通常の相続財産とは異なる「祭祀財産」とは
こんにちは。
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
以前のコラムで、「死後に必要となる墓石は生前に購入しておくと相続税対策になる」と紹介しました。
節税になる理由としては、墓石が通常の相続財産とは異なる「祭祀財産」だからです。
この祭祀財産は特徴もさることながら、被相続人からの引き継ぎ方法も通常の遺産とは大きく違います。
計2回に渡って詳しく解説いたしますので参考にしてください。
祭祀財産とは
祭祀財産とは、祖先をまつるための道具や、一族代々の系統を書き表した図表をさします。
大きく分けると「系譜」「祭具」「墳墓」の3つになります。
(1)系譜
一族の系統を表したものでいわゆる家系図です。
全ての家庭にあるわけではないですが、昔からの家系図を大切に保有されている方もいます。
(2)祭具
祖先を祀ったり、礼拝に使用されるものです。ポピュラーなものだと、仏壇や神棚、位牌があり、十字架や聖杯等も該当します。
祭祀に用いられる道具・器具の全てをさしますが、仏間などの建物は当てはまりません。
(3)墳墓
遺体や遺骨を葬るための設備です。墓石や墓碑はもちろん、霊屋や敷地である墓地も含まれます。
ただし墓地については、「墳墓と社会通念上一体のものと考えられる範囲に限定される」ということに注意しましょう。
遺体や遺骨は祭祀財産に含まれるのか
被相続人の遺体や遺骨についてはハッキリと言い切れませんが、「祭祀主催者に帰属する」とされた判例があります(最高裁平成元年7月18日判決)。
遺骨等について所有の議論をすること自体が少し無粋ですが、過去の判例を見ると祭祀主宰者に承継されることが有力なようです。
相続における関係
民法によると、祭祀財産は相続人同士で分割されるわけではなく、古来の慣習に従って祭祀主宰者が承継することになっています。ただし、被相続人の指定がある場合にはそれに従います。
昔は、祭祀財産は家督相続の対象だったので家督相続人によって相続されていましたが、「家制度」の廃止により現在は変更されました。
現代では、祭祀財産は誰が継いでも構いません。
被相続人の長男以外が継ぐのはもちろん、家族の同意書があれば、被相続人の友人が祭祀承継者になることもできます。
祭祀財産の承継者には相続税は課税されませんし、祭祀財産を承継したからといって、相続財産の額が減額されたり増額される決まりはありません。
家族が今後お墓や仏壇をどうしたいのか、被相続人の生前からよく話し合って意見をまとめておいたほうが良いでしょう。
まとめ
祭祀財産の概要や特徴について解説いたしました。次回のコラムでは承継方法と注意すべき事項を取り上げるので、そちらも参考にしてください。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
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「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
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