厚木市で相続の手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。

 


 

「大切な財産や実家を子どもに継がせるなら、元気なうちに生前贈与したほうが得なのか、それとも亡くなってから相続したほうが得なのか」と悩む方も多いのではないでしょうか。とくに厚木市や海老名市周辺は、小田急線沿線の開発などもあり、ごく一般的なご家庭でも不動産(土地)の評価額が高くなりやすい地域です。そのため「うちも将来、相続税がかかるのでは?」という不安の声がよく寄せられます。

結論から言えば、生前贈与と相続のどちらがお得になるかは、ご家族の財産状況や、誰に財産を渡したいかによって「ケースバイケース」です。さらに、2024年(令和6年)1月1日以降の贈与からは生前贈与に関する税制が大きく改正されたため、以前の常識が通用しなくなっている部分もあります。

今回は、生前贈与と相続の違い、税制改正のポイント、そして将来の相続手続きやトラブルを防ぐための賢い対策について、専門家の視点から分かりやすく解説します。

 

結論から言えばケースバイケース!生前贈与と相続の違いとは

まず大前提として、「生前贈与」は生きている間に財産を無償で渡すことであり、「相続」は亡くなった後に財産を引き継ぐことです。それぞれにかかる税金の種類やルールが異なります。

生前贈与(贈与税)
贈与税は、原則として1年間(1月1日〜12月31日)に受け取った財産の合計が「110万円」を超えた場合にかかります。この110万円の基礎控除を利用して毎年少しずつ財産を移す方法を「暦年贈与」と呼び、古くから相続税対策の王道とされてきました。

ただし、贈与税は相続税に比べて税率が上がる金額の区分が細かく、同じ金額を渡すなら税負担が重くなりやすい仕組みです(最高税率はどちらも55%)。一度に多額の財産を贈与すると、高額な贈与税がかかってしまう怖れがあります。

相続(相続税)
相続税には「基礎控除(3,000万円+600万円×法定相続人の数)」という非課税枠があります。

【参考】
我が家は対象?厚木市周辺の一般的な家庭でも相続税がかかる「基礎控除」のボーダーライン
https://stepup-souzoku.com/2026/07/17/2/

たとえば法定相続人が子ども2人なら、基礎控除は4,200万円です。

遺産の額がこのボーダーラインを超えなければ、原則として相続税はかからず、申告も不要です。ただし、次の2点に注意してください。

  • 判定に使う遺産の額には、相続財産に足し戻される生前贈与(後述)も含まれます。
  • 「小規模宅地等の特例」などを使ってはじめて基礎控除以下になる場合は、相続税が0円でも申告が必要です。

 

2024年からの税制改正で生前贈与のルールが大きく変わった

2024年1月1日以降の贈与から、税制改正により「生前贈与加算(持ち戻し)」の期間が延長されました。

生前贈与加算とは、亡くなる直前に駆け込みで贈与を行い、相続税を逃れるのを防ぐためのルールです。これまでは亡くなる前「3年以内」の贈与を相続財産に足し戻して(持ち戻して)相続税を計算していましたが、この期間が段階的に「7年以内」へ延長されます。

【参考】
No.4161 贈与財産の加算と税額控除(暦年課税)|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4161.htm

なお、7年に延びるのは2031年以降に亡くなった場合で、それまでは段階的に延長されます。延長された4年分の贈与は、合計100万円まで加算されません。また加算の対象は相続や遺贈で財産を受け取る人だけなので、孫や子どもの配偶者への贈与は原則として対象外です。

さらに2024年からは、もう一つの贈与の方法である「相続時精算課税」にも年110万円の基礎控除が新設されました。この範囲の贈与は、相続時にも足し戻されません。ただし一度選ぶと暦年贈与に戻れないため、慎重な判断が必要です。

【参考】
変わる相続税制度2 相続時精算課税制度における変更点について
https://stepup-souzoku.com/2023/07/21/seizenzouyokaisei-2/

つまり、生前贈与は早めに始めるほど効果が出やすくなったということです。

 

【シミュレーション】厚木市周辺に実家がある場合はどちらがお得?

