成年後見制度・任意後見制度を理解しよう
こんにちは。
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
法定後見制度と共に、成年後見制度の一つの形態である、任意後見制度に関する関心が高まっています。法定後見制度のように、利用者の就業や公的資格などに対する制限もなく、何よりも自分の希望する人を選べることが、その大きな理由の一つと思われます。
注目されているこの任意後見制度について解説します。
任意後見制度の概要
任意後見制度は、将来、自分の判断能力が十分でなくなった場合に備え、本人自らがあらかじめ契約によって後見人を選任しておく制度です。
任意後見人には、法定後見人のような契約の取消権や同意権はありませんが、自分が希望する後見人と、自分が必要と考える内容を契約できる点において、法定後見制度とは大きく異なります。
契約事項の例
契約事項に制約はありませんが、一般的には以下のような事例が多いようです。
1.自宅の購入、売却、増改築、修繕など
2.預貯金など金融機関との取引や、保険契約、保険金の受け取りなど
3.年金などの定期収入や、公共料金など定期支出の管理
4.登録済みの権利証や実印、銀行印、預金通帳などの保管、使用
5.税金の申告や納付、その他の行政機関への申請など
6.介護保険の申請や、介護・福祉サービスの利用契約など
7.医療機関への入院や介護施設への入所の契約など
8.遺産分割や相続の承認、放棄、贈与など
9.生活必需品の購入や、生活費の送金など
任意後見の要件
法定後見人同様、選任に必要な法律上の制限はなく、法人を含め、誰でもなることができます。
複数の任意後見人と契約してもかまいませんが、契約書に公的な信用力と強制力を持たせるため、契約は公正証書で行い、法務局で登記します。
なお、本人が元気なうちは、見守り契約に基づき本人の状況を注視し続け、本人の判断能力が不十分になったら家庭裁判所へ申し立て、家庭裁判所が任意後見人を監督する任意後見監督人を選任して、初めて後見契約が発効することになります。
任意後見制度を適用するための手続き
<任意後見契約の締結に当たって必要な書類>
・本人に必要な書類
戸籍謄本、住民票、運転免許証等身分を証明できる物
・任意後見受任者に必要な書類
住民票(法人の場合は登記簿謄本)、運転免許証等身分を証明できる物
・その他必要な書類
任意後見契約の内容によっては、診断書や財産目録、不動産の登記簿謄本などが必要な場合もあります。あらかじめ公証人に確認しておきましょう。
<任意後見監督人選任の申立てに必要な書類>
申立ては、本人、配偶者、4親等内の親族、任意後見受任者のいずれかが行います。
・申立書類
申立書、申立事情説明書(任意後見)、本人の財産目録とその資料
本人の収支状況報告書とその資料、任意後見受任者事情説明書、親族関係図
・本人についての書類
戸籍謄本、住民票(世帯全部)、後見登記事項証明書(任意後見)、診断書(成年後見用)
後見登記されていないことの証明書、任意後見契約公正証書の写し、
・任意後見受任者についての書類
念のため、家庭裁判所に確認しておきましょう。
まとめ
任意後見制度は、法定後見制度とは異なり、自分の希望する人を後見人に選べる他、依頼する内容を細かく契約に盛り込めます。
しかも、利用者に就業や公的資格などに対する制限はありません。反面、家族を選ぶと相続問題で揉めることも無いとは言えず、知人だと万一不仲になると大変です。専門職に依頼する場合は報酬が必要なこともあります。
上手に使えば理想的な制度の一つと言えますが、家族はもちろん、受任者とも、何度も話し合って相互に信頼関係を深める必要があるでしょう。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。