自宅で遺言書を見つけても勝手に開封しない【検認】
こんにちは。
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
「故人の家で遺品を整理していたら、遺言書が出てきた」というのはよくあるケースです。
遺言書とは相続財産の分割や方法について、被相続人の意思が反映されたものであり、相続の手続きにおいて重要なものです。
しかし、遺言書を見つけたからといって、その場で封を開いて中身を確認してはいけません。
遺言書を相続で利用するには、「検認」という手続きをしなければならないからです。
もし、勝手に開封すれば、法律違反として罰則を受ける可能性があります。
遺言書は勝手に開けないこと
民法1004条にて、「遺言書は勝手に開封してはいけない」と決められています。
発見した場合は、遅滞なく家庭裁判所に提出して、検認を受けなくてはなりません。
検認とは遺言書の証拠保全手続きです。
家庭裁判所で遺言書の内容を明らかにして、他の相続人に伝えることで、偽造や変造を防ぐ目的があるのです。
よって、遺言書は検認の手続きをするまで、大切に保管しておくべきです。
なお、検認は遺言書自体が有効であるかどうかを決定するものではありません。
遺言の有効性に疑いがある場合には、遺言無効訴訟等を起こして争います。
開封による罰則
(1)5万円以下の過料
検認手続きをせずに遺言書を開封したり遺言内容を執行した場合、5万円以下の過料を支払わなければなりません。
過料とは、行政上、軽い禁令を犯した際に科される金銭罰です。
(2)破棄や改ざんがあれば相続人資格を剥奪される
もし、遺言書の破棄や改ざんをすれば、更に重いペナルティとして相続人資格が剥奪されます。
相続人資格がなくなれば、分割協議に参加できず遺産はもらえません。
加えて、他の相続人が損害を被る行為であった場合、損害賠償責任を問われる上、5年以下の懲役に罰せられる可能性もあります。
開封を防ぐための対策
(1)二重封筒を使う
検認手続きを知らず、遺族が遺言書を開封する可能性は高いと言えるでしょう。
そのため、遺言書が発見された時のことを考えた上で対策を講じます。
有効なのは、遺言書を入れる封筒を二重にする方法です。
少し大きめの封筒に注意書きのメモと遺言書の入った封筒を入れるのです。
この方法であれば誤って外側の封筒を開いてもメモを見れば、中の封筒の開封を思い留まってくれます。
メモには「遺言書在中」であること、「裁判所で検認を受けるまで開封しないこと」という旨を書いておけばわかりやすいでしょう。
(2)公正証書遺言書を活用する
一般的な遺言書で検認が必要なのは、自筆証書遺言書や秘密証書遺言です。
原本が役場に保管される公正証書遺言書は偽造や紛失のリスクがないので、開封しても問題ありません。そもそも、検認手続きをしなくて良いのです。
そのため、公正証書遺言書を作成するのも有効な方法と言えるでしょう。
ただし、証人の用意や役場の担当者との事前打ち合わせなど、作成自体の手間はかかることは覚えておきましょう。
(3)保管制度を利用する
相続法改正に合わせて、自筆証書遺言が法務局で保管する制度が2020年の7月より開始されています。
この法務局で保管される自筆証書遺言は、検認不要となるので、開封の心配はなくなります。
利用する場合は、生前に家族に遺言書の原本が法務局に保管されていることを伝えておきましょう。
まとめ
検認は、遺言書の偽造・変造を防ぐための証拠保全手続のため、手続きを行う前に中身を開いてしまうことはいけません。
必ず家庭裁判所で手続きを行なってください。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。