(1)預貯金が多いなら「生前贈与」をコツコツと
将来、相続税の基礎控除を超えることが確実なご家庭なら、110万円の基礎控除を使った生前贈与を早めに始めるのが効果的です。加算期間(最長7年)を考えると、相続人ではない孫への贈与や、相続時精算課税の110万円枠を組み合わせるのも一つの方法です。

(2)実家(不動産)の移転なら「相続」が有利なケースも
「元気なうちに実家の名義を長男に変えておきたい」というご相談もありますが、不動産の生前贈与はコストがかさみます。固定資産税評価額2,000万円の土地の場合、登録免許税は相続なら8万円(0.4%)のところ、贈与では40万円(2%)かかります。さらに相続ではかからない不動産取得税も約30万円かかり、名義変更だけで60万円以上の差が出ます。

また、相続であれば「小規模宅地等の特例」により、自宅の土地の評価額を330㎡まで80%減額できる可能性があります。

【参考】
No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

対象は、配偶者や同居していた親族などが取得する場合で、生前贈与した土地には使えません。そのため不動産は、遺言書を書いて「相続」で引き継がせた方が、トータルの負担が安く済むケースが珍しくありません。

 

トラブル(争族)を防ぐための賢い生前贈与の活用法

生前贈与が「名義預金」と指摘されないよう、以下の点に注意してください。

  • 贈与のたびに贈与契約書を作成し、双方が署名する
  • 子ども名義の口座に振り込み、通帳・印鑑は子ども自身が管理する
  • 毎年同じ時期に同じ金額を機械的に渡し続けない(「定期贈与」とみなされる怖れがあります)

なお、「111万円を贈与して申告しておけば安心」と言われることもありますが、税務調査で重視されるのは、子どもが自由に使える状態だったかという実態です。対策を怠ると、亡くなった後の税務調査で追徴課税を受ける怖れがあります。

 

まとめ:最適な生前対策や相続税申告のシミュレーションは専門家へ

生前贈与と相続のどちらがお得になるかは、ご家族の人数、預貯金と不動産のバランス、そして2024年からの新しい税制のルールを正しく理解して計算しなければ分かりません。暦年贈与と相続時精算課税の選択、小規模宅地等の特例の要件の判定など、一般の方がご自身だけで判断するのは非常に難しいと言えます。

少しでも不安に思われたら、一人で悩まず、相続専門の税理士にご相談ください。厚木相続相談センターでは、将来の相続税申告を見据えた精緻なシミュレーションから、面倒な戸籍集め、不動産の名義変更まで、窓口一つでトータルにサポートいたします。手遅れになる前に、早めに専門家を頼ることをお勧めいたします。まずはお気軽に、当センターの初回無料相談をご利用ください。

 


 

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よくある質問

Q:孫への生前贈与も、亡くなる前7年分は相続財産に足し戻されますか?

A:子や孫などに相続や遺贈で財産を渡さない人であれば、原則として加算の対象外です。そのため、遺産を相続しない孫や子の配偶者への贈与は、7年以内でも相続財産に足し戻されません。ただし、孫が遺言で財産を受け取る場合や、生命保険金の受取人になっている場合は加算対象となるため注意が必要です。

 

Q:暦年贈与のほかに、2024年から使いやすくなった贈与の方法はありますか?

A:相続時精算課税は、2024年から年110万円の基礎控除が新設されました。この110万円以内の贈与は、贈与税の申告が不要で、相続時にも加算されません。ただし、一度選択すると同じ贈与者からの贈与で暦年課税に戻すことはできず、贈与した土地には小規模宅地等の特例も使えないため、慎重な判断が必要です。

 

Q:毎年贈与税の申告をしていれば、名義預金と指摘されることはありませんか?

A:贈与税の申告をしていても、それだけで贈与が成立していたと認められるわけではありません。税務調査では、通帳や印鑑を子ども自身が管理していたか、子どもが贈与を受けたことを認識していたかなど、実態が重視されます。申告はあくまで記録の一つと考え、贈与契約書と口座管理をセットで整えることが大切です。

 

Q:小規模宅地等の特例を使えば相続税が0円になる場合、申告は不要ですか?

A:小規模宅地等の特例を使えば相続税が0円になる場合でも、相続税の申告は必要です。特例は申告書を提出して初めて適用されるため、申告をしないと特例が使えず、結果として相続税がかかってしまいます。申告期限は亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。