺産分割もスムーズに進む(相続人の感情は置いておいて)ので、やはり生前のうちに遺言書を作っておくべきです

遺言書の作成は「高齢になってから」「病気になってから」の段階で検討を始める方が多いです。しかし、遺言書はできるだけ早めに書いておく方がメリットがあるのです

 

早期の遺言作成のメリット

早めに遺言書を作るメリットは以下です。

 
人生ではいつ何が起こるか全く分かりません。急に病気になったり、交通事故や災害に巻き込まれて寝たきりになる、最悪の場合には死亡する可能性もあります。

そうなれば、遺言を残すことは不可能です。逆に遺言書を早いうちから書いていれば、万が一の事態が起きても、自分の意思を家族に残せます。

また、加齢によって認知症や脳の病気等で判断能力が著しく低下してしまうと、その状態で書いた遺言書は無効となってしまいます。

身体の不自由であれば遺言は作成できますが、判断能力がないと遺言作成が認められないのです。

遺言書は作成した後で何度でも書き直せます。考えや財産・家族状況が変われば、その時に書き直せばよいのです。様々なリスクを考慮すると、高齢になる前に作成しておいた方が安心なのです。

 

遺言書が15歳から作成可能

遺言作成は民法961条で「15歳」になればできるとされています。

通常、法的な契約に必要とされる時期は成年後とされていますが、遺言作成については低い年齢で設定されています。

そもそも遺言とは、できる限り遺言者の最後の意思を尊重する制度なので、遺言の意味がわかる年齢であれば遺言作成が可能なのです。

海外への派遣等、治安の不安定な国や災害の多い地域で仕事をされる方は、若い年齢でも遺言を残すケースがあります。

 

遺言にも種類がある

ここまで読んで「早めに遺言書を作ろう」と思われた方は、作成する前に遺言書の種類を押さえておくべきです。

遺言書にもいろんな種類があり、形式もバラバラです。それぞれにメリットとデメリットも違ってきます。

代表的な遺言書として「自筆証書遺言」、「公正証書遺言」、「秘密証書遺言」があります。

自筆証書遺言は、ご自身のみで作成できますが、その分、形式不備で無効になったり、保管による問題で紛失するリスクが高いのです。

公正証書遺言は、公正役場で公証人が作成に関与するので不備は起こりませんし、原本も公正役場で保管してもらうので、紛失や変造のリスクもありません。

しかし、公証人に依頼するための費用がかかることや、証人2人を用意しなければならない手間がデメリットになります。

秘密証書遺言は内容を秘密にした上で、存在のみを公証役場で証明してもらいます。そのため、公正証書遺言と同様に、偽造や改ざんを防ぐことができますし、パソコンでの作成も可能です。

しかし、公正証書遺言と同様に、費用がかかり、証人2人を用意する手間もある上、保管は自身で行うため紛失リスクも高く、公証人による内容確認もないので無効になる可能性もあります。

このように各遺言書にはそれぞれに特性があるので、それらを踏まえた上で最適なものを選ぶべきなのです

 

まとめ

遺言書の作成は今ではインターネットで手軽に調べられますが、本当に書き方が合っているのかと不安になられる方も多いと思います。

そんな場合は、相続専門の税理士に作成を手伝ってもらいましょう。税理士の場合、相続税も熟知しているので、遺言作成の際に、相続税額の算出、土地・家屋の財産調査、節税に関するアドバイスもしてくれるでしょう。

相続が始まった後、相続税の申告も代行してもらえるので、心強い存在となります。

ただし、全ての税理士が相続に強いわけではありません。税理士と言っても、相続を専門としていない税理士もいるので、ご注意ください。

 

 


 

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