2024年版の空き家特例について【売却益から3000万円控除可能】
厚木市で 相続手続 支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続 の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
古い空き家は倒壊などのリスクがあるため、放っておくと危険です。
実は、相続や遺贈によって取得した空き家を売却する際に、条件を満たすことで譲渡所得から最大で3000万円の控除を受けられる制度があります。
ただし、この空き家特例は耐震性能や売却金額などの細かい適用要件がたくさんあります。
空き家を放置するリスク
空き家を放っておくと以下のようなリスクが出てきます。
- 建物劣化リスク
- 犯罪トラブル
- 景観悪化
- 損害賠償
住んでいる人がいなければ、定期的な管理がされないので傷みやすく、不動産価値を損ねてしまいます。また、建物が傷んだり、土地内の草木の手入れがされないままだと、周辺景観を悪化させることにも繋がります。
また、人が住んでいないことで、不法侵入や不法滞在が起こり、犯罪を誘発する可能性も出てきます。
一番怖いのは、建物劣化によって家屋が倒壊することです。倒壊によって、近隣の住宅に被害が出て損害賠償責任を負うこともあります。
このように様々なリスクがあるので、住む予定の無い空き家については
- 売却
- 取り壊しの後土地のみを売却
- 賃貸などで再活用
といった方法を取る方がお勧めです。
もし、売却を考えるのであれば、これから説明する空き家特例の活用も考えましょう。
空き家特例とは
空き家特例とは、相続もしくは遺贈によって取得した被相続人が居住していた空き家やその土地を一定期間内に売却すると、譲渡所得額から最高3000万円を控除できる制度です。(正式には被相続人の居住用財産(空き家)にかかる譲渡所得の特別控除の特例と言います。)
控除額が3,000万円と節税効果が高いですが、空き家の要件、売却時の状況要件等が細かく決められています。
譲渡所得額は以下の計算式で算出します。
- 取得費…不動産購入費用、手数料、その後支払った改良費の合計額。
- 譲渡費用…不動産売却で支出した費用。仲介手数料や測量費等。
もし、不動産の取得費が不明な場合、譲渡価額の5%を概算取得費としても大丈夫です。
空き家特例の要件
(1)家屋の要件
- 相続開始前に被相続人が一人で暮らしていた自宅
- 1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた区分所有建築物以外の建物
- 相続時から売却時まで、事業、貸付、居住の用に供されていないこと(ずっと空き家だった)
- 対象の家屋は相続や遺贈によって取得された
空き家特例は名前の通り空き家になった相続不動産の売却を促す特例です。そのため、適用できるのは、亡くなった人が一人で暮らしていた自宅のみとなります。
ただし、「被相続人が介護保険法に規定する要介護・要支援認定を受け老人ホーム等に入所し、かつ、相続開始直前まで老人ホーム等に入所していた。」、「老人ホーム等への入所時から相続開始直前まで、その家屋について、被相続人による一定の使用がなされ、かつ、事業、貸付、被相続人以外の居住の用に供されていたことがないこと。」に該当すれば、被相続人が相続開始の直前に居住していたものとして認められます。
また、不動産は1981(昭和56)年5月31日以前に建てられたものに限られます。これは旧耐震基準で建築された危険な空き家を減らしたいからです。なお、不動産はそのまま売却しても、特例適用になりません。耐震補強もしくは更地にして売却します。
(2)譲渡する際の要件
- 譲渡対価額の合計が1億円以下
- 耐震リフォーム済もしくは建物を取り壊した状態で売却する
- 相続開始から3年を経過した年の12月31日までに売った
- 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例や収用等の場合の特別控除など、ほかの特例の適用を受けていない
- 売却先は子供や配偶者以外の第三者であること
空き家特例が適用できるのは売却金額が1億円を超えない物件のみです。売却が複数回の場合や複数の相続人で売る場合、各売却金額の合算で判定します。
特例適用には前述したように耐震リフォームをするか、空き家を取り壊して更地にした状態で売らなければなりません。ただし、2023年度税制改正によって、譲渡時から譲渡した年の翌年2月15日までに取壊しが完了した、あるいは耐震基準に適合することが証明された場合、特例は適用可能となります。要するに譲渡後でも耐震リフォームや更地にしても良くなったのです。
なお、対象の土地家屋を取得した相続人が3人以上の場合、特別控除額は2,000万円に減額となります。
まとめ
空き家特例は最大3,000万円の特別控除が設定されていますので、譲渡所得税の大幅な節税が可能です。空き家の活用に困っている場合、特例を利用できそうか確認してみましょう。
特例を利用した場合、確定申告時に必要な添付書類の種類と数が多いので、書類準備はしっかりとしておきましょう。不安な場合は、税理士に申告を代行してもらうと良いでしょう。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。