扶養義務者からの必要な贈与なら無税【都度贈与】
こんにちは。
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
生前贈与には年間で110万円の非課税枠が設けられている「暦年贈与」の他、特定要件をクリアすることで活用できる特例制度があります。
特例制度は、高額の贈与が無税で可能となるものの、やはり要件のハードルが高く、安易に利用できないのが難点です。
では、高額の贈与はできないのかというと、そうでもありません。
実は贈与者と受贈者の関係や資金用途によっては、金額に関わらず贈与税が一切かからない場合があります。
扶養義務者からの都度必要な贈与は無税
贈与者が受贈者の扶養義務者で、受贈者の生活や教育のために行う贈与には税金がかかりません。
これは、国税庁のHPにも贈与税がかからないケースの一例として記載されています。
扶養義務者とは受贈者の配偶者や両親、祖父母、曽祖父母の他、兄弟姉妹の他、三親等内の親族で生計を一にする人です。
つまり、夫から妻へ生活費を渡したり、祖父母から孫へ入学費や授業料を渡しても贈与税は課税されません。
ただし、ポイントとして贈与は「必要な分を必要なタイミング」で渡すこととされています。
要するに一括贈与ではなく、「都度の贈与」でなければなりません。
非課税となる資金の範囲
資金の範囲は大きく分けて生活費と教育費になります。
どちらも具体的な用途が細かく決められています。
(1)生活費
- 仕送り(賃料や食費などの生活費)
- 結婚費用(式場代や料理代、撮影費用等、結婚式を開くための費用)
- 出産費用(病院での検査代や入院費など、出産にかかる費用)
- 新婚生活の費用(家具購入費や引越代等)
が該当します。
生活費を渡す場合、必要な範囲内の金額でなければなりません。
例えば、生活費を過剰に超える仕送りをしている場合は、超過分に対して贈与税が課税されます。
仕送りが30万円で、15万円を生活費として使い、残った15万円を貯金している場合は、その15万円が課税対象となります。
(2)教育費
- 入学費用
- 授業料
- 教科書等の教材費
- 定期券購入代などの通学費
- 修学旅行などの行事参加費
- 塾の月謝
- 受験費用
などが該当します。
生活費と同じく、必要な範囲内を都度贈与すれば税金はかかりません。
なので、祖父が幼稚園に入園した孫に対して大学までの教育費をまとめて渡すのはNGです。
まとまった資金を一括で渡すには生前贈与の特例制度を利用します。
まとめ
生前贈与には様々な非課税枠がありますが、扶養義務者が都度必要なお金を渡すこと自体、税金がかかりません。
無駄な手間をかけずにお得に贈与を行えるので、是非覚えておきましょう。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
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