遺言執行者 になれない人とは【 未成年者と破産者はNG 】
厚木市で相続手続支援をしている、税理士・相続手続相談士の小川正人です。
相続の際に必要な戸籍集めや口座解約、各種名義変更をお手伝いさせていただいております。
遺言内容を実現するためには、遺言実行者を指名しておく方が良いでしょう。
必ずしも選任しておかなければならないわけでもありませんが、遺言執行者は単独で手続きを進めることができるので、相続人数が多い場合や相続人の間でトラブルになりそうな場合は、遺言執行者を選任しておいた方がスムーズなのです。
遺言者は比較的自由に指名できますが、なれない方もいます。
遺言執行者とは
遺言執行者は遺言内容の実現を目的とし、不動産名義の変更や、預金口座の解約、財産の分配等、必要な手続きをする方です。
相続手続きは相続人の数が多ければ収集する戸籍や書類も増え、手間がかかります。その上、非協力的な相続人がいるとなると、手続きも困難になるでしょう。
その点、遺言執行者は単独での手続きができるので、相続人の関係性によって手続きが滞るということは起きません。遺言執行者は手続きをスムーズに行う意味でも非常に大きい存在なのです。
執行者になれない人は誰か
執行者になれないのは、下記のいずれかです。
- 未成年者
- 破産者
まず、未成年ですが、現在の法律では18歳未満が該当します。年齢は遺言書作成時ではなく、遺言者の死亡時(=遺言の効力発生時)で判定します。
つまり、遺言書作成時には未成年だったとしても、相続開始時に18歳を超えていれば問題なく遺言執行者に就任することができます。
破産者は債務者であり、裁判所によって破産手続開始決定を受けている方です。
借金が多過ぎて自己破産した方全てが遺言執行者になれないわけではなく、遺言の効力発生時に既に破産手続が完了しているのであれば、遺言執行者に就任できます。(問題になるのは、裁判所による開始決定の後、免責決定が下りるまでの期間です。)
もし、相続人が知らない第三者が遺言執行者になる場合は、未成年・破産者でない事を確認できる書類を持っておいた方が良いでしょう。(トラブル防止のため。)
本籍地を管轄する市区町村役場が発行する身分証明書には破産宣告を受けているかどうかが書かれているので用意しておきましょう。
なお、国家資格の士業は未成年者および破産者は登録できないので、税理士や行政書士や司法書士、弁護士であれば、欠格要件を自動的にクリアしています。
遺言執行者は、相続人や受遺者と同一でも問題ありませんが、他の相続人との間でトラブルが生じる可能性も否定できないので、相続専門の税理士など第三者の有資格者に遺言執行者を指定した方が良い場合もあります。
執行者になれば、相続人への進捗報告や、相続財産目録作成等、様々な法律手続きをしなければならないので、慣れている専門家を選ぶのは理に適っています。
遺言執行者の業務
遺言執行者は以下の業務を行います。
- 戸籍等の証明書の収集
- 相続財産調査及び相続人の確認
- 財産目録の作成・交付
- 法務局に対する登記申請手続き
- 各金融機関に対する解約手続き
- 株式等の名義変更手続き ・換価手続きを行う
遺言執行者には報告義務があり、相続人や受遺者が希望する場合は、遺言執行の状況を報告する必要があります。
遺言者の選任方法
(1)遺言書で遺言執行者を指定する
遺言書に執行者の名前と住所を書き、「遺言の執行者を任せる」といった文章も入れておきましょう。なお、予備の執行者も指定できます。
予備の方が執行者となるのは、本来指定されていた執行者が諸事情によって執行者になれなかった場合のみです。
また、遺言執行者ではなく遺言執行者を選任する方を指定することもできます。
(2)家庭裁判所に申し立てを行う
遺言書で遺言執行者が指定されていなかった場合や、指定した方が遺言執行者になれなかった場合は、家庭裁判所に選任の申し立てができます。
執行者の申し立てができるのは、相続人や受遺者、遺言者の債権者等です。
裁判所を通さずに、相続人間で遺言執行者を選任しても無効なので注意しましょう。
まとめ
遺言執行者は遺言者であれば比較的に自由に選ぶことができます。
相続人や受遺者を執行人にしても良いですし、友人や法人を選ぶこともできます。
しかし、未成年者や破産者は欠格事由に該当するので、選ぶことができません。
また、遺言執行者は相続人全員の代理人として単独で相続手続きを行うので、平日時間が取れない方や、慣れていない方を選ぶことも避けるべきでしょう。
お勧めは専門家を選任することです。報酬はかかりますが、専門知識と経験があるので、業務を手早く完了させることができます。
相続の手続きでお困りのことがございましたら、相続手続の専門家・相続手続相談士のいる厚木相続相談センターまでお気軽にご連絡ください。
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1960年東京生まれ 早稲田大学商学部卒業
1989年税理士登録
相続手続きについての執筆活動もしているエキスパート。
複数の事務所勤務を経験後、1995年厚木市に税理士事務所開業。2015年法人設立、代表就任。
税務や会計にとどまらず、3C(カウンセリング、コーチング、コンサルティング)のスキルを使って、お客様が幸せに成功するお手伝いをしています。
■著書
「儲かる社長がやっている30のこと」(幻冬舎)
■執筆協力
「相続のお金と手続きこれだけ知っていれば安心です」(あさ出版)
「事業の引き継ぎ方と資産の残し方ポイント46」(あさ出版)
その他多数。