相続で見つけた現金はそのまま隠し通せるのか【 追徴課税の危険性は? 】
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
世の中にはお金を銀行に預けず、自宅のタンスや金庫で保管している方もいます。
これらのお金は、所有者の死後に遺族によって見つけられることとなりますが、中には、相続財産として計上せずに、隠し通そうとする方がいます。
預金でない分、税務署に見つからないという考えからでしょうが、タンス預金等のお金は税務署にバレやすい上、発覚した際のデメリットも非常に大きいので危険です。
税務署は独自の管理システムによって、相続財産を把握し、徹底した調査でタンス預金を突きとめます。
タンス預金がバレてしまうと、多額の追徴課税を課せられることはもちろん、場合によっては刑事犯罪として処断される恐れもあるので、きちんと相続税申告をすべきなのです。
相続税の時効
相続税にも時効がありますが、正しくは「除斥期間」といいます。
除斥期間は時効と同じ考えで、申告期限から一定期間、税務署から請求がなければ、納税者は納税義務を負わないというものです。
時効と異なり、除斥期間は中断がありません。
時効は期間中に催告等の請求があれば、期間がリセットされますが、除斥期間にはそのようなルールがありません。
相続税の除斥期間は税法上、原則5年となっており、悪意があると判断された場合は7年となります。
悪質だとされるのは「わざと申告しなかった」「申告するつもりが、申告期限を忘れた」「相続財産を隠した」等のケースです。忘れていただけでも、7年に延長されるので、申告期限までの日数と合わせると、逃げきるまでに7年10ヶ月はかかります。
税務署にごまかしは通用しない
銀行に預けているお金ではないことから、7年どころか未来永劫バレないと思いがちですが、実際には隠し通せません。
税務署は簡単に相続財産を把握できるからです。
税務署は、被相続人と関係者(相続人)の全ての金融機関履歴・納税状況をチェックします。相続税申告の中身に疑問を抱けば、毎月のお金の流れを細かくチェックし、使途不明金がないか詳細に調べます。
もし、申告書に記載のない入出金等があれば、税務調査が行われます。
税務調査では相続人に質問したり、被相続人や相続人の家具の引出や家庭内の金庫、銀行にある貸金庫等が調査されたりします。
税務署は自宅に保管されているものであっても、ある程度の予測を立てて調査していますので、おおよそのことは明確になります。
実地の調査で実態把握ができない場合、被相続人と生前に交流のあった知人などからも情報の入手を図る等、徹底的な調査が行われます。
そのため、タンス預金であっても隠し通すことは非常に難しいのです。
相続財産は預貯金でも現金でも不動産でも、必ず適正な評価額を算出し、財産総額が基礎控除を超えるのであれば、相続税申告をしなければなりません。
万一、申告後に自宅からお金が見つかった場合でも、申告をやり直しましょう。
税務調査から指摘を受ける前に自主的に修正申告をした場合は過少申告加算税が免除されるからです。
隠した場合のペナルティー
(1)無申告とした場合
期限までに申告を行わなかった場合、「無申告加算税」が課されます。たとえ、1日遅れただけでもかかるので期限には十分注意してください。
課税率は以下の通りです。
税務調査の事前通知以後に期限後申告書を提出…50万円まで10%、50万円超の部分に15%
調査による更正など予知以後に期限後申告書を提出…50万円まで15%、50万円超の部分に20%
税務調査の通知が入る前、事前通知があり税務調査が入る前、税務調査を受けた後等、どのタイミングで期限後申告を行うかによって税率が変わります。
(2)申告額を少なくした場合
期限内に申告を行っても本来の納税額より低かった場合は、「過少申告加算税」がかかります。
過少申告加算税は、正しい税額と最初に支払った税額との差分についてかけられます。
課税率は以下の通りです。
税務調査を受けてから修正申告をする…当初の納税額と50万円のいずれか多い方以下の部分に10%、それらを超える部分に15%
一度提出した申告が誤りだと気づき、法定期限までに修正申告を行えば、過少申告加算税はかかりません。
(3)重加算税
意図的に財産を隠したり、税金逃れをしたりしようとした場合、「重加算税」が課せられます。
重加算税は相続税の申告書を提出していた場合35%、申告書が提出されていない場合は40%が徴収されます。
最悪の場合は刑事罰が待っている
遺産を相続したのに相続税を払わないという行為は脱税であり犯罪行為です。
悪質だと判断されれば、刑事罰となり懲役刑の可能性もあります。
このように軽い気持ちで相続財産を隠せば、取り返しのつかないことになるので注意しましょう。
まとめ
大前提として、被相続人の遺産総額が基礎控除額を超える場合は、税務署に相続税を申告し、税金を納めなければなりません。
遺産額に応じて相続税額も高くなるため、中には「税務署に見つからなければお得だ」と考える人もいます。
ただし、税務調査からは逃げ切れる可能性は少ないですし、ペナルティーを考慮すれば、リスクが大きすぎます。
相続税はリスクを冒すより、専門家に節税対策を相談することで税金の払い過ぎを防げます。
お悩みの方は早いうちに税理士に相談してください。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。