相続人代表者指定届について【 相続手続き 】
厚木市で 相続手続き 支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
相続が開始されてしばらくすると、役所から相続人宛に「相続人代表者指定届」が送付されるケースがあります。
役所からの書類なので少し驚かれるかもしれませんが、相続人代表者指定届とは被相続人に関する税金関係の書類を受け取る相続人の代表を指定する書類です。
相続人代表者指定届とは
相続人代表者指定届は、故人の財産の中に不動産等がある場合、役所から送付されます。なぜならば、書類の目的が固定資産税等の納税を知らせることだからです。
不動産には一年ごとに固定資産税がかかってきますが、所有者が亡くなられると、その固定資産税は不動産を受け継ぐ方に支払い義務が移ります。
しかし、遺産分割協議が完了しておらず、新しい所有者も決まっていない場合、不動産は相続人全員の共有状態となるため、相続人全員に支払義務があります。
この状態では、役所側は誰に税金関係の書類を送って良いかわかりません。全員に書類を送付するとなると、事務処理の手間もかかってしまいます。
そのため、相続人代表者指定届を送付して代表者を指定してもらうのです。代表者が決まれば、今後は代表者の住所に書類を送れば済むので、事務処理上の手間が大いに省けます。
送付される人は誰か
相続人代表者指定届がどの相続人に送付されるのかははっきりわかっていません。
役所によって異なります。ただ、該当の相続不動産に居住している相続人に送付される傾向にあります。
それ以外だと、不動産のある市町村に住んでいる相続人に送られるケースが多いようです。
無視しても罰則などはない
相続人代表者指定届を放っておいても、罰則はありません。書類を受け取ったからといって、その相続人が固定資産税を払わねばならないわけではなく、単に納税通知書などの書類を受け取る代表者を決めるだけの書類だからです。
ただし、相続人側で代表者を指定しておいた方がメリットもあります。税金関連書類が全て、代表者の元に送付されるので、税金の支払い漏れの可能性が少なくなるからです。
よって、できれば内容を記入した上で、郵送か役所へ持参しましょう。
なお、届け出をしていない場合は、役所側で納税通知書の送付先を決めることになります。もし、管理ができない方に書類が届いてしまうと、税金漏れが起こるリスクが出てきます。
代表者の支払い義務について
不動産もそうですが、遺産分割協議が完了していない状態の財産は「相続人全員で共同所有している」ものです。
そのため、代表者になったからといって固定資産税を全て負担するようなことはありません。新しい所有者が決まるまで、固定資産税は相続人全員で支払います。
記入方法
相続人代表者指定届のひな形は市町村ごとに少々異なります。詳しい記入方法は不動産を管轄する市町村に確認しましょう。
大半は相続人代表者と被相続人の氏名と住所・電話番号等を記載します。記載内容はそこまで難しいものではないので、押印も大抵の場合、代表者個人のもののみで良いです。
※細かい部分は市町村によって異なるので、事前に管轄の市町村に確認した方が安全です。
相続放棄を考えている場合
相続放棄とは、相続人としての権利を手放すことです。よって、相続放棄をした方は代表者にはなれません。
よって、相続放棄を検討している方は、代表者にならないようにしましょう。なお、相続不動産にかかる固定資産税や都市計画税を払ってしまうと、遺産を処理したことになり、相続放棄できなくなってしまいます。
相続放棄が成立した後でも、支払いをすれば相続放棄が無効になってしまうので注意してください。
まとめ
相続人代表者指定届は、相続不動産にかかる固定資産税の納税通知書の受取人を指定するためのものです。代表者になっても、一人で税金の負担をするわけではないので安心してください。
書類を提出しなくても罰則はないですが、支払い漏れのリスクを減らすためにも提出しておいた方が良いと言えます。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。